セリカ魂

「初代セリカに乗りたい!」
ゆっくり旧車ライフの備忘録

戦国-赤き絆-/さくらゆき

2016年01月04日 20時31分00秒 | 歴史

​​昨年の12月13日(日)“さくらゆき2ndアルバム”リリース!

今回はリリース前に数曲がライブで先行披露されています。タイトルの“赤き絆”が指し示すのは“赤備え”!つまり、アルバムのテーマは『真田家』に繋がる人々です。赤色といえば血液の色、“血脈”も暗示してる?
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「比類なき眼」作詞:小栗さくら/作曲:望月俊
出だしのギターとピアノとホーンが実に印象的。そこからジャズ的なリズムに変わってどこか懐かしいメロディに。思いっきり“昭和サウンド”なアレンジでキャッチーな楽曲です。真田昌幸公の辿った人生を、史実に基づき詞に込めています。“我が両眼の如し”や“表裏比興の者”といったキーワードも。これが1曲目であることによってアルバムがポジティブな印象に。それにしてもこの曲のアレンジは凄い!相当の腕利きじゃないとこのレベルに仕上がらないと思います。
 
「蒼穹」作詞:遠野ゆき/作曲:田中俊輔
親真田な楽曲が並ぶ中、唯一の“反真田”に位置するのがこちら。アゲインストな空気に包まれていても一番清清しさを感じる曲に。それは秀忠くんの若い頃を描いているから?所信表明っぽさから“汚れる前”の純朴さが強調されて好印象。ゆきさんらしく“敢えて説明しない”そして“比喩的”な詞(出だしの「乾く大地」って移封された時の関東平野?)。秀忠くんも胸に“花”を秘めていたという解釈での描写が新鮮。真っ先に浮かんだのが奥方(たち)の曲「赤曼珠沙華」でした。とにかくドラムとギターが超格好良い!“爽快”という形容が似合うナンバーです。
 
「対い蝶」作詞:遠野ゆき/作曲:望月 俊
正直、さくらゆきの楽曲ではバラード系は余り好みでは・・でも、大谷吉継公をイメージしたこの曲は違いました。関ケ原当日の天候から始まり戦の模様が史実に基づき描かれる。2番が終わった後、長めの間奏からブレイク。一瞬の静けさからさくらさんが叫ぶ「聞こえるか、我が友よ」!ライブではこの時、目の見えぬ刑部を模して腕で目隠し・・この振り付けとシャウトはもう反則レベル!私の解釈では時間の流れが静→動→静&動となってます。感銘を受けたのが3番。激しく戦いが繰り広げられている中、討ち取られた為広公の躯。既に首は持ち去られ無用と化した亡骸の背中には血が滲む。戦の喧騒をよそに、そこだけ静けさに包まれている。二つの違った時間の流れを感じる楽曲です。
 
「沈まぬ太陽」作詞:遠野ゆき/作曲:廣瀬謙介
ホントに個人的な思いだけどタイトルに「えっ?」と引いた。山崎豊子さんの同名の小説を連想するから。山崎さんの作風は“ノンフィクションっぽいフィクション”。その結果、主人公のモデルとされる人物像をかなり美化した。問題なのは読んだ人がそれを“事実”だと思い込むこと。大衆にとって“大企業は悪”でなければならないのだ。その期待に乗じて利用したのが山崎さん。全てが間違いとは言わないけど作品を鵜呑みに出来ないと感じる。“沈まぬ太陽”というフレーズからそんなもやもや発生・・楽曲自体はアップテンポでキャッチーな印象。「うぉー」のバックコーラス、ゆきさんのネコ武将が浮かぶw 真田信繁(幸村)公の“誉田の戦い”を描いた楽曲だそうです。勉強不足でこの戦は殆ど知りませんでした。要は“真田vs伊達のドリームマッチ”ってことですか?刃を交えた相手こそ信頼足り得る存在となり後に子を任す布石に。その点では重要な戦だったのかも知れません。​
 
「龍よ、その道を往け」作詞:小栗さくら/作曲:森 伸広
上杉景勝公・直江兼続公の“上杉主従”をイメージした楽曲。兼続公は「雷霆の龍」で“龍”の字のイメージが既にありました。対して景勝公は「天地人」での北村一輝さんのイメージが強い。北村さんの代表作が映画「龍が如く」でこちらも“龍”の字が。割とすんなりタイトルには合点がいったけど格好いいな!綺麗なふわふわしたメロディで次第に盛り上がる構成に。“龍”の御旗はそう、真白いのですね。
 
「青嵐の城」作詞:遠野ゆき/作曲:森 伸広
“惜しいかな、真田を云いて毛利を云わず”の勝永公を描いた楽曲。信繁公に劣らぬ働きがあったと評価されている武将さんです。アルバム中一番激しいアップテンポになっています。奇しくも1stアルバムでも6曲目「残光」が超アップテンポ。もっとも今回は一本調子でなくかなり変調します。構成からプログレッシブ・ロックな印象すらありますね。超ハイペースから語り的なスローになり再びハイペースに。後半はドラムのテンポが不規則になりそれが“崩壊”をイメージ?難攻不落と云われた大坂城が墜ちる様が浮かびます。「残光」同様そのスピード感にやられ肝心の“詞”が入って来ない。どうやら6曲目は私的に鬼門のようです・・
 
「弧月」作詞:小栗さくら/作曲:田中俊輔
先行披露された楽曲の中でこの曲に一番心を揺さぶられました。真田信之公をイメージした楽曲。家康さんも真っ青の“耐え忍んだ生涯”や“小松姫の婿選び”。そして父や弟とのやり取り等々真田家の核となった存在です。“置き去りの幸せ”は信幸→信之の改名エピソードからでしょう。激しくも強く光り輝いた父と弟、その明かりを受けて鈍く灯る月。でも、月の明かりは優しくて直視出来る。小松姫が亡くなった時「我が家から光が消えた」と嘆いたそうな。それもあっての“月”なのでしょうね。メロディもミディアムテンポで実に印象的、且つ力強い。詞と曲が凄くハマった出色の出来でトータルバランスは断トツ。
 
「時の花」作詞:小栗さくら/作曲:小池勝彦
信繁公の娘さん・阿梅さんをイメージした楽曲。知ってか知らずか?諸説あれど片倉公は知ってて娶ったと思いたい。“生きてゆくことがあなたへの弔い”遺され、父を想い、生きてその命を繋いで行く。 “家”こそ大事の概念が支配する時代に女性として精一杯生きた。裏テーマ的に片倉公の、ひいては伊達家の男気を感じます。たとえそれが徳川への反骨からだとしても。ちょっと懐かしい“小室系”って感じのピアノが印象的。娘から父へと贈る優しい鎮魂歌がアルバムの最後を飾ります。
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2ndアルバムは期待通りの素晴らしい出来映えでした。もっとも1stアルバムの中には未だライブで聴いてない曲も・・イベント毎にその場に合った選曲となるので勝手も言えませんが。とまれ参加出来たイベントで聴けることを楽しみに。
 
気になるのは最近のライブで感極まって歌唱不能になること。縁の地で歌を捧げることに感激する気持ちは凄く理解出来ますが・・私が一番感銘を受けた歌唱が石田町で初披露した「夢のあとさき」。ゆきさんグショグショになっても構わず声を絞り出していた。テクニックではなく、声を更に張り上げることで音程をキープ。そうして伝えられた絶唱の歌声は素晴らしかったです。もし最近の歌唱不能が「綺麗に歌えないから歌わない」なら?それって“逃げ”と一緒だと思います。逃げずに涙やよだれや鼻水を垂れ流すことすら厭わず歌えたなら。誰もその姿をみっともないなんて感じないのでは?
 
でも、苦労してCDを造り上げた彼女たちの想いが外野に分かる?想像以上に込み上げる感情が大きいのかも知れません。楽曲に真っ直ぐ向き合っている姿を批判する気は毛頭ないのです(そこら辺、決して誤解なさらぬ様に)。


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