視聴率をまったく稼げなかった民放ニュースの深刻な事情 (ゲンダイネット)
それにしても異様なハシャギっぷりだった。今月2日に鳩山首相と小沢幹事長がダブル辞任し、4日に“菅直人新総理”が誕生するまでの民放の報道である。
各局は当日から特別編成に。小沢と関係が悪い渡部恒三を担ぎ出して“生提言”させ、生方幸夫、田中真紀子ら“与党のキーパーソン”に好き勝手言わせた。一方で、連立を離脱して辞任のキッカケをつくった福島瑞穂をヤリ玉に挙げていた。
コメンテーターとして久々に地上波に登場した田原総一朗の、水を得た魚のような様子も印象的だった。
それで、数字はどうだったか。田原が仕切った2日の夕方のニュース「スーパーJチャンネル」(テレ朝)は平時の7%台から6%台にダウン。「news every.」(日テレ)、「FNNスーパーニュース」(フジ)、「Nスタ」(TBS)も軒並み下げた。
「ポスト鳩山は誰?」と騒いだ3日夜も「NEWS ZERO」(日テレ)、「NEWS23クロス」(TBS)がダウン。そして、NHKとテレ朝「報道ステーション」の“ふたり勝ち”が鮮明になった。つまり、民放の大ハシャギは空回りである。
敗因は何か。政治ジャーナリストの伊藤達美氏がこう言う。
「テレビが視聴者の関心をまったく無視して報道したことでしょうね。代表選でいえばテレビは小沢グループ○人、菅グループ○人とか、そんな上っ面のどうでもいい話をタレ流しました。
有権者が知りたかったのは、菅直人と樽床伸二のどちらが首相になれば景気が良くなるかなどもっと生活に密着した情報だったはずです」
街頭で数人の主婦やサラリーマンに「次期首相は誰がいい?」と聞くのも時間とカネのムダ。
「党内の対立構造をあおって、“反小沢が正義”みたいな報道も目立ったし、“私は菅さんと初当選以来の付き合いなんです”と無意味な自慢をするコメンテーターもいました。視聴者がしらけるのも無理ありません」(伊藤達美氏=前出)
民放は参院選でも同じ轍を踏むに違いない。