南風桃子ブログ~詩とか二胡♪とか(^o^) (※南風桃子詩集「うずら」をお求めの方は左ブックマークからどうぞ!)

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詩誌「孔雀船Vol.86」に掲載されました!

2016年09月09日 | 「うずら」の書評
<書評じんりき入力コーナー>について

詩誌等に掲載されている現代詩の書評が一般の方々の目に触れることは、
ほとんどないのではないかと思われます。
そこで、こちらのほうに南風桃子詩集「うずら」の関係個所を抜粋して、
入力してみました。名付けて「書評じんりき入力コーナー」です(^^)

今回は「孔雀船Vol.86」の吃水線《孔雀船書架》に掲載されたもので、
竹内貴久雄さまが書評をくださいました。どうもありがとうございますm(__)m

<書評じんりき入力コーナー④>

~以下引用~

 南風桃子『詩集 うずら』(空とぶキリン社)は、さまざまな意味で、惹かれるところの多い詩集だった。全体は三部に分かれているが、その「うずら」と題された第一部の前に、序詩として「うずらの詩」と題された三十数行の詩が置かれているが、そこに、こんな一節がある。
あたしは/そんなに なまけもので/どりょくを おこたってきたのかな//けっこんもせず/こどもも そだてず/しごとも ぼちぼちで//ごじゅうねんちかく/ぼーっと しちゃったのかな(中略)とりあえず/いまのわたしにできることは//ごじゅうねんぶんの ことばを、/ごじゅうねんぶんの わたしを、//あなたにさしだす/このちいさな ほんにして(以下略)

「あなた」とは誰だろう。野暮を承知で「あとがき」を頼りに見て行くと、「このちいさな詩集を 文学を一生愛し続けた父へ捧げます―――」とある。これで、合点が行った気にさせられてしまった。さらに、本編に戻って第一部「うずら」に収められた「哀愁うずらおやじ」という詩を、書き出しから読み進めてみる。

 きょうからきみには/うずらになってもらうよ/と、会社の偉い人から言われました//家族を養わなければならないので/とりあえず/うずららしくなってみようと努力したのですが//みんなから/うずらのくせに態度がでかいと どつかれたり/うずらのくせによく食うとイヤミを言われたり/なかなかたいへんです(以下略)

 なかなかに、したたかな筆致である。これでますます、この詩人に一杯食わされてしまった。
 じつは、この詩集の第二部は「春の葬列」と題されている。その最初に置かれた「南風」(奇しくも、この詩人のペンネームと同一だ!)という詩は次のような書き出しだ。

  こんなに風のある日に/まちを歩くと/すてき/あなたのかけらが/風にのって飛んできそうで/あなたのこころのにおいとか/あなたのひとみの光/使いかけの骨とか歯/いろいろいろいろ/飛んできそうで(以下略)

 ところが「春のほこら」という詩では、「ほこらの内には/ふくよかな弁天さまが/びわをかかえ/そよそよと/風がふくたび/べべん べべん/となる」と笑い飛ばし、「真夏の夜の夢」では「ひめ/おかしら付きのおとこでござる/あたたかいうちに/召し上がってくだされ//やきあみのうえ/こんがりやかれた/あなたのからだ//というところで/ぱちり/と めがさめた」と表現する。

心の整理過程を楽しむかのような詩作のタフさは凄いが、ここで私は、この詩人にとっての「あなた」とは何なのだろうと、すっかり考えこんでしまった。詩空間がこうして広がる。

 第三部「うどんげの花」では遠い日の追憶。幼い日々を語る詩群である。その中の短い「遠い夏」と題された詩。
  おばあちゃんは/バス停まで いつも/見送りに来てくれました/バスが土ぼこりをあげて/見えなくなるまで/見送ってくれました/そのとき おばあちゃんは/じっと動かない/ひかるまめつぶ/のようでありました

 私は、この詩人が次にやるべきことは、この遠くの「まめつぶ」を、間近かにまで引き寄せることだと思う。そうすることで詩空間は、さらに広がるはずだ。

~引用終り~


この書評の何が嬉しかったといってこの一言、
「したたかな筆致」です。
ああ、よくぞ言ってくださった♡ と脳内で反芻して喜びました。
さらに「一杯食わされてしまった」と畳み掛けてくださり、
私にとってご祝儀感ハンパありませんヽ(^o^)丿

詩というものの感じ方は、読み手の自由にゆだねられる割合がかなり大きい文芸だろうなぁ
と常々思っていますが、
「ここで私が仕掛けた網にかかってほしい」とか「ここは計算づくでおとぼけてみましたが、それを見抜いたうえで面白がってくれたら嬉しい」とか、なきにしもあらずだったりするわけです。


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お手数ですが、メッセージ欄から当方までご連絡いただけますでしょうか?
パソコンがこわれていない限りすぐに対応したいと思います。
どうぞよろしくお願い申しあげますm(__)m


☆南風桃子詩集「うずら」ゆっくり発売中!!
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リアル書店:大分市の晃星堂に置いています。
少部数のため全国書店には置いていませんが注文はできます。

ISBNコード:978-4-9905268-8-7
定価1500円+税 空とぶキリン社