飛耳長目 「一灯照隅」「行雲流水」「万里一空」「雲外蒼天」

「一隅を照らすもので 私はありたい」
「雲が行くが如く、水が流れる如く」

すきま問題

2022年07月27日 15時34分55秒 | 授業論
時間があまったり、レクの時間に子どもたちに問題をだす。
感想で解けない問題、これが一番子どもたちに盛り上がる。

黒板に次のように書く。

2,4,6,8,10、⬜

「四角に入る数字を書きなさい」
答えは12。
2の倍数になっている。

3,6,9,12、15、⬜
答えは18.
3の倍数になっている。

次は難しい。

1、3,5,2,4,7,9,11,6,8,13,15,17,10,12,⬜

「できたらもってらっしゃい」
答えは19。
奇数が三つ、その後に偶数が二つ並んでいる。

2,⬜、2、2,2、2
子どもたちは2と書くだろう。
しかし、違う。
ある学校の各学年のクラス数を表している。
学級数がオール2なら2で正解になる。
ご自分の学校のクラス数で行ってください。

1,1,2,⬜
「社会と関係があるよ」
「四年生でならったよ」
答えは43。
都道府県の数。

saitani



喧嘩の対応

2022年07月27日 15時03分51秒 | 学級経営
学級は問題の集合体である。
これは全ての学級にあてはまる。
例外はない。
違うのは、その問題が大きくならずに処理されていたり、表面化する前に解決していたりするだけである。
では、子どもたちのトラブルの代表である喧嘩が起きたときに教師はどう対応するか。
ここに一つのモデルがある。

喧嘩の対応の手順

1 こだわりの強い子の方から話しを聞く
①小さな声で話させる。
②受容しながら聞く。
③相手に途中で口を挟ませない。

2 相手の子から話しを聞く。
①黙っていたことを褒める。
②こだわりのある子に口を挟ませないようにする。

3 自分のしたことに、10点満点で点数をつけさせる。
①点数を低くいいそうな子から言わせる。
②「4点」なら、「6点も反省しているんだね」とこだわりのある子の前でほめる。
③点数が客観的な過失割合でないことを押さえておく。
④こだわりのある子にも言わせて褒める。

4 悪かったことだけ謝らせる。
①どちらが先に謝りたいか選択させる。
②相手が「いいよ」と納得できるような言い方をするように言う。
③謝れたことと、相手を許したことを取り上げて褒める。

5 次にどうするか教える。
①「解決できて良かったね」と一緒に喜ぶ。
②次に喧嘩をしたときには、またこうやって解決すればよいことを教える。
 手順の趣旨も説明しながら。

これもオールマイティではないが、一つの方法論としては意味があると思う。

saitani

パニックに対する対応

2022年07月27日 11時32分15秒 | 教育論
時々教室に中でパニックを起こす子どもがいる。
基本としては、パニックが起きないような環境を常に構築しておくことだと考える。
対応を間違えないということも重要だ。
パニックになると、暴れる、泣き叫ぶ、自傷行為をしてしまうなどの行動をとることもある。
原因は様々だが、自分の思うようにならなかたり、予定の変更に耐えられなかったりする場合もある。
予定の変更もしてはいけないことだが。

この時に絶対してはいけないことは、叱ったり、とくにパニック中に叱ることだ。
では対応の基本は何か。
一つの対応の例として考えてみる。
個々の特性がことなるようにオールマイティなものはないと思うが。

それはタイムアウトである。

注意点。
1 パニックの原因から遠ざける。
パニックの原因となった人や物を遠ざける。
視覚的に見えなようにする。

2 刺激の少ない環境を用意する。
パニックになると周りからの情報や刺激をさらに敏感に受け取ってしまうようになる。
そこで静かな部屋やクールダウンのスペースに連れて行く。

3 時間や終わりを区切る。
〇分たったら落ち着けた見に来るね。
話しをしてもよい状態になったら教えてね。
時間や終わりを教師側が示す。
できたらしっかり褒めて、良い行いを強化する。

4 刺激を入れない。
視覚・聴覚・触覚などあらゆる刺激を入れないように配慮する。

アイムアウトしたあとケアについて。

パニックになった原因を明確にする。
時系列にきいてくことも大切。

1 一番解決してほしいところを解決する。
原因が複数ある場合は、何が解決できれば納得できるかを聞く。

2 どこなら止められたかを問う。
時系列のどの時点でパニックになることが防げたかを聞く。

saitani


ペアローテーション

2022年07月27日 11時15分38秒 | 授業論
授業の中でペアの子と意見交換をさせる場面をよく見る。
これは使い方や目標を明確にもってさせれば有効な手段となる。

グループ活動もあるが人数が多くなって、待ち時間を長くなったり、当事者意識も薄くなる。
これをペアで行えば、時には賛成や反対を巡って意見をぶつけ合ったり、相手の発表に対して質問したりすることができる。
そこで、これをさらに個々人の発言力を鍛えるためにペアローテションをしてみる。
やり方はいたってシンプルである。

1 1回目は隣の子と話す
2 2分30秒たったら、左隣に座っていた子が一つ後ろの席に移動する。
3 2回目の話し合いがを始める。再び自分の主張や意見のやりとりが行われる。
4 2分30秒たったら、左隣の子は、さらにもう一つ後ろの席へ移動。
5 これらの方法を繰り返し、話し合う。

この2分30秒という時間は経験則から導きだされたものだ。
学級の実態に合わせて、調整してもいい。

saitani


発問づくり

2022年07月24日 08時02分20秒 | 授業論
読みの観点をもつことは教師にとって教材研究をする上で必要不可欠な能力である。
にもかかわらずそのことは殆どの場合、教えられることはない。
大学の授業でも教材研究の方法論の具体を習った覚えはない。
ここの教材研究をただ印象批評的に羅列をするが、その力は他の教材に対しては転移していかない。

教材研究の需要な部分は発問づくりになる。
この発問が授業の骨格であることはいうまでもない。
分析批評の分析コードを子どもたちにそのままなげかけることもあるが、教材の即した聞き方をしたほうが、よりコンテクスト解釈に近くなる。

1 題に関する発問
・「○○作品名」という題から考えられることをノートに書きなさい。
・3つの種類のうち、どの仲間に入ると思いますか。

2 作者に関する発問
(作者について調べさせたあと・説明したあと)作者が書こうとしている内容を想像して短い言葉で書きなさい。
 
3 設定に関する発問
・このお話の季節・時代・時間はいつですか。
・このお話の舞台・場所となっているのはどこですか。
・このお話の登場人物はだれですか。(登場人物の定義は事前に指導する)
 主役・対役・脇役

4 視点に関する発問
・話者は誰ですか。(主人公の根拠)
・話者はどこから見て、この文章を語っていますか。
・視点を調べて、主人公と対役を決めなさい。
・話者は誰の頭の中に入っていますか。

5 イメージ語そしてその使い方であるイメジャリーに関する発問
・(対比)対比されている言葉は何と何ですか。
・(比喩)比喩の表現が書かれている部分はどこですか。
・(類比)この言葉が象徴していることはなんですか。

6 アイロニーパラドックスに関する発問
・(アイロニー)矛盾している関係や表現を見つけなさい。態度や行動で矛盾・対比しているところはどこですか。
・(パラドックス)表現で矛盾しているのはどこですか。

7 色調に関する発問
・お話にでてくる色をすべて書き出しなさい。
・この物語では何色が多く出てきますか。
・対比されている色はなんですか。
・その色からイメージできることなんですか。

8 伏線・クライマックスに関する発問
・(伏線)このきっかけとなった出来事はなんですか。
・(伏線)変容するきっかけをつくった人は誰ですか。
・(クライマックス)主人公の気持ち・行動が大きく変化するところはどこですか。
・(ピナクル)ここが主人公の転換点だったという一行はどこですか。

9 レトリック
・どんなレトリックがつかわれていますか。
・体言止めがつかわれているところはどこですか。
・オノマトペがつかわれているところはどこですか。
・リフレインがつかわれているところはどこですか。
※比喩・対比・倒置法・擬人法・誇張法・仮定法・現在形と過去形・敬体と常体

10 あいまいさに関する発問
・○○はどこをみていましたか。(知覚語で問う)
・AとB、どちらの立場・考えが正しいと考えたですか。(選択させる言葉で問う)
・どこから見ていますか。(限定させる言葉で問え)

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分析批評による授業づくり 手順

2022年07月22日 13時26分37秒 | 国語科
夏休みに入る。
コロナ対応で夏休み前の学校は混乱している。
せめてもの救いは、学校が休みになることにより教員の欠員による学校運営停止がさけられるということかもしれない。

夏は、しっくりと腰を落ちつけて教師修業ができる時期でもある。
真夏を磨夏することができる。

分析批評による教材研究について少し整理してみる。
私はこの分析批評を知るまで、指導案の教材分析をかくことができなかった。
参考書になるものの誰かが書いた解釈をそのまま理解し、授業を組み立てた。
だから、子どもたちから自分の解釈とは違った意見がでるとどう対応していいか分からなかった。
本来、解釈なのだから人それぞれでいいのだが、そのことさえ気づかなかったのである。

教材研究は5つの手順を経る。

1 教師の教材研究
教材に対してコードを使って分析

2 発問づくり
①用語そのものを用いた発問 コード解釈
②用語を加工した発問    コンテクスト解釈

3 用語指導
 その作品に必要な用語を指導する

4 授業
 討論

5 評論文指導

教材分析の際に必要となるコードは10ある。

1 題名
①中心人物の名前
②クライマックスに関連したもの
③何かを象徴しているもの
※とくに③のときに有効なコードとなる

2 作者名
①その作者の経歴
②代表的な作品やその他の作品
③その作品の全体的な傾向や特色 時代背景

3 視点
話者の視点検討
どの位置から語られているか
一人称視点
三人称限定視点
三人称客観視点
三人称全知視点

4 設定
 時間・季節
 場所
 登場人物 主役・対役

5 アイロニー・パラドックス
矛盾…行動・態度→アイロニー
  …表現上  →パラドックス

6 イメジャリー
 イメージ語のつかわれ方
 何かを象徴的にあらわしている言葉
 このイメージ語を探させるときに「対比・類比」がつかわれる

イメジャリー→アイロニー・パラドックス→対比で
      →比喩・類比       →類比で

7 色調
色が効果的に使用されている作品
登場人物の心情や自然情景を色で象徴させる

8 クライマックス ピナクル
 中心人物の考えや行動がガラッと変わった場面
 中心人物が最後までこだわり続けたものが主材
 主材に込められた願いや思いや主想となる
 クライマックスの中でも、山の頂上にあたる部分を特にピナクルという

9 伏線
 物語の展開を変える根拠となったり、登場人物の行動の根拠となったりするできごとをそれとなく配置しておく

10 レトリック
 リフレイン
 倒置法
 体言止め
 オノマトペ

saitani



教師の信頼回復

2022年07月20日 12時27分27秒 | 教師論
ある先生の文章。

私にナイフを突きつけた男子児童もいました。
何度も「死ね」「消えろ」と言われました。
それでも彼らに話しかけ、仕事を頼み、感謝を伝えるようにしました。
もちろん、拒否されることが日常でしたが、機嫌のいいいときは応じることもありました。
また、彼らと放課後はバスケットボールをしたり、野球をしたりしました。
そうやって、自分の言葉に耳を傾ける子どもたちを地道に増やしていきました。

こうやって書くと、さも私が鋼の精神をもった子ども愛に満ちた教師だと思われるかもしれませんが、とんでもありません。
休日になるとめまいがして、体のあちこちにじんましんが出ました。
夜中にうなされたり、人混みに入ることができなくなったりしました。
休職しなかったのは、私にその勇気がなかっただけです。

この先生は力のある、素晴らしい技量を持った先生である。
その先生でも、こういった時期を乗り越えてきたのである。
誰でも一度は通る道なのだ。
自分にもよく分かる。
経験があるからだ。

そして、次のように続けています。

秩序の崩壊が子どもたちの未発達によるものならルールを再設定し、繰り返し繰り返し指導すればいいことです。
しかし、それが不信感に基づくものならば、教師が信頼を回復するしか再生の道はありません。

saitani


赤とんぼ 葉末にすがり 前のめり

2022年07月19日 15時02分17秒 | 国語科
夏休みはリスタートの季節である。
休み前までに培ってきたことはほぼ子どもたちは忘れていると考えた方がいい。
休み明けに今一度4月に話したことやルールは確認した方がいい。
すでに規定の事項になっているのがほとんどであるので確認だけでいいだろう。

休み明けの授業は、やはり楽しい方がいい。
できれば全員参加の。

こんな授業はどうだろう。

俳句を黒板に提示する。

「赤とんぼ 葉末(はずえ)にすがり 前のめり」
                   星野立子(ほしのたつこ)

季節的にもぴったりの俳句である。
残暑が厳しいとは思うが。

基本展開は、場面を絵にして、絞り込むということになる。

意味の分からない言葉を確認する。
「はずえ」「すがり」「前のめり」のこのあたりがでる。
タブレットで調べさせる。

〇赤とんぼ… 秋の季語。ちなみに「とんぼ」も秋の季語であり、夏の季語と間違えやすいので注意。まり
〇葉末(はずえ)… 葉の先端。
〇すがり…しがみついて。
〇前のめり…倒れそうなほど体が前に傾いた姿勢。

さらにレトリックを確認する。
「俳句に使われているレトリック(文章のおしゃれ)は何ですか。」

〇体言止め。
〇すがり… 擬人法。葉末に必死にしがみついているかのような赤とんぼの健気な様子が印象的に表されている。

簡単なとんぼの絵のかきかたを説明しておく。
かけた子からノートをもってこさせて点検する。
大雑把にカテゴリーわけしながら、黒板に何名かの子にかかせる。

黒板に様々な考え方が示されてから、今一度、「葉末」の確認をする。
「このんかあでおかしいなと思う絵はどれですか。
 また、その理由は何ですか。」
順に発表させていく。
とんぼの位置で葉末にないものは除外される。
つぎに「すがり」「前のめり」の表現から、とんぼの向きを検討する。
できればとんぼ体の傾きも。

最後に葉の形についても検討する。
「前のめり」という表現から、通常の葉ではなく、細長い葉の揺れを連想できる。
このような作業から、俳句の言葉を子どもがどのように理解しているかがわかる。

こうした楽しく、ちょっぴり知的な授業をしたい。

saitani




説明の工夫

2022年07月15日 14時00分15秒 | 国語科
授業をして学習内容を定着させるときに反復繰り返しが基本となる。
しかし、もう一つ邪道だが子どもたちにとってすこぶる定着率がいいものがある。
それは、学級内だけで通じる独特のキャラクターだ。
小数点のかけ算をするときに出てくる「小数点以下べー」とか繰り上がりのある足し算に出てくる「くりあがりちゃん」とか。

何か説明を子どもたちにさせるときに様々な話形を教える。
型と言ってもいいだろう。
そんなときに登場するのは「説明のまつだ君」。
接続詞をつかって三段階で説明をするときに意識をさせる。
「まず」「次に」「だから」この頭文字をって「まつだ君」とする。

算数のこんな問題があるとする。
「まきさんは、15円のあめと40円の消しゴムを買いました。
 えんぴつを買い忘れて店にもどり、30円のえんぴつを買いました。
 全部で、いくらつかいましたか。」
文房具の代金を先に計算する。  ①40+30=70
あとから雨の代金を計算する。  ②15+70=85
この計算を文章で説明する。
「まず、文房具の代金を先に計算します。次にあめに代金をたします。だから、文房具の代金をひとまとめにして、式は15+(40+30)=85になります。」
授業中に何度も意識させて、この方法を使わせる。
このステップは基本的には中学年程度の型ではあるが、高学年でも意識して指導している学級は少ない。

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三つの指示で討論

2022年07月14日 15時51分38秒 | 国語科
討論の授業を目指しているが、現実的にはなかなか難しい。
討論するに値するテーマや発問がなかなか見つからないからだ。
こんな問題がある。
三角定規・コンパス・定規等を準備させる。
フリーハンドでも構わないが。

指示1 ノートに正方形をかきなさい。
指示2 その中に三角形をかきなさい。
指示3 その中に円をかきなさい。

これだけの指示である。
子どもたちは実に多様な図形をかく。
通常は、四角の中に三角形、そしてさらにその中に円が描いてある図形が多く出されるだろう。

他には、三角形の一部が、辺や点で四角形に接しているもの。
形の大小もいれれば多種多様だ。
さらに四角の中に、三角形と円が四角形に接するような図形も出てくるかもしれない。
この図形が正しいかどうかは、指示の内容を正確に理解しているかどうかが問題になる。

しかs、この指示もとりようによっては意味が複数に理解できる。
自分の考えた図形の妥当性をそれぞれ発表させて、他の子どもたちはそれに賛否の意見を述べる。

一見するとシンプルだが、奥の深い指示。
こういう問題が一番盛り上がる。

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