歴タビ日記~風に吹かれて~

歴タビ、歴史をめぐる旅。旅先で知った、気になる歴史のエピソードを備忘録も兼ね、まとめています。

コースツアーへ②~鹿屋を訪ねる(3)

2024-02-29 15:55:42 | 鹿児島県
鹿児島旅行で楽しみにしていた、

本日は、鹿屋・初日に出かけた
コース②「鹿屋基地周辺と進駐軍上陸の地現地ガイド」戦争遺跡を
備忘録を兼ね、まとめておきたい。

(ベテラン女性ガイドSさんとの出発までの詳細→「鹿屋を訪ねる」)



まず、最初のポイントは、鹿屋航空基地史料館から
車で10分ほどの小塚公園。

Sさん作成の資料には「鹿屋基地から出発し命を落とした
特別攻撃員908名の御霊が祀られています」とある。

長い階段の上にそびえる塔にはプレートがはめ込まれ、
出撃の日付と所属部隊別に、それぞれのお名前が刻まれている。



日付は、1945(昭和20)年3月11日から6月26日まで。
鹿屋の特攻基地からは、主に沖縄を目指して出撃するのだから、
この日付なのだ。

沖縄戦は、アメリカ軍の上陸した4月1日から、
組織的な戦闘終結の6月23日までとされる。
(6月23日は沖縄の「慰霊の日」)
沖縄が陥落した後の特攻が行われなかったのもうなずける。

川端の鹿屋滞在中に御、6回の特攻出撃があったという。



お名前のプレートを前に、
Sさんから興味深い話をうかがった。

森丘哲四郎少尉、富山県黒部出身、現・東京農業大学在学中に
学徒出陣した23歳だった。

森丘少尉は、前任地で給料の3ヶ月分にあたる50円の大枚をはたき、
濃茶・茶碗を買っている。
なんたる趣味人!

もっとも「どうせ金の使い道などないのだから」が本人の言葉。

そんな少尉が、裏千家の将来を担う・
若き日の千玄室(第15代千宗室)氏と親しくなるのは当然だろう。

今、森丘少尉の愛用した茶碗は、鹿屋航空資料館に展示されている。

少尉が学生時代に夢中だったというラグビーのボールのような楕円型、
零戦のような一筋の線が側面に引かれた、楽焼きの茶碗である。
若き日のお家元も、少尉と共に、つかのまお茶を楽しんだそうだ。

千玄室氏は、無事帰還し、戦後、裏千家お家元として活躍なさった。

2015(平成27)年5月、千玄室氏
この小塚公園、慰霊碑の前で「終戦70周年平和祈念献茶式」に
臨まれ、自らお茶を点てられたという。
もちろん、お使いになった茶碗は、森丘少尉が愛した品だ。

裏千家HPによれば、このとき、玄室氏は、
「一人ひとり飛び立っていった亡き友人たちの顔が今でも浮かんできます。
ここ鹿屋より飛びたった森丘君をはじめとする908柱の御霊に
ご冥福を祈念し、奉仕させていただきました」とご挨拶をなさったそうだ。


塔に刻まれたプレートに、野中五郎少佐の名があったことも
忘れられない。

野中少佐の兄は、雪の帝都を震撼させた226事件の首謀者、
直後に自決した野中四郎大尉だ。

父も、もうひとりの兄も皆、陸軍軍人でありながら、
一人海軍を選んだ野中少佐の気持ちは
いかばかりだったのだろうか・・・



毎年、春、この公園が桜で彩られる頃、
慰霊の行事が行われると、Sさんがおっしゃっていた。
3月18日、今年は鹿屋に初空襲があった日にあわせているそうだ。


・・・このあと、2ヶ所をまとめるつもりだったのだが、
ここだけで、こんなに長くなってしまった・・・
とりあえず、本日は、この辺で。

*****************
おつきあいいただき、どうもありがとうございます。
ガイド氏のお話を記録したメモや以下の参考資料をもとにまとめましたが、
勘違いや間違いはあるかと存じます。
素人のことと、お許し下さいませ。

参考:
●『魂(こころ)のさけび―鹿屋航空基地新史料館10周年記念誌』
  鹿屋航空基地史料館協力会
●多胡吉郎 『生命(いのち)の谺(こだま) 川端康成と「特攻」』
 現代書館
●パンフレット「戦争を旅する」鹿屋市ふるさとPR課

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2 コメント

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Unknown (なおとも)
2024-02-29 19:59:56
こんばんは!

以前、千玄室さんがこの時の思いを話をされていました。お家元にそんな経験がおありな事に、驚きました。亡くなった戦友の為にも、命を全うしたいと、健康に気をつけていると聞きました。

こんな事が本当に起きていた事を、決して忘れてはいけないといつも思います。再読致します。なおとも
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なおともさま (ぴあ野)
2024-03-01 08:34:30
なおともさん、コメントをどうもありがとうございました。

やっぱりご存知でしたか♫
特攻乗員としての、お家元と西村晃さんとのエピソードも、よく知られていますよね・・・

生き残られた方は、生きることへの使命感がおありなので、お家元もそのお気持ちがおありなのですね・・・
実は、やはり特攻でご一緒だった方のエッセイには、お家元の別の発言も書かれていました。
深く心えぐるお言葉でした。
それについては、いずれまた・・・
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