科学的理解

新聞を読んでいたとき、こんな内容の投稿があった。

私たちが小学校から高校まで作文として書かせられてきたものはほとんど感想文を意味していた。
読書感想文、遠足や運動会などの行事作文と言われるものである。

この文を書いた人は、ドイツに住むことになって日本の作文とドイツの作文が根本的にちがうことに気づく。

ところがドイツの学校では、いわゆる感想文を書くことは皆無である。
小学校での作文は与えられた課題に対していくつかの決まった言葉を織り込む自由なお話創りだった。
中学校以降は、ひたすら与えられた教材（小説・社会問題）の分析と批判、その結果導き出される妥当な結論の表現練習を行う。
その場合、「思う」という言葉は禁句で、減点の対象になる。
あなたがどう思うかではなく、偏らずしかも論理的に筋が通っているかどうかが問題であると言われる。
自分の書いた結論が、論理的に妥当であれば、世の常識と異なっていても評価される。

これは外国の話かも知れないが、日本人の学生は論理的な文章を書くことが苦手だと言う。
若者が書く文章は、論文ではなく、感想文に近い。
感情的で論理に飛躍があり、ユニークさに乏しいのはこういった日本の教育にも問題があるように感ずる。

国語とは、学問としての原理も原則もなく、適当な場当たり的ないい加減な勘が支配するもの。
問題を数多くやっているうちにただなんとなくわかってくるものが国語力。

国語教育に対してこんな印象を持ってしまうのは私だけだろうか。

ｓａｉｔａｎｉ

昴

学級担任をしているとき集団で大きな夢を叶える活動をしてきた。
それは様々な取り組みがあった。
なぜ、集団で夢を追うのか。

自分自身もずっとバスケットボールを続けてきた。
個人スポーツをやりたくて、テニスに夢中になったり、ウインドサーフィンに熱中したりもした。
どのスポーツも楽しかった。
しかし、団体スポーツには個人スポーツにはない感動があった。
その感動を子どもたちにも味わってもらいたいと思っている。

個人主義が体制を占めている現在、集団で何かに取り組み、個人の志向を制限してでも全体のためにという考えは受け入れられないことが多い。
昔と違い、多くの情報が氾濫している現代では、価値観も多様である。
そんななかで個人が同じ方向性をもって全体のことを第一に考えて、一つのことに取り組むことは非常に難しい。

夜空に輝く星は美しい。
しかし、多くの星が集まってさらに大きな輝きをみせるものもある。
星団とよばれるものである。
その中でもひときわ明るさを放つのはプレアデス星団である。
日本では昴と呼ばれている。
昴は１２０もの星があつまって形成されている。
「すばる」という日本語は「統一されている」「ひきいられている」という意味をもつ。
一人一人が統一された集団となるとき考えられないほどの輝きを放つ。

集団で何かを成し遂げるということは一人では残すことのできない、もっと鮮明な記憶を一人一人の心に残すことだと思う。
昴がみせる輝きは、集団の輝きでもあると思う。
この時期、長縄の記録にみんなで取り組むのはそんな鮮明な輝く思い出を子どもたちにもってほしかったからだった。

ひとつで輝く星だけが
スターじゃない
小さな星が集まって
それがひとつになって
はじめて
何よりも大きく美しく
輝くことだってあるんだ

あの星座のように　　　３２６

ｓａｉｔａｎｉ

仕事の環境

どんな人の中で仕事をするか。

物事の成功の秘訣みたいなものがある。
それは何か夢や希望を決めたら、まず簡単なことから着手すること。
まず、行動することである。
これが出来る人は必ず目標を達成し、成功を収める。
一見簡単そうなことだが、まず自分にできることさえやらないのが人間である。
自分がまさにそれに当てはまるのでよくわかる。

そして、何よりも環境が大事である。
ミニバスを指導しているが、ある程度の水準にいくには、最低でも年間１００試合はこなさなければならない。
これはこれまでの子どもたちの様子をみてきたことからの経験値である。
県大会に出場するチームはどこもこれくらいの経験値は身に付け、成長を続けている。
その時々の苦労はあるが目標達成のためには、一定の努力係数を蓄積させる必要がある。
そして、試合相手。
強い相手と戦ってはじめて、自分たちの欠点が浮き彫りになる。
そして、そこから次への明確な目標が生まれるのである。
試合に負けると言うことは負ける理由が存在する。
なんとなく負けると言うことはあり得ない。
欠点がわからないで、練習しても進歩はない。

教育の世界も同じである。
授業を見てもらうのは誰でも言い訳ではない。
力ある人に見てもらわなければ、効果は半減する。

何事においても、うまい人に交じって練習するのが、上達スピードを上げる最大の秘訣である。
しかし、多くの人は「私にはまだ早いから」「もう少しうまくなってから」などと恥ずかしがったり、「うまい人の邪魔になるから」と遠慮したりして、それをしない。　　斎藤　孝

ｓａｉｔａｎｉ

プライド

自分は基本的なこととして次の三つのことはこだわる。
あいさつ、返事、靴をそろえる。
これは戦前、戦後を通じて日本教育界最大の人物と言われる森信三の言葉である。
これができれば、他のしつけは自然に身についていくと考えている。

子どもたちにもまずこのことを話すが、そこには言葉の意義的な裏付けが必要になる。
なぜ靴をそろえなければならないのかということである。
人は誠実に生きなければならない。
これは誰が考えても明らかなことだ。
では誠実さとは何だろう。
「誠実」とは、言うことと行うことの間にズレが」ないこと。
いわゆる「言行一致」であり、したがって人が見ていようがいまいがその人の行いに何らの変化もないことの「持続」をいう。
だから、人が見ていようと見ていまいと、自分でスリッパをそろえると決めたら必ず実行する。

子どもたちにはプライドを持ってほしいと思う。
自分もプライドにかけて生きていくことも言行一致である。

昨日、４年生のトイレのスリッパをそろえていると頼んでもいないのにさっと横に並んで一緒になってそろえてくれた子がいた。
そして、離れ際に「人はプライドが大事なんだよね。」と独り言のように言っていた。

ｓａｉｔａｎｉ

ほめること

子どもは叱って伸ばすよりも、ほめて伸ばすことが大事だと言われる。
ほめられて成長した子は、自分に自信をもち、素直な性格になるとも言われている。
基本的には私もほめてあげることにより、やる気を起こさせ、自主性を育ててあげる方がよいと考えている。
もちろん、しかるべきところは厳格に指導した上でのことは言うまでもない。
ただし、ほめるときには嘘をほめてはいけない。
嘘をほめるとこどもは教師に不信感をいだき、馬鹿にされたような感情をもつからだ。
とくに高学年は、敏感にそのことを察する。

ときどきこんな言葉を耳にする。
「あの子はなかなかほめるところがない。」
本当にそうだろうか。
その教師は、その子がいいことをしたら、頑張ったらほめてあげようと思っているのではないか。
学校生活は、教師が何の工夫も努力もしなければ実に単調な毎日である。
時に運動会のようなどの学級も一致団結して取り組もうとする行事もあるが、それも通常は一過性の取り組みに過ぎない。

子どもをほめようと考えるならば、ほめるような場面を数多く設定し、教師が仕組んでいく必要がある。
いいところがあったら、よくできたらという考えでいたら、全員をほめることなど不可能である。

授業の方法や学級経営に対して、常に変化を求め、新しいことにチャレンジするのは、新しい子どもたちの可能性を発見するためでもある。
新しいことに挑戦すれば、子どもたちの新しい輝きを発見できる。
だから、教師は新しい方法、新しい学問を学び、変化を求める必要がある。

ｓａｉｔａｎｉ

組織の戦術

指導しているミニバスの東部決勝トーナメントが行われた。
結果は、春より一つ順位をあげることができた。
来週、県大会の予選リーグが行われる。
結果だけをみれば、順位が上がっているのでよく頑張ったとも言える。
しかし、多くの課題を残した試合内容だった。

今回の試合で今までにあまり気にならなかった点であらたに浮き彫りになったのは、組織における戦術に関してである。
チームは個人技に頼らない、組織力でここまで勝ち進んできた。
サッカーで言えば、ブラジル型というよりヨーロッパのサッカーに近いチーム戦術である。
ここで課題なのが、戦術を全員が理解していたかどうかである。
フォーメーションは、全員がそれぞれきちんとした責任分担で動くので一人でも内容を理解していないと失敗する。
一つのプレーがゲームの流れを大きく左右するのがスポーツである。
このフォーメーションの失敗は単なる攻撃ミスよりもダメージは大きい。

トルシエの言葉にこんな内容のものがある。

ある程度選手を自由にさせるためには、最低限、６０％のチーム戦術を守ってもらわなければなりません。

バスケットはコート上５人でするものである。
誰かが動けばまた誰かも動くというプロセスは重要である。
この動きを６０％規定するのは、残り４０％の選手の動きを発揮させるためである。

ただそれを選手主導で行うか、コーチ主導で行うかの違いである。

県大会に向けて今一度戦術の確認が必要だと感じた。

ｓａｉｔａｎｉ

一生懸命の意味

教師が研究授業をして、必ず検討会がもたれる。
そこで違和感のある言葉を耳にする。
「私なりに一生懸命努力しましたが、うまくいきませんでした。」
仮にも社会に出た以上は、一生懸命やるのは当たり前で、プロは結果がすべてなのだ。
「一生懸命やりました。」と言う言い訳は教師の世界でしか通用しない。
どんなに一生懸命やろうと子どもたちが成長しなかったら、すべて自分の責任なのだ。

一般の社会ならば、結果がでないことをお客様のせいにするだろうか。
相手を責めても相手が怒らないのは教育の世界だけである。
教師という職業はそういう意味で非常に怖れのある職業であることを自覚する必要がある。
勉強しに関しては、すべて自分の責任と思って指導し、工夫し、自分自身が精進することが専門職としての誠意ある態度だと思う。
子どもたちが何か失敗したり、できないことがあったとき、「指導はしているんでですが」「注意は日頃しているのですが」という言い訳は責任転嫁にほかならない。
指導しても実行されなかったと言うことは、教師である自分の力不足が原因だと考えるべきだと思う。

ｓａｉｔａｎｉ