画像/邱永漢先生
ハイハイQさんQさんデスよりお借りしました。
邱先生の長女である邱世賓さんがお伝えくださった最期の言葉
「これからアジアの国々は酷い目にあう。
大変な事になるだろう。でも、それも面白いね。」
2012年5月16日、私が最も尊敬する邱永漢先生が88歳で黄泉の路へと旅立たれました。
好奇心、行動力あふれる偉大な人だったと思います。
私が上海でビジネスをやるために来たことも
それがうまくゆき今があるのも邱先生と出会ったからこそです。
出会わなかったら叶っていなかったかもしれません。
上海上陸後、邱先生と初めてお会いしたのは3年ほど前でした。
邱永漢先生は直木賞受賞作家として、
または株の神様、金儲けの神様というメディアの呼び方で有名です。
様々な事業を手がけられていて北京の高級マンション「三全公寓」など
の大型事業等多くの事業をされていました。
また、多くの日本の大企業が邱先生の橋渡しで中国への進出に成功しました。
成都のイトーヨーカドーなどがわかりやすいところではないでしょうか。
人望も厚く、私がよく読んでいる著者の一人である船井総合研究所の船井幸雄さんとは気が合ったそうです。
邱先生が開いた雲南保山コーヒーのお店「q's coffee」が上海の田子坊にあります。
邱先生はこの今ではかなり有名になった田子坊も早くから着目して開発に取り組んでおられました。
先生と初めてお会いしたのはこのお店のすぐ近くにあったカフェ「赤い靴」でした。
「q's coffee」ではブルーマウンテンと並ぶ最高級品種のティピカ種コーヒーが飲めますし
通販でも購入できるのは有名ですね。私も購入して、おばや両親に送りました。
邱先生は10年ほど前からこの事業に着手したようです。
2010年頃からスターバックスも雲南保山に自社農園を建設を始めたそうですが。
直木賞受賞作家、台湾の英雄、お金儲けの神様などと呼ばれていましたね。
最近では連日のように香港経済誌の表紙を飾っていたそうです。
ご自分でも台湾の経済誌「财讯」を創られましたが。
私とって邱永漢先生は人生の羅針盤であり、人生で初めて出会った貴人です。
ここで言う貴人とは、簡単に言うと自分を導いてくれる人のことです。
お金の稼ぎ方や使い方に対しての考え方、時間の使い方への考え方、そもそも「思考」に対しての考え方。
これはすべて「人生」についてのことですね。どう生きるかということ。
邱永漢先生のことをよく知らない方にとっては、
どうしてもお金儲けや株式投資のイメージしかないようですがそれだけではありません。
よく、どう生きるかということについても書かれていましたし
そもそも、求められて書くようなこと以外は、時代を見つついかに生きるか
ということについて盛んに書かれていたと感じています。
ご本人は、お金のことを書くのに少々うんざりしていたようですし
一方でグルメ家としてもかなりの明をお持ちです。
私も食には興味がありますので、香港に行ったときに
邱先生も行った雲呑麺のお店で真似をして食べてみました。
いつかは香港の福臨門でお金に糸目をつけずにトライしてみたいものです。
邱永漢先生は東大出身で、日本国籍を取得された台湾の方です。
日本語も完璧で、日本では400冊以上もの著作があります。
ですが、ご自身は「ご自分を何人だとお思いですか」との問いに対し
「アジアの人間だと思います」とお答えになられていたと記憶しています。
邱永漢先生曰く、失敗のほうが多いというご自分の失敗談を交えながらされるお話は、
机上の空論などはされず、時に厳しくユーモアも交えながら常に道理があるものでした。
わかりやすくシンプルでありながら、世界中を飛び回りつつ本質を見るところからブレないその思考は
私のような若輩者にも大変勉强になり見識も広がるもので、大きな影響を受けたところです。
邱先生が逝去されたことで、羅針盤を失ったかのような感覚に包まれました。
今、上海でビジネスも順調で何不自由ない生活を送れていますし
今後もおそらく自分をさらに発展させることができると考えていますが
それが一体何になるんだろうと、自分のしていることの意義に疑問を感じてしまいました。
人は師匠を失うと自分の決断や選択に迷いが出るのでしょうか。
また大きな存在を失いましたね。
でも、失った場所には新たなものが入り込むのでしょう。
きっとその迷い、霧中に踏み入れてしまいそうなおぼろげで頼りない感覚は
おそらく一時的なものだと思いますし、それに自分なりの答えを見つけ出すことも試練です。
この経験が、邱先生がご自身をもってして最後に与えてくれた大きな勉强なのだと。
大丈夫です。これから邱先生の新たなお話は聴くことができませんが
邱先生が残された羅針盤が書籍としてあり、
その思考は私の中にも生き続けますし、当然まだ学び続けます。
ちなみに、私のブログトップサブタイトルの
「壁にぶつかったところから新しい道がひらける」は邱先生の言葉です。
邱永漢先生に絶えることのない感謝と深い哀悼を表します。
沈痛哀悼敬愛的邱永漢先生去逝