白駒妃登美さんの「感動する!日本史」が3月20日(祝)に出た。
近所を回っても見当たらず、今回もアマゾンで購入しました。
その時に加来耕三さんの「感動する日本史」も見つけた。
「!」があるかないかの違いだけで激似。
加来先生といえばテレビでもお馴染みの有名人。
こんなそっくりなタイトルつけて大丈夫?(;'∀')
加来先生の「感動する日本史」も購入してみました。
まずは加来先生の「感動する日本史」から。
29の感動エピソードが綴られています。
第1章/大和心に生きる
・忘れられたバンクーバーの慰霊碑
・怪傑ハリマオのモデルになった男(谷豊)
・遠くて深い交誼の国・トルコ
・ベルギーの示した信義
・ショパンの孤児と「惻隠の心」
・家康も一役買った日墨友情物語
第2章/信義を貫く
・己の使命を生命懸け全うした艇長(佐久間勉)
・「民生委員制度」を作った福祉知事(林市蔵)
・世界初の全身麻酔手術を支えた妻(華岡加恵)
・東条英機に反抗したジャーナリスト(吉岡文六)
・日本地図を作った(伊能忠敬)
第3章/意思を強く
・幕末維新と対決した女性(和宮)
・阿寒国立公園の礎を築いた(永山在兼)
・福祉に生涯を捧げた(瓜生岩子)
・末世を切り拓いた創造者(運慶)
・物質文明を精神文明で覆した藩主(伊達邦茂)
第4章/平常心で臨む
・文豪の愛妻?悪妻?(夏目鏡子)
・雪国の厳しさを都に伝えた男(鈴木牧之)
・名君・細川重賢が登用した“非常の才”
・今こそ徳川家康の「堪忍自重」を
第5章/己れを信じる
・近代日本の茶葉に生きる(多田元吉)
・鹿鳴館に咲いた名花(大山捨松)
・「空気投げ」の極意(三船久蔵)
・美人画を一筋に描いた(上村松園)
・柔道の父・嘉納治五郎の「力必達」
第6章/粘り強さ
・近代大阪を築いた男(関一)
・神社の祭神になった芋代官(井戸平左衛門)
・津波から人々を救った男(濱口儀兵衛)
・報恩に生涯を捧げた男(久米栄左衛門通賢)
加来先生は作家である前に歴史家なので文体はかなりお堅い。
しかも資料を書く様に状況を描写する箇所が多い。
だからそこを読む時は理解するのに苦労してペースが落ちる。
物語性よりも「事実」を客観的に描いて主観は挟まない。
その結果、中途半端で盛り上がりに欠けるエピソードも。
「やはり学者さんだな」というのが読後の感想かな。
テレビに映る魅力的なキャラと軽妙で饒舌な話術。
そこから想像していた文体とは明らかに違っていた。
それにしても加来先生が選んだエピソードはマイナーで渋い。
「こんな凄いエピソードがあるんだよ」
「皆に知って欲しいな」
そんな想いが伝わるチョイスでした。
続いて白駒妃登美さんの「感動する!日本史」です。
こちらも感動の18エピソードが紹介されています。
第1章
いつでも最善を尽くした人々に 苦境で折れない心を学ぶ
・投獄による人生最大の危機。
しかし人生はそこで開けた(吉田松陰)
・稀代の名参謀、最後の使命。
父は子に何を残せるか(黒田官兵衛)
・荒れ果てた米沢藩の再興。
改革に必要な指導者の心得(上杉鷹山)
第2章
自らの役割を見定めた人々に 目的を遂げる志を学ぶ
・「世界中の女性に真珠を」。
未来を育んだ純粋なる思い(御木本幸吉)
・非常時を物ともしない強さ。
日本一小さな銀行の“奇跡”(岡野喜太郎)
・国家事業をその一身に。
台湾に人生を捧げた技師(八田興一)
・心に棲む“天敵”に克つ。
すべてを失った医師の希望(永井隆)
第3章
現状を大胆に受け容れた人々に 執着の手放し方を学ぶ
・どんな“いま”でも平然と。
新時代を切り開いた覚悟(正岡子規)
・志は師より受け継いで。
絶体絶命での功山寺挙兵(高杉晋作)
・天に愛される条件とは。
“義”に生きた敗軍の将(立花宗茂)
・非情な戦国の世に在って礼節を貫いた“乱世の華”
(高橋紹運)
第4章
時流に逆らわず生きた人々に しなやかな強さを学ぶ
・鹿鳴館のヒロインは、人生の流れに抗わず(大山捨松)
・選んだ道を超然と往く。
最後の武士の名誉なき人生(山岡鉄舟)
・国を背負うがゆえの孤独。
模索を続けた幕末の名君(島津斉彬)
・しなやかで、したたか。
百万石を築いた愛と誇り(まつ)
第5章
次世代に想いを伝えた人々に 危機を乗り越える希望を学ぶ
・未来の日本に大和心を。
勝者敗者を超えた者たち(細川幽斎)
・世紀を超えて生き続ける、
近代日本最高の八ヶ月(クラーク)
・盲目を嘆かず、懸命に。
使命に生きた不屈の国学者(塙保己一)
メジャーどころがズラリ並んだラインナップです。
そして彼女の文体は女性的でとても優しい。
読んでいると頭の中で黒田あゆみさんのナレーションが流れる。
(今は渡邊あゆみさんですね)
「まるで歴史秘話ヒストリアの台本みたい」が読後の感想。
とても読み易かった。
自分が感動した想いをいかに効果的に伝えればよいか。
そこに白駒さんが腐心しているのが見て取れた。
前著「人生に悩んだら「日本史」に聞こう」から洗練された印象。
装丁や随所のデザインも丁寧に作り込まれている。
加来先生と比べたらアマチュアが書いた本。
情報ソースも一般人のレベルに近いはず。
でもこちらの方が読み易くて起承転結を踏まえて物語性があった。
加来先生は「教えてあげよう」って感じの「教師目線」
白駒さんは「ねぇねぇ聞いて」って感じの「友達目線」
2冊で直接被ったのが「大山捨松」さんのエピソードだった。
これを読み比べれば捉え方の違いが良く分かるかな?
「!」の一文字だけ違うのでOKとしたのは白駒さん?編集さん?
どちらにせよ加来先生の著作の存在を知らないはずはない。
出版業界の苦境は皆が知る所です。
売る為の際どいタイトル付けだったのかな。
それとも「これが一番ぴったり」だと思ったから?
「タイトルは似てても中身はパクリじゃない」の自負から?
余計な誤解を招く要素は避けた方が無難だと思うなぁ。
内容でひけを取っていない分「惜しい」と感じてしまった。