「今日は俺自身の為に来た。今日は一日中お暇をもらったからな。ケイトとかいう女に興味はない。ジルという女を出してもらおうか」
応接間の扉がひらかれた途端――もちろん、ショーンが来たときと同じく仕えているみなが野次馬で近くに集まっておりました――、アーサーが凛とした声で言い放ちました。
「ジルなら姫様ともう応接間におりますよ。どうぞ」
執事のロバートが言いました。
「ジル……、それが君の本名か?」
どっかり座ってからアーサーが尋ねます。
「は、はい。あの、ケイトから聞いたのですが……、あなたはアーサー……?」
「はっきりしてくれ。リリアンと名乗っていたあの人はおまえか?」
「――――私はジルと申します。リリアンなど名乗ったことは聖書に……うっ、聖書に誓って……うっ、ちょっと待ってください」
なんていうことでしょう! あの気丈なジルが涙で頬を濡らしているではありませんか!
「ジル……!」
ケイトが扉の隙間から応援していました。すると、応接間でも、お姫様が、
「ジル。いいのよ、本当のことを言っても」
と優しく言いました。
ジルはしばらくの間、両手を使って泣いていましたが、
「アーサー、会いたかったです!」
ただその一言、それだけ言って、アーサーに飛びつきました。
「私は女騎士になりたかった。夢を叶えたあなたが羨ましかった!――それでもずっとあなたのことを愛していた! もう会えないと思って、はとこのニーナ嬢の侍女になった……」
アーサーはジルを抱き受けて髪をなでました。
「そうか。リリアン、いや、ジル。頑張って騎士を目指していた君のことを忘れられなかった。一緒に旅をして楽しかった。こんなところで出会えたなんて。まさに天使が降臨して、祝福の歌をうたっているような気分だ。リリアンと名乗っていたあの人のことを想って、俺はまだ結婚してない。婚期が遅れてしまった俺たちだが、君と結婚したい――君のことばかり任務中も考えていた。どうだろう。駄目か?」
ジルはまだ涙が止まらない様子でしたが、嬉しそうに微笑みました。
「お姫様の許しがでたら、私もあなたと結婚したい」
「今すぐ出すわ。でも、ジル。結婚してもここにいてもいいのよ」
ジルは嬉しそうにうなずき、アーサーと見つめ合いました。
応接間の扉がひらかれた途端――もちろん、ショーンが来たときと同じく仕えているみなが野次馬で近くに集まっておりました――、アーサーが凛とした声で言い放ちました。
「ジルなら姫様ともう応接間におりますよ。どうぞ」
執事のロバートが言いました。
「ジル……、それが君の本名か?」
どっかり座ってからアーサーが尋ねます。
「は、はい。あの、ケイトから聞いたのですが……、あなたはアーサー……?」
「はっきりしてくれ。リリアンと名乗っていたあの人はおまえか?」
「――――私はジルと申します。リリアンなど名乗ったことは聖書に……うっ、聖書に誓って……うっ、ちょっと待ってください」
なんていうことでしょう! あの気丈なジルが涙で頬を濡らしているではありませんか!
「ジル……!」
ケイトが扉の隙間から応援していました。すると、応接間でも、お姫様が、
「ジル。いいのよ、本当のことを言っても」
と優しく言いました。
ジルはしばらくの間、両手を使って泣いていましたが、
「アーサー、会いたかったです!」
ただその一言、それだけ言って、アーサーに飛びつきました。
「私は女騎士になりたかった。夢を叶えたあなたが羨ましかった!――それでもずっとあなたのことを愛していた! もう会えないと思って、はとこのニーナ嬢の侍女になった……」
アーサーはジルを抱き受けて髪をなでました。
「そうか。リリアン、いや、ジル。頑張って騎士を目指していた君のことを忘れられなかった。一緒に旅をして楽しかった。こんなところで出会えたなんて。まさに天使が降臨して、祝福の歌をうたっているような気分だ。リリアンと名乗っていたあの人のことを想って、俺はまだ結婚してない。婚期が遅れてしまった俺たちだが、君と結婚したい――君のことばかり任務中も考えていた。どうだろう。駄目か?」
ジルはまだ涙が止まらない様子でしたが、嬉しそうに微笑みました。
「お姫様の許しがでたら、私もあなたと結婚したい」
「今すぐ出すわ。でも、ジル。結婚してもここにいてもいいのよ」
ジルは嬉しそうにうなずき、アーサーと見つめ合いました。
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