作家・室井佑月氏は、メディアは弱い人たちのために、正しいことを伝えてほしいと訴える。
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自民党の萩生田光一幹事長代行が、4月18日にネット番組に出演し、
「景気はちょっと落ちている。6月の日銀短観でこの先は危ないと見えてきたら、崖に向かってみんなを連れていくわけにはいかない」
と語ったそうだ。つまり、10月予定の消費税率10%への引き上げを延期することもありうる、といったわけ。
7月には参議院選挙があるからな。またまた安倍政権は『消費税増税を延期する決断を、支持するかしないか』というごまかしを、国民にしかけるってわけだ。
だって、国会で野党が、「今の国民生活を鑑みれば消費税を上げるのは無理だろ」といってたのに、与党側は「なにいってんだ景気は良いんだ」といい、突っぱねてきた。景気がよく見えるよう、統計まででっちあげたのかもしれない。
政府が消費税増税を延期すると決めたなら、まずうちらに謝らなきゃダメだろう。今まで間違ったことを話していましたって。無駄に税金(国会を開くにも税金がかかる)を使ってすいませんって。(狙ってか狙ってないかは定かじゃないが)騙すみたいなことになって、申し訳ないって。
でも絶対にそういわないし、騙される人はいる。騙される人は何度でも騙される。以前のこの“詐欺”は、メディアが片棒担いだし。
これってメディアがオレオレ詐欺に加担しているようなもんだ。オレオレ詐欺はメディアが撲滅キャンペーンを張って、被害が少なくなってきていると聞いた。やればできるのに。
国会の予算審議の映像を流すだけでいい。消費税増税を一生懸命反対していた野党、それをのらりくらりかわしていた与党の姿を流せばいい。間違っても以前のときのように、「安倍首相が消費税増税を延期してくれた。ありがたや」ってな演出するな。
この国には、未だに仮設住宅などでの暮らしを強いられている人は7万人以上いる。この国の子どもの7人に1人が貧困だといわれている。ひとり親世帯になると2人に1人だ。メディアの人間は、この国のこういった現状を知らないわけがないだろう。
いつだって詐欺の標的になるのは弱い人たちだ。せめてメディアは、今回こそ弱者の味方、正しいことをしてくれ。安倍政権の欺瞞をきちんと伝えてくれ。
以前の消費税増税が公約通り、すべて社会保障に使われたわけじゃないことを、くり返し伝えてくれ。この国の子どもの7人に1人が貧困であることと、安倍首相が海外にばら撒いてきた金額や、リボ払いの爆買いで米国からどれだけ言い値で武器を買わされているかなどを、一緒に報じてくれ。金の出所は、ぜんぶ一緒、我々の血税なんだから。我々にその使い道について考える場を、与えてくれないか?
テレビは、この国で生活苦から派生した悲惨な事件が起きたら、痛ましい事件だと報道する。そういった事件にも遠からず関わっていること、わかって欲しい
※週刊朝日 2019年5月17日号