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日経の見出しが「トヨタは海外に権限委譲を」なので、そうでなくてもナショナリズムを刺激するらしいこの問題で、また上にネのつくウの方々が騒ぐかもしれません。
「日本の雇用が減っているのに、トヨタをアメリカ化するつもりか」とか、「トヨタを陥れた奴を見つけるための第三者委員会を作れ」とか。
第三者委員会の言っていることは、トヨタの意志決定、指揮命令系統が硬直化していると言うこと。象徴的なのは日本の運命を左右するかも知れない巨大企業、世界に影響を与えるグローバル企業なのに、創業者の血筋と言うだけで経営者を選んでしまっていること。
「委員会の価値ある助言から多くを学んだ。提言に感謝する。顧客の期待を超える商品を提供する企業となるよう努力を続ける」というコメントを出した豊田章男社長がコメント通り助言から多くを学んだのであれば、社長を辞めた方がいいのです。
「この人、米国下院の公聴会に呼ばれたのに自分は行かない、現地法人の代表者に行かせるって当初言ってたんですよ!アメリカでは刑事事件として立件さえ視野に入れてるのに!!どんだけのんびりしてんねん!」
ひいおじいちゃんがトヨタグループの創始者の豊田佐吉さんです。4代目ですから、政界最上位世襲の麻生・鳩山クラスです。
2009年1月、新型プリウスをめぐる世界規模でのリコール問題が拡大するなか、ダボス会議への出席を優先して批判を受けました。表舞台での対応は佐々木真一副社長らに委ね、彼が記者会見を開いたのは2月5日でした。ですから、製品品質ではなく、経営者の質の問題」「世界標準を満たしていない」と言われ続けました。
彼は2009年6月の就任以来、たぶんいまだに一度も単独インタビュ-に応じたことがありませんから(凄)、「子ども店長」ならぬ「子ども社長」とも呼ばれてます(だんだん可哀想になってきた 笑)。
かたや政治の世界を見ると。
この二十年の歴代の首相経験者を見てみると、橋本、小渕、(森)、小泉純、安倍、福田、麻生、鳩山といったように、村山・森以外は世襲議員が総理大臣でした(世襲じゃない森がある意味、一番酷かったりするが 汗)。小沢も世襲。恐ろしい。
自民党の議員の3分の1以上が世襲です(民主党はそれでも6分の1以下)。
日本の選挙制度は一つの選挙区から一人しか当選できない小選挙区制が基本です。中選挙区制のときは無所属で出馬するという道がありました。現に、森喜朗、渡部恒三ら世襲ではない人たちは、無所属で国会に打って出ようとしたことがあります(むう、ろくでもない例だが)。
今は小選挙区制になり、その選挙区から一人しか当選できないので、無所属が立候補する余地がまったくなくなってしまったのです。国会議員というのは特別職の公務員です。それなのに世襲議員の場合は、特定郵便局長問題と同じで、親から子への相続、天下りも同然であり、地盤、看板、カバンまで引き継ぐことになります。カバンというのは金です。
選挙が候補者間に世襲と非世襲ではスタートラインから差があり、実質的には平等選挙ではなくなっています。そういうふうに世襲で固められてしまうと、能力と意志と高潔さがある人間が政治家になれなくなってしまいます。これは貴族政治のようなもので民主政の危機です。
さらに選挙で苦労しない世襲議員は閥務に集中できたりお金があったりして、派閥の領袖になりやすく、総理総裁にもなりやすく、小泉から鳩山まで10年も連続して首相が世襲でした。
封建社会か!半島の北側の国を笑えません。
実力社会であるはずの経済界も世襲。選挙で選ばれる政界も世襲。ついでにロースクール制度以降は法曹になるのに財力が必要で合格率は上がりましたから、法曹界も徐々に世襲?
東電の勝俣会長が辞めない!ということがまかり通る、責任を取らない日本の経済。
無責任世襲社会を延々と続ける余裕はもうないはずなのですが。
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「トヨタは海外に権限委譲を」 リコール問題で第三者委
トヨタのリコール問題:グローバル安全責任者が不在-品質特別委
5月23日(ブルームバーグ):トヨタ自動車が設置した外部識者で構成する北米品質特別委員会は、トヨタの中央集権的構造や外部の批評に対する懐疑的な姿勢、グローバルな安全責任者の不在といった問題点を挙げ、過去最大規模のリコール(無料の回収・修理)問題から立ち直るには、こうした点を改善する必要があると指摘した。
トヨタは、自動車の意図しない急加速により米国内外で数百万台規模のリコールを出した。豊田章男社長は2010年3月に同特別委員会を設置。ロドニー・スレーター元米運輸長官率いる同委員会は1年以上を費やしトヨタの経営事情を調査、23日に報告書を発表した。
同委員会は、トヨタは「グローバルでの中央集権化で多くの過失が見られた。ある程度は各地の管轄部門に今以上の権限を付与し、管理を任せるようバランスを変える必要がある」と述べた。報告書は、一連の欠陥は「情報の共有を妨げ、ミスコミュニケーションにつながった」と指摘、「品質・安全性の問題に対応する上で遅れを取った」と続けた。
原題:Toyota Advisory Panel Faults Lack ofLocal Control, Safety Chief
トヨタは「過度に中央集権的」 リコール問題で外部委が報告書
2011.5.24 08:41sankeibiz
【ワシントン=柿内公輔】トヨタ自動車がリコール(回収・無償修理)問題を受けて設置した外部の専門家による「北米品質アドバイザリー委員会」は23日、「過度に中央集権的で外部からの批判に耳を傾けない傾向があった」などの問題点を指摘する報告書を発表した。
パネルは昨年3月にトヨタに招聘されたロドニー・スレーター元運輸長官がトップとなり、トヨタの日米での生産・開発拠点の視察や豊田章男社長ら幹部の聞き取り調査などを実施。1年以上にわたって組織の問題点を調査していた。
報告書によると、トヨタは日本に権限を集中し、北米トヨタには品質や安全の問題に対処する不十分な決定権しか与えていなかったと指摘。また、社内の批評には積極的に反応するが、外部の批判への対応は後ろ向きだったと分析した。
その上で、「迅速な決定を行うため、北米事業の自主性を高めるべきだ」と提言した。また、部品供給での品質管理の強化や、北米全体を統括する最高経営責任者(CEO)の設置などを促している。
報告書の豊田社長は「委員会の価値ある助言から多くを学んだ。提言に感謝する。顧客の期待を超える商品を提供する企業となるよう努力を続ける」とのコメントを出した。
東京電力の清水正孝社長の後継社長として20日、昇格が決まった西沢俊夫常務は、留任する勝俣恒久会長と同じ企画畑の出身で、勝俣会長の「秘蔵っ子」(東電関係者)として以前から社長候補とみられてきた。電力政策を巡る政府などとの調整経験を評価したトップ人事だが、勝俣会長が経営を主導する現行の体制は温存された。
西沢氏は中央官庁や政界との折衝にあたる企画部門が長く、電力自由化が進む中で経営戦略立案の中心。福島第1原発事故後は政府と東電による統合対策本部の東電側事務局長を務め、政府とのパイプ役を担ってきた。清水社長は20日の会見で「課題が山積する中で粘り強い信念を持って取り組んでくれる」と起用理由を説明した。
西沢氏は会見で「抜本的な経営合理化に取り組む」と述べ、リストラの徹底を約束。民主党政権内にある発電・送電分離論について「安定供給や顧客の利益など、さまざまな観点から議論すべきだ」とけん制した。
総務部門が主流の歴代社長の中で清水氏は異例の資材部門出身。しかし、原発事故後は対応が後手に回る場面が多く、体調を崩して一時入院するなど、指導力を不安視する見方が強くあり、退任は既定路線となっていた。
一方、事故対応などで政府との調整を主導した勝俣会長は温存された。西沢氏の後見役を務める狙いと見られるが、内部登用には批判も予想される。勝俣会長が今後、退いた後、経営責任のけじめから外部登用論が高まる可能性もある。【山本明彦】
毎日新聞 2011年5月21日 東京朝刊