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弁護士・元ロースクール教授宮武嶺の社会派リベラルブログです。

とうとう、日本銀行までもが信用しなくなったアベノミクス幻想。日銀が内閣府に賃金統計の元データを出せと要求!

2018年11月14日 | IT・経済

GDPがマイナス1・4%になったのに実体経済は良好という安倍首相と、それをそのまま垂れ流すNHK。より

 

 

 2018年11月13日付けの日本経済新聞が

「国内総生産(GDP)など基幹統計の信頼性に日銀が不信を募らせ、独自に算出しようと元データの提供を迫っているのだ。内閣府は業務負担などを理由に一部拒否しているが、統計の精度をどう高めるかは、日本経済の行く末にも響きかねない大きな問題をはらんでいる。」

とスクープしたことが大きな波紋を呼んでいます。

 なにしろ、日銀の黒田総裁は大規模な金融緩和でデフレを脱出するという「アベノミクス」の主役なのですから。

 日経は続けて

「日銀の不信には一定の根拠がある。例えば厚生労働省が毎月まとめる賃金に関する統計。今年1月に統計手法を変えたところ前年同月比の伸び率が跳ね上がった。これには専門家から異議が噴出。統計委員会でも俎上(そじょう)に載り、この賃金データを基にまとめる内閣府の報酬統計も修正を迫られた。」

と書いています。

安倍首相の誇大宣伝と裏腹に日本経済の実態はひどいことになっている。

日本経済新聞 「成長率、7~9月期マイナスへ 年率1.0%減 民間予想」 より

 

 

 

 この問題を真っ先に取り上げたのは西日本新聞でした。

 2018年9月12日、西日本新聞は、厚労省が発表している賃金関連統計である「毎月勤労統計調査」が2018年に入ってからデータ作成手法を変えたことで、統計上の賃金が高くなっているとすっぱ抜きました。

 この毎月勤労統計調査とは、厚労省が全国約3万3000の事業所から得た賃金や労働時間のデータをまとめたもので、従業員に支払われる「現金給与総額」(名目賃金)などが公表される統計です。

 これが、2018年になってからというもの、月ごとに発表される前年比増加率が2017年の平均0.4%を大きく上回るようになり、とうとう8月に発表された6月の同調査では、労働者1人当たりの現金給与総額(名目賃金)の平均が前年同月比3.3%増を記録したのです。

 さらに、内閣府の「雇用者報酬」も「毎月勤労統計」を用いているために、同様に上向きにぶれているというのです。

 どんな専門家が見てもそんなに賃金が上がっている傾向は全くないと批判され、とうとう10月になって、内閣府は同統計を基に算出している統計「雇用者報酬」の実績値を異例の下方修正に踏み切ることにしました。

めちゃめちゃ高めに出ている現金給与総額。しかもこれは名目なので物価上昇を加味すると実質賃金はむしろ下がっている。

安倍フェイク政権!厚労省が賃金上昇率を実際より高く出して、内閣府がそれをもとに雇用者報酬を高めに計算し、景気判断を上向きに公表していた!

 

 

 そもそも、安倍首相はアベノミクス第何弾とかで

「戦後最大のGDP600兆円を実現」

を目標に掲げていますが、このために安倍政権は2016年にGDPの推計方法を変更し、「研究開発投資」という項目を追加して加算するなどの見直しをおこなった結果、2015年度の名目GDPは、旧基準では500.6兆円にしかならないところが532.2兆円と、30兆円以上も水増しされています。

 これは、安倍政権になってから一人当たりの名目GDPが統計史上最低になって、民主党政権時代より2割減になったからなんですね。

 

アベノミクスは史上最低の作戦。1人当たりのGDPが民主党政権時代より2割以上減、統計史上最下位に!

 

 

 このように安倍首相が政権維持のために統計をいじり倒した結果、日銀が責任をもって金融政策を決められない事態となってしまい、内閣府に統計の元データを出せと要求せざるを得なくなったわけです。

 ところが、内閣府は拒否。

 そりゃあ、データを水増しした証拠が明らかになってしまいますから出せませんよね。

 安倍首相の改憲の野望達成のために、一国の中央銀行が自国の経済がどうなっているのかわからなくなってしまっているという異常な状況。

 あまりにも酷すぎます。

偽りの経済政策――格差と停滞のアベノミクス (岩波新書)
岩波書店

なぜ今も経済の停滞が続くのか、本当に雇用は回復したのか、金融緩和でデフレからの脱却は成功したのか、格差は広がっているのか……安倍政権と黒田日銀による経済政策を徹底検証。まやかしの「成果」のからくりを暴き、アベノミクスの実態を鋭く批判する。その先に見えてきた、経済学が果たすべき役割とは。

 

官僚たちのアベノミクス――異形の経済政策はいかに作られたか (岩波新書)
岩波書店

「国家意思」は、どのように政策として形作られ、貫徹していくのか。政府・日銀の歴史的な「共同声明」作成のプロセス、「二」並びの目標数値の出所など。官邸、経済省、財務省、金融庁、日銀、財界、有識者…誰が、どう動いたのか。圧倒的な取材力を誇る著者が、異例の政策の生成過程をつぶさに再現する。

 

 

 

経済統計だけはいじったらダメなんですよ。安倍首相が辞めた後の政権もおかしな統計に基づいて間違った経済政策をとることになりかねないのですから。
一政権だけの問題ではないので禁じ手、ご法度です。

安倍政権の罪は本当に重い。

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政府統計、信頼に揺らぎ GDPなど日銀が不信感

 


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2 コメント

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日銀 分裂? (バードストライク)
2018-11-15 06:39:07
ブルーミングバーグ、11/13より。

> 日本銀行の資産が日本の名目国内総生産(GDP)の規模を超えた。
日銀が13日公表した営業毎旬報告によると、10日時点の資産は553兆5923億円と、年率換算した4-6月期の名目GDPの552兆8207億円を上回った。

  保有資産のうち国債は469兆1410億円。日銀が国債買い入れを柱とする異次元緩和を開始する直前の2013年3月末の資産額は164兆円だった。
異次元緩和が始まって5年以上たった今も2%物価上昇目標達成は遠く、9月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比1.0%上昇にとどまる。金融正常化が進む米欧との距離が広がる中、異次元緩和の副作用への懸念も強まっている/


お金を使うのは好きだが稼ぐ能力がなく、経済のことは分からない お花畑脳🌼 のわたくしでも、なにやら大変な事態が起きていることは察している。

(言い訳ですが、経済の記事も見てるし、経済本もたまには読むんですよ。でも基礎知識がないのでよく理解できない。そしてそういう状態だと、適切な本の選択もできない)

で、安倍のために “ 株価を高く保 ” つ目的で異次元の緩和のみならず、ETFの爆買いをした結果、日銀が大株主の上場企業は 4割以上を占めるようになった、ということですが・・・

で、安倍の片腕となったクロダが総裁を務める日銀が今さらこんなことを言い出すって・・・

日銀内部の権力闘争ですか?
(しかもそれを安倍の提灯持ちたる日経新聞が報じてる)
それともいよいよヤバくなったので、内閣府に責任転嫁して逃走を始めたのか?

CNNによると、世界で一番 富裕層(個人資産33億円以上)の住む都市は香港、次がニューヨーク、3位はなんとここ20年、全く経済成長せずデフレに苦しむ東京、だそうで・・・

「政治への無関心」がここまで日本を荒廃させた元凶でしょう。
そしてこれはまだ底を打っていないのです。
返信する
日銀さん、ちょっと遅すぎやしないかい? (リベラ・メ(私が本物))
2018-12-31 18:04:39
日銀さん、政府に直談判するのが遅すぎやしないかい?心ある専門家やエコノミスト(森卓さんとか浜矩子さんとか)があれだけ忠告したのに聞かなかったから、こんな事態を招いたんだよ。「何だ今更かよ」って思わないでもないけど、気付いたのなら、徹底的に迫って行きなさいよ。
返信する

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