鍵穴ラビュリントス

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玉鬘 金の岬 続き

2015-12-09 16:57:52 | 和歌
さきほど玉鬘(たまかずら)の紹介はしました。

玉鬘とその乳母(亡くなった夕顔のことも知っている乳母)と乳母の娘たちが、筑紫の国(九州)から瀬戸内海を小舟で京に向かいます。乳母は玉鬘のことを夕顔の形見として優しく面倒をみています。

京から遠く隔たっている筑紫でこれ以上(四歳まで)育っていては、源氏の君の息女というのに、田舎育ちというレッテルが貼られると思った乳母は、京に向かうことを決意したのです。

舟の上で、幼い玉鬘は

【原文】
幼き心地に母君を忘れず、をりをりに、「母の御もとへ行くか」と問ひたまふにつけて、涙絶ゆる時なく、むすめどもも思ひこがるるを、舟路ゆゆしとかつは諫めけり。

【現代語訳】
幼い心地に母君を忘れずに、たびたび、「母のおそばに行くのか?」と問いかけなさるにつけても(もう夕顔は亡くなっているので)涙が途絶えるときはなく、(乳母の)娘たちも(京都を)思い焦がれるのを、舟路には縁起が悪い(何故かは分からん)と(乳母は娘らに、自分も哀しいんだけど)一方では忠告する。


そのあと、舟子(水夫)たちが
【原文】
「うら悲しくも遠く来にけるかな」
【現代語訳】
「なんとなく寂しくも遠くに来たのであるなあ」


と聞くので、乳母の娘たち二人はさし向かいで泣きました。そして和歌を互いに詠みました。


 舟人もたれを恋ふとか大島のうらかなしげに声の聞こゆる


【文法】
疑問の係助詞「か」が「聞こゆる」と体言止めにしています。
また、「舟」と「うら」が縁語になっています。
また、「うら」が掛詞になっています。
うら・・・浦、心(うら)


【訳】
舟人のだれを恋い慕って大島の浦を通っている時うら悲しげに声が聞こえてくるというのでしょう。


もう一人。

 来し方も行方もしらぬ沖に出でてあはれいづくに君を恋ふらむ


【文法】
代名詞「いづく」が現在推量の助動詞「らむ」にかかって、「らむ」は体言止めになっています。
あと、私のノートに

こし方←時間(未然形)
きし方←道 (連用形)

と書いてあって、カ行変格動詞の「来」は(「来」カ変、「し」過去の助動詞)は「きし方」らしいです←おぃこら忘れてる……。


【訳】
来た方向も行く方向も分からない沖に出て、ああどこであなたを慕わしく思うのでしょうか。



また、そのあとに「金の岬」の段では、
「鄙(ひな)の別れ」・・・都から遠い田舎に別れて行くこと
「世とともの」・・・つねづねの
という面白い表現もありますが、もうエネルギー切れなので端折ります。




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