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33校72人の教員が計115件の体罰事件を起こしていたことが明らかになった大阪府の松井一郎知事が、2013年3月末に任期を迎える中西正人教育長の後任として、民間から府立和泉高校(岸和田市)校長に招いた中原徹氏の起用で最終調整しているそうです。
府教育委員会事務方トップの教育長への民間出身者登用は異例のことですが、2月21日開会の定例府議会に提案する方針とのこと。
中原氏は橋下徹大阪市長の早稲田大学時代のご学友で弁護士仲間でもあり、2010年に当時全国最年少の民間人校長に登用されたという、橋下維新の会の「お友達人事」の典型の人です。なんでも公募が好きな橋下維新の会なのに、どうしてこの人だけいつも公募じゃなくていきなり任命なのでしょう。
そういえば、橋下市長は「橋下徹後援会」会長の息子さんを特別秘書にして、勤務の実態もないのに大阪市の税金から高額の給与を支払っているとして、さきごろ住民監査請求を起こされ、給与を返還請求されました。
憲法学者の上脇博之先生のブログから
橋下市長特別秘書の疑惑に市民79名が監査請求(アジアプレスの報道とヤフーニュース)
さて、この中原校長は、2012年3月の卒業式では、大阪府君が代条例で起立斉唱を義務付けられた君が代を教職員が実際に歌っているか、和泉高校の教頭らに教員の口元を監視するよう指示して、まるで北朝鮮のようだと大きな批判を受けました。
これに対して、中原校長は、同年3月13日のブログで
「(府教委に問い合わせたところ)明らかに歌っていない教職員をチェックしてくれればよいとの指示を得た」
「府教育委員会からの職務命令・指示を順守した」
と書き、口元チェックは教育委員会の命令だと主張して、自分たちの責任ではないと強弁しました。これに呼応して、橋下氏もツイッターなどでマスコミの誤報だなどと強調しました。
しかし、そもそも、橋下・松井維新の会が君が代条例を作って君が代斉唱を徹底しろと教委や教育現場に言ったのがすべての始まりなのに、いざとなると教委に責任をなすりつける姿勢は、橋下氏に関してはいつもどおりなのですが、中原氏も双子のようで印象的でした。
こんな調子の人ですから、中原氏が教育委員会入りして教育長になれば、堂々と全学校長に君が代斉唱口元チェックを指示するのでしょうね。なんとまあ、殺伐とした全体主義的な卒業式になることでしょうか。
生徒たちの晴れの卒業式なのですから、生徒たちを見てやってほしいものです。
君が代斉唱のときの姿勢までチェックしている橋下大阪市長はマジで全体主義者なのか
石原都政の君が代不起立教諭に対する停職処分に東京高裁が賠償命令 橋下君が代・職員基本条例も断罪された
(ボクシングの亀田選手のチャンピオン戦で君が代を歌って、その「美声」が波紋を呼んだ橋下市長と松井府知事)
さて、ちょうど良い機会ですので、教育委員会制度の改革についてその2を書きたいと思います。
結論としては、教育長だけではなく教育委員を全員常勤にします。そして、教育委員会の委員を選ぶ方法を選挙による公選制にし、辞めさせるのも首長だけではなく、市民の意思で辞めさせるリコール(解職)制度も充実させればよいと思います。
これで、教委の行動力アップ、教育への民意の反映と政治からの独立がすべて達成できます。
教育委員会をどう改革するか1 不祥事・隠蔽続出 それでも教委は必要です
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(全国都道府県教育委員会連合会ホームページより)
ここで、現在の教育委員会制度を概観しますと、上の図のように、教育委員会は地方自治体の首長が議会の同意を得て任命する、原則として5人の教育委員で教育委員会を構成し、代表者である教育委員長を選出することになっています。任命権・解任権は首長が独占しているのです。
次に教育長は委員のうちから教育委員会に任命され、教育委員会事務局を統率し、教育委員会の決定に基づき事務全般を執行します。そして、教育委員のうち教育長のみが常勤で他の教育委員は非常勤です。
この非常勤の委員には意味があるとされています。つまり、教育委員会制度は、一般人(レイマン)である非常勤の委員で構成される教育委員会の委員の合議により、大所高所から基本方針を決定し、それを教育行政の専門家である教育長が事務局を指揮監督して執行するという「レイマン・コントロール」のもとに運営されているのです。
しかし、このままだと、教育長と教育委員の力関係はどうしても教育長が上になってしまいがちです。その悪い例が大津ですね。
大津の中学生いじめ自殺事件で驚いた教育長の一言 そして教育者と司法は今まで何をやってきたのか
教育委員会をなくして地方自治体の首長と行政組織がいきなり教育現場に指揮命令するなどという乱暴な議論も一部にはありますが、教育がきわめて繊細な専門領域であるということを無視していますし、政治がダイレクトに教育内容にかかわるべきではありません。行政はあくまで教育の環境整備という裏方に徹するべきなのです。
その点、今のように首長が教育委員の任命権者ですと、教委への政治的介入が可能な反面、教育への民意の反映は間接的になります。今回のように、中原校長は弁護士を経て校長職を数年やっただけですから教育行政の専門家とは言えないのに、維新の会幹事長の松井大阪府知事が、維新の会の共同代表予定の橋下大阪市長のお友達を教育長にするような弊害も起こりえます。
教育は地元の子どもたちと保護者たちにとって非常に重要な、しかも生活に密着した問題ですから、選挙になじみます。ですから、教育委員は首長が上から選ぶのではなく、保護者らが選ぶ制度にすべきでしょう。そうすることで、教育が時の権力者によって左右されることもなくなります。
そもそも、1948年の教育委員会法では、教育行政の地方分権、民主化、自主性の確保の理念、中でもそういう教育の特質にかんがみた教育行政の安定性、中立性の確保という考え方のもとに、教育委員会は地方自治体の長から独立した公選制・合議制の独立行政委員会とされ、教育予算・条例の原案送付権や小中学校の教職員の人事権などを持ち合わせていたのです。教育委員会はもともと公選制を前提とした制度だったのです。
また、教委が体罰やいじめを隠ぺいすることはこれからも起こりえます。選挙で選んだだけでは、どこかの市長のように「僕に問題があれば選挙で落としてくれればいい」と開き直り、次の選挙まで問題が継続することが大いにあり得ます。下からの突き上げで教育委員を辞めさせることができるように、リコール制度を充実(容易化)させるべきでしょう。
さらに、教育長だけが常勤ですと、教委は実質的には教育長とその指揮下の事務局が権限を握ることになり、教育委員会制度の意味がなくなります。レイマンコントロールの思想は初期は良かったのですが、教育現場が複雑になっているのに非常勤の委員が全体を見わたすというのは今では非現実的ですから、全員を常勤にすべきです。
次回は、文科省、地方自治体、教委、学校長、教員、保護者、子どもの教育内容決定の権限分配について書きたいと思います。教委は都道府県と市町村にもあるので複雑な問題があります。
しかし、よりによって口元チェック校長を今の時期に教育長にしますかね。
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松井一郎大阪府知事は、弁護士出身の中原徹・府立和泉高校長(42)を新たな府教育長に起用する方針を固めた。3月末で府教育委員を退く中西正人教育長の後任として、21日開会の定例府議会に教育委員の任命案を提出。可決されれば、教育委員会議で教育長に任命される見通し。
中原氏は前知事の橋下徹大阪市長と同じ早稲田大出身で、在学時からの友人。日本、米国での弁護士活動を経て府立高校長の公募に応じ、2010年に当時全国最年少の民間人校長に登用された。
国際社会で通用する人材の育成を掲げ、英語力の強化に力を注いだ。昨年3月の卒業式では、府条例で起立斉唱を義務付けられた君が代を教職員が実際に歌っているか、教頭らにチェックするよう指示して物議を醸した。
知事が教育方針を定める条例が昨年施行された大阪府では、「国際社会で自立して生きる人づくり」などを掲げた教育振興基本計画が今年4月からスタートする。中原氏は、橋下氏らが進める「教育改革」路線に賛意を示しており、松井氏はその経験と手腕を重視し、今後の教育政策の旗振り役として期待を寄せているとみられる。
(2013年2月19日8時21分 朝日新聞デジタル)
君が代斉唱時、教員の口の動きも報告 大阪府立和泉高
2012年3月13日13時22分 朝日新聞デジタル
大阪府立和泉高校(中原徹校長)の卒業式で、君が代斉唱の際、教員が起立したかどうかに加え、実際に歌ったかどうかを管理職が口の動きでチェックして府教委に報告していたことがわかった。府教委は起立斉唱を求める職務命令を全教職員に出しており、メールで報告を受けた橋下徹大阪市長は「これが服務規律を徹底するマネジメント」「ここまで徹底していかなければなりません」と賛辞を送っていた。
橋下氏は、起立斉唱を義務づけた君が代条例を成立させた大阪維新の会代表。取材で入手した中原校長のメールによると、教頭が全教員の口の動きを目視で確認。「3名の口が動いていなかった」と報告を受け、3人を校長室に呼んだ。2人は「斉唱した」と話したが、1人は「起立だけでよいと思った」と話し、歌わなかったことを認めたという。
中原校長は「他校の校長は『斉唱』まで確認していないと思います」「確認していたとしても『起立していればよい』と仲間をかばって報告していないと思います」「ちなみに3人とも組合員」と報告していた。
府教委は「中原校長は職務命令を忠実に実行した」との立場で、1人を職務命令違反で処分することを検討中。府教委はこれまで、国歌斉唱で起立しなかったと報告を受けた17人を戒告処分にしたが、斉唱しなかった教員を報告してきたのは和泉高校だけという。
2人のメールのやりとりを知った府教委の生野照子委員長は「いったい、お2人はどうなされたのか」「もっと悠々たる度量でご検討を」と橋下氏と中原校長にメールを送っていた。
中原校長は橋下氏の大学時代からの友人で、米国の弁護士などを経て2010年春に校長就任。橋下氏は13日、報道陣の取材に「そこまでやっていない大阪の高校の方がおかしい」と話した。
毎日新聞 2013年02月15日 12時26分(最終更新 02月15日 13時11分)
大阪府教委は15日、大阪市立桜宮高校の体罰問題を受けて府立学校の教職員を対象に実施した調査の結果を教育委員会議に報告した。33校の教職員72人が計115件の体罰を加えていた。うち18人23件はけがをさせたり、繰り返したたいたり悪質性が高かった。府教委は体罰の程度や常習性などを考慮して処分する。今回体罰が判明した学校と、調査以前から体罰が確認されていた学校の計40校の生徒約3万人を対象に詳細を把握するためのアンケートも始めた。
調査は1月中旬から高校と支援学校の全185府立学校(定時制、分校含む)で実施。在校生に対する体罰の有無を、各校長が教職員から聞き取った。
内訳は、高校32校69人の97件と、支援学校1校3人の18件。授業中が40件で最も多く、部活動中35件▽生徒指導中14件と続いた。大きなけがをさせたケースはなかった。体育系学科の入試が中止となった桜宮高の「受け皿」として募集定員が増員された大塚高(松原市)では生徒指導中の体罰があった。
「授業中に寝ている生徒を起こすため背中をたたいた」「修学旅行で深夜に騒いだ生徒を10~15分正座させ説教した」などの申告は体罰に当たらず指導の範囲内だと判断し、除外した。
また、府教委は調査以前に学校や生徒から体罰の申し出を受けていた教職員の処分も会議で公表。昨年12月、生徒指導中に男子生徒の頬や頭を9回たたき尻を蹴るなどした府立支援学校の男性教諭(43)を停職3カ月としたほか、この支援学校や他3中高の計4校4人を減給とした。【林田七恵、熊谷豪】
「橋下市長の特別秘書は不要」 大阪市民ら給与600万円の返還請求
橋下徹大阪市長の特別秘書の奥下剛光氏(37)は職務上必要なく、市税の無駄遣いだとして、大阪市民79人が13日、平成24年2月~25年1月の特別秘書給与など約600万円の返還を求め、住民監査請求した。
請求は、奥下氏の業務は橋下市長からの特命事項に関する連絡調整などであり、毎日生じるものではないと指摘。情報公開請求の対象とならず監視する仕組みもないため、業務の実態は不明だと訴えた。
また奥下氏の母親は政治団体「橋下徹後援会」会長であることから、後援会関係者の採用は、市長の裁量権を大幅に逸脱する行為で違法だと強調した。
奥下氏は日本維新の会共同代表を兼務する橋下市長の公務だけでなく、政務にも関わっている。
奥下氏の採用について、橋下市長は記者団に対し、「条例に基づいており、問題はない」と述べた。
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させた校長(呼びたくもない)ですよね。
今高校に電話したら「校長は取材中です。切りますよガチャ」でした。なんて対応でしょう?
適切でない時期に物議をかもす時期にあえて
発する橋下独自のやり方ですよね。
反応するほうがばかばかしいですね。
教育委員会からの指示でしょう。
北朝鮮か。
会社の業務命令に従わない従業員が注意を受けるのは当たり前でしょう。
君が代が嫌なら公務員になるなというのは、過去の同じ愚行をまた繰り返す行為に他ならない。
アメリカも含めて、先進7カ国を含めて国歌斉唱を強要しているのは日本だけです。思想・良心の自由に国家は立ち入ってはいけないというのが、普通の自由主義・民主主義国家では共通認識です。
思想・良心の自由に干渉する業務命令は、それ自体がそもそも問題です。数学の先生が数学を教えるのは仕事でも、君が代を強制されるのは本来の業務ではない。
府の教育委員会がOKを出したことなのに、批判はすべて市長なのですね。
何故、教育委員会を批判しないのですか?
たとえ市長が圧力をかけたとしても、命令は教育委員会が出したのですよ。
よく最近「お友達人事」と中央でも言いますが、トップの近くには、同じような考えを持つ人(決してイエスマンではない)を配置するのは、当たり前のことだと思うのですが、ことあるごとに対立する人とは、一緒にやっていけるはずも無いと思います。
「歌を歌うこと」は業務ではありません。
そんなことを業務にし、あまつさえ「命令」とするような団体は、そのこと自体がおかしいと思います。
会社の業務命令に従わない従業員が注意を受けるのは当たり前でしょう。
以下私の意見・・・
全然当たり前ではありません。 会社では入社式などで社歌も君が代も歌う機会ととしてはありましたが、歌うことは業務命令などではありませんでした。
歌っている人もうたってない人もいました、当然会社からから「お咎め」なんかありません。勿論「社歌を歌わないなら会社を辞めろ」とか言われることはないです。
しかし橋下の言うことを支持してる方は思考回路が短絡してるのではないか?とつくづく思ってしまいます。
もっというなら・・業務命令なら何でも従わなくてはいけないないのでしょうか?法律違反で理不尽な命令でも?・・
ブログ主様は教育委員会を批判されています。「教育委員会をどう改革するか1」と本記事をもう一度読み返してみては如何でしょうか。しかも、職業柄かなりお怒りのご様子かと。
ですので、橋下市長がすべて悪いのでは無いと思います。
でも、市長が圧力をかけるというのは、それはそれで問題ですよね。
「お友達人事」と言いますが、維新に関して言えば、代表者に独裁的な決定権があり、イエスマンが多いんじゃないですかね。旧太陽関係は多少ギクシャクしてますが。
そして橋下氏はほんとの身内(お友達)にはとことん甘いですよね。
それと、仕事辞めたくないんだったら歌えばいいじゃないですか。
そんな頑なになってまで歌いたくない人なんていないと思いますが。