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Photograph from Japan Maritime Self-Defence Force via Reuters
内部被曝もあまり知られていなかったそうで、このブログで初めて聞いた、という方々がたくさんおられたそうなので、ひょっとして、食物連鎖による生物濃縮もあまり知られていないのかと思い、あらためて注意を喚起する次第です。
イメージとしては、海中に放射性物質を多量に含む汚染水が流される→プランクトンが放射性物質を取り込む→イワシなど小魚がそれを食べて放射性物質を濃縮してさらに体内に貯め込む→マグロなど大型魚類が小魚を食べてさらに放射性物質を濃縮して貯め込む→人間がそのマグロを食べる
という感じです。
海中のマグロ自身が、放射性物質を直接取り入れることはもちろん別にあるわけです。それに加えて、食物連鎖の上位者として、放射性物質が濃縮されて蓄積されていくわけです。
カドミウムが生物濃縮されて人間が食べるとイタイイタイ病になる、水銀だと水俣病になる、という具合です。
ならば放射性物質が生物濃縮されれば、カドミウムや水銀にはない半減期はあるもののセシウムなんて半減期30年ですから、「原爆症」=放射性物質で被曝したことでの後障害、になるのではないですか。
海の水の放射性物質濃度を言うばかりで、この食物連鎖による生物濃縮を、東京電力や原子力保安院、マスメディアも全然言わないでしょう?一番、最近の記事が末尾の産経新聞です。水産庁が大丈夫だと記者会見したという記事なんですが、私にはにわかに信じられません。ナショナルジオグラフィックの記事にあるように、まだ、放射能汚染についての生物濃縮を誰も研究していないんですから。
現在、「高レベル」放射能汚染水と「低レベル」放射能汚染水が、毎日何千トンも流されている日本の海で、刻々と放射性物質の生物濃縮が起こっていることだけは間違いありません。
放射能汚染水、海洋生態系への影響は?
ナショナルジオグラフィック ニュース 2011年4月4日
Christine Dell'Amore for National Geographic News April 4, 2011
3月11日の東日本大震災による福島第一原子力発電所の事故の影響で、高濃度の放射能汚染水が海中に流れ出ている。止まらなければ、海洋生物への放射能汚染が深刻化する可能性があると専門家は指摘する。
「New York Times」紙によると、福島原発付近の太平洋沿岸で海水調査が3月23日から開始され、セシウム137、ヨウ素131をはじめとする放射性同位元素の濃度上昇が確認された。 陸海を問わずすべての生物が一定量の電離性放射線を自然に浴びている。高周波の放射線は高エネルギーのため、被曝するとDNAの損傷を招くが、軽度のDNA損傷であれば自然に治癒する。だが、人工放射線は大量に被曝すると修復は困難になりやすい。原発周辺の海水の放射能濃度は日ごとに変動していたが、3月30日には法律で定めた濃度限界の3355倍に相当するヨウ素が検出されたと、原子力安全・保安院はAP通信に述べた。4月1日現在、これは事故後最高の数値で、放射性物質の海への流出を示すという。だが、汚染水のルートは複数あるとみられ、流出源は突き止められていない。また、3月28日には安全基準の20倍にあたるセシウムも検出されたと「New York Times」紙が伝えている。 水産物への「濃縮・蓄積はほとんどなし」 水産庁が説明会2011.3.29 16:58 産経新聞
追伸
早速こういう事態になってきました。
水産庁、検査強化 「魚の体内で濃縮せぬ」の見解再検討2011年4月5日12時23分 朝日新聞 福島第一原発から約70キロ南にある茨城県北茨城市沖で採ったイカナゴ(コウナゴ)から高濃度の放射性ヨウ素が検出されたことを受け、水産庁は5日、水産物の放射性物質検査を強化することを決めた。茨城県のほか、千葉、神奈川両県と東京都で、品目を広げて5日から1日おきに調べる。 これまで茨城県内では各漁協が任意で検査してきた。水産庁は5日から茨城県と連携し、水揚げの多い那珂湊漁港を中心に、イカナゴのほかイワシやヒラメなど多くの魚種で検査する。他都県分についても水産総合研究センター(横浜市)で分析を補助する。 放射性物質の影響をより受けやすいとされるワカメなどの海藻は、漁期ではないことから当面見送り、魚介類を優先して調べる。同庁は「茨城県沖では現在、漁業は実施されていない」としている。 水産庁は「放射性物質は魚介類の体内では濃縮されない」としてきた。しかし高濃度で検出されたことから、専門家に再度分析を依頼することも決めた。魚介類についてヨウ素の基準がないため、鹿野道彦農林水産相は5日、食品安全委員会に設定を求める考えを示した。
東日本大震災:茨城産コウナゴ、ヨウ素4080ベクレル 検査用採取、魚の基準値検討毎日新聞 2011年4月5日 東京朝刊 厚生労働省は4日、茨城県北茨城市の平潟漁協が検査用に採取したコウナゴから、1キロ当たり4080ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと発表した。食品衛生法の暫定規制値は魚についての放射性ヨウ素の基準を設けておらず、厚労省は県に、コウナゴの取り扱いを慎重にするよう求めた。同省は早急に基準値の検討に乗り出す方針。 厚労省によると、このコウナゴは、出荷されていない。規制値は、放射性ヨウ素について飲料水や牛乳は1キロ当たり300ベクレル、野菜については2000ベクレルとしているが、魚は海水で薄まり蓄積されないとされ、基準がない。
魚介類、出荷規制検討も=枝野官房長官時事通信 2011/04/05-12:46 枝野幸男官房長官は5日午前の記者会見で、茨城県北茨城市で水揚げされたコウナゴから放射性物質が検出されたことについて、「非常に高濃度の水が流れ出ていたということに起因するものだ」として、東京電力福島第1原発の放射能漏れ事故が原因と説明した。その上で、魚介類に出荷・摂取規制を設けるかどうかについて「モニタリングで海水の汚染の状況をしっかりと分析して進めていきたい」と述べ、検討する考えを示した。
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公害の原因となった水銀は濃縮係数360~600倍ですから、セシウム等は高くは無いけど影響がないわけでもないです。
なにかしらの対策は確かに必要かと思います。
ペコリ(o_ _)o))