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『タイマー』
「生きていること」を100%保障されているのは“今”しかなく、未来に100%保障されているのは「死ぬこと」しかない。

人間誰しも皆、死亡率は100%。遅いか早いかの違いだけ。

明日が必ずあるのを保障されている人もいないし、明日どころか1時間、1分先に生きていることを保障されている人もいない。

どんなに元気でも、今、目の前にいる大切な人が、50年、30年、10年先さえも、生きている保障などどこにもない。

皆が誰しも自分で時間を設定した、目に見えない“タイマー”を持っており、ウルトラマンと同じで、タイマーがなって時間切れとなったら元の世界に帰らないといけない。

もしも、急にそのタイマーが見えるようになったら、皆どう変わるだろうか?

今、身近に当たり前に側にいる人のタイマーを見たら、残り時間が1ヶ月だった場合、その相手と、残りの1ヶ月間を今までと同じように接して過ごすことができるだろうか?

きっと、どんなに嫌いで憎い相手でも、その相手が愛おしくなり、きっと何でも許せるようになるだろう。

今まで空気のように当たり前過ぎて見えなかった相手のことが、はっきりと見えるようになるかもしれない。

「最初から残り時間が分かっていたなら、もっと毎日優しく大切にしていたのに・・・」

と過ぎ去った日を後悔しても時は遅い。

でも、本来は残り時間も関係なく、タイマーがあることにさえ気づけば、人は誰にでもいつだって優しく向き合えるもの。

そして自分にもタイマーがあることを本気で自覚した時、人は真剣に今を全力で生きるようになる。

誰でもウルトラマンのようになれる。

タイマーがあることを知ったら、今度やればいいや、明日やればいいやと、そんな悠長なことを言ってられない。

 近頃、身の回りでも亡くなる人の話題が尽きません。どんなに高い志を持っていても、人はいつどこで突然この世を去るのか本当に分からないとつくづく思い知らされます。

子どもの頃は死期を考えることはあっても、最近は自分の死期などはほとんど考えたこともなく、とはいえ、いつ向こうに戻ってもいいやという心構えで日常を過ごしているつもりですが、いざ自分の余命が1ヶ月、はたまた今日しかないと分かったら、きっと今まで見ていた世界とは全然違う世界が目の前に広がるのだろうなとは想像はつきます。

でも、あくまでも想像の領域であり、誰か大切な人が危篤になったり、亡くなったりすると、この“タイマー”のことを思い出すだけで、それが本当に腑に落ちて、毎日瞬間瞬間を命懸けで全力で生きる段階にまでは到底至っておりません。

どこか自分の命も含めて、日常に当たり前にいる人、当たり前にあることのすべてが永遠に続くかのごとく考えており、危機感もなく、悪い意味で余裕をもって人生をのんびり過ごしているように感じています。

「3分しか時間がない」とウルトラマンは自覚しているから、その時間内で自分が出来ることを全力でやっているのでしょうし、だからウルトラマンは強いのだと思います。これが30分の時間だったら、もっと別の戦い方をするだろうし、3時間もあればのんびり作戦を考えるところから始めるのかもしれません。

誰もが100%保証されている死を過剰に恐れる必要もないし、この世にいる時間の長短も気にする必要もないでしょうが、この世でどんな偉業や功績が残せたかも、個人的にはあまり意味がないと思っています。

それよりは、どんなに短い人生でも、どんなにありふれた人生であったとしても、その瞬間瞬間をどれだけ自分らしく生きられたかが重要であり、どんなに長く生きられても、どんなに大きな功績を世の中に残したとしても、その人が自分らしく生きられた時間が少なければ、きっと向こうの世界に戻っても後悔することが多いように思います。

その「自分らしく今を生きる」ためには、やはりどんな自分であっても今の自分を100%許し、受け入れることが必要であり、親バカや子煩悩よりも、誰に何と思われようと“自分バカ”でいることが大切だと思います。

世界中を敵に回しても、最後の最期まで自分を信じてあげられるのは自分だろうし、自分を100%愛せない人に、他人を100%愛することも難しいと思います。

「自分の今生の使命は何なのか?」「世のため人のために私は一体何ができるのだろうか?」といつまでも分からないことに日々頭を悩ましているよりは、そんな自分さえも100%可愛がり、自己愛を満たしてあげることが必要なのかもしれません。

自分自身だって、ふとした時に「何で自分はこんなことをしているのだろう」と疑問に思うことは何度もありましたが、そんな時に自分の使命や役割をあれこれ頭で考えてもわからないし、いくら考えても結局は意味がないと思ってしまうので、今はすべてを委ねて、これは良い意味でのんびり日々を生きています

でも「タイマーがあることを自覚する」ことは、どうしても日々忘れがちになってしまうことだし、この有限の世界の中で、焦ることなく適度の危機感を持つことは重要だと思います。

特にこれから先、悠長なことを言ってられない待ったなしの時代がやって来ると思いますので、常日頃から今この瞬間を悔いなく自分らしく生きることを心がけていきたいと思います。