遺留分減殺請求には、相手方に対して請求の意思表示が必要。
請求の意思表示の方法は、内容証明郵便にて行う。
遺留分減殺請求書の内容証明郵便のサンプル
内容証明郵便の書式
内容証明の作成には、いくつかの書式・ルールが存在します。万が一、これらのルールが守られていない場合、内容証明郵便として送付できない。
・用紙
紙質やサイズは原則自由とされています。
また、手書きでもパソコンやワープロを用いて作成しても問題ありません。
・1枚あたりの文字数制限
1枚の用紙に「1行20文字以内、26行以内」での記載が必要です。
縦書き・横書きどちらもこの記載方法が一般的です。
書く内容が多い場合、複数枚に及んでも構いません。
・使用できる文字
ひらがな・カタカナ・漢字・句読点・数字・一般的な記号を使用することができます。
アルファベットは固有名詞以外の場合は使用することができません。
内容証明郵便で必ず明記してほしいこと
内容証明郵便の記載事項
遺留分減殺請求の内容証明として機能させるために、最低限以下のことを書いておきましょう。
・被相続人(亡くなった方)が誰であるかを明記し、どの相続を対象とした遺留分か記載する。
・被相続人(亡くなった方)の遺留分を侵害している行為を特定する。(遺言の内容あるいは生前贈与など)
・遺留分権利者(あなた自身)の名前を明確にする。
・遺留分減殺請求権を行使する旨を記載する。
これらを記載することで、遺留分減殺請求の意思表示として確かな機能を持った内容証明郵便となります。
遺留分減殺の目的物や遺留分の額・遺留分の割合などは書く必要はありません。
内容証明郵便提出の提出
作成した内容証明郵便は以下のように提出をします。
① 手紙3通同じもの・封筒1通・印鑑・お金を持参する
郵便局に内容証明郵便を提出する際には、通常手紙を3通用意します。
1通は郵便局で保管、1通は封をして相手方に送付、もう1通は謄本として返却されます。
内容証明郵便には以下の費用がかかります。
・通常郵便物料金:82円
・内容証明料:430円
・書留料:430円
・配達証明料:310円(任意)
合計1252円が最低でもかかります。
内容証明料は、手紙が2枚以上の場合、2枚目以降に関して1枚あたり260円増となります。
② 郵便局の窓口に行く
内容証明郵便は、小さな郵便局では出せないことが多いです。
行く前にあらかじめ内容証明郵便を取り扱っている郵便局か否かを確認しておいてください。
まず、郵便局に行くと、窓口で内容証明郵便を送りたい旨を告げ、手紙3通と封筒を提出します。
郵便局の係員が手紙の内容をチェックし、3枚の内容が同一であることを確認します。
確認できたら、差出年月日および内容証明郵便であることの記載のある印を押します。
この際に、内容の訂正を行わなければならないケースがあります。その際に印鑑を使用します。
③ 配達証明の依頼をする
内容証明郵便の提出をする際には、是非とも配達証明をつけてもらってください。
配達証明は、法律上や制度上は付けないと無効になるわけではありません。
配達証明を必ずつける。
④ 内容証明郵便を提出したら
遺留分減殺請求の意思表示を行なったら相手方の出方を待ちましょう。
もしかしたら了承して遺留分の 返還をしてくれるかもしれません。
万が一、了承しなかった場合、交渉により遺留分相当額の遺産を要求することになります。
それでも解決しなかった際には、調停や訴訟にて遺留分減殺請求を争うことになります。
遺留分減殺請求権を「いつ」「どのような内容で」行使したのか、
内容証明郵便により証明することが重要なのでしょうか。
遺留分減殺請求の時効と関係があります。
遺留分減殺請求には、法律で時効が設定されています。
・遺留分権利者が、相続の開始および減殺すべき贈与または遺贈があったことを知った時から
1年以内に行使しなければならないという「消滅時効」。
・相続開始から10年以内に行使しなければならないという「除斥期間」。
期間内に1回でも意思表示や催告を行えば、遺留分減殺請求権を行使したとされます。
つまり、それ以降、時効を問題に権利がなくなるということはありません。
一方で、万が一意思表示や催告、請求を行わずに時効が過ぎてしまった場合、
遺留分減殺請求を行うことができなくなってしまいます。
この時効期間が経過せず、期間内に遺留分減殺請求の意思表示を行なったことを証明するために
内容証明が有効なわけです。
口頭で相手方に対して意思表示を行なったとしましょう。
相手方としては請求に従わず、そ
のまま意思表示がなかったこととして時効が来るのを待ちたいと思うかもしれません。
そしてそのまま相続開始から1年以上が過ぎたある日、
あなたが再び遺留分減殺請求について話を切り出しても相手にしてくれません。
遺留分減殺請求の意思表示が無かったため、時効期間が経過したと相手方は主張するわけです。
あなたとしても、意思表示をしたのが口頭であったため、意思表示があったことの証明ができません。
このようなことを防ぐためにも、◯年◯月◯日に遺留分減殺請求の意思表示をしたと証明することが必要。
配達証明付きの内容証明郵便を用いて遺留分減殺請求の意思表示を行うことをお勧めしています。
内容証明郵便を受取拒否されたらどうなる?
内容証明郵便の受取拒否
「内容証明郵便を送ったとしても相手方が受け取らないのでは」
「そうなったら内容証明郵便を送っても意味がないのでは」という懸念を抱えている方もいるでしょう。
しかし心配しないでください。
意思表示は、相手方に到達した際にその効力が生じるとされています。
つまり、内容証明郵便での意思表示の場合、
相手方が手紙を受け取ること・内容を確認することは求められていない。
相手方は内容証明郵便自体の受け取りを拒否することはできるものの、
拒否をもって意思表示が無かった・聞いていなかったとすることは出来ない。
判例上でも、家族や雇い人が受領した時点で到達したとされており、
受取拒否の場合では、拒否をした時点で到達したと認められている。