ヘタリアのBL小説、第2弾!
今回は本命、朝菊(英日)(≧m≦)ぷぷぷ
実はヘタリアのBL小説としては処女作。
BLが苦手な方、BLの意味が分からない方、お逃げください!
まあぜんぜんエロくないですけど。
逃げましたね?!
では……
☆雨が降っていてもいなくても☆
※1970年代のヒット曲「雨の物語」(イルカ)をもとにして作りました。イルカは「なごり雪」が有名ですよね。
「雨の物語」……悲恋なのに叶う恋の物語にしちゃいました、てへ。
YouTubeにものっているのでよかったら聴いてみてください。
「窓の外は雨~♪ 雨がふぅってる~♪」
「フェリシアーノ君。陽気ですね」
「菊もほら、歌おう。星がでてる~♪」
「……なんだかいま、めちゃらくちゃらな歌のように聞こえたのですが……」
「当たり前だよ。だっていま、俺が替え歌作ったんだもん」
ここは日本。
本田菊のうちだ。
イタリア人のフェリシアーノ・ヴァルガスと菊は、午後から菊の家で茶道を楽しんでいた。フェリシアーノがどうしても抹茶が飲みたいとやってきてしまったのだ。
「はあ…フェリシアーノ君、できましたよ」
「お茶菓子おいしかった!わあい!」
「まず飲み方を教えますね」
窓の外は雨。
露時雨がしとしとと降っている。
――そんなときに彼はやってきた。
「菊……いるか?」
「わ、アーサーさん!」
「わ、ってなんだ、わ、って。はあ……雨の日って憂鬱だな」
雨をコートからはたきながら、そこでため息を吐いているのは白皙の美男子、アーサー・カークランド。
「そうですか?」
「なになに~」
ひょっこりフェリシアーノが顔をのぞかせる、と思いきや一気に飛びのく。
「うわ!カークランドだ!なんでもするから叩かないで~」
そして、どこからともなく取り出した白旗をぶんぶん振り回す。
「あ゛? 今日は戦いに来たわけじゃない。つーか飲み終わったらお前帰れ」
「なんで俺が抹茶飲んでるって知ってるの?」
「口、鏡で見てみろよ」
アーサーはイギリス人だ。どすがきいた声音が怖かったのか、フェリシアーノは携帯電話を取り出した。
「ひええ~ルートぉー、助けてよーカークランドがいるんだよー」
『フェリシアーノ!いま休戦中だろ。ちょっとのことで電話するな!』
携帯電話のむこうから、ドイツに住むルートヴィッヒの怒鳴り声と鳩時計のぽっぽっという鳴き声が、菊とアーサーのところまで聞こえた。
「わーん」
「アーサーさんもお茶、どうですか?」
泣くフェリシアーノをよそに、菊はアーサーを家に迎え入れた。
「え、いいのか?」
「もちろんですとも」
「お、俺、じゃあ帰るね! カークランド怖いよー」
「本人の前でよくそんなことが言えるな…あきれてもう何も言えねえ」
「はい。本日はまことにありがとうございました。またいらっしゃってくださいね」
菊はうきうきした気持ちで再びお茶をたてる。
(私ったらどうしたんでしょう。アーサーさんが来るといつもそわそわしちゃって……)
「なんか菊の様子見てるとほのぼのしてくるな」
(ギクッ)
菊は赤面したまま、アーサーのほうをちらり見遣る。この金髪の美男子は、眉毛だけ妙に太くてそこがとても可愛くて。
「このお茶菓子おいしいな。柚子餡か。だけど甘みがなんかいつもと違うような気がするんだよな……」
「さすが、アーサーさんです。蜂蜜を上新粉に混ぜて作ったお菓子なんです」
「おー」
「アーサーさんに喜んでいただければ私、幸せです」
「うんっ、うまいぜ」
「ではお茶をどうぞ」
「ありがとな、菊。いつも、敵の俺を気遣ってくれて……」
「……?」
「今日来たのはこれを言うためだ。俺は――、俺は、お前のことが好きだ。その……、男子間の友情よりも…って俺だけか」
「え……」
菊は目を見開いた。アーサーとは日英同盟が失効した今でも親しく交流していた。そして菊は、アーサーのことを同性とはいえその美しさに惹かれ惹かれて恋愛対象として見てしまっていた。そのアーサーが、いま、何を言ったのか、菊にはとっさには理解できなかった。
「けっこうなおてまえで」
そう言うとアーサーは茶碗を置いた。
「夕べ、考えたんだ。別れよう……って付き合っているわけでもないし、変か。俺たちは敵同士にもうすぐ戻る。だから俺はもうお前の家に来ないし、お前も俺と喋らない」
「そ、そんな……」
急な物言いに菊は絶句するほかなかった。そんなの嫌です、心ではそう思っているのに、それが言えなかった。
玄関で靴を履いてアーサーが外に出る。
「あ、あの、アーサーさん。せっかくだし庭を廻りませんか?」
やっと吐いた言葉は空気のように薄れていた。しかし、アーサーは聞き返すこともなくその言葉を拾ってくれていた。
「――せっかくだし見納めに見ておくか」
(そんな悲しいこと言わないでください……)
「あ、でも雨か。でも、雨の中、見て廻るのも風流でいいな。案内してくれ」
「は、はい!」
もみじが真っ赤な色をさらに赤く染めていた。
小菊の群れが重そうに濡れている。
鹿おどしがカーンと鳴り響くその音が、雨にうずもれていつもより遠く聞こえる。
傘に落ちる雨音がさびしさをつのらせていく。
ななかまどの実をつけたその枝をときおり折れば、彼との道筋が分かるから。
「なんで枝折ってんだ?」
「はは…どうしてでしょうね」
「菊……? お前……、泣いているのか?」
(ギクッ)
菊は慌ててアーサーから顔をそむけた。
「雨粒、ですよ……」
「――傘かぶっているのに?」
「ええ」
開き直った菊は涙をうっすら浮かべた瞳のまま、アーサーのことを見上げた。不安定に揺れる珠が一つくずれ、頬をつたってゆく。
「貴方と一緒に私がいたことを忘れたくなくて…」
言の葉は自然に出てきた。アーサーが涙の痕を指先でそっとぬぐってくれる。
「泣くな、菊……」
「私も貴方のことが好きです。もう会えないなんて言わないでください……」
ひらりはらり一葉ずつもみじが雨に散る。
と、いつのまにか繊細な指先で菊はあごをアーサーに持ち上げられていた。アーサーのことをひたと見つめる。すると涙がどっと溢れてきた。
「菊」
「はい」
「俺のものになってくれるのか……?」
「はい。喜んで」
優しいその接吻は、甘酸っぱい柚子の味と濃い抹茶の味がした。
つづく
――といってもクライマックスはここ。
今回は本命、朝菊(英日)(≧m≦)ぷぷぷ
実はヘタリアのBL小説としては処女作。
BLが苦手な方、BLの意味が分からない方、お逃げください!
まあぜんぜんエロくないですけど。
逃げましたね?!
では……
☆雨が降っていてもいなくても☆
※1970年代のヒット曲「雨の物語」(イルカ)をもとにして作りました。イルカは「なごり雪」が有名ですよね。
「雨の物語」……悲恋なのに叶う恋の物語にしちゃいました、てへ。
YouTubeにものっているのでよかったら聴いてみてください。
「窓の外は雨~♪ 雨がふぅってる~♪」
「フェリシアーノ君。陽気ですね」
「菊もほら、歌おう。星がでてる~♪」
「……なんだかいま、めちゃらくちゃらな歌のように聞こえたのですが……」
「当たり前だよ。だっていま、俺が替え歌作ったんだもん」
ここは日本。
本田菊のうちだ。
イタリア人のフェリシアーノ・ヴァルガスと菊は、午後から菊の家で茶道を楽しんでいた。フェリシアーノがどうしても抹茶が飲みたいとやってきてしまったのだ。
「はあ…フェリシアーノ君、できましたよ」
「お茶菓子おいしかった!わあい!」
「まず飲み方を教えますね」
窓の外は雨。
露時雨がしとしとと降っている。
――そんなときに彼はやってきた。
「菊……いるか?」
「わ、アーサーさん!」
「わ、ってなんだ、わ、って。はあ……雨の日って憂鬱だな」
雨をコートからはたきながら、そこでため息を吐いているのは白皙の美男子、アーサー・カークランド。
「そうですか?」
「なになに~」
ひょっこりフェリシアーノが顔をのぞかせる、と思いきや一気に飛びのく。
「うわ!カークランドだ!なんでもするから叩かないで~」
そして、どこからともなく取り出した白旗をぶんぶん振り回す。
「あ゛? 今日は戦いに来たわけじゃない。つーか飲み終わったらお前帰れ」
「なんで俺が抹茶飲んでるって知ってるの?」
「口、鏡で見てみろよ」
アーサーはイギリス人だ。どすがきいた声音が怖かったのか、フェリシアーノは携帯電話を取り出した。
「ひええ~ルートぉー、助けてよーカークランドがいるんだよー」
『フェリシアーノ!いま休戦中だろ。ちょっとのことで電話するな!』
携帯電話のむこうから、ドイツに住むルートヴィッヒの怒鳴り声と鳩時計のぽっぽっという鳴き声が、菊とアーサーのところまで聞こえた。
「わーん」
「アーサーさんもお茶、どうですか?」
泣くフェリシアーノをよそに、菊はアーサーを家に迎え入れた。
「え、いいのか?」
「もちろんですとも」
「お、俺、じゃあ帰るね! カークランド怖いよー」
「本人の前でよくそんなことが言えるな…あきれてもう何も言えねえ」
「はい。本日はまことにありがとうございました。またいらっしゃってくださいね」
菊はうきうきした気持ちで再びお茶をたてる。
(私ったらどうしたんでしょう。アーサーさんが来るといつもそわそわしちゃって……)
「なんか菊の様子見てるとほのぼのしてくるな」
(ギクッ)
菊は赤面したまま、アーサーのほうをちらり見遣る。この金髪の美男子は、眉毛だけ妙に太くてそこがとても可愛くて。
「このお茶菓子おいしいな。柚子餡か。だけど甘みがなんかいつもと違うような気がするんだよな……」
「さすが、アーサーさんです。蜂蜜を上新粉に混ぜて作ったお菓子なんです」
「おー」
「アーサーさんに喜んでいただければ私、幸せです」
「うんっ、うまいぜ」
「ではお茶をどうぞ」
「ありがとな、菊。いつも、敵の俺を気遣ってくれて……」
「……?」
「今日来たのはこれを言うためだ。俺は――、俺は、お前のことが好きだ。その……、男子間の友情よりも…って俺だけか」
「え……」
菊は目を見開いた。アーサーとは日英同盟が失効した今でも親しく交流していた。そして菊は、アーサーのことを同性とはいえその美しさに惹かれ惹かれて恋愛対象として見てしまっていた。そのアーサーが、いま、何を言ったのか、菊にはとっさには理解できなかった。
「けっこうなおてまえで」
そう言うとアーサーは茶碗を置いた。
「夕べ、考えたんだ。別れよう……って付き合っているわけでもないし、変か。俺たちは敵同士にもうすぐ戻る。だから俺はもうお前の家に来ないし、お前も俺と喋らない」
「そ、そんな……」
急な物言いに菊は絶句するほかなかった。そんなの嫌です、心ではそう思っているのに、それが言えなかった。
玄関で靴を履いてアーサーが外に出る。
「あ、あの、アーサーさん。せっかくだし庭を廻りませんか?」
やっと吐いた言葉は空気のように薄れていた。しかし、アーサーは聞き返すこともなくその言葉を拾ってくれていた。
「――せっかくだし見納めに見ておくか」
(そんな悲しいこと言わないでください……)
「あ、でも雨か。でも、雨の中、見て廻るのも風流でいいな。案内してくれ」
「は、はい!」
もみじが真っ赤な色をさらに赤く染めていた。
小菊の群れが重そうに濡れている。
鹿おどしがカーンと鳴り響くその音が、雨にうずもれていつもより遠く聞こえる。
傘に落ちる雨音がさびしさをつのらせていく。
ななかまどの実をつけたその枝をときおり折れば、彼との道筋が分かるから。
「なんで枝折ってんだ?」
「はは…どうしてでしょうね」
「菊……? お前……、泣いているのか?」
(ギクッ)
菊は慌ててアーサーから顔をそむけた。
「雨粒、ですよ……」
「――傘かぶっているのに?」
「ええ」
開き直った菊は涙をうっすら浮かべた瞳のまま、アーサーのことを見上げた。不安定に揺れる珠が一つくずれ、頬をつたってゆく。
「貴方と一緒に私がいたことを忘れたくなくて…」
言の葉は自然に出てきた。アーサーが涙の痕を指先でそっとぬぐってくれる。
「泣くな、菊……」
「私も貴方のことが好きです。もう会えないなんて言わないでください……」
ひらりはらり一葉ずつもみじが雨に散る。
と、いつのまにか繊細な指先で菊はあごをアーサーに持ち上げられていた。アーサーのことをひたと見つめる。すると涙がどっと溢れてきた。
「菊」
「はい」
「俺のものになってくれるのか……?」
「はい。喜んで」
優しいその接吻は、甘酸っぱい柚子の味と濃い抹茶の味がした。
つづく
――といってもクライマックスはここ。
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