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東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の県民健康管理調査で、18歳以下で1次検査の結果が確定した約17万4千人のうち、甲状腺がんの診断が「確定」した人が新たに9人増え12人になったことが、2013年6月4日にわかりました。がんの疑いのある方はさらに15人いらっしゃいます。
全員の方の健康と安全を心からお祈り申し上げます。
これまで調査主体の福島県立医大は、チェルノブイリ原発事故によるがんが見つかったのが事故の4~5年後以降だったとして「放射線の影響は考えられない」と説明しています。
しかし、そもそも甲状腺がんは珍しい病気で、子どもに甲状腺がんができる可能性は、通常では「100万人に1人」だというのが通説です(鈴木真一・福島県立医大教授)。ですから、17万人の中で最低12人ないし最悪27人という今の福島の子どもたちの現状はごく単純にかんがえるなら、通常の71倍ないし158倍ということになります(年間検出率でみると最高80倍)。
前回の4万人中3人のがん発見の報とほぼ同じ率であり、大変な高率になっているというべきです。
100万人に1人のはずの子どもの甲状腺がん 福島で4万人中3~10人=75倍から250倍 さらに今後爆発的に増加か
こんな状態で経産省資源エネルギー庁は、福島原発の放射能汚染地下水を海水に流す理解を求め始めていますが、とんでもない話でしょう。
今も、海に空に、放射性物質をまきちらしている福島原発。
こんな状態なのに、原発再稼働だとか、輸出だとか許されません。原発は全廃しか選択肢はないはずです。
福島第一原発から流出し続けているセシウム汚染水17兆ベクレル 拡散し続けている放射性物質
外国に原発を売るのを拒否しよう! 自国の誇りと他国の平和のために
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甲状腺がん「確定」12人 福島の18歳以下、9人増
2013年6月5日 朝刊 東京新聞
東京電力福島第一原発事故による放射線の影響を調べている福島県の県民健康管理調査で、十八歳以下で甲状腺がんの診断が「確定」した人が九人増え十二人に、「がんの疑い」は十五人になった。
これまで一次検査の結果が確定した約十七万四千人の内訳。五日に福島市で開く検討委員会で報告される。検討委の二月までの調査報告では、がん確定は三人、疑いは七人だった。
これまで調査主体の福島県立医大は、チェルノブイリ原発事故によるがんが見つかったのが、事故の四~五年後以降だったとして「放射線の影響は考えられない」と説明している。
甲状腺検査は、震災当時十八歳以下の人約三十六万人が対象。一次検査でしこりの大きさなどを調べ、軽い方から「A1」「A2」「B」「C」と判定。BとCが二次検査を受ける。
二〇一一年度は、一次検査が確定した約四万人のうち、二次検査の対象となったのは二百五人。うち甲状腺がんの診断確定は七人、疑いが四人。ほかに一人が手術を受けたが、良性と分かった。
一二年度は、一次検査が確定した約十三万四千人のうち、二次検査の対象となったのは九百三十五人、うち診断確定は五人、疑いが十一人。
甲状腺がん新たに9人 福島県調査、計12人に
- 2013/6/5 13:28 日本経済新聞
東京電力福島第1原発事故による放射線の影響を調べている福島県の「県民健康管理調査」の検討委員会が5日、福島市で開かれ、甲状腺がんと診断が「確定」した人は前回2月から9人増え12人に、「がんの疑い」は15人になったとの結果が報告された。
甲状腺検査は、震災当時18歳以下の約36万人が対象。これまで1次検査の結果が確定した約17万4千人の内訳を、調査主体の福島県立医大が説明した。前回2月の検討委では、がん確定は3人、疑いは7人だった。
福島市では同日、福島第1原発で増え続ける汚染水を減らすため、くみ上げた地下水を海に放出する「地下水バイパス」について、経済産業省資 源エネルギー庁による市民向けの説明会も開かれた。国の汚染水処理対策委員会の大西有三委員長は「(原発の)外に影響を与えずに、迅速に対応することが必 要」と強調した。〔共同〕
汚染地下水からセシウムを検出 東電、測定方法に誤り
東京電力は、福島第1原発の汚染地下水についてこれまで放射性セシウム134、137が検出限界未満だったとする検査は測定方法に誤りがあり、再測定の結果、1リットル当たり計0・61ベクレル検出されたと発表した。
東電によると、測定する地下水自身に放射線を遮る効果があることを考慮しなかったため、測定機器周りの放射線による影響を過大に評価するミスにつながり、測定結果が実際より低くなってしまったという。
地下水をためた一時貯留タンクの水を4月16日に採取し、第1原発内の測定機器で調べたところセシウムは検出限界未満だった。だが5月30日、原子力規制 庁から測定方法に問題があると指摘され、第1原発から約10キロ離れ空間放射線量が低い福島第2原発で同じ試料を再測定したところ今月3日、134が1 リットル当たり0・22ベクレル、137が0・39ベクレルとの測定結果が出た。
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違いは、福島ではエコー検査をしており、癌が小さいうちに発見していることである。チェルノブイリでは臨床所見から発見しており大きくなった癌を診ている。従って、福島ではチェルノブイリよりも早く癌が見つかるのは医学的に妥当である。
共通点は原発事故による放射性物質がまき散らされた地域で甲状腺癌の多発が起きていることである。2013年2月の時点で既に統計学的に異常な数の若年甲状腺癌が福島で起きている。38000人中3人という発症率をWilson score interval によって計算すると1%の有意水準で発症率の加減は100万人当たり20人となり、明らかに100万人に1人より大きい。しばしば誤って行われているWald interval で計算すると発症率の下限が0以下となり、有意差がでなくなる。福島県立医大でWald intervalを用いたのであれば、世界の統計学水準から少なくとも20年は遅れている事を示している。
甲状腺癌がどのような外部被曝と内部被曝により生ずるのか、十分解明されないうちに、過去の1回だけのデータ(しかも十分研究されず、多くのデータが公表されない)の枠の中に現在の福島のデータを押し込めるのは科学的態度からかけ離れている。
この元記事、東京新聞でさえ書き方で誤解しやすいですが、
>18歳以下で1次検査の結果が確定した約17万4千人のうち、最低12人ないし最悪27人が甲状腺ガン
、ではなく、17余万人のうち二次検査に回され、そのうち「二次検査が終了している人のうち」現段階でわかっているのが12~27人、ではなかったでしょうか。
いっせのせ、で同じ日に全員が検査するわけではないし、
2011、2012年度の二次検査すら終了はしていないようなので(!)途中段階での発表は仕方無いですが、検査が完全に終了しこの数値で確定しているかのような誤解を与えやすいのは東京新聞ですら困ったものですね。
人口も多く線量も比較的高めのK市などではまだ二次検査がほとんど行われていないとのこと、
まだまだ増えてしまいそうで暗澹たる気持ちです。
このニュースはテレビや大新聞、私はもう両方見ないのですが、大きく取り上げたのでしょうか?
また、これを読んでも数字がピンと来ず、ふーん…、と流しぎみな空気があるとしたらそれが一番怖いです。
>(PDF9頁、11頁)
福島県民健康管理調査
http://www.pref.fukushima.jp/imu/kenkoukanri/250605siryou2.pdf
※詳しくは上記ブログコメント欄と福島県民健康管理調査を参照ください。
二次検査必要の1140人中約1/3の338名しか検査を終えていない段階で既にこの疑い含め27名出ているということ。
もし9月に行われる郡山市等で発生ゼロに操作されても(流石にわざとらしすぎて出来ないでしょうが)、1/3検査済みの段階でこの発生数だけでも311以前の日本なら大騒ぎする数字ではないでしょうか。
国も国民も鈍ってますね…。
「朝日新聞福島県版に、、、津田敏秀岡山大教授(環境疫学)の言葉を次の紹介している。〈明らかに多発だし、発症が原発からの距離に比例する傾向がある。その前提で健康管理対策を立てるべきだと思う。〉この記事が全国版に掲載されず、、、」
行政、医学会、マスコミの多くが福島の現実を直視せず、無視しようとしている。直視する力がないのなら、その仕事をやめるのが真っ当な人間であろう。
なお、「福島県立医科大学の誤り」のコメント中の「発症率の加減」は「発症率の下限」の誤りです。
訂正コメントを裁判所で使う文書風に書いておきます。少し長いです。
病気の集団における頻度を測定する指標に、罹患率と有病率がある。罹患率は、ある特定期間中に、ある病気を発症した患者数を単位人口当たりの率で示したもの、有病率は、ある病気の一定時点における頻度を単位人口当たりの割合で示したものである。平均罹病期間をD、有病率をP、罹患率をIとすると、P/(1-P)=IDの関係になり、Pが小さい時は、P=IDと近似式が得られる。
検診で発見される甲状腺癌の割合は、有病率と同じように、ある病気の一定時点における頻度であり、罹患率ではない。エコー検診で発見される癌の割合をQとし、検診で発見されてから臨床的に発病するまでの平均期間をKとすると、Qが小さい時には、有病率と同じように、Q=IKの関係が得られる。
ある発癌要因に人間が暴露されてから癌が臨床的に見つかるまでの期間は、誘導期間と潜伏期間とに分かれる。この二つを合わせた期間は、発癌物質の種類や量、暴露を受けた個体の性質、癌の性質により様々である。例えば、アスベストによる中皮腫では、誘導期間と潜伏期間の合計は30年以上になる。エコー検査で発見する甲状腺癌は、エコーで判断できる大きさになっていることから、誘導期間が過ぎており、K値は潜伏期間の一部である。小児においてエコー検査で発見された甲状腺癌のK値(平均値であることに注意)は最大でも3年と考えることは臨床的に妥当である。
福島県立医大の発表によると、17万4千人中、甲状腺癌が12名に見つかったのであるから、K値を3年と仮定すると、12÷174000÷3より、人口100万人あたり年23人の罹患率に相当する。
比較すべき対照として、原発がない岩手県のデータを岩手県地域がん登録事業報告書(現在、平成2年から21年分まで発行されている)から19歳以下の甲状腺癌の罹患率を求める。20年間の608万人年に対して11人の登録があり、人口100万人あたり、1年間に1.8人の登録率となる。この事業の甲状腺癌のDCO率は、DCOデータが記載されている平成7年から21年についての平均値が13%であり、また、届出漏れの症例を癌死亡小票で補充し登録しており、この登録率は罹患率の近似値として十分なものである。よって、原発がない地域での19歳以下の甲状腺癌の罹患率は人口100万人あたり年1.8人と考えられる。
福島で行われた検診は18歳以下であり、K値が1年であれば、対象地区の19歳以下のデータと対応していることになる。しかし、K値を3年と仮定しても、福島の症例の年齢分布を見ると16歳にピークがあることから、19歳以下の対象地区と比較することは妥当と考えられる。
すると、福島における小児甲状腺癌発症のリスク比は23÷1.8=12.7であり、罹患率は通常の12.7倍と考えられる。また、放射線に暴露された小児の暴露寄与危険割合は、(23-1.8)÷23=92% である。つまり、福島で甲状腺癌を発見された小児の92%が、放射線に暴露されなければ癌にならなかったと推測される。人数で表すと、12人中11人が癌にならずに済んだことになる。K値が2年であれば、リスク比は19、暴露寄与危険割合は95%に達する。
福島と対象地区の甲状腺癌罹患率を統計学的に分析する方法は、例数が少ないため正規分布への近似を用いる方法を使うことはできない。Confidence intervals for proportions and related measures of effect size.という書物がRG Newcombeによって書かれている。Newcombeの方法を用いて統計検定すると1%の危険率で二つの罹患率は統計的有意になる。
将来、一年後に同じ調査が行われた際に、新規に発見される症例は罹患率を直接示すことになるが、現時点で得られたデータから、福島県で小児甲状腺癌は明らかに多発しており、放射線に暴露された小児の暴露寄与危険割合は、90%以上と考えられる。
お疲れ様でした~~~~~