📖
『なぜ
戦争は
よくないか』
アリス・ウォーカー 文/
ステファーノ・ヴィタール 絵
長田 弘 訳
偕成社1200
戦争は なんでもできる。
どんな国の言葉も話すことができる。
でも カエルたちに
何を どう話せばいいか
戦争はなんにもわかっていないよ。
池のそばでカエルたちを
心に思い浮かべてみて。
カエルたちは ちゃんともうすぐはじまる
雨の季節の準備をしているわ。
カエルたちは
戦争なんか見たことがない。
すがたをかくして近づいてきて
カエルたちを押しつぶし
ぺちゃんこにしてしまう、
戦争を運んでいく車の
巨大なタイヤなんか
見たことがない。
戦争(をする人)だって
じぶんの考えはもっているわ。
だけど(戦争をする人は)けっして知ろうとはしないのよ。
自分がいま おそ(襲)おうとしているのが
だれなのかを。
おだやかに
わらのにおいをかいでいるロバと、
わら束を積んだ上に
すわって
すりきれた
たずなの
はしっこを
にぎっている
男の子を
心に思い浮かべてみて。
ロバも男の子も
危険が身にせまっているなんて
思ってもいない。
考えるのは、
夕食のことだけ。
ボレンタと卵だったら
いいなと。
そのとき
ロバと男の子の
頭のうえに
落ちてくるのよ
車みたいにでっかくて
わけのわかんない
とんでもないものが。
戦争は
戦争の目で
ものを見るのよ。
油を、
ガスを
マホガニーの樹を。
そして
地中にある
あらゆる輝くものを。
子育てちゅうの母親のところにも
戦争は
やってくるの。
戦争は何も見ようとしない。
ミルクの大切さを
何より人間の親切さを
見つめることができないのよ、
戦争は。
窓のそばにいる
若い母親を
心に思い浮かべてみて。
(若い母親は)子守歌をうたいながら
若い母親はうれしい。
赤ん坊は、
母親の黒い巻き毛を
指でくるくるまわしながら
おっぱいを飲んでいる。
こういう大切な時間なの。
人が
なくしてはいけないものが。
母親と赤ん坊は気づいていない。
大地そっくりの迷彩色の服を着た
戦争が
険しい丘を
登って
ゆっくりと
母親と赤ん坊のほうへ
近づいてきていることに。
戦争は
たくさん経験を積んでも
少しも賢くならないのよ。
自分のものじゃない
どんなものも、
戦争は
へっちゃらで
破壊してしまうの。
戦争よりもずっと
ずっと古いものだって
へっちゃらで。
大きな森を
心に思い浮かべてみて。
河があって、岩があって、
ピューマがいて
そしてインコがいて
カメがいて
ヒョウがいて
それから
ヘビのいる
森を。
森のうえの
空高いところで戦争は
(👩はっ❗これは「ベトナム戦争」の絵本だ❗)
森のうえの
空高いところで
戦争は
灰色の雲になるの。
生きものの
いのちを枯らす
(👨『枯葉剤』のことだ❗
👴母親が枯葉剤を浴びて、ベトちゃん、ドクちゃんが生まれた。シャム双生児が生まれた。)
いのちを枯らす
散布剤といっしょに
あらゆるものを
下界に
まきちらす。
(👩アメリカの)戦闘機が
つくりだす
もくもくとした
灰色の雲に。
戦争は不愉快なものよ。
じぶん勝っ手な
とてつもない
大食らい。
戦争が食べないものが
何かある❔
きりなしの よだれくりなの
戦争は。
(👧戦争をやって枯葉剤を散布させている人間は、反戦の絵本なんて読まないのだろうな。たとえ読んでも何も感じないのだろうな。そこのところが完全に狂っているよな。大丈夫か❔アメリカの空軍は。いちばん上で命令を出す人は○○○しんりきょうのボスのような人なのだろうか❔
👩このボスは、空軍の兵隊さんたちに何か催眠術か何かをかけているの❔そうでなければアメリカの兵隊さんたちがそんなことをするわけがないし。○○○しんりきょうを盲信してしまった有名大学や東大卒の若い人々の誘導のされかたに共通点がある❔
👨空軍・宇宙軍の若い兵隊さんたちは、AI兵器が人間には敵わない高速スピードで敵の兵器や施設に命中する一瞬を、大きなテレビ❔パソコン画面で見て、笑顔で大層喜んでいたが、その行為は間違っているだろう‼️空の下には人々の暮らしがあるんだよ🌈
👴軍部の上層部や科学者はいけないなあ。兵隊さんたちをまるでAI兵器のゲームで遊ばせるように楽しく訓練させて。でも訓練はそこまでで、人間の倫理・道徳なんて教えないんだろう。
👩教えたら、AI兵器のボタンなんて誰も押せないよ。
👨「押せるのは狂人だけ」。(ジョン・レノン)
👴「たくさんの人々の生命と精神、経済を短期・長期的に残酷に傷つける」のがAI兵器だが、
その真実への罪悪感と後悔の気持ちを、
AIを使用させる兵士たちに
極力感じさせない教育・訓練を施しているのではあるまいか❔
👩こんなに科学が発達しているんだもの、もう既に存在しているんじゃない❔
「ボタンはきちんと押せて、他者からの命令は受け入れてしまう」という薬品が。
👧かもね。AI兵器のボタンを押すことを全く躊躇(ためら)わない兵士をつくるために。
👨それじゃ、まったく、兵隊は人間じゃなくてAIロボットそのものじゃないか‼️
👩何十年か後、軍隊を辞めたあと、または任務の最中に、
自分の犯したまちがいに気付き、
人を殺(あや)めたり苦しめたりした罪に苛(さいな)まれて、
心を病む兵士をつくるのだろう。
👨アメリカは、自分の国の大切な兵士たちにもひどい仕打ちをしていることに早く気付かなきゃ💔
👩そんなことは最初からわかってやっているのよ。最高上層部の人々が、自分(たち)が世界で1番上の覇権を取る、覇権を維持するために、自分の国の兵士の精神状態など、知ったこっちゃないのよ、きっと。
だからそんな国のために頑張ることないわ。
頑張るのは、(宮崎駿監督が描いた)
「おんぼろ宇宙船地球号」
(📖『時代の風音』(単行本のほうの、監督自身が描いた、
世界中の国旗を船窓から出して翻(ひるがえ)した、
(表紙の絵の)戦艦に乗った、
世界中の人々(難民)のために
頑張るのよ❤️
👨そうだったね❤️
ちなみに「枯葉剤」を作り出す会社も悪いよね。枯葉剤って、いわゆる除草剤でしょう❔そんなものを人や動物のいる土地の上から散布するなんて。いったい、どこの誰が考えたの❔ベトナム戦争の反省はしたの❔
👩📖『沈黙の春』(レイチェル・カーソン著)も思い出してしまう。政府だけでなく、企業も倫理観を持たねば。
ほら
戦争が
むしゃむしゃ
村を食べているわ。
たくさん
人の集まるところに
ミサイルで
大きな穴をあけて。
戦争が
食べつくした
あとに
のこるのは
大地に
たまった
唾液みたいな
ぬるぬるとした
水たまり。
それが
しみだして
地下水にまじって
村の井戸水に
入りこむ。
(👩ベトちゃん、ドクちゃんの母親は、枯葉剤を浴びたんじゃないんだ‼️枯葉剤が染みた地下水を飲んだんだ。
👧ベトナムのジャングルの野生動物たちも、直接枯葉剤を体に浴び、地下水を飲んだのだろうな😢😢😢。)
戦争はひどい味がする。
いやなにおいがする。
人のからだをむしばむ。
異臭や
思いもよらない
副作用のことなど、
戦争(をやる人は)
けっして考えないのよ。
(👨考えない人間が大統領や首相では、国民は、たまったもんじゃない‼️)
ひとくち
飲むごとに
みんなを
病気にしてしまうのが
戦争のしみこんだ
水なの。
(👧おえっ‼️)
だからって
鼻を
つまんで
そして
息を
しなかったら
死んでしまう。
これが
戦争のために
この地球に生きる
🌈とてもすてきな人たちの
身に いま 起きていること。
それでも
戦争は正しいというなら
ある日
みんな
飲まなければいけなくなるわ。
戦争のしみこんだ
水を
この場所で。
2008年12月 初版第1刷
アメリカに、そしてこの星に
長く生きてきたものの
ひとりとして、
幼い人たちのことを考え
守ることに、
自分の持てる力のすべてを
そそぎたい。
アリス・ウォーカー
差別の構図を、そしてそのなかで強く生きていく黒人女性の姿を描き、世に深く問いかけた小説
『カラー・パープル』(ピューリッツァー賞受賞)。
その著者アリス・ウォーカーが、
2011年9月11日のテロ攻撃に対してアメリカが行った報復の事実を知り、衝撃を受けて書いたそう身の作。「戦争が姿をたくみに隠して、人びとの平和な日々にしのびよる。
その恐ろしさを伝えることが、子どもたちを守るひとつの手だて(方法)になると信じています。」と語るアリスの思いにステファーノ・ヴィタールがこたえ、力強い絵で描きあげました。
アリス・ウォーカー
(Alice WALKER)
1944年アメリカ合衆国ジョージア州生まれ。『カラー・パープル』(柳沢由美子訳、集英社文庫)で、黒人女性としてはじめてピューリッツァー賞を受賞。同作で全米図書賞も受賞。スピルバーグ監督によって映画化された。著作に詩集の『Once』『Collected Poems』、小説『アリス・ウォーカー短編集』(藤田登久子訳、ロングマンジャパン)『わが愛しきものの神殿(上下)』『父の輝くほほえみの光で』、エッセー『勇敢な娘たちに』(以上柳沢由美子訳、集英社)など。
ステファーノ・ヴィタール
1958年イタリア・パドヴァ生まれ。「タイム」「ニューヨーカー」「ニューズウィーク」などの雑誌のイラストや、本の装丁などの仕事多数。世界各国の伝統絵画を研究し、独自の画風をつくりだした。絵本に“When the Wind Stops”“If You Listen”“Sleepy Book”“There Is a Flower at the Tip of My Nose Smelling Me”『ながれ星がはこんできたおはなし』『なぜ戦争はよくないか』など。
長田弘
1939年福島生まれ。早稲田大学在学中より詩を発表。詩誌の編集にも携わる。詩集に『われら新鮮な旅人』『食卓一期一会』『深呼吸の必要』(路傍の石文学賞)『世界はうつくしいと』(三好達治賞)『奇跡—ミラクル—』(毎日芸術賞)『長田弘全詩集』など、絵本に『森の絵本』(講談社出版文化賞)『ねこのき』、絵本の翻訳に『世界をみにいこう』『なぜ戦争はよくないか』、エッセイに『アメリカの61の風景』『人生の特別な一瞬』などがある。2015年没。
編集者より
アメリカは今世紀に入ってからも、世界のいくつかの地で戦争に関わってきました。今なお終わりが見えないものもあります。戦争は必ず大義によって始められますが、引き起こされる悲惨は大義とは直接関わりのない人々に及んでいます。その多くは女性であり子どもたちです。
「戦争はよくない」ことは自明なことでありながら、大義の前ではいとも簡単に忘れ去られます。その事実をあらためて戦争当事国の国民であり、著名なオピニオンリーダーであるアリス・ウォーカーが、普通の生活、女性・子どもの立場から、静かにしかし強く訴えかけています。
首長交代は、戦火の地に良い変化をもたらすでしょうか……。確かなことは、現実の政治がどのように変化するにせよ、抽象的な大義を超えて戦争を止めるものは、私たちの「戦争はよくない」という現実の感覚をおいてほかにはないということです。 この本からその思いが伝わることを願っています。
2008年10月
偕成社代表取締役社長 今村正樹
(👨絵本で有名な偕成社の社長さん、立派だな。
👩だって、子どもにウソはつけないでしょう。
👧たとえば、ユニクロの社長さん、聞きましたか❔読みましたか❔
偕成社の絵本がもっと読みたくなりました💕)