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靖国神社というのは、神社神道の中でも一つだけ独立した宗教法人になっているくらいで、非常に変わった宗教で、日本の明治以降の戦争で亡くなった人は、全部勝手に、英霊=神様として祀ってしまうんです。
今回の裁判では、韓国の方々で軍属として第二次大戦に徴用された方々が、戦争で亡くなり靖国神社で祀られていることが、宗教的人格権の侵害であると訴えたものです。
今回は、ご遺族だけでなく、まだ生きているのに!死んだものとして祀られてしまっている人まで原告になっているのですが、それでも請求棄却です。日本の裁判所は狂っていますね。
また、靖国神社が戦争で亡くなった方々を把握するために国から情報を得ていたのですが、これは国が特別な便宜を特定の宗教に図ることですから、政教分離原則に反しているということが争われたのです。大阪高裁では当然、政教分離原則違反と認められたのですが、東京地裁はこんなに明らかな憲法違反についても「靖国神社を特に手厚く支援したものとは断定しがたい」と言っています。ほかの宗教法人には一切こんな便宜は図っていないのに。何を言っているんでしょう。
判決では、原告らは他者の信仰に寛容でなければならない=靖国神社の信仰に寛容であれ、と言っているのですが、亡くなった方がどんな信仰を持っていたか無視して自分の神社で祀ってしまう靖国神社のやり方が、他者の信仰を踏みにじるものだからこそ問題になっているのに、靖国神社に対してだけ、全世界の人が寛容であれという判決そのものが政教分離原則違反というべきです。
本人や遺族が嫌がる場合には、祀る対象からやめることくらい、靖国にとっては簡単なことではないですか。
なにか特定の宗教を信じている方ならわかってもらいやすいと思うのですが、他の宗教で神様にされて祀られてしまったら、自分の宗教への「裏切り」でしょう!?たとえば、自分がキリスト者であるとか、無神論者であるとか仮定したら、日本の神社神道で祀られたら、人格権侵害だということは容易に想像できるはずです。
戦争で死ねば靖国で英霊として祀ってもらえる、というのは、日本国民を戦争に駆り立てる、日本の侵略戦争を支えた宗教的装置でした。朝鮮半島ではたとえばキリスト教信者が多かったのですが、日本の天皇を最高神とする神社神道の信仰が強制されました。創氏改名、日本語強制、神社参拝強制まで行なった日本の植民地支配は狂気の沙汰でした。
神社参拝拒否者数千名が投獄され、多くの人が獄死しました。
日本に36年間もの間植民地支配をされ、その間、軍属として強制的に日本の侵略戦争に加担させられた韓国の方々が、自分たちに無断で靖国に「英霊」として祀られるのがどれだけ苦痛か、日本の裁判所は想像するべきです。
日本は本当に危険な国のままなんですね。がっかりしました。
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
第二次世界大戦中に旧日本軍に軍人・軍属として徴用され、靖国神社に合祀(ごうし)された韓国人と遺族計10人が「無断で合祀され人格権を侵害された」として、靖国神社と死亡情報を提供した国を相手に合祀取り消しや情報提供撤回を求めた訴訟で、東京地裁(高橋譲裁判長)は21日、原告全面敗訴の判決を言い渡した。
判決は「意思に反する宗教的方法で慰霊され精神的苦痛を感じたとしても、法律上の利益が侵害されたとは言えない」と判断。原告には誤って合祀された存命者もいたが、戦後に膨大な戦没者情報が処理されていた実態を踏まえ「一定範囲で誤りがあることもやむを得ない」と述べた。
国の戦没者情報提供が憲法の政教分離原則に触れるかも争点だったが、判決は「靖国神社を特別に手厚く支援する意図や目的に基づくとは言い難い」と合憲判断した。同種訴訟で昨年12月の大阪高裁判決は、国の情報提供を「政教分離原則に反する」と判断している。【和田武士】
毎日新聞 2011年7月21日 20時15分(最終更新 7月21日 21時15分)
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靖国神社に合祀取り消しなどを求めた訴訟の判決公判のため、東京地裁に入る韓国人原告ら=21日午後
国の戦没者情報の通知に基づき無断で合祀され、民族的人格権を侵害されたなどとして、遺族9人と生存しているのに「英霊」として祭られている男性1人の韓国人計10人が、靖国神社に合祀取り消しなどを求めた訴訟の判決で、東京地裁は21日、請求を棄却した。遺族2人と生存男性1人の3人は国の通知撤回なども求めたが退けられた。
原告側の代理人弁護士によると、合祀をめぐり韓国人が靖国神社を相手取った初の訴訟。「英霊」生存者が原告となったのも初めてだった。
判決理由で高橋譲裁判長は、国の情報提供行為を「靖国神社を特に手厚く支援したと断定し難い」と憲法の政教分離原則に反しないと判断した。
2011/07/21 16:58 【共同通信】
韓国人遺族らの靖国合祀取り消し請求棄却 東京地裁
旧日本軍に軍人・軍属として徴用されて戦死し、靖国神社に合祀(ごうし)された韓国人の遺族ら10人が、靖国神社と国に合祀の取り消しなどを求めた訴訟で、東京地裁は21日、請求を棄却する判決を言い渡した。
原告側は「一方的に『英霊』として合祀され、家族を追悼する権利を侵害された」と主張したが、高橋譲裁判長は「遺族への強制や不利益を伴うものではない」と述べた。
サイパンで戦死したとみなされ、生きながら合祀手続きがされた金希鍾(キム・ヒジョン)さん(86)も原告の一人だったが、判決は「我慢すべき限度を超えて人格権が侵害されたわけではない」と同様に請求を退けた。
原告側は、国が靖国神社に戦死者の情報を提供したのは憲法が定める政教分離の原則に反するとも訴えた。判決は「国の協力が合祀に一定の役割を果たしたことは否めないが、合祀を望む遺族のための行政的な措置の要請を無視できなかった。情報提供は、靖国神社から依頼されて行っていた」として、政教分離違反にあたらないと判断した。