英単語のつづりと発音の不一致: フォニックスと「つづり字改革案」

地球世界との交易のため、異世界英語を正書法改革。分割ダイグラフをつかわない。表音主義をさける。二重子音字も接尾辞も維持。

英語の つづり字改革案 (穏健派)

2019年07月28日 | 英語の つづり字改革案

厳密な意味で「改革案」でないものも ふくめて、穏健なものを ここに のせておく。
(2021.5.改訂。2023.7.改訂。2023.8.改訂。)


"Traditional Spelling Revised"(TSR)

International English Spelling Congress の 投票で きまった 英語つづり字改革案。穏健派だが 体系的。

https://spellingsociety.org/uploaded_iesc/summary-version--traditional-spelling-revised-misc.pdf(きまった当時)

https://spellingsociety.org/uploaded_iesc/tsrfullguidance0622-misc.pdf(2023.6.改訂)
使用例は、リンクさき に あります。(ANNEX C SAMPLE TRANSCRIPTIONS を参照のこと。)

https://www.spellingsociety.org/uploaded_iesc/tsrcompleteguidanceoct23-misc.pdf(2023.10.登場)

 

いわゆる マジックe や 二重子音字を つかうこと が 前提。

単語おわりの《母音字+子音字+e》で、母音字の よみかた が 「みじかい」(/エイ/, /イー/, /アイ/, /オウ/, /ユー/ に ならない)場合は、e を削除。
(ただし、-ore の e は そのまま。さらに、-ce, -ge などの e も そのまま。-se は、維持する場合と -ss になる場合がある。)

語中の二重子音字は、ストレスのある短い母音の直後で使う(dinner, supper)。(ll, ff, ss などは語末でも使われる。)
(i+子音字+i の文字列では、子音字を二重にしない場合あり。civic, limit, mimic, vivid など。)
(ストレスのない母音の直後で子音字の一重化あり。account, attack が acount, atack に なる など。)

それぞれの音に対応するつづりのパターン(リンクさきのリスト参照)をきめて、そこから 逸脱したもの のみ 修正。

短音は、a, e, i, o, u で表記(pan, pen, pin, pot, pun)。ただし、一定数の例外(any, many, other, some)をみとめる。

長音は、マジック e のほかに数種類のパターンで表記。main, mane, they, way, weigh, by, bye, buy, pie, right, rite など。同音異綴異義語の区別はかなり維持される。

/ju:/, /u:/, /U/ の区別には、こだわる。(blue が "bloo" に、full が "fuul" に、rule が "rool" に、room が "ruum" に なってしまう。)
ただし、new は、/nju:/も /nu:/も、そのまま。
"super" は、"u" をそのままにする。("oo" に しない。)
through は、(thru ではなく) "throo" に なる。

変則的であっても類推が有効な場合は、グループあつかいをして そのまま のこしておいたりする。
(angel, change, range や host, most, post や brother, mother, other や child, mild, wild など。)

サインワード(フォニックスでいうところのサイトワード)を かなり みとめる。(be, eye など。)

そのままにしておく例外についての説明をのせてあるのは、つづりの(よみかたの)予測不可能性をへらすため。

ch (chef, chemistry) は、そのまま。

よまない g は、sign, benign などでは のこるが、gnash の g はカット。

よまない gh は のこる(night, thought)。ただし、though は tho に、through は (thru ではなく) throo に。

/f/ の gh は、ff になる(coff, enuff, laff)。

/f/ の ph は、そのまま(phone)。ただし、ギリシャ語起源の語に限定。(phat や phishing の ph は不可?)

-ed, ck, tch, wh なども、そのまま たもたれる。-tion や -ture なども そのまま。

よぶんな もじを さくじょ。(単語の でだし の よまない もじ も さくじょ。)

アポストロフィーの つかいかた が ふしぎ。h'art(heart), 'no(know), 'our(hour), 'ring(wring), 'rite(write) など。かえって むずかしく なっていないか?

 

TSR は、-tion- を そのままにするなど、穏健派の改革案なのですが、なぜか 偏見と誤解に もとづく 結論ありき の あつかいを されることが あるようです。反対派にとっては、つづり字改革すなわち表音主義で、伝統の断絶だからみとめない、ということなのでしょう。

https://www.dailymail.co.uk/debate/article-9489153/Reformers-vote-make-easier-learn-English-nu-sili-speling-rools-tayk-biskit.html

https://www.thetimes.co.uk/article/dont-stop-at-spelling-lets-refresh-jography-too-73d305xjt

さらに、

https://www.thebookseller.com/comment/simplifying-spelling-is-a-mistake

https://yougov.co.uk/topics/society/articles-reports/2022/11/25/john-humphrys-change-our-spelling-rite-or-rong

http://languagemiscellany.com/2022/12/new-spelling-may-rool-ok/
これは まとも。わが意を得たり。

 

 


Axel Wijk's "Regularized Inglish" (規則化英語)

単語のつづりをまよわず読めること を 重視した改革案。ただし、1つの音素に複数の書記素が対応するので、つづり の 予測は 単純ではない。(cell, sell ; jean, gene ; tail, tale)

同音異綴語の 区別も かなり 重視。for, fore, "foar"(four) の よう に 区別。だが、throw は throe と おなじ つづり に なる し、would は wood と おなじ つづり に なる。

読みかたの習得をさまたげないかぎり、黙音字は 削除しない。knight の k も gh も そのまま。wrought の w も gh も そのままだが、ou を au に かえて "wraught" に。though, through は、tho, thru に なる。

子音字は、有声音と無声音の区別をかなり反映させる。過去形・過去分詞形の語尾を発音どおりに表記する。ただし、接尾辞 -(e)s は 維持。"x"は、無声音 /ks/ でも 有声音 /gz/ でも そのまま。

Notes on Wijk's Regularized English
https://wyrdplay.org/AxelWijk/WRE-notes.html

Regularized Inglish (by Axel Wijk)
https://en.wikipedia.org/wiki/Regularized_Inglish

https://ja.wikipedia.org/wiki/規則化英語

TSRとは ことなり、超基本的な単語の つづり も かえるし、不規則でも類推が有効なものを維持する よう な こと も ほぼ ない。

  • any, many は、eny, meny に かわる。
  • are, were は、ar, wer に かわる。(語末の e の削除)
  • of は、"ov" に かわる。(有声音と無声音の区別を反映)
  • once, one は、wunce, wun に かわる。
  • two, who, whom は、too, hoo, hoome に かわる。
  • could, should, would は、cood, shood, wood に かわる。
  • child, kind, mild, mind, pint, both, most, truth, moon, root, boost は、childe, kinde, milde, minde, pinte, bothe, moste, truthe, moone, roote, booste に かわる。(語末の e の追加)
  • as, is, says は、az, iz, sez に かわる。(有声音と無声音の区別を反映)
  • sign, assign, resign は、sine, assine, rezine に かわる。
  • change, range は、chainge, rainge に かわる。
  • eye, aye は、ともに "ie" に かわる。
  • heard, heart は、herd, hart に かわる。

規則化英語では、/ju:/と/u:/をあらわす書記素について 厳密な区別をせず、もとのつづりを維持することが ほとんど。

  • eu --- /ju:/ も /u:/ も(feud, leucocyte)
  • ew --- /ju:/ も /u:/ も(few, crew)
  • u --- /ju:/ も /u:/ も(menu, thru)
    ただし、use と ooze の混乱は生じない。
    truth は("trooth"ではなく)"truthe" に なる。
  • ue --- /ju:/ も /u:/ も(cue, clue)
  • ui --- /ju:/ も /u:/ も(nuisance, cruise)
    juice, suit はそのまま。(そして、soot もそのまま。)
    fluid, ruin, tuition なども、そのままに なってしまうので、読みかたの習得には不利に。

規則化英語に おいて、"oo"は /uː/ と/ʊ/ の両方をあらわすが、音価のちがいを 語末の e の あり・なし で しめす。

  • moon, root, boost は、moone, roote, booste に かわる。(語末の e の追加)
  • move, remove, improve は、moove, remoove, improove に かわる。
  • fool, pool は "foole", "poole" に、full, pull は "fooll", "pooll" に かわる。

 

ttp://e-speec.com/regularized.htm
http://web.archive.org/web/20120321061409/http://www.e-speec.com/regularized.htm

Foarscore and seven years ago our faadhers braught forth on this continent a new nation, conceevd in liberty, and dedicated to the propozition that aul men ar created equal. Now we ar engaged in a greit civil wor, testing whedher that nation, or eny nation so conceevd and so dedicated, can long endure. We ar met on a greit battle-field ov that wor. We hav cum to dedicate a portion ov that field az a final resting-place for thoze hoo here gave their lives that that nation might liv. It iz aultogedher fitting and proper that we shood do this.

もともとの規則化英語において、"th" は、語頭では(発音に関係なく)そのまま(think, this)だが、それ以外では、無声音/θ/(th)と有声音/ð/(dh)の区別をしていた。south, sudhern(southern), badhe(bathe).

しかし、そうでないバージョンが あるらしい。(本家ではない別人による「アメリカン・バージョン」だという。)

http://recycledknowledge.blogspot.com/2005/07/regularized-inglish.html

Wunce upon a time thare livd a poor boy named Dick Whittington, hooze faather and muther were bothe ded. Having neether home nor frends, he roamed about the cuntry trying to ern hiz living. Sumtimes he cood not finde any wurk, and he offen had to go hungry.

On market days he herd the farmers tauk about the greit city of Lundon. They sed that its streets wer paved with gold. So Dick made up hiz minde to go to Lundon and seek hiz fortune. Packing hiz clothes into a bundle and cauling hiz faithful cat he started out. After days and days ov wauking, the hungry lad finally reached Lundon.

そのブログでは、ほかにも 規則化英語について あつかった記事が ある。

http://recycledknowledge.blogspot.com/2007/02/regularized-inglish-theory.html

http://recycledknowledge.blogspot.com/2007/02/regularized-inglish-wordlists.html
そこに出ているワードリストでは、dh と th の区別をせず、a と aa の区別もほとんどなく、s と z の厳密な区別もしていないようである。

http://recycledknowledge.blogspot.com/2019/11/regularized-inglish-rules.html
その リンクさき では、音素ごとに対応するつづり字のパターンがしめされている。(ちなみに、本家の規則化英語では、つづりのパターンに対応するよみかたをきめて、そこから逸脱した例外を修正する。)

http://recycledknowledge.blogspot.com/2020/04/response-to-anatoly-liberman-on.html

In short and with a few caveats (I see no need for dh or aa) I would follow Axel Wijk's Regularized English. 
「要するに、いくつかの条件付きで(dh や aa は必要ないと判断)、私はAxel Wijk's Regularized Englishを奉じる。」

 

ちなみに、スペリングソサエティーのウェブサイトには、規則化英語のルールについてのページは みあたらなかった。

 


APROVED CHANGES IN THE GLOBAL BALLOTS

つづり字改革に関しての投票結果か? 最低限の 合意事項と かんがえられる。

http://www.zedorock.net/exter-rite.html

1. CUT ALL REDUNDANT LETTERS
2. THE BASIC RULE FOR THE STRESSD SHORT VOWELS
3. 'A' sounded as short 'o/u' after 'w' or 'qu' remains 'wa'

know は、kno に かわる。no と くべつ。

gh や ph は、どうなる?

 


SR1

https://en.wikipedia.org/wiki/SR1
https://ja.wikipedia.org/wiki/SR1

  • Make the short /ɛ/ sound (as in bet) always be spelt with E.
  • Remove the letter E from words where it is unneeded or misleading.
  • Change 'ph' to 'f' when it is sounded as /f/ .
  • How to deal with "augh" words
  • How to deal with "ough" words

 


Noah Webster's Spelling Reform

いま は、https://www.merriam-webster.com/about-us/spelling-reform に、せつめい の ぶんしょう が ある だけ ですが、そのまえ は、つぎのような かんじ でした。

http://www.merriam-webster.com/info/spelling-reform.htm

WEBSTER WON SOME:   ...AND LOST SOME:  
Before Webster Webster's Change Before Webster Webster's Change
gaol jail ache ake
mould mold soup soop
travelled traveled sleigh sley
honour honor sponge spunge
centre center tongue tung
humour humor cloak cloke
masque mask determine determin
publick public women wimmen


このような かたち で リンクさき の 内容を (勝手に)引用したのは、その内容が 変更に なったり ページ自体が 消えたりしたときに 対する そなえ です。

うえ の 表を みれば わかるように、ウェブスターの 提唱していた つづり は、英語(あるいは米語)に 定着したものもしなかったものも ふくめて、読むときも 書くときも つづり が カンタン に なっています。

 

publick は 読むだけなら このままで 充分のようにも おもえるのですが、最後の k が 省略したものが 定着しました。

 

ache は ch が むずかしい。soup は ou が むずかしい。sponge も tongue も o を /Λ/ の音で 読みます。women は o が 特殊例外で むずかしい。しかし、そういうのは 残念ながら そのままに なってしまった。世間一般に 容認される 基準が まったく わかりません。




Simplified Spelling Board's 300 Spellings

https://www.childrenofthecode.org/code-history/300words.htm

まさしく、例外だけを ねらいうち に する 案 で ある。

20世紀はじめごろ(1906年)には、すでに このような 提案が あった。
300語のうち、半数は すでに うけいれられていた もの だった らしい。

表をみると、過去形の語尾の -(e)d のうち、/t/ の発音のものは "t" の文字で 書いてしまうような 提案も ふくまれているようであるが、これをやってしまうと、規則動詞の変化が めんどう に なる。


https://ja.wikipedia.org/wiki/規則動詞
英語の規則動詞は 基本的に、現在形に -ed をつけると 過去形・過去分詞形に なる。
この -ed は、そのままにしておいてほしいと おもう。



この 最初の 300語 だけに とどまらず、数年後には・・・。

http://query.nytimes.com/gst/abstract.html?res=9D00E0DC1F31E733A25756C2A96E9C946897D6CF

The Simplified Spelling Board which started its spelling reform three years 
ago with a list of 300 words now has published a list containing 3,261 
words
 that the board thinks need reforming. [ END OF FIRST PARAGRAPH ]

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Simpler Spelling --- Word of the Day

1日1語の つづり字改革。玉石混交。ABC順の 単語一覧表も ある。
http://simplerspelling.tripod.com/

2018.6.30. まで つづいた。