採決の際は、現法案に反対する立憲民主党や共産党、社民党などの議員が採決しないよう大声で求め、採決を阻止しようとする議員らの怒号が飛び交い、委員会室は騒然とした空気になった。

れいわ新選組の山本太郎氏は、杉久武委員長(公明党)の背後から飛びかかろうと試みたが、委員長席の周りを固めた与党議員に阻まれてかなわず、委員長は法案の可決を宣言した。

採決に先立ち、討論に立った立民の石川大我氏は「数千人の人の命を危険にさらす法律。断固反対だ」と反対を訴え、共産党の仁比聡平氏は「今からでも遅くない。法案撤回の決断をしないと、当事者や支援者の思いを断ち切ることになる」と斎藤健法相に求め、審議を尽くすよう求めた。

改正案は、不法滞在などで強制退去を命じられても送還を拒む外国人の退去を進め、入管施設への長期収容を解消するのが目的。入管当局は、送還を逃れる意図で難民申請を繰り返すケースが多いとみていて、難民申請中の本国への強制送還停止を原則2回に制限する。しかし、本国で迫害の恐れがある人まで帰してしまうとの懸念があり、人権上の観点から反対の声が出ている。改正案は9日の参院本会議で与党などの賛成多数で可決、成立する見通し。

 

 

 政府、与党内で6日、今月21日までの通常国会会期の延長論が浮上した。入管難民法改正案と防衛費増額の財源確保特別措置法案を巡る与野党対立が激化し、審議日程が窮屈になる可能性が高まったためだ。与党は立憲民主党提出の斎藤健法相の問責決議案を7日の参院本会議で否決し、審議を急ぐ方針。立民が会期内に内閣不信任決議案を出せば、岸田文雄首相が衆院解散で対抗するとの観測も消えていない。

 自民党の梶山弘志幹事長代行は記者会見で、衆院の早期解散論を巡り「いつ解散があってもいいよう準備する。首相の裁量の範囲を広げておくことが党役員の仕事だ」と述べた。

 入管難民法改正案の成立は、当初想定していた2日から大幅に遅れている。防衛財源確保特措法案についても、立民が酒井庸行財政金融委員長(自民)の解任決議案提出などで採決を阻止すれば、成立が21日の会期末近くまでずれ込む可能性がある。

 与党からは、立民の出方次第で、会期を1週間から10日程度延長させて確実に成立を図るべきだとの声が出ている。

【共同通信】