11月26日(金)
あいちトリエンナーレ2019で鑑賞した多くの作品の中で、個人的に一番気に入ったのが豊田会場の喜楽亭で公開された「旅館アポリア」でした。
→あいちトリエンナーレ2019/喜楽亭(2019.8.30)
作者のホー・ツーニェンさんが再びキュレーターの能勢陽子さんと組んで新作「百鬼夜行」を発表。豊田市美術館で観て来ました。
キービジュアルはPOPなアニメ絵。タイトルが「百鬼夜行」なのでこれらの妖怪が出て来るものと思われます。
チケット購入。JAF割引で¥900でした。年パス¥3,000かぁ、悩む。
クリムト展以来?久々の市美です。
展示室1:100の妖怪(16'30")
展示室2:36の妖怪(18'45")
展示室3:1人もしくは2人のスパイ(17'25")
展示室4:1人もしくは2人の虎(8'/8')
一つの映像作品を観終えたら次の展示室へと移動する喜楽亭の手法が今回も踏襲されていました。アニメのキャラクターのタッチは大友克洋っぽい。
展示室1は手前に小さなスクリーンがあるけど入室する時にスタッフさんが誘導して立ち位置を指定するので気付きにくい。メインスクリーンの百鬼夜行を16分掛けて観終えて、次の展示室に移動する時に初めて「こっちにもスクリーンあったんだ」と気付いた。それも観たので倍の時間が掛かりました。
妖怪の類は人の恐怖心が生み出す妄想です。バラエティに富んだ妖怪ラインナップに混じって日本軍人が登場。妖怪の一種として紹介されます。日本軍人は恐怖を生み出したけれど妄想ではない。「やはりこの作風か」って予想通りでした。
「ん?」と引っかかったのは粘菌。調べてみると粘菌の研究で有名な南方熊楠さんなのね。宗像教授の元ネタだっけ?
クスっと笑ったのは家鳴(やなり)。喜楽亭の「旅館アポリア」の振動バイブレーターのことかな?
この展示室1に登場する妖怪と、妖怪に比肩する日本軍人を描いた映像連作インスタレーションが「百鬼夜行」の正体でした。
戦争は武器を使う直接的な命のやり取りだけでなく、諜報活動を駆使して敵国内で反乱を起こすなど間接的な戦法もある。今回紹介された陸軍中野学校は結構有名ですね。予備校の方は全巻持っているし。
2人のマレーの虎・山下奉文と谷豊。そして「怪傑ハリマオ」から時代を経て、姿を変えて何度も蘇った虎たち。まさか最後に笑いを取って来るとは・・
ラムちゃん虎か?うしおと、、、トラは虎か、、
最後に百鬼夜行を紹介する冊子と参考文献が置かれていた。
作品中のテロップもキャプチャされています。
相変わらず、太平洋戦争をシンガポール人の視点で捉えながらも普通の日本人以上に日本人を描き切っていて興味深い。キュレーターの能勢さんの視点も加えられているから?
日本人はどう戦ったのか?諜報活動に特化して陸軍中野学校をフィーチャーした描き方は新鮮で面白かった。更に彼らと妖怪の類似性をアニメの手法で映像化するとはさすが。
企画展に合わせて喜楽亭の「旅館アポリア」も再演されるのでそちらも再び鑑賞したいな。
さて、常設展の方も見学。
平日なのでゆったり鑑賞出来ます。
レストラン・シティ・ギャラリー/ダニエル・スペーリ
百万年-過去・未来/河原 温
赤ん坊の影 No.122/高松 次郎
窃視者(M・ピストレットとV・ピサーニ)/ミケランジェロ・ピストレット
この空間、落ち着くかも(;'∀')
オイゲニア・プリマフェージの肖像/グスタフ・クリムト
個人的に奈良美智さんが好きなので常設展にあるかな?とちょっと期待。少し前に市美が奈良さんの新作を一億円で購入したニュースを見たもんで。一億円って高いなって思ったけど、奈良さんの新作は一億じゃ買えないらしい。奈良さんと市美の繋がりあってのディスカウント価格だそうですね。
→奈良美智アーティストトーク(2017.7.31)
愛知芸大は長久手市なので向こうが本気で奈良さんにアプローチしたらやばいかも?市美は今の内にどっぷりコネ作っておかんとw