レダック アラコキの日誌

2016-06-24 09:41:32 | 日記
レダック 地域活動に励む その1 日本語教室

しばらくご無沙汰していましたが、近況報告もかねて、最近の地域社会での活動について綴らせてもらいます。

① (2016年)6月19日午後、大阪府羽曳野市の古市市民会館の一室から、ビンゴゲームに打ち興ずる人々の歓声が聞こえてくる。
 若者だけでなく、中高年も多い。子どもも走り回っている。日本語以外の言葉も飛び交っている。その数およそ60人ばかりか? 
 この日、「羽曳野市国際交流ボランティアサークルみやび」が主催する日本語教室の年1回の交流パーティーが行われていた。ベトナムからの技能実習生や、日本人の夫と結婚した中国人妻らによるスピーチが行われ、日本あるいは日本人の印象・感想、仕事や家事・育児の上での悩みや困ったこと、文化・生活習慣が異なることへの戸惑い、日本語学習の難しさや工夫などが次々発表された。なかでも、日本では自転車の二人乗りが禁止されていることに納得できていないという主張には、多くの参会者が頷いていた。
 その後、ボランティア参加の楽器演奏サークルの伴奏にあわせ日本の歌を歌い、昼食の立食パーティのころには、次第に打ち解け、和気あいあいの雰囲気となっていった。特に、今の日本語学習者だけでなくOB/OGとその家族、「みやび」にかつて携わっていた人も参加しており、まるで同窓会。最後のビンゴゲームの時には、みやび会員の用意した賞品獲得に向け、会場は熱気に包まれたという次第。(なお、一番最初になくなった賞品はお米だった、これも現実!)
 



② このグループ「みやび」へのかかわりは、偶然のことであった。完全リタイアして無聊をかこつようになり始めた5年ほど前、地元羽曳野市の教育関係で何かお役に立つことできないだろうかと思い立ち、市教育委員会社会教育課に問い合わせたことがあった。識字・日本語教室については、「市教委が把握している教室は一つだけで講師は足りている」とのことだったので、その時は断念した。
 ところが昨年末、市の広報を見ていると市民協働課といういかにもナウい名前のセクションが日本語教室について連続3回講座をやるとのことで、妻と受講しに行った。役所の関与は講座の企画・広報・場所の提供であり、実際にはボランティア団体が取り仕切っていた。
 「みやび」の説明に寄れば、国際交流を進める市民サークルであったグループを発展・改組し、2000年から今の活動を開始したというから随分と歴史は古い。中心スタッフは、当初、多くの研修にも参加し、今のスタイルを確立したようだ。
 特徴は徹底して日本語による教授・学習である。中国からの学習者が申し入れ、ボランティアに中国語ができる人がいたとしても、教授言語は日本語である。もし、母国語対応すれば、英語圏以外の学習者は事実上受け入れることができないし、ボランティアも集められない。また学習者に対しても、「来る者は拒まず」のようで、近隣の柏原市・藤井寺市などからも学習者は来ている。

③ 講座の2・3回目は、実習見学だ。月曜の昼と、木曜の夜(19時~20時半)の2回が活動日だが、昼間は、日本人と結婚して来日した妻等が中心になるし、学習者数は少ない。これに対して、木曜夜の学習者は多い(両方参加してもいい)ので、ボランティアも多く必要だ。講座を終え事情が分かってきたので、木曜に行くことにした。
 学習者は近年特にベトナム人が増えたようだ。中国・フィリピン・インドネシア・スリランカ・タイなどのアジア圏からの者が中心だが、アメリカ・フランス・ペルー等からも受け入れてきた。
 私がこれまで担当した学習者は、ベトナム人4名、フィリピン人1名だった。いずれも羽曳野や周辺市の工場・事業所で働いている。従って、会社が忙しい時は休んだり、大幅に遅れてくることもあるので、同じ学習者に当たるとは限らない。彼らの何人かは「技能実習生」であるため、3年後には帰国しなければならない。その間に、日本語検定試験3級をとるのが目標という者が多い。(別の在留資格による長期在日者で2級・1級を目指しているものもいる) 「技能実習生」を雇い入れている企業は、3年が終われば次の実習生を雇うようだ。そこで、先輩から後輩へと問題集が順送りにされたり、この日本語教室のことを聞いてやってくる。「技能実習生」以外の在留資格で働きに来ている者もいるようで、総じて実習生より賃金も高く、労働条件もよさそうだ。
共通しているのは、今来ているベトナム人学習者達の多くはハノイかその周辺に住み、来日前には3ケ月やそこら日本語学校宇で学んだという。だから「ひらかなは大体読める、漢字や文法を勉強したい」という。職場でも、業務上の知識や安全管理について試験があり、それにパスしなければいけないのでその過去問を勉強しにくる者もいた。

<閑話休題>○×で答える問題文も、最初は全部ひらかなであるため、こんな笑い話が起こった。
 問題「りゅうさんはちゅうせいである」。ある学習者を教えていた方が、私に分かるかと問いかけた。まず「りゅうさん」がひっかかる。中国人学習者も多いので人名をつい連想する。そうすると「ちゅうせい」は中性―LGBT?! そんな問題あるわけない! 
前後の問題を見て、彼の会社の仕事を聞いてみると精錬をやっているという。従って問題文は「硫酸は中性である」 だから×が正解

 勤勉なベトナム人の民族性も関係しているとと思うが、どの学習者もまじめで、学習意欲も高い。それ以上に感心するのは、礼儀正しく、日本の若者に見習わせたいほどだ。
 だんだん顔見知りになり親しくなってきたが、ある企業に努める二人の「技能実習生」の話を聞くと心が痛む。
 「日本語になれて話ができるようになってきても、会社では日本人の友達はいない」
 「用事があれば「おーい」というだけで、名前を呼ばれたことはない」
・・・グローバリゼーションなんどという言葉が当たり前になり、世界事情を紹介するTV番組も増えたとはいえ、日本語を話せる(話そうと努める) 外国人労働者との接触・交流の現況はかくのごとしか・・・ 彼らの愚痴の一つも聞いていければ・・・