セリカ魂

「初代セリカに乗りたい!」
ゆっくり旧車ライフの備忘録

奏~時の旅路~/さくらゆき

2020年12月06日 01時43分41秒 | 歴史

さくらゆき5thアルバムが12/1にリリース。
遠野ゆきさんが卒業して、北織さよさんが加入した新生さくらゆき。今後の活動を占うオリジナルアルバム。

1. 東雲
   (平将門公)不詳-940年
2. 栄華の果て
  (平知盛公)1152-1185年
3. 天高く
  (北条政子夫人)1157-1225年
4. 流浪の刻
  (細川藤孝<幽斎>公)1534-1610年
5. 桜の宴
  (豊臣秀吉公「醍醐の花見」)1598年
6. 先陣の鬼
  (井伊直政公)1561-1602年
7. 祈りの糸
  (豊臣秀吉公妻・北政所)諸説あり-1624年
8. 木崎原
  (島津義弘公「木崎原の戦い」)1572年
9. 果てない夢路
  (中岡慎太郎さん)1838-1867年

平安時代・鎌倉時代・戦国時代・幕末とバラエティ豊かな楽曲が時系列順に並べられていた。
例によって普通に聴いたら普通の曲。Wikiで調べながら聴くと意味が見えて来る。彼女たちが歌詞に込めたのは歴史的なエピソード、巷に溢れるラブソングとはちょっと違う。

1. 東雲
(作詞:北織さよ/作曲:伊勢賢治/編曲:加藤素朗)
「棒読み?」の歌いだしに一瞬、目が点になった。
その後でちゃんと展開して安堵。
行進曲みたいなリズムからサビで一気にブレイク。
かなり挑戦的な曲調だが、短い時間の中で盛り上がりを考慮して見事に計算されていた。
多彩な楽曲のアルバムを象徴するオープニング曲。
「さよさんはどんな詩を書く?」
情景を歌詞にするタイプかな。
目視も心象も併せて言葉で紡いでいた。
「色」を大事にしている印象がする。

2. 栄華の果て
(作詞:小栗さくら/作曲:伊勢賢治/編曲:傳田修弘)
ドラマチックな曲調。すっと詞が入って来た。
サビに転調する所が凄く格好いい!
これはライブで聴いたら鳥肌モノかも知れないな。
さくらさんは秀才タイプの詞を書くと思っていた。
でも、この曲は天才タイプのゆきさんみたい。
奢れる平氏が没落して行く。
抗いながらもそれを受け容れるかの様な知盛。
沈み行く姿が目に浮かぶ。
アウトロの海中へ没する音?のSEが切なくて余韻が残った。

3. 天高く
(作詞:小栗さくら/作曲:伊勢賢治、野口忠明/編曲:傳田修弘)
サビ前の超早口が小気味よい。
それにより、一気に緊張感が生まれる。
前の曲とは一転、さくらさんらしい歴史ソング。
頼朝を支え続けた政子の一途さをアグレッシブに描いた。
テンポが速くて「駆け抜けた」感が強い。
ただ、「あの日にかえりたい」みたいで少しモヤっとした・・

4. 流浪の刻
(作詞:小栗さくら/作曲:田中俊輔/編曲:傳田修弘)
羅列ではなく詞とメロディが融合した曲を書くのが田中さん。
今回も見事に詞とメロディがマッチしていた。
サビの部分では別の歌詞・メロディをマッシュアップ。
これが輪唱みたいに面白い効果を発揮、思わずNIRGILISの「sakura」を連想した。
「水色桔梗」「桐」などのキーワードも効いている。
何度も聴いているお気に入りのヘビロテ曲。

5. 桜の宴
(作詞:小栗さくら/作曲:伊勢賢治/編曲:加藤素朗)
晩年の秀吉が盛大に催した「お花見」がテーマ。
華やかで明るいメロディは聴くと元気になって来る。
派手好きだった秀吉の笑顔が浮かんで来る様だ。
サビのお祭りっぽい曲調とアレンジは定番のパターンで、だから同じテーマの他の曲と似通ってしまいがち。つい、「咲き誇れ乙女!関ケ原」と重ねてしまう。ちょっと似過ぎかも?
いくら定番のパターンでも狭い「歴史」ジャンルなのに。
いや、引退した彼女への「エール」?

6. 先陣の鬼
(作詞:小栗さくら/作曲:伊勢賢治/編曲:加藤素朗)
最初は何度聴いても「軽い」って印象がしていた。
ドラムの音色のせいなのだが、ハードロックテイストのアレンジなので仕方ないのかも。レインボーみたいなドラムだし。
ギターのカッティングをを意識して聴くと、「厚み」を感じることが出来た。良い音響で聴けば凄くポテンシャルが高い曲だった。
おんな城主直虎から数年、なぜこのタイミングで?
さくらさんは直政を描きたかったのかな?大河がどうこうじゃなくて、温めていたのだろう。
自分の命を奪った島津までも頼まれたら断らない。
男気に溢れた直政の生き様を歌詞に込めた。

7. 祈りの糸
(作詞:北織さよ/作曲:伊勢賢治/編曲:加藤素朗)
とにかく爽やかで聴きやすいアレンジがお見事!
これは万人受けするキャッチ―な曲だな。
まさか北政所さまがこう描かれるとは。
抱いていた晩年のイメージと余りに違っていて軽く驚いた。
でも、「おんな太閤記」では明るく描かれていたっけ?
忘れていたイメージを思い出させてくれた。
「咲くことを阻まれても」は何を意味する?やっぱりあれ?

8. 木崎原
(作詞:小栗さくら/作曲:伊勢賢治/編曲:加藤素朗)
重々しく始まったメロディと響くハープの音色。
合戦の合図のような印象を与えてくれる。
和テイストにハープって意外な程合うのだな。
終始暗い雰囲気の曲調の中で、語られる壮絶な「戦」が時系列に沿って脳裏に浮かぶ。
それにしてもさくらさん、どうして木崎原を選んだ?
そこまでドラマチックな戦だとは思えないけれど・・
いや、私が知らないだけ?
自分的には「戸次川の戦い」の方がお勧めなのだが。
既に「満天星」の中で歌われていたりして?

9. 果てない夢路
(作詞:北織さよ/作曲:森伸弘/編曲:加藤素朗)
疾走感を大事に作られた楽曲。
信念を持って短い人生を駆け抜けた中岡さん。
それを、ドライブ感に溢れるメロディで描いていた。
ただ、余りに軽快過ぎてこの曲も「軽い」印象がしがち。
でも、それこそが狙いかも。
身軽に、飛び回って活躍した様を表現しているのかな?
サビの音域が高くて無理して歌っている印象がする。
オクターブを下げたらどんな感じになるのだろう?
それはそれで良さそうな気もするけれど。
細かい技が光るアレンジで、爽快に仕上がっている。

多彩な曲をじっくり計算して作り込んだ印象。
歴史を感じさせる和楽器を効果的に使った曲もあった。
しっかり、サビの部分はキャッチ―に作っていた。
「栄華の果て」「流浪の刻」「祈りの糸」がお気に入り。
ライブでさくらさんは更なる低音ボイスを聴かせてくれる。
さよさんもすっかりマッチして声が出て来た感じ。

CDとライブで印象が変わることが多い。
レコーディングはニュートラルな歌い方。
だから「感情が入っていない」印象を受ける事があり、「先陣の鬼」「木崎原」「果てない夢路」にそれが顕著。
これらの曲に感情を込めて激し目に歌ったら凄く良くなりそう。ライブ映えする曲に変貌したりして?
もっとも、いつ生歌が聴けるか分からないけれど。
待つ「励み」になる良い出来のアルバムだった。
残念ながら、ゆきさんの詞は収録されなかった。
オファーはしたのかな?



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