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その経済対策にも具体性がないって最悪。
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岸田文雄首相は2023年10月23日に臨時国会に向けた所信表明演説をしました。
日本の市民が直面する物価高対策など生活困窮に対する政策とメッセージの弱さは恐るべき水準の低さで、唖然とするばかりなのですが、それはまた詳しく批判するとして、岸田首相と岸田政権の志の低さの象徴として、「外交の岸田」と自称する彼の所信表明演説から第四章の「外交・安全保障」から「外交」の冒頭部分をご紹介します。
なお実にムカムカするほどの無内容さですのでお気を付けください。
税収増は日本の経済が成長したからではなくてアベノミクス以来の通貨過剰供給による市場のダボダボの円を一部回収しているだけ。
それを大企業と富裕層中心にばら撒くだけで日本経済の課題が克服できるわけがない。
ほとんど何も語らない「外交の岸田」。
『四 外交・安全保障
(国際環境の変化と岸田外交)
外交・安全保障も、大きな変化を迎えています。
「ポスト冷戦時代」は終わり、新たな時代へと大きな変化の流れが起きています。
ロシアのウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢をはじめ、世界各地で深刻な事態が多発し、日本周辺においても、一方的な現状変更の試みや、北朝鮮の核・ミサイル開発は続けられ、安全保障環境は戦後最も厳しいものになっています。
こうした時代、変化の流れをつかみ取るため、岸田外交では法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序をさらにもう一歩進めます。
「人間の尊厳」という最も根源的な価値を中心に据え、世界を分断・対立ではなく協調に導くとの日本の立場を強く打ち出していきます。
(岸田外交の積極的展開)
政権発足から二年間、唯一の同盟国たる米国との関係深化、日韓関係の改善、強力なウクライナ支援、対ロシア外交の大転換を進め、そしてG7広島サミットでは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守っていくというメッセージを、G7の枠を超えて、世界に向けて力強く発信しました。
食料危機、気候変動や感染症などのグローバルな危機により、最も甚大な影響を受けるのは、脆弱な立場に置かれた国や人々です。
我が国は、国際社会で影響力を増しているグローバルサウスの声に耳を傾け、絆を基盤として、経済活動の深化とともに、日本らしいきめ細かい協力を行っていきます。』
イスラエル軍の攻撃で父親を亡くし、涙を流す医療関係者(左)=10月21日、パレスチナ自治区ガザ南部ハンユニス(ゲッティ=共同)
国連総会での演説で「人間の尊厳」を11回連呼した岸田首相。福島県沖に放射能汚染水を放出し、沖縄県民投票の結果を無視して辺野古に新基地を建設する岸田首相に人間の尊厳を語る資格はない。
何と言っても目の前で進行しているイスラエル・パレスチナ戦争について、
「イスラエル・パレスチナ情勢をはじめ」
としか触れておらず、全く具体性がないことには全世界の市民が驚くと思います。
今、イスラエル軍は毎日毎日パレスチナ市民への無差別攻撃を続け無辜の市民の死者は5000人になろうとしています。
そして、イスラエル政府はふたたびガザ地域の市民に避難するように警告し、地上侵攻を今にも始めようとしています。
これに対してG7参加国である米英独仏とイタリア、カナダという日本以外の6か国首脳は10月22日に共同声明を発表し、民間人保護を含む国際人道法の順守を要請しつつもイスラエルの自衛権を支持すると表明しています。
すでにハマスからイスラエル市民への攻撃が散発的なものになっていて毎日の死者がほとんど増えない状況の中、イスラエル軍による地上侵攻は言語道断、パレスチナ市民を5000人も殺した空爆ももはや自衛権の範囲をはるかに超える規模になっていることは明らかです。
イスラエル軍による今の無差別殺戮はイスラエル国の自衛権の行使でもなければ国際人道法を順守しながらの攻撃でもそもそもないのですから、いかにG76か国の声明が欺瞞に満ちているかは明らかです。
イスラエルとハマスの大規模戦闘に一時停止を求める国連安保理決議案にアメリカが拒否権発動!「世界の人々があなたたちをイスラエルの共犯者だとみなしており、その憎しみを目の当たりにする」(イラン大統領)
声明を出した6カ国の首脳。イスラエル軍の蛮行について最も大きな責任を負う英米で大規模なデモが起きるのはもっともだ。
バイデン米大統領がハマスとロシアを同列の脅威として「近隣の民主主義国家を完全に破壊しようとしている」。違う!ウクライナを侵略しているロシアと同列に論じられるべきはアメリカが支援するイスラエルだ。
岸田政権が今のところこの6カ国声明に賛同しなかったことは結果的にはいいのですが、国会での所信表明演説という絶好の機会に「イスラエル・パレスチナ情勢」について何も語らない岸田首相のリーダーシップのなさは最悪です。
なにしろ、この人はハマスの戦争犯罪で虐殺された千数百人に及ぶイスラエル市民や拉致された人々についてさえ何も触れないんです(-_-;)。
特に虫酸が走るのは
『「人間の尊厳」という最も根源的な価値を中心に据え』
といいながら、今まさに踏みにじられているパレスチナ市民の命の問題も尊厳の問題もそっちのけで。
『法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守っていく』
と言いながら、イスラエル政府に対して国際人道法の順守を求めず国際社会での法の支配の貫徹にはガン無視で。
おまけに極めつけは、パレスチナ市民の惨殺と苦境には目もくれないくせに
『グローバルサウスの声に耳を傾け、絆を基盤として、経済活動の深化とともに、日本らしいきめ細かい協力を行っていきます。』
と言い切ったことです。
ほんま、よう言うたわ(呆)。
今回の所信表明演説でも、岸田首相お得意の「核のない世界」についても性懲りもなくまた触れているのですが、日本政府がオブザーバー参加さえしようとしない核兵器禁止条約については全く触れず
『また、核軍縮をめぐる状況が一層厳しいものになっている今だからこそ、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」を目指す歩みを主導しなければなりません。
「ヒロシマ・アクション・プラン」に沿って現実的で着実な努力を積み重ねます。』
というのです。
ヒロシマ・アクションってアメリカやロシアの核兵器保有国の核均衡論を積極的に評価した、核兵器温存が前提のプランですよ?
日本の市民の皆さん。
ここまできれいごとを言っても中身は大嘘で、目の前で起きている戦争や殺戮を平然と無視する内閣総理大臣が、自国では皆さんのためになる何かをすると信じられますか?
こんなにも国際的に恥ずかしい内閣には総辞職を求めていくのが我々日本市民の世界への責任の取り方です。
うちの娘がイギリスの大学に留学し始めたんですが、大学内でも教授も学生も喧々諤々の議論だそうで、10月21日の10万人のパレスチナ市民支援のデモについても興奮して報告してきています。
ちなみにイスラエル建国に最も大きな責任を負うイギリスの大学だけに、9割の教授や学生がパレスチナ支持。
アメリカ人留学生の子なんて「あなたはアメリカ人であることを恥と思わなければならない」とさえ言われて超肩身が狭いそうです(これはちょっとかわいそうすぎると思うが)。
娘も日本から来たことが結構肩身が狭いそう。
それに引き換え、学生や教授だけでなく、我々日本の市民がイスラエル・パレスチナ戦争について余りにも語らなすぎではないでしょうか。
お恥ずかしい話ですが、ネット上はともかく、私のリアルな生活ではウクライナにしてもパレスチナにしてもほとんど戦争に関する会話がありません。
せいぜい、怖いですねえ、かわいそうですねえ、くらい。
私たち日本の市民がこの地球に暮らす世界市民としてどんどん戦争について平和について語り合い、ダメな自国の政府を突き上げ、報道機関を叱る。
そういう営みが大切なんだろうと痛感する日々です。
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ガザと2正面「準備完了」 人道法順守求め6カ国が共同声明
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【エルサレム、ワシントン共同】イスラエルのネタニヤフ首相は22日、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスだけでなく、北部国境地帯のレバノンのシーア派民兵組織ヒズボラを合わせた二正面で「あらゆる作戦の準備ができている」と強調した。北部の軍部隊を視察し語った。ガザへの地上侵攻に向けた準備の一環とみられる。
米CNNテレビは22日、米政府がイスラエル政府にガザ地上侵攻を遅らせるよう要請したと報じた。ハマスからの人質解放やガザへの人道支援を進めるためとしている。イスラエル側は報道を否定したという。
米英独仏とイタリア、カナダ6カ国の首脳は22日に共同声明を発表し、イスラエルの自衛権を支持すると表明した一方、民間人保護を含む国際人道法の順守を要請した。慎重な対応を促す狙いがあるとみられる。
イスラエルはヒズボラとの交戦が激化する北部の14地区に新たに退避命令を出した。北部国境では、ガザ周辺と同様に大規模な住民退避が急ピッチで進んでいる。
© 一般社団法人共同通信社

バイデン米大統領とカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国の各首脳は22日、中東情勢に関するオンライン会議を開き、イスラエルとその自衛権に対する支持を強調するとともに、国際人道法を順守し民間人を保護するよう求めた。写真は、2023年10月19日にホワイトハウスから米国民に訴えかける演説をするバイデン大統領。(2023年 ロイター/Jonathan Ernst)
[リホボスビーチ(米デラウェア州) 22日 ロイター] - バイデン米大統領とカナダ、フランス、ドイツ、イタリア、英国の各首脳は22日、中東情勢に関するオンライン会議を開き、イスラエルとその自衛権に対する支持を強調するとともに、国際人道法を順守し民間人を保護するよう求めた。
共同声明で、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスによる人質2人の解放を歓迎しつつも、残りの人質全員の即時解放を要求した。
バイデン氏はイスラエルのネタニヤフ首相と会談後、英仏独伊とカナダによるオンライン会議を開いた。
首脳らは、特にガザからの脱出を希望する自国民を支援するために緊密に協力することを約束した。
また、今月のイスラエルとハマスの衝突以来初めて、ガザに人道支援物資が到着したことを歓迎し、ガザに住む220万人の人々が食料、水、医療、その他の人道支援を持続的かつ安全に受けられるよう、地域のパートナーと協力を続けることも確認した。
紛争拡大を防ぎ、中東の安定を維持し、政治的解決と永続的な和平に向けて努力するために、地域の主要なパートナーを含め、緊密な外交協調を継続することでも合意した。
岸田首相 所信表明演説 全文
NHK
岸田総理大臣は、臨時国会で23日、所信表明演説を行いました。文字数にして、およそ8600字。全文は次のとおりです。
はじめに ~変化の流れをつかみ取る~
第二百十二回臨時国会の開会にあたり所信の一端を申し述べます。
日本国内閣総理大臣として、私の頭に今あるもの、それは、「変化の流れを絶対に逃さない、つかみ取る」の一点です。
岸田内閣は、防衛力の抜本的強化、エネルギー政策の転換、次元の異なるこども・子育て政策をはじめ、時代の変化に応じた先送りできない課題に一つ一つ挑戦し、結果をお示ししてきました。
今後も、物価高をはじめ国民が直面する課題に、「先送りせず、必ず答えを出す」との不撓不屈の覚悟をもって取り組んでいきます。
最初につかまなければならない変化の流れは、「経済」です。
三十年来続いてきたコストカット経済からの変化が起こりつつあります。
この変化の流れをつかみ取るために、持続的で構造的な賃上げを実現するとともに、官民連携による投資を積極化させていく。
「経済、経済、経済」、私は、何よりも経済に重点を置いていきます。
変化の流れは、社会にも起きています。
人口減少、とりわけ生産年齢人口の減少が進む一方で、デジタル化等によってそれを補って余りある生産性の向上を図る余地が増えています。
この変化をチャンスに変えていくためにも、少子化対策とあわせてデジタル化を徹底的に進めます。
そして、変化の流れは、外交・安全保障にも起きています。
ベルリンの壁崩壊以降進んだグローバル化は平和と繁栄の基盤となりました。
しかし、世界は分断と協調が複雑に絡み合う新たな時代に入っており、国際社会においてこれまで以上に結束が求められています。
日本は、国際情勢を踏まえ、柔軟に対応しつつ、自らの防衛力を強化し、米国やその他同志国、そして、グローバルサウスの国々との連携を密にしていきます。
明治維新、戦後復興、高度成長。
日本は、国の内外で起こった大きな時代の変化の流れをつかみ取り、個々の国民の「力」に変え、歴史に残る大きな社会変革を実現してきました。
そして、今、我々は再び歴史的な転換点に立っています。
本会議場に集う、国会議員の皆さん、百年後に振り返って、この国会が変革への大きなうねりを生み出した、そのように後世から評価されるよう、共に挑戦しようではありませんか。
二 経済・経済・経済
「変化の流れをつかみ取る」ための「一丁目一番地」は経済です。
日本経済は、三十年ぶりの変革を果たすまたとないチャンスを迎えています。
このチャンスをつかみ取るために、私は過去に例のないような大胆な取組に踏みこむ決意です。
この三十年間、日本経済はコストカット最優先の対応を続けてきました。
人への投資や賃金、さらには未来への設備投資・研究開発投資までもが、コストカットの対象とされ、この結果、消費と投資が停滞し、更なる悪循環を招く。
低物価・低賃金・低成長に象徴される「コストカット型経済」とも呼び得る状況でした。
しかしながら、三十年ぶりに新たな経済ステージに移行できる大きなチャンスが巡ってきました。
コロナ禍での苦しかった三年間を乗り越え、経済状況は改善しつつあります。
三十年ぶりの三・五八%の賃上げ、過去最大規模の名目百兆円の設備投資、三十年ぶりの株価水準、五十兆円ものGDPギャップの解消も進み、税収も増加しています。
その一方で、国民負担率は所得増により低下する見込みです。
この前向きな動きが続けば、新たな経済ステージへの移行が現実のものとなります。
物価上昇を乗り越える構造的な賃上げと脱炭素やデジタルなど攻めの投資の拡大によって消費と投資の力強い循環が本格的に回り始めます。
「低物価・低賃金・低成長のコストカット型経済」から「持続的な賃上げや活発な投資がけん引する成長型経済」への変革です。
「コストカット型経済」からの完全脱却に向けて、思い切った「供給力の強化」を、三年程度の「変革期間」を視野に入れて、集中的に講じていきます。
新しい経済ステージに向けた確かな息吹が生まれてはいるものの、国民の消費や投資動向は力強さに欠ける状況にあります。
外生的な物価上昇が急激に生じたため、足下の賃上げが物価上昇に追い付いていません。
変革を加速する力強い後押しを早急に行わなければ日本経済は、三年程度の「変革期間」どころか、これまでの状況に後戻りしてしまうリスクを抱えています。
しかし、私は、断じて後戻りは許さない。
変革を力強く進める「供給力の強化」と不安定な足下を固め、物価高を乗り越える「国民への還元」。
この二つを「車の両輪」として総合経済対策を取りまとめ、実行してまいります。
(供給力の強化)
今回の総合経済対策の第一のポイントは、「供給力の強化」です。
GDPギャップが解消に向かう中、「供給力の強化」のための対策に軸足を移します。
半導体や脱炭素のように安全保障に関係する大型投資をはじめ、特に二年から三年以内に供給力強化に資する施策に支援措置を集中させ、「変革期間」の呼び水とします。
さらに、賃上げ税制を強化するための減税措置や、戦略物資について初期投資だけでなく投資全体の予見可能性を向上させる過去に例のない投資減税、特許などの所得に関する新たな減税制度、人手不足に苦しむ中堅・中小企業の省力化投資に対する補助制度をはじめ、抜本的な供給力強化のための措置を講じていきます。
突発的なエネルギー価格の高騰に備え、省エネ・脱炭素投資の更なる拡大を図ります。
また、AI、自動運転、宇宙、中小企業の海外展開などの新しいフロンティアやイノベーションへの取組、スタートアップへの支援を強化します。
経済活動の基盤である金融資本市場の変革にも取り組みます。
資産運用業とアセットオーナーシップの改革を進めるとともに、金融リテラシーの向上等に向けて関連法案の今国会での成立を目指します。
あわせて、三位一体の労働市場改革、企業の新陳代謝促進、物流革新など、生産性を引き上げる構造的な改革を進めます。
成長と分配が持続的に回っていく、物価上昇を十分に超える持続的賃上げが行われる経済を目指していきます。
さらに、十月から先行して開始した「年収の壁・支援強化パッケージ」について、今後「百六万円の壁」に近づく可能性のある全ての方が壁を乗り越えられるようにするため、十分な予算上の対応を確保します。
(国民への還元)
経済対策の二つ目のポイントは、「国民への還元」です。
急激な物価高に対して賃金上昇が十分に追いつかない現状を踏まえ、「デフレ完全脱却のための一時的緩和措置」として、まず、現世代の国民の努力によってもたらされた成長による税収の増収分の一部を公正かつ適正に「還元」し、物価高による国民の御負担を緩和いたします。
同時に、長年にわたって染みついていたデフレマインドからの転換を今こそ行動に移すよう関係者に強く呼びかけていきます。
なお、還元措置の具体化に向けて、近く政府与党政策懇談会を開催し、与党の税制調査会における早急な検討を、指示します。
その際、物価高に最も切実に苦しんでおられる低所得者の方々の不安に配慮し、寄り添った対応を図ることが極めて重要です。
多くの自治体でこの夏以降低所得者世帯に対して一世帯当たり三万円を目安に支援を開始してきました。
この物価高対策のための重点支援地方交付金の枠組みを追加的に拡大することとし、経済対策に盛り込みます。
エネルギー価格の上昇については、九月には、年内の緊急措置として、リッター百七十五円をガソリン価格の実質的な上限とするため補助を拡大しました。
この措置を電気・ガス料金の激変緩和措置とあわせて来年春まで継続します。
また、地方自治体が地域の実情に応じてきめ細かく生活者や事業者を支援できるよう、先ほど申し上げた枠組み以外の重点支援地方交付金も追加します。
コロナ禍で国民負担率は高止まりしましたが、成長の成果もあって低下する見込みです。
その低下を確かなものとし、岸田内閣として国民負担率をコロナ禍の水準に後戻りさせることなく、高齢化等による上昇に歯止めを掛けます。
そのためにも所得の増加を先行させ、税負担や社会保障負担を抑制することに重きを置いて経済財政運営を行います。
三 社会
(社会の変化)
日本社会も、大きな変化を迎えています。
人口減少と、国民のニーズの多様化・複雑化に応える新たな地域の仕組みを作り上げていかなければなりません。
(デジタルと社会)
デジタル技術は、社会課題を新たなアプローチで解決する「力」を持ちます。
新型コロナ対策の「デジタル敗戦」を二度と繰り返さない。
デジタル化への変化の流れを確実につかんでいかなければならない。
「誰一人取り残さない」デジタル化を実現する。
こうした思いで、「マイナンバーカードの早期普及」、「デジタル田園都市国家構想」を進めてきました。
この固い決意の下に、アナログを前提とした行財政の仕組みを全面的に改革する「デジタル行財政改革」を起動します。
人口減少の下でも、これまで以上に質の高い公共サービスを提供するために、子育て、教育、介護などの分野でのデジタル技術の活用を、利用者起点で進めます。
地域交通の担い手不足や、移動の足の不足といった、深刻な社会問題に対応しつつ、ライドシェアの課題に取り組んでまいります。
私自ら、現場で奮闘する各分野の方々の生の声を聞いて、制度設計にいかします。
規制・制度の徹底した改革、EBPMを活用した予算事業の見える化にも取り組み、社会変革の実現、それを支える令和版の新たな行財政の構築を目指します。
あわせて、マイナンバー制度に対する国民の信頼回復に向けて、原則として十一月末を目途に総点検を終えるよう、政府を挙げて対応しています。
(包摂的な社会づくり)
障害のある方もない方も含めて、全ての方が生きがいを感じられ、多様性が尊重される、包摂的な社会づくりに取り組みます。
特に、「女性」、「若者」、「高齢者」の力を引き出していきます。
前例のない規模で政策強化を図った「こども未来戦略方針」のスピード感ある実行のため、当面の集中的な取組に必要な制度設計を速やかに具体化し、できるところから取組を実施してまいります。
前倒しによる各種施策の実施を検討し、我が国のこども一人当たりの支援規模をOECDトップの水準に引き上げていきます。
「こども・若者の性被害防止のための緊急対策パッケージ」に基づく取組を加速するとともに、不登校やいじめに対する対策を強化します。
また、教職員の処遇見直し等を通じた公教育の再生にも取り組みます。
認知症の方が尊厳、希望を持って暮らすことができる社会、身寄りのない方も含めて高齢者の方々がお一人でも安心して年を重ねることができる社会を創らなければなりません。
新たに、「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」を立ち上げ、「認知症基本法」の施行に向けた準備を行うとともに、レカネマブの薬事承認による新たな時代の到来を踏まえ、必要な早期発見、検査・医療サービス等が提供される体制整備や治療薬の更なる研究開発を進めます。
あわせて、住まいの確保や入院・入居時の身元保証など高齢者の生活上の課題に取り組みます。
また、現場で働く方々の給与に関わる公定価格の見直しを進め、高齢化等による事業者の収益の増加等が処遇改善に構造的につながる仕組みを構築します。
引き続き新型コロナへの対応に万全を期し、花粉症についても、発生源対策、飛散対策、発症・曝露対策を一体的に推進し、国民の皆様の負担軽減に向けた取組を進めます。
(地方創生)
観光は地域振興のエンジンです。
コロナ禍を越え、多くの観光地で賑わいを取り戻しつつあります。
しかし、一部の地域や時間帯に観光客が集中することで生じる混雑、マナー違反、担い手不足等のオーバーツーリズムの問題も顕在化しています。
持続可能な観光業に向けた対策にも着手します。
また、地方創生と社会課題解決を両立させる、循環経済への取組も進めます。
持続的な食料の安定供給に向け、食料安全保障の強化、農業のスマート化・グリーン化の推進を図ります。
あわせて、ホタテの品目別輸出促進団体を早期に認定するなど、市場拡大に向けて、農林水産物・食品の輸出促進に強力に取り組みます。
農政の基本は現場にあります。
今後も各地域に寄り添い、現場の方々の想いを受け止めながら、農政を転換し、実践的な支援を行ってまいります。
地方創生を支える中核は地域の中小・小規模事業者です。
持続的な賃上げが可能となるよう、省人化投資やデジタル投資の支援、賃上げ費用の転嫁対策を強力に進めます。
あわせて、ゼロゼロ融資について、現場の状況をしっかり踏まえて、適切な対応を促します。
総理に就任してから二年間、私は全国津々浦々を訪ね、約六十回の車座対話を含め、国民の皆さんと直接、意見交換をしてきました。
人口減少や過疎化などに悩む中でも、多くの方が、それぞれの現場で明日に向かって懸命に努力されています。
皆さん、政治の役割とは、そういう現場の方々を全力で支えることにあるのではないでしょうか。
地方こそ日本の宝、底力です。
皆さん、今こそ、共に、地方創生に力強く取り組もうではありませんか。
(福島復興と国土強靭化)
「東北の復興なくして、日本の再生なし」。
引き続き強い決意で被災地の復興に取り組み、帰還困難区域における避難指示解除や解除後の復興も着実に進めます。
今年は、線状降水帯等により、各地で被害が発生しました。
こうした教訓を踏まえ、線状降水帯の予測の高度化など、デジタルの力を国土強靭化に導入します。
リニア中央新幹線の整備に向けた環境を整え、災害時も途切れない広域交通ネットワークの構築を進めます。
また、沖縄の離島地域をはじめ、電力供給の強靭化に資する電線地中化を加速します。
(大阪・関西万博)
ポストコロナの中で初めて開かれる2025年大阪・関西万博については、海外パビリオン建設の遅れなど進捗状況が厳しくなっていることに強い危機感を持って、オールジャパンで進めていきます。
四 外交・安全保障
(国際環境の変化と岸田外交)
外交・安全保障も、大きな変化を迎えています。
「ポスト冷戦時代」は終わり、新たな時代へと大きな変化の流れが起きています。
ロシアのウクライナ侵略、イスラエル・パレスチナ情勢をはじめ、世界各地で深刻な事態が多発し、日本周辺においても、一方的な現状変更の試みや、北朝鮮の核・ミサイル開発は続けられ、安全保障環境は戦後最も厳しいものになっています。
こうした時代、変化の流れをつかみ取るため、岸田外交では法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序をさらにもう一歩進めます。
「人間の尊厳」という最も根源的な価値を中心に据え、世界を分断・対立ではなく協調に導くとの日本の立場を強く打ち出していきます。
(岸田外交の積極的展開)
政権発足から二年間、唯一の同盟国たる米国との関係深化、日韓関係の改善、強力なウクライナ支援、対ロシア外交の大転換を進め、そしてG7広島サミットでは、法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序を守っていくというメッセージを、G7の枠を超えて、世界に向けて力強く発信しました。
食料危機、気候変動や感染症などのグローバルな危機により、最も甚大な影響を受けるのは、脆弱な立場に置かれた国や人々です。
我が国は、国際社会で影響力を増しているグローバルサウスの声に耳を傾け、絆を基盤として、経済活動の深化とともに、日本らしいきめ細かい協力を行っていきます。
本年は、日・ASEAN関係五十周年の節目です。
年末の日・ASEAN特別首脳会議では、次の五十年を描く新たな協力ビジョンを打ち出し、成長センターであるインド太平洋をけん引していきます。
また、核軍縮をめぐる状況が一層厳しいものになっている今だからこそ、唯一の戦争被爆国として、「核兵器のない世界」を目指す歩みを主導しなければなりません。
「ヒロシマ・アクション・プラン」に沿って現実的で着実な努力を積み重ねます。
中国との関係について私は、「建設的かつ安定的な関係」という考えを打ち出し、首脳レベルでも対話を進めてきています。
これからも、主張すべきは主張し、責任ある行動を強く求めつつ、諸懸案を含めて対話を行って、共通の課題については協力するという姿勢を貫いていきます。
ALPS処理水に関しては、引き続き科学的根拠に基づき、透明性の高い情報発信を行っていきます。
中国政府による日本産水産物の輸入停止に対しては、即時撤廃を求めるとともに、中国市場に依存しないよう販路拡大を図り、我が国の水産関係事業者を守るため、万全の対応を取ります。
韓国との間では、尹大統領との個人的信頼関係を梃子に、幅広い連携を深めています。
八月には、キャンプデービッドで日米韓三か国のパートナーシップの新時代を拓いていくという決意を内外に示すことができました。
経済安全保障を含め、三か国での戦略的連携を進めます。
また、日中韓の枠組みについても前進させます。
日ロ関係は、厳しい状況にありますが、領土問題を解決し、平和条約を締結するとの方針を堅持します。
(拉致問題)
拉致被害者御家族が高齢となる中で、時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人道問題であり、政権の最重要課題です。
全ての拉致被害者の一日も早い御帰国を実現し、日朝関係を新たなステージに引き上げるため、また、日朝平壌宣言に基づき、北朝鮮との諸問題を解決するためにも、金正恩委員長との首脳会談を実現すべく、私直轄のハイレベルでの協議を進めてまいります。
日朝双方の利益に合致し、地域の平和と安定にも大きく寄与する、日朝間の実りある関係を築いていくために、私は大局観に基づく判断をしてまいります。
(防衛力の抜本的強化)
こうした外交の地歩を固めるためにも、日本自身の防衛力強化が重要です。
国民の命と我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜くため、五年間で四十三兆円の防衛力整備の水準を確保し、防衛力の抜本的強化を速やかに実現します。
防衛力の抜本的強化のための税制措置の実施時期については、昨年末に閣議決定した枠組みの下、行財政改革を含めた財源調達の見通し、景気や賃上げの動向及びこれらに対する政府の対応、を踏まえて判断していきます。
自衛隊の統合運用の実効性を更に高め、日米同盟の抑止力・対処力を一層強化します。
同時に、基地負担軽減に引き続き取り組み、普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため、辺野古への移設工事を進めます。
また、強い沖縄経済を作ります。
五 結び
(憲法改正・皇位継承)
「あるべき国の形を示す」国家の基本法たる憲法の改正もまた、先送りのできない重要な課題です。
先の国会では、衆・参両院の憲法審査会において、活発な御議論をいただきました。
このような動きを歓迎します。
憲法改正は、最終的には、国民の皆様による御判断が必要です。
国会の発議に向けた手続を進めるためにも、条文案の具体化など、これまで以上に積極的な議論が行われることを心から期待します。
また、安定的な皇位継承を確保するための諸課題等、とりわけ、皇族数の減少への対応も、国の基本に関わる重要な課題です。
政府としても、このような認識の下、皇族数確保のための具体的方策等を取りまとめ、国会に御報告いたしました。
この重要な課題についても、「立法府の総意」が早期に取りまとめられるよう、国会における積極的な議論が行われることを期待します。
旧統一教会については、先日、宗教法人法に基づき、解散命令請求を行ったところです。
今後、裁判所の審理となりますが、政府として、万全の対応をしてまいります。
あわせて、二度とこのように深刻な被害が生じることがないよう、不当寄附勧誘防止法等の厳正な運用に努めるとともに、被害者に寄り添った相談対応など、被害者救済に適切に対応してまいります。
この夏、私は全国のいろいろな現場にお邪魔させていただきました。
そこで見たものは、変化の流れをつかむ、日本人の「力」でした。
全焼した沖縄・首里城の再建現場では、「見せる復興」で復興プロセス自体を観光の「力」にしていました。
「歳をとることは明日がある」、栃木県の農福連携の現場では、障害者の皆さんが働く喜びを実感され、世界で認められるワインを作り出す「力」があふれていました。
「できないことではなく、できることに注目する」群馬県の認知症ケアの現場では、認知症をポジティブにとらえ、齢を重ねる「力」にしていました。
福島県でロボット技術を学ぶ学生は、「将来は廃炉に携わる一人になりたい」と目を輝かせていました。
日本の技術力を引っ張る「力」が芽を出しています。
令和の時代においても「変化の流れをつかむ」日本人の「力」は、脈々と受け継がれています。
変化の足音を国民にしっかりとお伝えし、変化を挑戦の機会に変えるための仕組み作りをしていく。
挑戦の障害となる古くなった制度を取り払い、全ての人が輝ける日本らしい包摂的な社会を創っていきます。
持続的な賃上げに加えて、人々のやる気、希望、社会の豊かさといったいわゆる「ウェルビーイング」を拡げれば、この令和の時代において再び、日本国民が「明日は今日より良くなる」と信じることができるようになる。
日本国民が「明日は今日より良くなる」と信じられる時代を実現します。
岸田政権は、歴史的な転換点の中で、変化の流れをつかみ、変化を力にしてまいります。
私自身、その先頭に立って、職を賭して粉骨砕身取り組む覚悟です。
国民の皆さんの御理解と御協力をお願いいたします。
御清聴ありがとうございました。
これからもぜひ一日一回、上下ともクリックしてくださると大変うれしいです。
これについて、自ブログに久しぶりに記事を書き、それをkojitakenさんの『鍋パーティーのブログ』でも公開していただきました。宣伝させてください。
『岸田は分配重視と言ったことはあっても、再分配重視と言ったことはないよ。そして、この「分配」の主語は、政府ではなく、企業だよ。そして、結局、岸田の経済政策は「自己責任」強化、逆再分配強化だよ。』
https://nabe-party.hatenablog.com/entry/2023/10/25/063340
https://suterakuso.hatenablog.com/entry/2023/10/23/224008
リンクは、上がkojitakenさんの『鍋パーティーのブログ』で公開をお願いした方で、下が自ブログの方です。今のところ全く同じものです。自ブログの方は、今後、微修正するかもしれません。
岸田の所信表明演説を引用した後、岸田の政策は、公の責任から「自己責任」への小さな政府の政策ばかり、それどころか、目玉として打ち出す「対策」は、逆再分配政策ばかりと批判したものです。
「欺瞞」については、「賃上げ減税」や「リスキリング」を、労働者重視の皮を被った逆再分配、「国民への還元」を、自民政府が意図的に欠陥のある制度設計をしたがゆえに対策が必要となったことを、まるで自民政府の政策が成功したから国民に恩恵を与えることができるかのように装おうとする、詐欺的な言葉、と批判しました。
よろしければぜひ、お読みください。
「岸田メモ」然り、「聞く力」然り、ほんと、欺瞞が酷い奴だと思います。まあ、自民スタンダードですが。
※あの安倍政権すら実施した『全国民への10万円給付金』すらできないとか…『経済』の連呼は『利権層向け』ということは明白ですよね。
また、維新は『消費税減税』という思い切った判断に踏み込んだ…かと思いきや、『8%』への下げとか『極めてショボい』もので、『不退転の憲法改正“しかも緊急事態条項”導入』とか、『立憲政治を破壊する気が満々』のようです。
https://johosokuhou.com/2023/10/24/70295/
☆国民年金の納付5年延長案、政府議論が本格化!厚労省部会で賛成意見多数 65歳まで納付へ
2023年10月24日 情報速報ドットコム
https://www.yomiuri.co.jp/politics/20231025-OYT1T50365/
☆ 「4万円減税」に所得制限設けず、低所得世帯向け「7万円給付」は年内開始へ
2023/10/26 読売新聞
◎政府が検討している税収増に伴う還元策の概要が判明した。1人あたり4万円の減税は、所得税3万円、住民税1万円の定額減税で所得制限を設けずに来年6月頃、実施する方向で調整する。住民税非課税の低所得世帯向けの1世帯あたり7万円給付は年内に開始する方針だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA25D740V21C23A0000000/
☆25日の衆議院と参議院の代表質問 主な内容
外交・安全保障
2023年10月26日 日経
◎馬場伸幸氏(維新)社会保険料の減免を提案する。消費税の軽減税率は廃止すべきだ。ライドシェアを導入すべきだ。憲法改正実現のため退路を断つ覚悟はあるか。
(※“不要な”緊急事態条項の導入を迫っていました。)
安定的な皇位継承策の確立は国の根幹に関わる。
☆ イギリスの大学だけに、9割の教授や学生がパレスチナ支持。 >
イギリスの一般市民よりはるかに劣る“国際認識”の一国の首相とか、日本人であることが恥ずかしくなってきますよね。
https://news.yahoo.co.jp/articles/6ab26e23b65a1553fa1872429e54ff4cc43d6cf4
☆岸田首相の孤立ぶり深刻、参院大敗で不信拡大「2敗なら『投げやり解散』だったかも」
10/23(月) カナロコ by 神奈川新聞
◎ 岸田文雄首相は衆院長崎4区と参院徳島・高知選挙区の国政2補選から一夜明けた23日、国会で所信表明演説を行った。衆院辛勝で全敗を逃れ「岸田おろし」の誘発は防げたものの、参院での大敗には政権内にも「減税のサプライズ演出が無駄だった」(自民関係者)との不信が広がっている。周囲に本音を明かさない岸田首相の深刻な孤立ぶりが浮き彫りとなってきた。