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戦争プロパガンダ

2021-09-23 05:44:26 | 日記

 

 

 

📖『戦争プロパガンダ 10の法則 』

アンヌモレリ 著

永田千奈 訳

 

 

感想

 

①各章のタイトルが、戦争へ誘導するストーリーになっている。

10章の最後のくだりが、我々に問題を投げかけている。

 

②インターネットで情報が溢れる現在,プロパガンダはより一層巧妙になっている。少し足を止めて,じっくり考えたい。

 

③近代以降、国家は戦争をするのに国民を説得し同意を得る必要がある。

戦争は経済的・地政学的利益のために行われるが、国民の理解を得るのは難しい。そこでプロパガンダや言論統制(国家が直接関与するものでも国民間で自主的に行われるものでも)が正当化される。

 

1. われわれは戦争をしたくはない

2. しかし敵側が一方的に戦争を望んだ

3. 敵の指導者は悪魔のような人間だ

4. われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う

5. われわれも意図せざる犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為に及んでいる

6. 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている

7. われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大

8. 芸術家や知識人も正義の戦いを支持している

9. われわれの大義は神聖なものである

10. この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である

 

④書かれていることは「それはそうだろう」「当たり前じゃん!」ということがほとんどなのだが、それにもかかわらず被支配層が騙され続けるのはいったいなぜなのか。この疑問に対する処方箋は書かれていないが、本書は「いま騙されている自分」に気づく契機(チャンス)となるかもしれない。

 

⑤「戦争はいつも正義の御旗の下(みはたのもと)で行われる」

こんなことは当たり前になっています。が,しかし,その正義がどのような形で作られていくのか,それを解説したのが本書です。

 「われわれは戦争をしたくない」という前提があったはずなのに,最後には「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」という社会にまで落ち込んで行ってしまう。ここまで来てしまうと,わが国の戦争に反対することはもちろん,疑問を呈しただけでも「非国民」「敵のスパイ」扱いされてしまいます。

 本書では,主に第1次世界大戦と第2次世界大戦で繰り広げられた各国(敵味方が同じような事を言っている)のプロパガンダについて取り上げていますが,それは決して昔の話ではありません。そのことを,コソボ紛争を取り上げて示してくれています。

そう,人類はいつも同じ間違いを起こしているのです。そして,9.11以後もそれがくり返されていることを本書の前書きで指摘しています。

 日本は残虐な行為をしたとばかり言えない。戦争って結局そういうもんなんだということも分かります。自分のやったことは小さく見せて,人のやったことは大きく見せる…それだけのことです。

 

 🌕著者は,ではわれわれがプロパガンダに巻き込まれないためにどうすればいいのか,その最後の策も示してくれています。

 

 多くの場合,人々は敵陣に懐疑主義があるのを喜び,自分の陣営ではそれを歓迎しない。だが,超批判主義を通せばーたとえ,否定主義のような嘆かわしい愚直さに行き着こうがー良心を殺すこともない。行きすぎた懐疑主義が危険であるとて,盲目的な信頼に比べれば,悲劇的な結果につながる可能性は低いと私は考える。メディアが日常的にわれわれを取り囲み,ひとたび国際紛争や,イデオロギーの対立,社会的な対立が起こると,闘いに賛同させようと家庭のなかまで迫ってくる。こうした毒に対しては,とりあえず何もかも疑ってみるのが一番だろう。(188ページ)

 

 今の日本の状況を見ても,そうとうなプロパガンダがはびこっています。

 

・北朝鮮の指導者が悪い。

・韓国,中国は,民主的な国ではない。

・朝日新聞は,亡国的である。

・自衛隊を認めない日本人はあり得ない。

 

 まだ,何も始まっていないのに,この調子です。

 あれ,もしかしたら,すでに始まっているのかもしれません。

 

⑥この本をぜひ読んでほしい。目次だけでも読んでほしい。ごく普通の人が巧妙なプロパガンダ(宣伝)でしまいそうなことばかりである。

 

俺の中には政治家ってのは、悪いヤツやという思い込みがあって、マスコミもクズやと思ってる部分があって、人間を何かのグループ(人種・民族・血液型)で括って総括することに不信を覚えていて…

 

そういうの全部、当てはまるヤツやん。政治家が文化人だのマスコミだのを使って、自分たちがいかに正義かいかに正しい戦争をしてるかをプロパガンダするその10法則って、今でもそこここに転がってるやん。

 

トランプが大統領って…って思うやろ?でも彼はきちんと選挙で選ばれてるし、熱狂的な支持者もおるねんで。そしてそれは、ヒトラーもムッソリーニもそうやってんで。

 

とある人が「太平洋戦争は侵略戦争だと思いますか?防衛戦争だと思いますか?」と訊いてきたことがあったけど…。侵略であれ、防衛であれ、戦争にエエ戦争などなく、政治家も国民も戦争にならんように周囲とコミュニケーションとっていくことこそ正義なんじゃないかなと思った次第。

 

俺は意志が弱い方なんで、もう1回自分に言い聞かしとく「どんな方法であれ戦争はあかんし、正義に鉄槌などない」

posted by ネタバレ

2002年刊。

 

目次に目を通すだけでも十分に意義深い。

 

① 当方の不戦の意思に対して、敵が一方的に戦争を企図。

② 敵の指導者は悪魔。

③ 崇高な使命のために戦う。

④ 当方による過失誤攻撃があることは否定しないが、敵はわざと残虐行為に及ぶ。

⑤ 敵は卑劣な兵器や戦略を使用。

⑥ 自国の被害は小さく、敵の損害は甚大。

⑦ 芸術家や知識人も自国の正義の戦いを支持。

⑧ 自国の大義・正義は神聖で、この正義に疑問を提起する者は裏切り者。

 

 これらに、国や為政者から出されるメッセージやマスコミ情報を当てはめれば、色々見えてくることもあるはず。

posted by ネタバレ

戦争を行う国の指導者は、

 

 
戦争を行う国の指導者は、自分方も相手方も同じ言葉を用いる。「大本営発表」的な戦争プロパガンダは、第二次世界大戦時の日本軍の特徴ではなく、あらゆる時代あらゆる国で普遍的に行われてきたことが理解できる。だから旧日本軍が悪くなかったということではないし、むしろ今でも行われていることを認識する必要があることがポイント。戦争を行っている国・戦争に向かおうとする国の政治権力が発信してマスメディアが広げている情報について、疑い慎重に判断することが大事であることを改めて気付かせる良書でした。

posted by ネタバレ

「過去の騙された経験から、より厳しい批判精神が産まれることを願う。それが、われわれに残された希望だ。人々にマスメディアの言論を解釈する力を与えること。この本が目指しているのも、そこなのである」

 

本書はポンソンビーの理論を著者が肉付けしたものがメインで、決して読んでいて面白いものではない。しかし、こういったプロパガンダが存在することは知っておくべきだろう。

posted by 

アーサー・ポンソンビー卿が1928年もしくは1929年に発表した内容を、現代の文脈(特に、NATO軍によるコソヴォ空爆)に置き、法則が時代を超えて有効であることを示した良書。モレリ氏のオリジナルな論文というより、ポンソンビー卿の再発見に功績がある。日本語版の発売は2002年3月、折しも9・11事件からアフガニスタン攻撃、イラク侵攻へと推移する最中のこと。筆致は中立的で、コソヴォ空爆のほか、第1次・第2次世界大戦時の新聞記事や演説原稿などからの引用が続く。それだけ証拠を集めるのが容易なのに、どうしてやすやすと人は戦争プロパガンダに乗せられてしまうのか?

戦争プロパガンダ

高校の頃に1,2番目に影響というか衝撃を受けた本。大義名分を掲げて戦争は始まる。けど殺し合いは悲しいだけ。残るのは憎悪と後悔だけ。わかってるはずなのに戦争は国民に支持されて始まる。その始まるプロセスがよく書かれてる。

posted by 

テレビの影響力。

自分は正しい・自分は悪くないと思い込みたい人間の弱さ。

その辺が怖いのかしら。

多分僕よりもっと素直な人間が読むべき本だな、これは。

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プロパガンダの手法を理解しておくために一度は読んでおいて損は無い本だと思います。手法を理解しておくと、批判するための切り口を見やすくしてくれます。

一度読んでもだんだんとその理解は薄れてくるので、たまに手に取り直してめくってみると理解がフラッシュされます。

 

ただ、これらのプロパガンダ手法が適用されていると分かったメッセージに対して、それに対して自分の意見と立場を貫けるかとか、どう対処すれば自分への影響を防げるかという対処までは書かれていません。

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戦争になると、あらゆる手を使って国民を戦争へ向かうようにとしむける。そんな10の宣伝文句を使って、戦争と宣伝について考えてみようという一冊。

 

まずは戦争開始時の常套句。

「われわれは戦争をしたくない」「「しかし、敵側が一方的に戦争を望んだ」

 

敵は悪く、自分たちはいいことをしているというイメージを持たせる言葉。

「敵の指導者は悪魔のような男だ」「我々は偉大な使命のために戦う」

 

イラク戦争を思いだすような言葉。

「我々も誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる」「敵は卑劣な平気や戦略を用いている:

 

最も印象的だったのがこの言葉。

「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」

日本人はこんな言葉に弱そうだなあ。

どういうことかと言うと、プロパガンダ(人心操作のための宣伝や広告)は人の心を動かすことが基本。つまり感動が必要だ。そのために感動を呼び起こすことが得意な知識人や芸術家に頼る。ということらしい。

 

多少言い回しは違うものの、戦争時にはこういった言葉で国民を戦争へと向かわせるだろう。戦争の時のような時こそ陥りやすいこのワナに引っかからないように一読を。

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戦争に関する神学的著作は枚挙にいとまがないが、神学(規範)だけでく社会学(現状分析)も同時に必要であろう。その意味で、この本は国家の持つ性格を知るのに手ごろである。「敵の指導者は悪魔のような人間だ」、「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う」、「われわれの正義に疑問を投げかける者は裏切り者である」などなど、昨今の戦争でもたくさん耳にしてきた言葉が並ぶ。あらためて、国家という機構それ自体に備わっている罪性を確認させられる。

戦争プロパガンダ

これまでに戦争当事国がメディアと結託して流した「嘘」を分析、歴史のなかでくり返されてきた情報操作の手口、正義が捏造される過程を浮き彫りにする。ブリュッセル大学で教鞭をとる気鋭の歴史学者が読み解く、戦争プロパガンダの真実。

中国の歴史教科書と照らし合わせると、そのまんまですね……。


ホテル

2021-09-21 04:51:23 | 日記

 

(👨基本的人権はどこに❔)

 

 

「ホテル・ルワンダ」英雄に有罪 テロ関連で訴追、禁錮25年

「ホテル・ルワンダ」英雄に有罪 テロ関連で訴追、禁錮25年

 

 【ナイロビ共同】ルワンダの裁判所は20日、テロ組織に加わったなどとして訴追された元ホテル支配人ポール・ルセサバギナ被告(67)に禁錮25年を言い渡した。ロイター通信が伝えた。被告は1994年の大虐殺を扱った映画「ホテル・ルワンダ」でホテルに避難者をかくまう英雄として描かれた。

 ルワンダ政府は、2018年に市民が死傷した事件の実行グループに被告が関与したとして非難。検察側は終身刑を求刑した。被告側は訴追内容を否認していた。

 被告は強権的なカガメ大統領を公然と批判してきたことでも知られる。国外にいたが、捜査当局が昨年8月に逮捕を発表した。

 

 

 

仏 ルワンダ大虐殺の責任認める 「実行体制側を支持」

仏、ルワンダ大虐殺の責任認める 「実行体制側を支持」

 

 【パリ共同】フランスのマクロン大統領は27日、約80万人が死亡したとされる1994年のルワンダ大虐殺を巡り「(当時の)フランスは大虐殺を行った体制側にあった。謙虚に私たちの責任を認める」と表明した。訪問先のルワンダの首都キガリで演説した。

 明確な謝罪には踏み込まなかったが「私たちを許すことができる」のは大虐殺の生存者だけだと言及しており、事実上許しを請うた形。マクロン氏は大統領就任後、ルワンダとの関係正常化を図っており、大統領府は今回の訪問を「最終段階」と位置付けている。

 

 

 

 

 

【独自】駅の防犯対策、「顔認識カメラ」で登録者を検知…JR東が一部出所者も対象に

【独自】駅の防犯対策、「顔認識カメラ」で登録者を検知…JR東が一部出所者も対象に

 

 JR東日本が7月から、顔認識カメラを使って、刑務所からの出所者と仮出所者の一部を駅構内などで検知する防犯対策を実施していることが、わかった。必要に応じて手荷物検査を行うとしている。刑期を終えた人らの行動が監視、制限される可能性があり、議論を呼びそうだ。

 JR東や関係者によると、検知の対象は、〈1〉過去にJR東の駅構内などで重大犯罪を犯し、服役した人(出所者や仮出所者)〈2〉指名手配中の容疑者〈3〉うろつくなどの不審な行動をとった人。

 JR東は、これらの対象者の顔情報をデータベースに登録。主要110駅や変電所などにはネットワーク化されたカメラ8350台が設置されており、映った人の顔情報と登録された顔情報を自動照合する。実際に使用するカメラの台数は公表されていない。

 JR東は以前から、事件の被害者や目撃者、現場管理者らに加害者の出所や仮出所を知らせる「被害者等通知制度」に基づき、検察庁から情報提供を受けている。〈1〉については情報が提供された際、JR東や乗客が被害者となるなどした重大犯罪に限って氏名や罪名、逮捕時に報道されるなどした顔写真をデータベースに登録する。痴漢や窃盗などは対象外で、9月初旬時点で登録者はいないという。

 不審者や指名手配者も含め、対象者を検知した際は、警備員が目視で顔を確認したうえで、必要に応じて警察に通報したり、手荷物を検査したりする。

 JR東は7月6日、東京五輪・パラリンピックのテロ対策などとして、顔認識カメラの導入を発表。不審人物や不審な荷物、指名手配中の容疑者の検知を行うと説明していた。同19日から運用を開始し、ホームページや駅構内でも顔認識カメラの使用を明示している。一方で、出所者と仮出所者を検知対象に含むことは明らかにしていない。

 個人情報保護法では、前科などは「要配慮個人情報」に位置付けられ、本人の同意なしに取得することは禁じられている。ただ、今回の被害者等通知制度のような法令に基づく場合などは例外として認められている。

 JR東は「乗客の安全を第一に考えた必要な措置だ。詳細はセキュリティー上の理由で公表できない。情報管理は徹底している」とコメントしている。

 

 

 顔認識カメラは、顔の特徴という生体情報を、遠隔から本人に気付かれないように取得できるという特性をもつ。顔特徴データをキーとして、人との接触や移動、購買の履歴など様々な情報とひもづけて網羅的な監視を行うことが可能になる。

 適切に使えば治安向上に役立つが、被撮影者の権利侵害の程度も大きく、社会全体を萎縮させる副作用も懸念される。このため、欧米では顔認識カメラに特化したルール整備が進んでいる。

 欧州連合(EU)では、日本の個人情報保護法にあたる一般データ保護規則(GDPR)で顔特徴データを含む生体情報を「特別な種類の個人データ」と定め、本人の同意のない取り扱いを禁じている。カメラに特化したガイドラインも作成。今年4月に公表したAI規則案でも、公共空間での顔認識カメラ使用を厳しく制限する提案がなされている。

 今年7月には、過去に店舗内で強盗などの犯罪を犯し、その後出所した人物を顔認識カメラで監視していたスペインの小売りチェーンがGDPR違反にあたるとして約3億円の制裁金を科された。

 英国の警察は犯罪多発地域などを対象に、外部の監査組織のチェックを受けながら運用していたが、昨年8月には一部の事案で「検知対象者や設置場所が不明確」として違法とする判決が出ている。

 米国の複数の州でも顔認識カメラ規制が検討され、一部の州法は成立した。

 一方、日本の個人情報保護法は、顔特徴データを、アナログの顔写真と同じ個人情報として扱い、保護レベルに差を設けていない。取得する場合に本人の同意を得る必要はなく、利用目的を通知公表すればいいことになっている。しかも、個人情報保護委員会は防犯カメラの場合、通知公表は不要との解釈を示してきたため、利用を公表する事業者は少なく、実態がわからないとの批判もあった。

 こうした指摘もあって、委員会は今月、この解釈を変更。来年4月からは顔認識カメラを使用する場合は利用目的の通知や公表が必要になる。しかし、詳細を公表したり、撮影の同意をとったりする必要はない。

 

 元警察官僚の四方光・中央大教授(刑事政策論)の話「過去にJR東側に被害を与え、再び危害を加える可能性が高ければ、出所者であろうと監視が認められる場合もあるだろう。こういう手法が野放図に拡大しないよう、ルールを整備し、慎重に運用することも重要だ」

 顔認識カメラに詳しい小泉雄介・国際社会経済研究所主幹研究員の話「鉄道のような誰もが使い、撮影を避けられない公共空間に導入するのであれば、脅威が現実化する高い可能性が必要で、運用面の透明性の確保も欠かせない。JR東は検知対象範囲などの基準や設置場所を公表すべきだ」

 白取祐司・神奈川大教授(刑事訴訟法)の話「出所後も監視対象とし、行動を制限しようとすることは差別にあたる。刑期を終えた人の更生を支えるという我が国の刑事政策の基本理念にも反するのではないか」

 

 ◆顔認識カメラ=人の顔の特徴をデータ化し、人工知能(AI)などを用いて顔の違いや同一性を識別できるカメラ。既存のカメラやネットワーク化されたカメラに、専用ソフトを導入して使用される。データベースに登録した顔情報との照合や、映像から特定の顔を探すことができる。

 

 

 

 

リモート監視の普及と懸念 Webカメラでテレワークが監視される時代

リモート監視の普及と懸念 Webカメラでテレワークが監視される時代

 

 前回はCOVID-19パンデミック後のオフィス再開と、それに対するテクノロジーの支援について考えたが、残念ながらデルタ株を始めとした変異株の流行により、感染が終息する兆しは再び失われてしまった。

 世界的に見ても、リアルでのコミュニケーションが無条件で認められるようになるのは、しばらく先になりそうな状況となっている。東京都も7月に「テレワーク等による出勤者数の7割削減」を実現するよう企業に要請しており、リモートのコミュニケーションをさらに徹底することが求められている。

 テレワークを支えるテクノロジーも、さらなる進化を遂げなければならない。しかしそれがどのような方向性であるべきかについては、議論の余地がありそうだ。

●高度化する「リモート監視」

 企業がテレワークの導入をためらう理由の一つが、従業員が「サボる」のではないかという不安だ。人材シンクタンクのパーソル総合研究所が実施した調査によれば、上司の40%がテレワーク中の部下に対して「仕事をサボっているのではないかと思うことがある」と回答している。

 同調査のテレワーカーに対するアンケートでも、「上司や同僚から仕事をサボっていると思われていないか不安」と答えた割合が38.4%に達しており、この回答はテレワーカーが不安に感じることの上位にランクインしている。

 既にこうした不安に対しては、各種の対策が講じられている。PCやネットワークにログインした時間を拾う、メッセージツールのプレゼンス状態(Skypeで言えば「退席中」や「会議中」など)を確認するといったシンプルなものから、使用しているアプリケーションのログやブラウザの閲覧履歴データを収集する、キーボードのタイピング操作を記録する、さらには一定間隔で画面のスクリーンショットを撮るといった専用のツールを使うものまで、その内容も多様だ。

 実際に英国の調査では、調査対象となった企業の12%が、既に何らかの形で従業員の遠隔監視を行っているとの結果が出ている。

 さらに最近では、AIを活用したより高度な「監視」を可能にする製品も登場している。例えばフランスのTeleperformanceが提供するCloud Campusという製品は、テレワークの実現を支援するプラットフォームであると同時に、従業員の管理やセキュリティ対策としてのモニタリング機能を有している。

 その際、従来型のデータ収集・分析に加えて、テレワーカーが作業する空間(彼らの自宅の一室など)にWebカメラを設置してもらい、そこから得られる映像データをAIに解析させるという対応を行っている。

 こうした高度な監視は、単なる「サボり防止」だけでなく、機密情報をオフィス以外の場所からアクセス可能にする上でも有効であることが指摘されている。従業員の怪しい行動が検知された場合には、すぐに機密情報へのアクセスや、端末自体をシャットダウンしてしまえば良いわけだ。従って、テレワーク可能な業務を広げる点でも、「リモート監視」技術の拡充は望ましいといえるだろう。

●リモート監視は従業員の不利にならないか

 ただし当然の反応だが、こうしたリモート監視に対しては疑問の声が挙がっている。過剰なデータの収集は従業員のプライバシー侵害に当たるのではないか、従業員を委縮させることで生産性の低下をもたらすのではないか、逆にすぐに「抜け道」を見つけて再びサボるようになるのではないかなど、こちらの主張もさまざまだ。

 前述のTeleperformanceについては、自社のコールセンター従業員をテレワーカーにするに当たり、自宅を「監視」されることを望まない従業員にもデータ収集を認めるよう強制したのではないか(パンデミック下で職を失うかもしれないという不安に乗じて)と米NBCが報じている。

 仮に、高度な監視テクノロジーが提供するのが、人間の上司と同じくらいの確認作業だったとしても、以前と変わらず生身の身体で仕事する従業員にはたまったものではないだろう。

 機械の上司は疲れを知らず、個々の従業員が使う端末やWebカメラにじっと潜んで、「不正」と見なされる行動の瞬間を見逃さない。考えただけでもストレスを感じる人は多いはずだ。

 さらに、そうした「不正」かどうかの判断自体が信頼できないのではないか、という懸念も生まれている。

 2021年4月、米テキサス大学オースティン校の学生自治会が、大学側に対して「ProctorioのようなAIベースのオンライン試験監督ソフトウェアパッケージ」の使用を止めることを求める決議を採択した。

 名指しされたProctorioは、オンライン上でのテスト実施・管理を実現するプラットフォームで、受験者はWebカメラを通じて自分の顔やID(学生証等)を撮影してログインするようになっている。

 さらに試験中には、Webカメラを通じて受験者の挙動が撮影され、その映像データをAIが解析。カンニングなどが疑われる場合には受験者への警告が行われるとともに、当然ながら、テスト監督者への報告も行われる。

 こうしたオンライン試験監督ソフトウェアは、Proctorioの他にも多数の製品・サービスが存在しており、COVID-19による(半ば強制的な)教育のオンライン移行が追い風となって、全米各地の教育機関において普及が進んでいる。しかしそれに伴い、監視の精度に対する疑問の声も大きくなっており、オースティン校の学生たちのように明確な抗議活動が行われるケースが生まれている。

 前述の決議文では、反対の理由として、「学生団体の報告によれば、これらのツールは、学生(特に有色人種の学生)が試験に合格するのを困難にする可能性がある」ことを挙げている。これはAIの開発において、AIを学習するために与えた教師データの中に偏りが存在しているのが主な原因だ。

 この問題は今、オンライン試験監督ソフトウェアに限らず、機械学習による顔認識・行動認識技術を使ったソフトやサービスにおいてたびたび指摘されている。

 例えば大量の顔写真をAIに与えて学習させることを考えた場合、さまざまな理由から、集められる顔写真にはマイノリティーのものが少なくなる傾向がある(マジョリティーの人種の方が経済的に恵まれているため、デジタルデータの顔写真が数多く存在している、あるいは開発者の間でもマジョリティーが多数派を占めるため、データが集めやすいなど)。その結果、マイノリティーの人々に対する認識の精度が落ち、AIが誤った判断を下す可能性が高くなってしまうのである。

 同じことは、ADHD(注意欠陥・多動性障害)など、行動上の特徴を伴う障害のある人々の場合にも起こり得る。例えばProctorioの場合、視線がカメラの方を向いているかどうかや、視線が画面から離れる頻度がどのくらいかといった傾向を、不正か否かの判断として利用していると見られる。それが学習に使用した「普通の人々のデータ」の平均値から逸脱していれば、怪しいと判断されるわけだ。

 従って障害のある人々にとっては日常的なしぐさが、不正であるとAIに受け取られてしまうかもしれない。実際にそうした傾向が実在のソフトウェア製品に認められたとする調査結果も出ており、AIにテストの監視を任せることの是非が問われるようになっている。

 既に米イリノイ大学や米ハーバード大学など、オンライン試験監督ソフトウェアの利用を止める、あるいは利用を推奨しない決定を下す教育機関が出てきている。パンデミックという非常事態の中で、オフラインで行われていた活動を急きょオンライン化する過程において、何らかのひずみが生じてしまうのは仕方がない。重要なのは、そうしたひずみをいち早く認識して、訂正のための手段を講じることだろう。

 テレワーカーの監視も、テスト受験者の監視も、今進められているのは「オフライン上でのやり方をオンライン上で実現しようとすること」だといえる。確かにそれが一番分かりやすく、手っ取り早く完了できるような気にさせられる。

 しかし人間を完全に代替し、さらには人間自身も意識していないような差別や偏見を除外したソフトウェアを作るのが難しい以上、単なるプロセスの移植ではひずみの発生を回避できない。オンライン上でのタスクとその評価の実施方法を、ゼロベースで再構築することが、ウィズコロナの時代に向けて求められている。

(小林啓倫)

 

 

 

 

顔認識で「誤認逮捕」汚名晴れるまで1年超の悲劇 犯罪捜査で使われる顔認識アルゴリズムの弱点

顔認識で「誤認逮捕」汚名晴れるまで1年超の悲劇 犯罪捜査で使われる顔認識アルゴリズムの弱点

 

知っているようで知らない「アルゴリズム」。現代では、買い物から医療、犯罪予測、車、政治活動まで、暮らしのあらゆる要素にアルゴリズムが潜んでいる。数学者ハンナ・フライUCL准教授がそんなアルゴリズムの実態を検証し、人とコンピューターの共存の道を問う著書が『アルゴリズムの時代 機械が決定する世界をどう生きるか』だ。

私たちは機械がどうやって判断しているかもよく考えないまま、むやみにショッピングサイトのおすすめに従ったり、逆にAIに仕事を奪われることを怖れたりしていないだろうか。

アルゴリズムと人間の意外な関係を実例から見直せば、どうやって機械とつきあっていけばいいかが見えてくる。ここでは本書を一部抜粋し再構成のうえ、顔認識アルゴリズムが招いた悲劇をご紹介しよう――。

誤認逮捕の悲劇

2014年、スティーヴ・タリーは南デンバーの自宅で眠っていた。すると、玄関のドアをたたく音が響いた。ドアを開けると、男が立っており、車をタリーの車にぶつけてしまったので外に出て確認してほしい、と言った。

渋々言われたとおりにしたタリーが傷を確かめようとしゃがみこんだ瞬間、閃光弾が投げられ、3人の男が現れてタリーを殴り倒した。ひとりが頭を踏みつけ、ひとりが腕を縛り、もうひとりが銃床で殴りつづけた。

タリーは神経を損傷し、血栓ができて、ペニスが折れる大怪我を負った。「まさかペニスが折れるものだとは、知りもしなかった」。彼はのちに記者に語った。「警察を呼んでくれ、と叫んでいた。でも、気づいたんだ、おれをぶちのめしてるのが警官だって」。

2件の銀行強盗事件の容疑者として逮捕されたタリーは、「おまえらはいかれてる」と叫んだ。

「人ちがいだ!」

その言葉はうそではなかった。タリーが逮捕されたのは、本物の銀行強盗にそっくりだったからだ。


用語解説

2021-09-19 06:41:36 | 日記

 

コトバンクより

 

 

 

死の商人

(読み)しのしょうにん

(英語表記)merchant of death

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「死の商人」の解説

死の商人

しのしょうにん

merchant of death

武器弾薬を製造販売する者で,戦争によって私利をはかることから,こう呼ばれる。 1934年に組織されたアメリカ上院のナイ委員会が第1次世界大戦中のその実態を明らかにしたが,今日では軍産複合体として大きな問題となっている。しかも,近年の傾向として兵器産業に加え,貿易政策の重要な柱として国家が対外武器売却に積極的に関与するようになった。アジア,アフリカ諸国に中古武器を売りつけたり,紛争地域における勢力均衡の維持を名目に熾烈な武器輸出競争を演じているのが実態である。

 

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

百科事典マイペディア「死の商人」の解説

死の商人【しのしょうにん】

戦争を利潤獲得の手段として兵器などの軍需品を生産・販売する資本家や企業。しばしば戦争挑発の一翼をになう。ザハロフ,クルップ,イーゲー・ファルベン,デュポン財閥などが世界的に有名。現代の米国などでは巨大化した軍部と軍事産業との相互依存体制が〈軍産複合体〉と呼ばれ,政治的・経済的に大きな支配力をもっている。→武器輸出

 

出典 株式会社平凡社

百科事典マイペディアについて 情報

精選版 日本国語大辞典「死の商人」の解説

し【死】 の 商人(しょうにん)

中世ヨーロッパで、敵味方を問わず武器を売り込んだ商人。また、それを製造した手工業者。現代では軍需資本家に対して用いられる。

 

出典 精選版 日本国語大辞典

精選版 日本国語大辞典について 情報

デジタル大辞泉「死の商人」の解説

し‐の‐しょうにん〔‐シヤウニン〕【死の商人】

営利本位に兵器を製造・販売する業者や資本。中世ヨーロッパで、敵味方を問わず武器を売り込んだ商人をいった語。

 

出典 小学館

デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の死の商人の言及

【武器輸出】より

…また,輸出入を併せて武器貿易arms tradeという言葉も一般化しているが,この場合も統計上は無償移転を含めるのが普通である。第2次世界大戦前の武器輸出はもっぱら商業的利益の追求をめざす特定の業者によって行われることが多かった(これらの業者の暗躍ぶりはしばしば〈死の商人〉と呼ばれた)。

[第2次大戦後]

 第2次大戦後は主として大国の政策に基づき,大国の政府の管理の下に武器輸出が行われるようになった。…

 

※「死の商人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

 

 

 

今晩は、老人と学生の話をしようと思います。といっても、憲法との関連で老人と学生の話をしたいと思います、日本国は、いま憲法の改正に向かっているわけですから。

憲法は、さんざん言われていることですが、2つの柱から成り立っています。第1の柱は、九条の平和主義、そこにもっとも集約的に表現しています。もう1つの柱は人権の尊重。それは11条からそのあとにあります。

九条で平和主義を主張し、11条で人権をもつ。「憲法の精神」というときは、だいたいこの(平和主義と人権の)2つを中心に考えればいい。例えば、現在国会で問題になっている教育基本法に「憲法の精神に則(のっと)ってという文面が入っていますが、そこでいう「憲法の精神」とはなんぞやということになると、今申し上げた2点が重要なことだと思うのです。

そこで、今の憲法を変えることについてもいろんな議論があります。1つは、平和憲法を変えるということは、非常に大きなことを意味します。つまり、もう少し日本の軍備を強化する、それとともに米国との軍事同盟を強化するという二面があります。その結果として、海外派兵がもっと強く出てくるだろうと思います。だから、大きな政策の転換を意味します。それから、人権の方は日常生活にどう反映してくるかというと、それは劇的ではなく、もっとジワジワくるだろうと思います。いろんな意味で、軍隊を強化すれば、◎それだけでも人権の制限がもっと強くなると思います。『人権尊重を強化する戦争というのはない』わけで、『戦争は必ず人権破壊の方角に進みます』。破壊されるのは、日本の内部もそうですが、海外派兵によって日本の外でもそういうこと(人権破壊)が起きると思うのです。

 

いったい、世界や日本社会にどんな変化があってこういうことになるのか。ここ数年来、現首相の安倍●三氏も言っているように、「情勢が変わったから憲法を変えよう」と。しかし、「情勢がどう変わったか」ということを言っていないですね。「情勢が変わったからどう変えるのか」ということを言っていないですよ。ようするに情勢の変化と憲法を変えることを結びつけているだけで、結びつきの内容を具体的に言っていないですよね。

実際にはどういうことがあったかということを振り返ると、それは皆さん、新聞に書いてあることでご存知の通り、世界は戦争をしているでしょう?どこから勘定しても(数えても)、第二次世界大戦後の大きな戦争は

朝鮮戦争と

ヴェトナム戦争、その後からもまだ戦争をしている。1つは、

湾岸戦争、湾岸戦争の後は、9月11日の事件(同時多発テロ)と関連して、

アフガニスタン(戦争)があり、それから

イラク(戦争)があってというふうに戦争が続いているわけです。それが1つ大事なことです。アフガニスタンとイラクの戦争は、「テロリズムに対する戦争」であると、アメリカのブッシュ大統領が言った。戦争当事者自身が言っているように、2つのことは関連がある。彼(ブッシュ大統領)の表現によれば、テロリズムに対する戦争の2つの表現ということになる。もしかすれば、その他の国、北朝鮮(朝●民主●義人●共●国)、イランとシリアとは戦争をしていないけれど、(イランとシリアは)戦争をするかもしれない一種の(戦争)候補国。だから、全然別のことではないわけです。

 

(実際にはどういう情勢の変化があったか?9.11に起きた同時多発テロ事件と関連して「テロリズムに対する戦争」があった。)

 

もう1つの変化は、日本の外で戦争があるのとほぼ同時に、日本のなかでは戦争に備えた法律がどんどん出来ている。新ガイドライン関連法案(1999年)がまず出てくるでしょう。その後は一群の有事法制が出てくる。それから、法律を変えたわけではないけれども、議論が盛んなのは、「集団的自衛権」。現行憲法で、そういうことが行使できるか出来ないかという議論があります。少なくとも議論のなかで「集団的自衛権」が話題になっています。

 

そこで、3つのことを申し上げたいのだけど、1つは、国旗国歌の強要というのがあります。学校で、儀式(式典)のときに国旗を掲(かか)げろ、子供に「君が代」を歌わせろ、そういうのを強制的にさせている。それをしないと懲罰をしています。国旗と国歌を定める時の国会議論のなかで、政府はそういう強制はしないと言っていたのですが、いったん国旗国歌が決まったら、現実には、各地方で教育委員会が非常に多くの学校で強制を行っています。強制が行われていることに対して、政府は何とも言っていない。それをやめさせるということはしていないですね。だから野放しの強制が行われているわけです。

 

2つ目は、教科書問題です。そこで1931年から45年の敗戦までの十五年戦争、この大戦争の歴史的意味を擁護する。そう悪いことばかりではなかった、ということですね。

戦争は悪かったに違いないけどそんなに悪くなかった、

"not that 's bat"

ということをまだ主張しているでしょう?この教科書問題にアジア諸国のなかで みんな反応しました。

 

3番目は、今月の9月に辞めたばかりの小泉首相が、ご存知のように靖国神社参拝を繰り返した。首相として公式参拝を繰り返した。そのたびに、アジアの諸国は抗議した。大使館を通じて正式な抗議をしました。それにもかかわらず、実行をしました。

これらを3つの線に分けて考えると、最近の日本で何が起こったか、非常にはっきりとわかると思うのです。日本を取り巻く環境のなかで大きな役を演じているのは米国でしょう?そこに戦争が いくつも続いた、アフガニスタン、イラク。それと並行して、日本のなかで戦争に備えた法律が次々に成立しました。なかでも

有事法制、

要するに戦争が日本の周辺で起こった時という議論です。

「有事」というのは「戦争」という意味です。

これは新しい言葉ではなくて、昔からあった言葉です。漢語の字引を引けば そこに ちゃんと書いてあります。有事というのは新造語ではないです。しかし、ずいぶん長く眠っていた。そして、もっと普通の日本語で言うと

「戦争」ですね。

どうして「戦争」と言わないで「有事」と言うか。

(それは何だろう?と、それ以上)追及しない人には、あまりはっきりとした概念としては言わない。有事というのは耳慣れないわけで、いきなり顔に正面から迫ってくる言葉ではなくて(単刀直入でないほうが)和(やわ)らぐでしょ?有事と言えば、何か(重大な)事が有るということですから。

良く言えば、言葉を和らげて使う。

悪く言えば、ごまかす。物事をはっきりと言わない、

そういうふうなことがある。

 

以上の3つの流れと戦争が起こることと どう関連しているかということは、必ずしも新聞には書いていないです。

◎おそらくは何らかの形で圧力があって、変わっていると思うのです。1つの流れがあると、それと並んで次の流れがある。

 

 

 

防衛問題あるいは安全保障問題に関して言えば、今申し上げたように、日本のすべてが戦争に向かって進んでいる。国内では戦争に対応できるような法律が、段々に積み重ねられています。

反対の方角に新しい法律が通った例はないです。

これが非常に大事なところですが、

 

どういう方角に世の中が動いているか ということです。

全体の流れと逆の方向の変化(流れ)が入っているか?入っていないですよ、ほとんどね。必ずしも一時(いっぺん)に計画されたわけではないでしょうが、ある方角へ向かっている。方角が非常にはっきりしている。

外側に戦争があって、その戦争のなかに日本が参加できるような方角へ法律を変えている。

逆に 戦争がしにくくなるように法律を変えた例はない、ということです。

 

 

それから、戦争とはちょっと離れるのですが、いま言った国旗や国歌の話、過去の戦争の解釈の問題などは、

日本政府が直接に戦争に参加するのに便利か便利じゃないかという問題からはちょっと離れていますね。

しかし、もし戦争に参加すれば、◎すべての戦争はそれ(戦争)を正当化すること、

◎もう1つは何か大衆を戦いの方(ほう)へ駆り立てる 一種の組織的な働きかけ、あるいは宣伝を通じての働きかけが必ずあります。

◎思想的な正当化の努力を伴(ともな)わない、あるいは感情的な扇動を伴わない、戦争というのはない

ですよ。それはギリシャの昔から、あるいは春秋戦国の時代から、

◎戦争の正当化と 感情的に大衆を扇動することを伴わない戦争というのはない

ですね。

◎戦争をする以上は、大衆をそれに向かって感情的に準備しなければならない。

◎同時に 知的にというか思想的に説得しなければならない。

 

さっき申し上げた最近の一連の変化、靖国参拝にしても、国旗の話にしても、教科書の問題にしても、みんなそのためにいくらか役立つ。だから ばらばらではない。流れが3つあって、一定の方角をたどっているわけです。

◎どこまでもそのまま行けば、また軍国主義になると思うんですね。

以上は、加藤周一  著

📖『私にとっての20世紀

付   最後のメッセージ』

第二部    加藤周一、最後のメッセージ(講義)

第五章    老人と学生の未来--戦争か平和か--

日時    2006年12月8日(金)午後6時30分~

場所    東京大学駒場キャンパス900番教室

主宰    加藤周一氏と対話実行委員会

岩波現代文庫🌿✨社会180

 

 

 

 

戦争はなぜ始まり、どう伝えられるのか

なぜ戦争は起こるのだろう

宗教の違い?    

領土問題?

では、なぜ戦争が起こるのだろうか?

イスラム教とキリスト教がいがみ合っているからか?おそらくこれは違う。序章で見たように宗教対立は、時々の支配者が その地域を支配するために利用したものだ。宗教が違うという理由だけで人は殺し合わない。

ここに1つの島がある。この島がA国とB国のほぼ中間に位置している。だからこの島の領有権をめぐってA国とB国が戦争を始める、と「解説」する人がいる。

しかしこれも違うと思う。この島がどちらの国のものか、戦争で決めてはいけない。なんのために外交があるのか?話し合いで決着するのが21世紀に生きる私たちの責任であるし、話し合いで解説できなければ、当面、この島は「どちらのものでもない」、つまり保留にしておけば済む話だ。戦争などする必要は全くない。

では、戦争はなぜ起こるのか?

それはズバリ「戦争が儲かるから」。

世界には「戦争で儲けたい勢力」がいて、その勢力が「宗教」や「領土」といった口実を使って戦争を正当化していく。

戦争を正当化していく。

戦争の本質は「金儲け」だ。ミサイルや戦車、戦闘機は世界中が平和になったら、売れない。世界のどこかで紛争が続いてくれたら…、悲惨なテロが起きて、世論が「テロとの戦い」を支持してくれたら…。あるいは北朝鮮などの国がミサイルを打ち上げてくれたら…。核兵器、軍艦、ミサイル防衛システムなどなどで商売が可能なのだ。

以上、📖『「テロとの戦い」を疑え  紛争地からの最新情報』

西谷文和  著  (かもがわ出版)

 

 

 

 

戦争は米一国で

 

軍事的な問題についていえば、大部分の国は冷戦が終わった後で軍事予算を削りました。ヨーロッパもほとんど全部。軍事費を増やしているのは日本です。しかし、日本みたいにちょっと増やしたというのじゃなくて、いままでの軍事費の三分の一とか、倍にしないまでも元々大きな軍事費を突如として膨大に増やしたのはブッシュ大統領です。

これまでも米国一国の軍事予算は、ヨーロッパにある何十という国の軍事予算全部を足したよりももっと大きい。それをさらに三分の一か四分の一くらい増やしたのです。軍事費が増えると、

◎問題を戦争で解決したい

という傾向が強くなる。

 

2番目は、米国人自身が言っていることですが、軍事技術がだんだんに発達しました。湾岸戦争の時より進歩した。コソヴォの時より進歩している。急激な進歩です。5年くらいの間に軍事技術が米国で発達した。コソヴォにはNAT○の軍隊が参加しました。アフガニスタンでは戦闘部隊ではないけれどドイツの軍隊が入っています。英国は戦闘部隊もアフガンに入れた。

そうすると、米国の軍人のなかには、だいたいコソヴォから始まっていますが、戦争を助けてもらいたくないと言い出す人が出てきました。日本の政府は日本の艦隊を進出させることに熱心ですが、アメリカ人はそのうち迷惑だと言い出すかもしれません。

◎それは技術格差があんまり大きいので、技術的に米国と並んでないような国から援助の戦闘部隊が来ると一緒にやるのは面倒だということです。相談するのに時間がかかるしうるさくてしょうがない。今度戦争をやるなら一人でやらしてくれと、かなりの将軍たちが言っています。

そういう声がだんだんアメリカで強くなってきました。フランスやドイツなどの戦闘機を送ってくれないでくれ、戦争をNAT○の軍隊といっしょにやるのはイヤだ、アメリカ一国でやったほうが早くて有効だという考え方です。

彼らは ほらを吹いているのかというと、そうではないだろうと思う。

米国は軍事的に強大になっています。日本のことを考える時もそのことを念頭に置いたほうがいいでしょう。

(👨それでは、米国を超えると言われる中●の軍事力は、実際にどれくらいなんだろう⁉️

👩『尖閣・台湾』を守るために先進各国が戦艦や戦闘機を集結させ合同軍事演習を行っているけれど、最新鋭の武器を保有しているのは米国。それでもわざわざ(ごめんなさいこんな言い方をして。遅れた武器を持つ)各国がわざわざ集まって軍事演習をやる理由は❔中●へのパフォーマンス❔

 

👧『天安門事件』で中●共産党政府は約三千~数万人の国民と学生を殺したが。今、中●ではバブルが崩壊して国民に金を返せない企業に国民が「金を返せ‼️」と言ってデモをし、座り込みをしているが、中●共産党政府はこの国民たちのことは殺さないのだろうか❔

👩反発する国民の数がまだ少ないから。

👴それとな、YouTube【テレビで話せない中●】を視聴するとだな、中●は、学生の頭脳を習●平氏の思想で武装。小学生から新しい教科書で。教科書のなかには、習●平氏は『習おじいさん』として登場。英語教育を禁止して欧米から中●への新しい(異なる)思想の流入を防ぐつもりである。それを問題視する中●人の親も少数いる。それは歴史の逆行とも言える。台湾との文章では「武器を使うことも厭(いと)わない」と書いてある。

👨中●国民は、民主化を望むより先に お金なんだな。教科書改訂こそ座り込みをするべき、国の未来を決める重大な問題なのに❗中●の子供たちを全員、世界を恨む兵士に育ててどうするよ‼️中●国民は、子供たちの親は、教科書改訂が戦争へのプロパガンダ(宣伝)だということをわかっているのだろうか⁉️

👧一党独裁政権下で、国民はいったいどうやって主張すれば良いのか⁉️

👩他国に逃げる。

👨なんやかんやいってまず富裕層にパスポートを発行しないらしい。

👩最後はお金がなくなってくるから、お金が一番大切な国民がおけつをめくり出して(どうなってもよくなって)国家に反発する。その数と言ったら十数億人。予想だよ。時間の問題。

👧アメリカは世界一の最新鋭の軍備を持っているんだから新疆ウイグル自治区のウイグル人を救出出来ないのかな❔

👶アメリカはもうお金やエネルギー、領地、テロとのための戦争なんかしないでさ、中●共産党政府などからウイグル人などを救うために、その(使い方によっては素晴らしい❔)最新鋭の機器(器機)を駆使して、平和のために使ってくださいよ❤️

👨それがダメなんだ。その悪をやってる世代のお爺さんたちが年齢を全うして亡くなってからでないとダメなんだ。

ジョンFケネディ大統領のように彼らを告発しても、ジョン・レノンのように🎵『イマジン』の歌詞を歌っても、全員抹殺(暗殺)されてしまうんだ、きっと。

👧これからはそうでもないかもよ。イギリスのエリザベス女王もイルミナティかもしれないけれど、習●平氏には ひどくお怒りよ!イギリスは良い国でもあり悪い国でもあった。少し自分たちの組織のなかでもうバカらしいからやめようってガチャガチャかき回さなければダメよ‼️

👨それが出来ないようになってるの!

👩アメリカは少し次世代に期待が持てる、と思いたい。全員が悪いわけじゃない。

しかし、中●の教科書で洗脳され、ベトコンの方々のように次々湧いて出るのは洗脳された中●次世代国民かもしれない。

👨戦争ってのは、「せんそう」じゃなくて「せんのう」なんだ。もう時代遅れ。日本人はもう知ってわかっちゃったから、戦争は頭隠して尻隠さず。

👧でも世界ではまた戦争が始まるだろうし、とめられない。国民を巻き込むな‼️自分たちだけでやれ‼️

👨それがだめなの、国民や武器を買ってくれる国はいいお客さん(金づる)だから。

👴やって良いのは防衛だけ。攻めてくる愚か者がいるから。

👨僕たちの子供は絶対に戦争に参加させない‼️他国の戦地に兵士のための食糧や武器を置いてきたり、補充する役なんか危険すぎて要は「戦争に加担した、命を賭けた使いっぱしり」じゃないか‼️

難民の皆さんのために食糧を置いてくる仕事・役割とは行って帰るほど目的が違うんだ。片方は戦争で、片方は救助活動。これを絶対に いっしょにしてはならない‼️戦争の究極は人を殺すことであり、戦争に大義名分はないのです‼️

👩言いたいのはそれだけ。)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指導者と大衆

 

アラファトにできることは、交渉すること。もし、交渉を断られれば、テロしかないですよ。仮に、アラファトがテロはいけないと言っても、そういう状況のなかではテロは起こるでしょう。アラファトの言うことを聞かなくなると思う。

指導者というのは、独裁者のスターリンでさえも、ヒトラーでさえも、ある程度大衆の支持がある時に大衆の意見を汲(く)んで命令します。すべてのドイツ人が反対していることをヒトラーは命令したのではないのです。ヒトラーといえども、全ドイツ人が反対していることはできない。スターリンでもそう。彼ももちろん独裁者で ひどいこともしたけれど、しかし大衆の少なくともかなりの部分が持っている意見を汲んでやった命令だから、(国民に)押し付けることができたのです。言うことをきかないやつは警察だ。しかしロシア人がみんな反対なら、警察だけでできることには限界があったはずです。

アラファトの場合も同じ。アラファトがどの程度独裁者かどうか知りませんが、指導者というものは部下の意見をある程度聞かないと成り立たない。今の状況で、たとえばアラファトを殺しても、必ずアラファトの代わりが出てくる。もう1人殺しても また出てくる。

それは、我々がヴェトナム戦争の時に観察したことです。マクナマラが計算してなるべく安く、大勢殺そうとしたけど、殺した数よりも多くのヴェトコン、解放戦線兵士が現れたのです。同じことじゃないですか。そういうことはアラファトは百も承知だと思います。現在の状況ではテロをやめろと言っても、意味がないでしょう。

以上、かもがわブックレット◆142

📖『どうなる世界   どうする日本   9月11日のかなた』

加藤周一  著   (かもがわ出版)

 

(👩オススメ動画YouTube『徹子の部屋  加藤周一  1998年』

CMをスルーするとより早くご覧になれます。)

 


モンゴルも弾圧

2021-09-13 21:57:06 | 日記

 

 

東洋経済ONLINEより。

 

池上彰が解説「なぜ中●はウイグル弾圧?」の核心。

そもそも同じ国でも文化や言葉が全然違う。

2021年08月05日

池上 彰 : ジャーナリスト

 

 

新疆ウイグル自治区中心都市ウルムチ。中●政府がなぜウイグル民族を弾圧しているのかを解説します。2018年撮影(写真:Bloomberg)

中●の新疆ウイグル自治区において、中●政府が少数民族であるウイグル族への弾圧を行っています。なぜそうした行動に出ているのでしょうか。『知らないと恥をかく世界の大問題12 世界のリーダー、決断の行方』を上梓したジャーナリストの池上彰氏が解説します。

 

ウイグル民族のほとんどはイスラム教徒

バイデン新政権に移行しても「米中新冷戦」は続いています。いや、激化していると言っていいでしょう。バイデン政権は人権問題などで中●に厳しく対応する方針を示しているからです。

 

中●は建前としては多民族国家であり、漢民族を含め56の民族からなります。9割以上が漢民族なのですが、漢民族以外で人口の多い民族には自治を認めることになっていて、ウイグル民族の自治も認めています。

 

そのほか、チベット自治区、内モンゴル自治区など5つの自治区があります。自治区のトップはその民族なのですが、トップを支えているのは漢民族です。実際、トップは“お飾り”で実質的な力はありません。つまり、自治区も漢民族の中●共産党が支配しているのです。

 

いま、国際社会で最も問題視されているのが新疆ウイグル自治区でのウイグル民族への弾圧でしょう。「新疆」とは「新しい土地」という意味。18世紀に清朝の支配下に入ったので、「新しい土地」と名付けられました。ウイグル民族はトルコ系の少数民族です。もともと「チュルク」と呼ばれる中央アジアの遊牧民族が祖先です。チュルクは突厥(とっけつ)とも呼ばれ、中央ユーラシアをほぼ支配下に置いていました。

 

突厥が商業活動をするために西、つまりトルコのほうへ移動していきます。その結果、現在のトルコに住むようになったのです。もともと1つの民族だったのですが、現在ウイグル民族はカザフスタンやキルギスにも住んでいます。中●で大多数を占める漢民族とは見た目も文化も言葉もまったく違います。そのほとんどがイスラム教徒です。

 

かつて新疆ウイグル自治区では、「武力を使ってでも独立したい」というイスラム過激派がテロを引き起こしたことがあります。中●共産党による一党独裁体制の中●にしてみれば、イスラム教徒は神(アッラー)の言うことを聞きます。中●共産党より大事な存在があるのです。それは中●共産党にとって、共産党への忠誠心がないということになります。よって迫害の対象となるのです。

 

 

習●平国家主席が弾圧を強めたのは、2014年4月30日に新疆ウイグル自治区で起きた「爆破テロ事件」がきっかけと言われています。習●平が国家主席となり、初めて新疆ウイグル自治区を視察した際に、ウルムチ南駅が爆破されたのです。漢民族と衝突して多くの死傷者が出ました。

 

それ以来、中●当局はテロ対策として締め付けを強化。その過程で、イスラム教徒を敵視するかたちで次々と強制収容所へ入れていきました。アメリカ国務省の推計では新疆ウイグル自治区で100万人を超えるイスラム教徒が強制収容所に送られているといいます。

 

確かに独立を願っている人もいるでしょうが、すべてのウイグル人がそう思っているかどうかはわかりません。取材ができないので全体像が見えてこないのです。

 

しかし、海外へ亡命したウイグル人の証言などで国外に漏れ伝わってくる話では、いたるところに監視カメラが設置され、例えばモスクに行ってお祈りをすると睨まれて収容所へ入れられたりするというのです。収容所へ入れられると、鎖につながれ大声で革命歌を歌わされるなど、ウイグル民族を華人化する再教育が行われているようです。中●政府は「イスラム系少数民族に対して教育や職業訓練を行っている」と主張していますが、要は共産党の指示に従うように思想を叩き込もうというわけです。

 

 

漢民族に対して新疆ウイグル自治区への移住を促した中●共産党は、漢民族に対して新疆ウイグル自治区への移住を促しました。自治区内に住むウイグル民族は1949年には76%だったのですが、2015年には47%まで比率が下がっています。意図的にウイグル民族の割合を減らしているのです。「遅れた地域を発展させるために漢民族が移り住む」と説明していますが、明らかに自治区を漢民族が支配しようとしていて、高い給料を払って移住させているのです。

 

習●平国家主席は、現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」を進めています。その要の土地が新疆ウイグル自治区です。中●共産党に従わない人たちが存在することは邪魔なのです。

 

アメリカのマイク・ポンペオ前国務長官は、ウイグル民族弾圧は国際法上の犯罪となる「ジェノサイド(民族大量虐殺)」であると認定しました。バイデン政権のアントニー・ブリンケン国務長官もこれに同意しており、欧米の人権団体などからは、2022年の北京冬季オリンピックのボイコットを呼びかける声もあがっています。

 

中●の辺境地帯には、文化や言葉が違う人が大勢住んでいます。独立運動をされたら中●がバラバラになって国家の統合が脅かされる。そうした危機意識から、なんとか抑え込もうとしているのがいまの中●共産党です。

 

とくに新疆ウイグル自治区の独立意識が高いのは、かつてこの地が独立の経験を持つからです。短期間ではありますが、1933~1934年には、第1次東トルキスタン共和国が樹立されています。西の地区だけで独立しましたが、旧ソ連によって潰されてしまいます。ソ連の中にもトルコ系のイスラム教徒がいたため、その人たちの独立運動につながりかねないと考え、弾圧したのです。

 

10年後、今度は北部に第2次東トルキスタン共和国ができます。これは中●によって潰されました。いずれも短期間ではありましたが、2度にわたり独立政権を実現したのです。

 

 

 

さらに、中●の南西部にチベット自治区があります。中●共産党はチベット民族に対してはウイグル民族ほどの弾圧はしていないと思われがちですが、チベットでも実に厳しい取り締まりが行われています。

 

それなのになぜ日本に伝わってこないかというと、ウイグル民族に関しては海外に亡命したウイグル人や、ウイグル民族の人権を守ろうという組織があって、頻繁にアピールしているからです。

 

チベット自治区に関しても、チベット仏教の最高指導者「ダライ・ラマ」の写真を持っているだけで捕まります。こっそり隠して、中●の治安当局がいないところでお祈りしているという現実があるのです。

 

チベット仏教というのは非常に平和的で、テロをしません。その代わり、抗議は焼身自殺です。自ら死んで抗議をする。これが仏教徒による抗議です。こうした情報はなかなか外に出てきませんが、ダライ・ラマが亡命してチベット亡命政府を樹立しているインドのダラムサラへ行くと、チベットでの焼身自殺の情報はそれなりに入ってきます。

 

例えばベトナム戦争当時、アメリカ軍の支援を受けていた南ベトナム政府は腐敗しきっていました。政府に抗議するため、南ベトナムの僧侶が路上でガソリンをかぶって焼身自殺をするという事件が起きました。その映像は世界に衝撃を与えました。

 

これは、南ベトナムに海外の報道機関が入っていたからこそ、その映像が広まったのです。チベット自治区には外国のマスコミがいっさい入ることができません。よって、情報が世界に広がっていかない。しかし、中●政府からの厳しい抑圧が続いているのです。ここでもチベット民族の華人化が進められています。

 

 

チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ

 

チベットといえば、「ダライ・ラマ」をイメージする人が多いのではないでしょうか。ダライ・ラマは、チベット仏教の最高指導者です。「大海のような知恵のある人」という意味で、この称号はモンゴルから与えられました。現在のダライ・ラマは14世で、2021年7月で86歳になります。

 

1949年に中●共産党が中●人民共和国を建国すると、「チベットの人民を解放する」と言って人民解放軍がチベットを占領します。幼かったダライ・ラマは北京に連れていかれ、洗脳教育を受けますが、途中で「このままではチベット仏教が消滅させられる」と危機感を抱いてチベットに戻ります。しかし、中●共産党による締め付けが強化され、ダライ・ラマはインドに亡命しました。

 

現在、ダラムサラというインド北西部の街に住んでいます。私も5回お会いしたことがあります。1度はダラムサラまで行って会うことができました。ここはインドの山岳地帯で、チベットと環境や気温が似ています。

 

ダライ・ラマは観音菩薩の化身と考えられています。菩薩とは、いよいよ悟りを開いて次にはブッダになる一歩手前の存在。菩薩になれば輪廻転生(一度死んでも魂は何度でも生まれ変わる)の輪から抜け出して涅槃に入れるので、もう生まれ変わらなくてもいいのです。しかし世の中には困っている人がたくさんいる。その人たちを救済するために、あえてこの世に人間のかたちをして戻ってきたのがダライ・ラマという位置づけです。

 

 

 

チベット仏教は独特です。そもそも仏教とは、インドで、ゴータマ・シッダールタという釈迦族の王子が悟りをひらいてブッダ(真理に目覚めた人)になった。そのブッダの教えが仏教です。

 

ブッダが亡くなった後、ブッダの教えをどう解釈するかで仏教は2つに分かれます。厳格な教えを守ろうとする長老グループが上座に座ったので、上座部仏教と呼ばれます。それ以外の一般大衆は下座に座りました。「われわれ一般大衆は、自分だけが修行をして自分だけが救われるのではなく、みんなが救われるんだ。言ってみれば、“大きな乗り物”なのだ」ということで大乗仏教と自称します。

 

上座部仏教のことを、「自分たちだけが救われればいいと考えている、言ってみれば“小さな乗り物”なのだ」と「小乗仏教」と呼びました。かつては日本でも「大乗仏教と小乗仏教」という呼ばれ方をしたこともありますが、「小乗仏教」とは大乗仏教からの見方で客観的ではないとして、現在は上座部仏教と呼ばれているのです。

 

上座部仏教はタイ、ミャンマー、スリランカ、カンボジアなど東南アジアや南アジアへ広がっていき、大乗仏教は中●や朝鮮、日本で発展していきます。チベット仏教というのは大乗仏教に分類されるのですが、インドからチベットへ渡って独自の発展を遂げました。

 

まず現在、チベット仏教の最高指導者であるダライ・ラマ14世は13世の子どもではありません。チベット仏教では、僧侶は結婚が許されていないので血のつながりではなく、14世は13世の生まれ変わりと考えます。先代が亡くなった直後に、どこかに生まれ変わるとされているのです。

 

 

14世はどのように認定されたのか

ダライ・ラマ14世はどのように認定されたのか。チベット・ラサのポタラ宮殿で亡くなった13世の遺体を安置していたところ、顔が東の方向へ傾きました。そこで13世の生まれ変わりは東で生まれたと推測されました。

 

チベットにはダライ・ラマの後継者を選定する際にお告げを確認にいく湖があり、14世を見つける捜索隊が組織されてその湖の湖面を観察します。すると湖面に青い屋根の建物が浮かんだそうです。そこで捜索隊が東を目指して進み、ダライ・ラマ13世が亡くなった直後に男の子が生まれた青い屋根の家を発見しました。

 

そこで、その男の子が13世の生まれ変わりかどうかの試験を実施しました。13世が生前に愛用していた杖と、あまり使っていない杖を渡すと、13世が使っていた杖を手に取りました。その後も、13世の仏具とそれ以外の仏具を示すと、ことごとく13世が使用した仏具を手に取ったとされます。そこで、この子が生まれ変わりに間違いないというわけです。見つけ出された子どもは、チベット仏教の高等教育を受けました。

 

このとき生まれ変わりを認定するのは、「パンチェン・ラマ」です。パンチェン・ラマとは、ダライ・ラマに次ぐナンバー2で、阿弥陀仏の化身とされています。パンチェン・ラマも輪廻転生していくので、亡くなったらパンチェン・ラマの生まれ変わりを認定するのは、ダライ・ラマという仕組みです。相互認定システムですね。

 

 

 

1989年、中●共産党の監視下のチベットで活動していたパンチェン・ラマ10世が亡くなりました。中●共産党の批判をした直後に急死したというのです。死亡原因は心臓マヒだと言われていますが、はっきりしたことはわかっていません。その後1995年、ダラムサラにいたダライ・ラマ14世はチベット仏教の輪廻転生のしきたりに従って、6歳の少年をパンチェン・ラマ11世と認定しました。

 

ところがその数日後、その少年が突如として行方不明になります。それからしばらくして中●共産党は、「この子が真のパンチェン・ラマだ」と、ダライ・ラマ14世が指名した少年とはまったく別の少年を11世と発表しました。共産党は宗教を否定しているのに、チベットのルールに従って共産党が生まれ変わりを認定するという摩訶不思議なことが起こったのです。

 

 

本物の11世は中●で生きていた!

ダライ・ラマが認定したパンチェン・ラマ11世はどこへ行ったのか。長らくわからなかったのですが、2020年5月、メディア向けの記者会見で中国の報道官は、「あの子は中●で育ち大学を出てすでに就職している」と発表しました。つまり、パンチェン・ラマ11世が生きていることを中●政府が認めたのです。

 

一方、中●政府が認定した偽パンチェン・ラマは共産党を賛美しながら、チベットにときどき帰っては宗教行事をしていると言われています。こうなるとチベットは困ります。いまのダライ・ラマ14世が亡くなったときに、ダライ・ラマ15世を認定する人がいなくなってしまったのです。

 

中●政府は共産党が認定した偽パンチェン・ラマに、ダライ・ラマ15世を認定させるのでしょう。当然、中●共産党の言うことを聞く男児をダライ・ラマ15世に認定する。そうするとチベットを完全に共産党の支配下に置くことができます。チベット仏教のルールを使って、内側からチベットを崩壊させようとしているのです。

 

もちろんダライ・ラマ14世は危機意識を持っていますから、ダライ・ラマ15世の認定について「もう生まれ変わりをやめようか」と言い出したり、「これまではチベットで生まれ変わって来たけれど、チベット以外で生まれるかもしれない」と言ったりして、しきりに中●を牽制(けんせい)しています。「男性として生まれ変わるかどうかわからない」という言い方をして、女性の可能性も示唆しています。チベット仏教の高僧の中から指名、もしくは僧侶の中から選挙で後継者を選ぶ可能性もあるようです。

 

ダライ・ラマ14世はもうかなり高齢ですから、病気になったりしたら後継者をめぐって大きなニュースになるはずです。

 

(👨YouTube上だけにしかなかった池上彰さんのウイグル弾圧問題解説がネットのニュースに浮上してきました。

👧それもチベット弾圧問題も解説してくれています。

👩民族弾圧問題解決が近くなってきたように感じます。モンゴル弾圧問題も。中●共産党と習●平氏、首根っこに冷たい刀を当てられたようでヒヤリとしただろうか❔

👴何でもやる党だから最後まで甘くみてはならん❗注意し続けたい。


日本政府は、日本の総理はもう二度と救いの手を差しのべてはならない。誰に❔

2021-09-13 12:28:49 | 日記

 

iZaイザより。

 

中国共産党をもう助けるな 論説委員長・乾正人

年の始めに

2021/1/1 10:00

国際

 

 

(写真は中●天安門広場の前で、)

大規模デモに参加する学生、市民ら=1989年5月、北京(共同)

 新年早々、くだらぬ話で恐縮だが、私はかなり濃厚な「親中派」だった。

 

 40年前、大学受験で選択した外国語は中国語だった。NHKラジオの中国語講座を熱心に聞き、元共産党員が先生をしていた市民講座に通った成果を誇示したいという若気の至りからである(英語が苦手だったからでもあるが)。

 

 当時、そんなばかげたことをした高校生はほとんどいなかったが、市民講座で配られた質素なテキストに載っていた「赤脚医生(最低限の医療知識で農村を巡回した医者。文化大革命時に毛沢東が奨励した)」の話は、今でも覚えている。

 

 

私は「親中派」だった

 いずれ中国は米国と肩を並べる大国になり、中国語をマスターすれば何かと得だ、という打算もあったが、幼稚な高校生の夢想をはるかに上回るスピードで中国は発展した。自由と民主主義とは無縁のディストピア(理想郷と対極の世界)になろうとは、想像だにしなかったが。

 

 夢想から目覚めさせてくれたのは、平成元年6月4日に起きた天安門事件である。中国共産党は、軍を出動させ、自由を求める市民や学生に容赦なく銃弾を撃ち込み、鎮圧した。犠牲者数はいまだ正確にはわかっていない。私は当時、就任間もない宇野宗佑首相の番記者として、一挙手一投足を追っていたが、事件について何も発信しない彼に大いに失望した。「この人は総理大臣に向いていない」と日記に書いた。

 

 

 それどころか、事件当日に外務省は、西側諸国が共同して制裁措置をとることに反対する文書を作成していたことが、先月公表された外交文書で明らかになった。7月に開かれたアルシュ・サミットでも日本は一貫して制裁を緩やかにしようと立ち回っていた実態も明確になった。

 

 ベルリンの壁が崩壊した後、東側諸国が次々とソ連のくびきから離れ、ソ連共産党の一党独裁が終焉(しゅうえん)を迎えてから今年で30年。

 

 天安門事件を引き金として中国共産党による一党独裁体制が崩れていたとしても、何の不思議もなかった。そんな瀕死(ひんし)の共産党を救ったのが、日本だったのである。

 

 

 「中国を孤立化させてはいけない」を大義名分に、いちはやく経済協力を再開したのも日本だった。

 

歴史は繰り返すのか

 日本は戦時中も中国共産党を救っている。生前、毛沢東は訪中した日本の要人が「日本軍が中国を侵略して申し訳なかった」と判で押したように謝ったのに対し、いつもこのように答えたという。

 

 「申し訳ないことはない。日本軍国主義は中国に大きな利益をもたらした。皇軍がいなければ、われわれは政権を奪えなかった」

 

 少し説明が必要だろう。蒋介石率いる国民党軍に敗走し、延安まで落ちのびた毛沢東が息を吹き返したのは、日本軍が昭和12年に国民党軍と全面戦争に突入し、蒋介石が国共合作に踏み切らざるを得なかったからだ。敗走に次ぐ敗走で2万5千人まで減っていた共産党軍は、8年後の終戦時には120万人にまで膨れあがり、後の国共内戦に打ち勝ったのである。ことに共産党軍に引き渡された日本軍の近代兵器が勝敗の帰趨(きすう)を左右したとの説もある。つまり、戦時中は軍部が、戦後は外務省が「中国共産党を助けた」のである。

 

 

 新型コロナウイルスによって世界は一変したが、中国・武漢で最初の感染爆発が起きた際、当局による情報隠蔽(いんぺい)が、パンデミック(世界的大流行)の引き金を引いたことを忘れてはならない。

 

 すべての個人情報を国家が管理し、自由を求める「危険人物」を容赦なく監獄や収容所にぶち込む。チベットやウイグルでの弾圧が、香港でも公然と行われ始めた現実から日本政府も国会も目を背けている。

 

 いま再び、中国は西側諸国の「反中同盟」を切り崩そうと日本を懐柔しようとしている。手始めが、習近平国家主席の国賓来日実現だ。

 

 日本は、瀕死の中国共産党を2度助けた。3度目は、絶対にあってはならない。もし習近平来日に賛成する政治家や官僚がいれば、それはまさしく「国賊」である。「親中派」の私が書くのだから間違いない。