りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“アリアの海” ―全6場― 完結編

2012年11月19日 19時52分51秒 | 脚本


   



  アリア「えっと・・・どこかしら・・・。違う・・・これじゃない・・・えっと
      ・・・これも違う・・・あ・・・あった・・・あったわ!!これよ!!
      魔法の貝の笛!!待ちなさい!!悪いことばかりしてる
      島の主とやら!!この私が・・・」
  ゴーザ「何!?(振り返り、アリアを認める。)おまえはアリア・・・
      。どうしてこんなところに・・・!?」
  アリア「ゴーザ・・・おじさん・・・?昔、悪いことをして、お父様に
      海の国を追放されたゴーザおじさんが、この島の主なの
      ・・・?」
  ゴーザ「おまえ・・・」
  アリア「こんなところで懲りずに、また悪いことをしてたのね!!
      」
  ゴーザ「畜生!!みんなまとめて食料にしてやる!!」
  アリア「駄目よ!!これを見て!!(貝の笛を差し出す。)」
  ゴーザ「あ・・・それは魔法の貝の笛・・・」
  アリア「そうよ!!魔法が使える笛よ!!おじさんは取り上げ
      られてしまわれたけど、私たち海の国の者は、みんな持
      ってるわ!!私はお父様のように情けをかけたりしない
      !!貝の笛よ・・・私に力を貸して!!」
  ゴーザ「何!?」
  アリア「悪いことを繰り返し、人々を苦しめるこのゴーザを・・・」
  ゴーザ「や・・・やめろ!!やめてくれ!!」
  アリア「小さな小さな・・・カニに変えてーっ!!(笛を吹く。)」
  ゴーザ「えーっ!?(途中で変な声に変わる。)」    ※
  


   



         (曲終わり。)
         その時、“ボン”の音と共に煙が上がり、
         恐ろしい姿だったゴーザ、小さなカニに
         変わる。       

  ゴーザ(カニ)「おい、おまえら!!俺様をこんな姿にするなんて
          !!なんてことしやがるんだ!!戻せ・・・!!戻し
          やがれー!!俺様を元の格好良い姿に戻せーっ
          !!なんて奴らなんだ!!全く!!」
  アリア「(笑う。)」
  ルディ「(笑う。)踏み潰されたくなきゃ、さっさとどこかへ行って
      しまうんだな!!」
  アリア「ゴーザおじさん!その姿とっても可愛いわよ!(笑う。)」
  ゴーザ「畜生!!なんて小娘なんだ!!このゴーザ様を!!
      ・・・(何かに気付いたように。)あ・・・そうだ・・・こんな小さ
      い体になったと言うことは・・・この洞穴の奥の海の入り口
      ・・・鉄格子の門の間を摺り抜けることが出来るぞ!!わ
      ーい!!海に帰れるんだ!!やったーっ!!」

         ゴーザ、上手後方へ走り去る。

  アリア「ゴーザおじさん!!もう悪いことしないでね!!」
  ゴーザ「わーい!!わーい!!」
  ルディ「したくたって、あの体じゃできないよ。」
  アリア「そうね。」

         アリア、ルディ、顔を見合わせ笑い合う。

  ラナ「ルディ!!(駆け寄る。)」
  ルディ「姉さん!!」
  ラナ「前に貢ぎ物を届けに来た人達も、太らせてから食べるつも
     りだったみたいで、みんな無事よ。」
  ルディ「そうなんだ!」
  ラナ「(アリアの方を向いて。)ありがとう・・・。」
  アリア「よかったわね・・・」
  ルディ「うん!!」
  アリア「これでこの島も平和になって、私も海の国へ・・・(その場
      に突然倒れる。)」

         (音楽流れる。)
  
  ルディ「・・・アリア!!・・・どうしたの・・・?アリア・・・アリア!!
      そうか!!水がなくなったんだ!!僕の水筒の水を・・・
      (水筒の飲み口をアリアの口元へ。)さぁ、アリア!!飲ん
      で早く・・・!!アリア・・・アリア!!口を開けて!!お願
      いだアリア!!どうして飲んでくれないの!?まさか・・・
      間に合わなかったんじゃ・・・アリア・・・(泣く。)嘘だ・・・間
      に合わなかったんだ・・・。僕は自分で君に何かあった時
      の為に、一緒に行くと言っておきながら・・・。姉さん・・・僕
      ・・・アリアを守れなかった・・・。」
  ラナ「ルディ・・・」

         ルディ、歌う。

         “ごめんね          コーラス“ごめんね
         僕が                   僕 約束
         君を守れなかった”          守れなかった
                               ごめんね”

         その時、アリアの名を呼ぶ声が聞こえる。

  ウオレットの声「姫様ーっ!!姫様ーっ!!」
  王の声「アリア!!アリアーっ!!」

         上手後方より、海の国の王様と
         ウオレット、慌てた様子で登場。

  

  
                    ※2
   


  王「おお、アリア!!(アリアを認め、駆け寄り抱き上げる。)無
    事だったか・・・!!アリア・・・?アリア!?」
  ウオレット「姫様!?」
  ルディ「僕のせいだ・・・」
  ウオレット「姫様ーっ!!(大泣きする。)」
  王「アリア・・・まさか・・・こんなことが・・・(涙を堪えるように。)」

         王、歌う。

         “心配ばかり
         かけて仕方ない娘”

         ルディ、歌う。

         “ごめんね
         僕が
         君の側についていた”     コーラス“なのに”

         その時アリア、息を吹き返したように
         目覚める。

  王「アリア・・・?」
  ウオレット「姫様!!」
  アリア「お父様・・・それにウオレットも・・・どうしてここに・・・?」


  
  



  王「アリア!!よかった!!(アリアを抱きしめる。)」
  ウオレット「姫様・・・」
  ルディ「アリア!!死んだんじゃないんだね!!」
  王「キューイからおまえが貝の笛をなくしたと聞いて、しばらくの
    間、様子を見ていたのだが、おまえが陸へ上がると言うので
    慌てて後を追って来たのだ。それにしてもアリア!!全くお
    まえは私の言うことを聞かず、好き放題しているから、こんな
    危険な目に遭うのだ!!」
  アリア「・・・ごめんなさい・・・」
  王「もう少しで水がなくなり、命が危なかったのだぞ!!それに
    してもゴーザが・・・!!ん・・・?この洞穴の中に閉じ込めて
    いた筈のゴーザは一体・・・」
  アリア「(申し訳なさそうに、肩をすくめる。)・・・カニに変えちゃっ
      た・・・。」
  王「何!?カニに変えただと!?」
  ウオレット「王様!さっき、海の国の門の前ですれ違ったカニ・・・
        あれがもしや・・・」
  アリア「ごめんなさい・・・勝手なことして・・・」
  王「(溜め息を吐いて。)やれやれ・・・、最近のゴーザの行いは、
    目に余るものがあったからな・・・。今度こそゴーザも心の底
    から反省するであろう・・・。」
  ウオレット「でもなぜ姫様は水がない状態で・・・」
  王「全く不思議なことだが・・・」
  アリア「(何かに気付いて自分の頬に触れる。)濡れてる・・・」
  王「濡れていると・・・?」
  ルディ「あ・・・僕の涙だ・・・」
  アリア「涙・・・?」
  王「そうか・・・そう言うことだったのか。」
  アリア「どうしたの?お父様・・・」
  王「我々、海の国の者にとって、人間の一滴の涙は、バケツ一
    杯の水にも等しい水分を含んでいる、秘薬になるのだよ。」
  ウオレット「それで姫様は助かられたのですな。」
  王「うむ・・・。礼を言うぞ、そこの少年。ゴーザのせいでお互い
    が敵対するものへと変わっていった、我々海の国の者と人
    間だったが・・・おまえの為に涙してくれる、よい人間と知り合
    うことができたな、アリア・・・。」

         アリア、歌う。

         “ありがとう
         みんな
         私を助けてくれて”

  王「アリア、ルディ、お互いが助け合ったことで、再びみんなが
    幸せに暮らせる世の中が戻ってくるであろう・・・。」
  アリア「お父様・・・」

    ――――― 第 6 場 ―――――

         音楽変わり、背景海辺に変わる。
       
  アリア「ありがとう、ルディ!!」
  ルディ「ううん・・・僕こそ、ありがとう!!」

         アリア、歌う。

         “あなたと出会えたの
         一人で不安な
         こんな広い砂浜で
         見つけてくれた私のこと”

         ルディ、歌う。

         “君と出会えたのは
         偶然じゃないさ
         輝く笛 僕を見てた
         見つけてくれないかと”

         アリア、歌う。

         “本当?”

         王、歌う。

         “いつまでたっても
         悪戯して
         手を焼く娘だ
         成長してくれないかと
         目をかけてきたが
         ほんの少し願い叶った”    ウオレット“悪戯
                                   姫様”

         ルディ、歌う。

         “見つけたのは君の思い
         僕に届いたから”

  ルディ「君の思いが僕たちをつないだんだ・・・。」
  アリア「ルディ・・・」

         アリア、歌う。

         “あなたが見つけてくれた
         だからつながった
         偶然のようで
         あなたが私を
         呼んでくれたのよ”

         みんな、手をつなぎ歌う。

         “みんなが幸せになる
         ことができるなら
         手をつなぎ
         前を向いて歩こうよ
         生きる仲間だよ”

      ルディ“ありがとう”

      アリア“さよなら”

      ルディ“出会えて”

      アリア“よかった”

         嬉しそうに見つめ合う2人。



  








           ――――― 幕 ―――――










    次回からは、“J”―未来の君へ― をご覧頂こうと思い
    ます(^O^)
    お楽しみに・・・♪












   ※ この“変な声”、意外と子どもたちにウケていました^^;


   ※2、右端のウオレットさん、笑顔に見えますね・・・(>_<)
      悲しい場面でも笑顔・・・お人形故、仕方ないのです(;_;)
 


 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ 


  
    (どら余談^^;)

    今現在の公演依頼は、1月に小学校、3月にもう1ヶ所
    の2公演ですが、そのどちらもこの“アリアちゃん”作品で
    行く予定にしています(^_^)

    それまでに、只今新しい音響メンバーさんの協力を得な
    がら、自分で手がけている編集作業ですが、1月までに
    もう少し手直しし、より一層聞きやすい作品に作り直そう
    と考えています(*^_^*)

    新作も書きたいし・・・次回作の台詞練習もあるし・・・と、
    益々楽しい多忙な毎日です(^-^;






    11月17日(土)

    皆様にお詫びですm(_ _)m

    ヤフー版“リトルパイン”のページで、“アリアの海”動画の
    公開を始めましたとお知らせ致しましたが、たった今まで
    それが非公開設定になっている為に、皆さんにご覧頂け
    なかったと、知りませんでした(>_<)

    団員から「見れない」と連絡を受け、初めて気付き慌てて
    確認、設定変更しましたので、今はもう大丈夫かと思いま
    すので、またご覧になってみて下さいm(_ _)m

    続き、別場面動画も増やしていこうと思っていますので、
    お待ち下さいね♥

    ついでに・・・
    ヤフー版でなくても、YouTubeで公開していますので、
    そちらでご覧頂いても大丈夫です(^^;

    どちらも団員に見れるかどうかの確認済みですので、
    ご安心を・・・(^_^;)

    それでは先ず、お詫びを皆様に・・・と思い、脚本更新は
    また後ほに・・・^^;



                               どら。








  http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
 
         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta














“アリアの海” ―全6場― 2

2012年11月14日 20時53分10秒 | 脚本


         音楽流れる。

  アリア「あなたいい人ね。やっぱり人間って、私の思った通りの
      人たちだった・・・。」
  ルディ「え・・・?」
  アリア「私・・・人間は私たち海の国の者を苦しめる、悪い人たち
      だって教えられてきたの・・・。」
  ルディ「アリア・・・君・・・海の国の人なの・・・?」
  アリア「(頷く。)」


   


     
         アリア、歌う。

         “私たちと
         あなたたち
         お互い認めず
         敵対して
         今までただ
         脅えて暮らしてきた”

         ルディ、歌う。

         “僕らだって
         海の国の
         人は恐ろしい
         そんな風に
         聞かされて
         今まで生きてきた”

         アリア、歌う。

         “私 今まで
         思い違いをしてきたのね
         胸の中に
         湧き上がる疑問が
         あったの”

         2人、歌う。

         “私たちとあなたたち
         こんな近くにいた
         なのにお互い横
         向いていたんだわ(ね)”

  アリア「あなた・・・ちっとも怖くない・・・」
  ルディ「君だって・・・」

         2人、笑い合う。(音楽フェード・アウト。)

  アリア「それで、さっき話してた貢ぎ物って一体・・・」
  ルディ「うん。この島には昔から恐ろしい主がいるんだ。その主
      に毎月、貢ぎ物を持って行かないと、この島を海の底へ
      沈めてしまうと脅されて・・・。」
  アリア「酷い・・・」
  ルディ「その主が・・・村長さんの話しだと、海から来た奴だ・・・
      って・・・。」
  アリア「え・・・海の・・・?」
  ルディ「うん・・・。貢ぎ物を持って行った人たちは、二度と戻って
      来ないから・・・まだ誰も姿を見た者はいないんだけれど、
      とても恐ろしい海獣だって・・・。」
  アリア「その主はどこに住んでいるの・・・?」
  ルディ「それが・・・主の住み家は誰も知らないんだ。昔から島の
      中心にある、森の中に海とつながる洞穴があって、その
      奥に住んでるんだって言われてるけど・・・。」
  アリア「海とつながる洞穴・・・。分かったわ!!私がその洞穴を
      探しに行ってみるわ!!」
  ルディ「え・・・?」
  キューイ「アリア!!」
  アリア「そして貝の笛を見つけて、私がその悪い主をやっつけて
      くるわ!!」
  ルディ「そんなこと・・・!!危ないよ、アリア!!いくら君が海の
      国の人だからって・・・」
  アリア「貝の笛は魔法の笛なの!あの笛さえあれば大丈夫よ!
      !」
  ルディ「でも・・・」
  キューイ「駄目だよ、アリア!!海の国の君が水のない森に入
       るのは危険だキューイ!!もし途中で体に貯えている
       水がなくなったら・・・!!」
  アリア「大丈夫!!少しの間くらい平気よ!!行ってくるわ!!
      」

         アリア、下手方へ走り行きかける。
      
  キューイ「アリア、キューイ!!」
  ルディ「待って、アリア!!」
  アリア「ルディ・・・」
  ルディ「僕も一緒に行くよ!!」
  アリア「え・・・?」
  ルディ「僕はこの国の住人だ!君より森のことは詳しいんだ!!
      だから・・・」
  キューイ「キューイ・・・」
  ルディ「もし途中でアリアが喉の渇きを訴えたなら、この島に住
      む僕なら、直ぐに水のある場所が分かる!」
  アリア「ルディ・・・」
  ルディ「だから僕も君と一緒に島の主の洞穴を探しに行く!!そ
      れに・・・僕の姉さんが昨日、島の主の下へ貢ぎ物を届け
      に行ったんだ・・・。だからもしかしたら助けられるかも知れ
      ない・・・。」
  アリア「そうだったの・・・。」
  ルディ「(頷く。)」
  アリア「分かったわ!!一緒に行きましょう、ルディ!!」
  ルディ「アリア・・・うん!!」
  アリア「キューイ!あなたはそこで待っててね!!」
  キューイ「アリア、気をつけて!!ルディ!!アリアのことを頼ん
        だよ、キューイ!!」
  ルディ「任せて!!」

         (アリア、ルディ残してキューイ下がる。)

    ――――― 第 4 場 ―――――

         音楽流れ、紗幕開く。と、森。

  アリア「森だわ・・・」

         アリア、歌う。

         “この森のどこかに
         必ずある筈
         隠れた洞穴の
         小さな入口が”

         ルディ、歌う。

         “この森のどこかに
         秘密の場所ある
         海につながる洞穴”

         アリア、歌う。

         “だけどあるの
         こんな森に隠れ
         そっと佇む              ルディ“どこに”
         秘密の場所なんて
         どこに行けば
         あるのこんな森に
         きっと誰も知らない        ルディ“あるだろ”
         場所がある
         少し不安だけど
         私行くわ今”

     コーラス“必ず
           見つける
           秘密の
           洞穴”

     コーラス“さぁ 今 行く
           この 場所 直ぐ
           見つける 洞穴         アリア“どこかに
           隠れた”                  ある筈”

         ルディ、歌う。

         “この森のどこかに
         必ずある筈
         ひっそり隠れた場所が”

         アリア、歌う。

         “だけどあるの
         こんな森に隠れ          コーラス“必ず”
         そっと佇む
         秘密の場所なんて
         どこに行けば
         あるのこんな森に
         きっと誰も知らない        コーラス“見つかる”
         場所がある
         少し不安だけど
         私行くわ今”            コーラス“直ぐに
                                   今ここに”

  アリア「あったわ・・・」

         木が開く。と、大きな洞穴の入口が
         姿を現す。(アリアとルディ下がる。)

    ――――― 第 5 場 ―――――

         音楽流れ、下から島の主(海の海獣ゴーザ)
         上がり歌う。

         “退屈な場所で
         いつまでも我慢
         してろと言うのは
         どこのどいつだ
         この俺様が
         いつまでこんな
         離れ小島に
         閉じ込められた
         退屈な場所で
         いつまでも我慢
         してろと言うのは
         どこのどいつだ
         海の支配者たる
         この俺様のこと
         無下に扱う奴
         許してはおけないぞ”

  ゴーザ「ああ、なんて忌々しい海の王め!!このゴーザ様をこ
      んな場所へ閉じ込めるなんて!!」

      コーラス“ここは森の奥深く
            水なんてない陸の上
            悪いことをした罰で
            閉じ込められた”

         ゴーザ、歌う。

         “退屈な場所で
         いつまでも我慢
         してろと言うのは
         どこのどいつだ”

      コーラス“どこのどいつだ
            どこのどいつだ
            どこのどいつだ
            どこのどいつだ”

  ゴーザ「全く、海の王ときたら、自分のことを何様だと思っている
      んだ!!神か何かのつもりか!!少しばかり早く生まれ
      たと言うだけで、実の兄弟の俺様を、ちょっと海の国の掟
      を破いて人間に悪戯をしたくらいで、こんなところに閉じ
      込めるなんて!!ふん!!だが王は、閉じ込めたつもり
      かも知れないが、このゴーザ様がこんな岩場で、大人しく
      しているとでも思ったか!!(笑う。)ここからでも十分、人
      間たちを苦しめ楽しむことができるのさ!!(笑う。)」

         そこへ下手よりラナ、貢ぎ物が山のように
         乗った台車を重そうに押して、登場。
         (上手方へ。)


   


  
  ラナ「ゴーザ様・・・」
  ゴーザ「ん・・・?」
  ラナ「お持ちしました・・・」
  ゴーザ「おお!やっと到着したか。さて今月は、どんなお宝を島
      の者たちは用意してきたんだろうな。(笑う。)」

         その時、下手よりルディ、走り登場。

  ルディ「姉さん!!」
  ラナ「(ルディを認め。)ルディ!!どうしてここに!?」
  ゴーザ「なんだ、おまえは!!」
  ルディ「・・・この島の海獣野郎!!姉さんを返せ!!」
  ゴーザ「なんだと!?小僧!!おまえもその娘と一緒に、俺様
      の食事にしてやる!!」
  
         音楽流れる。
         (ゴーザ、手を取り合い逃げるルディと
         ラナを、夢中で追い掛けるように。)

  ルディ「姉さん!!早くこっちに!!」
  ラナ「ルディ!!」
  ゴーザ「行かせないぞ!!」

         ゴーザ、歌う。

         “行かせるもんか食事になれ
         俺様の手から逃げられない
         助かるつもり甘くはない
         そんな上手くいくと思うか”

         ルディ、歌う。

         “捕まるもんか 捕まるもんか
         おまえのようなあくどい奴に”

         ラナ、歌う。

         “捕まらないわ 捕まらないわ
         あなたのような人間の敵”

  ゴーザ「待てーっ!!」
  ルディ「わあーっ!!」
  ラナ「キャーッ!!」

         (途中、アリア下手よりこっそり登場。
         台車の方へ。貢ぎ物の山の中を探すように。)

         ゴーザ、歌う。

         “行かせるもんか食事になれ
         俺様の手から逃げられない”

  アリア「さぁ、今のうちに早く見つけなくちゃ!!」

         アリア、歌う。

         “早く見つけなくちゃ
         魔法の貝の笛を!”



   












     ――――― “アリアの海”3へつづく ―――――












   (ドラ余談^^;)

   今回、色々とありまして、今までグーグル版“ワールド”で
   ご覧頂いていた公演動画を、ヤフー版“リトルパイン”の
   ページでご覧頂くこととなりました(^_^;)

   何分、パソコン操作云々にとても弱く・・・やっとの思いで
   少しでもご覧頂けるようにと頑張りましたので、映像などは
   さて置き、音声だけでも楽しんで頂けたら・・・と考えて
   おります(>_<)

   早速、“アリアの海”の第2部を投稿致しましたので、また
   よければ脚本と並行してご覧下さいm(_ _)m








 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


   
    (おまけフォト^^;)

    
                    “J”


      第2部の“J”のオープニングの1場面のフォトです♪
     ビデオから写真にしたてをご覧下さい(^^)v

     重量感をお伝えできないのが残念です・・・(>_<)






  http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
 
         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta




“アリアの海” ―全6場―

2012年11月08日 19時44分12秒 | 脚本

   
      
          

           (左)海の国の王様 (右)アリア



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪

  
     〈 主な登場人物 〉

    アリア  ・・・  海の国のお姫様。

    ルディ  ・・・  人間の少年。

    海の国の王様  ・・・  アリアの父。

    島の主(ゴーザ)  ・・・  王様に海の国を追放された。

    ウオレット  ・・・  海の国の家臣(じいや)。

    キューイ  ・・・  アリアの友達のイルカ。

    ラナ  ・・・  ルディの姉。

    島の村長。

    ルディの母。



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


         音楽流れる。

    ――――― 第 1 場 ―――――

         (笛の音が聞こえる。)

  アリアの声「あっ!!大変!!私の大切な笛が・・・!!」



   


         幕が開く。
         と、海辺の砂浜。一人の少女(アリア)
         何かを探すように歌う。

     アリア“どこにあるの大切な笛
         確かここに落ちた筈よ 見つかるわ
         どこにあるの大切な笛
         きっと分かる確かここにある筈よ”

  アリア「ああ・・・どこに落ちたのかしら・・・。あの笛がなかったら
      私・・・一体どこにあるのかしら・・・」

         その時、下手後方より一人の少年(ルディ)
         手にしたものを不思議そうに見詰めながら
         登場。ゆっくり上手方へ。歌う。


   



  ルディ「これはなんだろう・・・。キラキラ光って貝殻みたいだけど
      ・・・この小さな穴は一体・・・」

     アリア“どこにあるの大切な笛”

     ルディ“これは何かな不思議”

     アリア“見つからない どうすればいい”

     ルディ“こんな輝き初めてだ”

     アリア“どこにあるの大切な笛”

     ルディ“これは何かな不思議”

     アリア“見つけないと帰れないから”

     ルディ“持って帰ろう貢物”

         ルディ、上手へ去る。

     アリア“どこにあるの大切な物
         きっとあるわ ここのどこか埋もれてる
         海の国へ帰る為には
         笛がないと入れてもらえない掟”

  アリア「さぁ、もっとよく探さなくちゃ・・・」

         紗幕閉まる。

    ――――― 第 2 場 ―――――


   
                     ※



         音楽流れる。紗幕前。
         海草が揺らめき、色とりどりの魚たちが
         行きかう。(海の中。)
         下手より、一匹の老魚(ウオレット)、慌てた
         様子で登場。

  ウオレット「王様・・・王様ーっ!!」

         上手より海の国の王、ゆっくり登場。

  王「どうした、ウオレット?えらく慌てた様子ではないか。」
  ウオレット「それが王様、アリア様がイルカのキューイと波乗り
        に行くと言われて、浜辺の方へ出掛けられたまま、ま
        だお戻りになられないのです・・・。」
  王「何!?アリアがこの海の国を出て、浜辺へ行っただと!?」
  ウオレット「はい・・・」
  王「ウオレット!!おまえはアリアを黙って行かせたのではある
    まいな!?」
  ウオレット「いえ、滅相もございません!!私はお姫様をお引止
         めしようとしたのですが、この年寄り魚の言うことな
         どお聞きにならず、直ぐに戻るからとキューイと共に
         ・・・」
  王「ええい、馬鹿者が!!もしアリアが浜辺に上がり、海から離
    れた場所へでも行ったならどうするのだ!!我々、海の国の
    者は水のない場所では、一日と生きてはいられないのだぞ
    !!万が一、陸の上で水切れをおこしたなら、その体・・・消
    えてなくなることは・・・まぁ、アリアも分かっているだろうが・・・
    。」



   
           (左)ウオレット  (右)王様



         音楽流れる。

  王「しかし・・・それよりも何よりも、海の国の門を開く魔法の貝の
    笛をなくすようなことがあれば、アリアは二度とこの国へは、
    戻って来れなくなると言うものを・・・!!」

         王、歌う。

         “我々がこの海を出て行くと言うことは
         命どうなろうと保証はない
         その覚悟で”

         ウオレット、歌う。

         “王様            コーラス“まだ
         姫様は                 姫様”
         まだ子ども
         悪気はないと”

         王、歌う。

         “馬鹿め
         掟 破り
         親の気持ち知らず
         自分勝手過ごす     コーラス“自分
         守り慈しんできたのに”       守り”

         ウオレット、歌う。

         “どうかお許し下さい”

         2人、下手へ去る。
         入れ代わって上手より、アリア、イルカの
         キューイ登場。


   



  アリア「ねぇ、キューイ!私、人間のところへ行ってみようと思う
      の。」
  キューイ「え・・・?」

         アリア、歌う。

         “昔仲良かった海と陸の者たち
         なぜ仲違いをして
         いがみ合うのおかしいわ

         生きるもの              キューイ“でも
         同じだわ                     危ない
         誰だって                     危険だ”
         手を取り合い
         私たちのように
         姿 違ってても
         きっと                 キューイ“きっと
         分かり合える
         ことが                       本当”
         できる筈よ
         必ず”

         キューイ、歌う。

         “でも心配だ君が”

  アリア「さぁ!行くわよ!!」
  
         アリア、上手へ走り去る。

  キューイ「アリア、待って!!そうだ!!」

         キューイ、下手へ去る。
         紗幕開く。

    ――――― 第 3 場 ――――― A

         場面は海辺の砂浜。(波の音。)
         音楽、流れる。
         島民たち、金品を手に集まっている。
         島民たち、悲し気に歌う。

         “働いても 働いても
         楽にならない生活だから
         昔 我々は共に手を取り合い
         生きてきた”

  村長「昔は我々人間と、海の国の者たちは、仲良く平和に共に
     手を取り合い暮らしていたのに・・・その海の国の者が、い
     つからか、この島を支配し我々を苦しめるようになったの
     だ・・・。」

         上手よりラナ、しんみりと登場。歌う。


  
   



         “懐かしい島よ
         忘れない
         思い出の島よ
         さよなら・・・”

  村長「今では島の主となった、その海族の者に、金品を差し出
     さなければ島を海に沈めてしまうと脅され・・・毎月毎月・・・
     一体いつのなれば、この苦しみから逃れることができるの
     であろうか・・・。」
  ラナ「村長さん・・・」
  ルディの母「ラナ・・・」
  ルディ「姉さん・・・」
  ラナ「お母さん・・・ルディ・・・行って来ます。(泣く。)」
  村長「我慢しておくれ、ラナ・・・。毎回誰かが島の主の下へ、貢
     ぎ物を届けねばならないのだ。いずれ我々も・・・。」
  ラナ「(頷く。)はい・・・」
  ルディ「村長さん、これ・・・。今月の貢ぎ物は、これでお願いしま
      す。(貝の笛を差し出す。)」
  村長「うむ・・・。(貝の笛を受け取り、台車の上へ置く。)」
  ルディの母「ラナ、気をつけて行くんだよ・・・。」
  ラナ「お母さん・・・」

         島民たち、しんみりと下手へ去る。
         (音楽フェード・アウト。)

    ――――― 第 3 場 ――――― B

         音楽流れ、上手よりアリア、何かを探して
         いるように登場。歌う。

  アリア「ああ・・・どこに行ったのかしら貝の笛・・・」

         “大切
         私の
         魔法の
         貝笛
         海の国のカギ          コーラス“どこに
                                  あるの
         父様と約束                 不思議
         交わしたのよ必ず             ないの”
         海の国から出ない
         それを破った私
         許してはもらえないわきっと
         早く見つけないと
         海の国へ帰れない
         私ずっと
         このままここで
         一人暮らす
         そんなのは嫌よ”

  アリア「一体どこに流されていったのかしら・・・」

         そこへ下手よりキューイ登場。

  キューイ「キューイ・・・」
  アリア「キューイ!どこへ行ってたの?突然いなくなったから、
      心配したじゃない。」
  キューイ「ごめん、アリア。」
  アリア「それより早く貝の笛を見つけなくちゃ!なくしたことがお
      父様に知れたら大目玉よ!」
  キューイ「キューイ・・・」

         (音楽フェード・アウト。と、入れ代わるように
         波の押し寄せ引く音。)
         その時、下手よりルディ登場。
         ゆっくり上手方へ。

  
   



  アリア「(ルディを認め。)こんにちは。」
  ルディ「・・・こんにちは・・・」
  アリア「私はアリア!あなたこの島の人・・・?」
  ルディ「・・・うん・・・。」
  アリア「この島、綺麗ねぇ!」
  ルディ「・・・ありがとう・・・。」
  アリア「あなた名前は?」
  ルディ「・・・ルディ・・・」
  アリア「ねぇ、ルディ!私、大切なものを探しているの!」
  ルディ「大切なもの・・・?」
  アリア「ええ。私、貝殻の形をした笛を探しているの!」
  ルディ「貝殻の形をした・・・笛・・・?」
  アリア「きっと浜辺のどこかに埋まってると思って、一晩中探し
      てたんだけど、どうしても見つからなくて・・・」
  ルディ「・・・そうなんだ・・・」
  アリア「あの笛がないと私、家へ帰れないのよ。だから・・・」
  ルディ「・・・僕・・・知ってる・・・多分・・・君の探してるその笛・・・」
  アリア「本当!?」
  ルディ「うん・・・」
  アリア「どこにあるの?私に返してくれる?その笛・・・」
  ルディ「それが・・・」
  アリア「・・・何・・・?」
  ルディ「僕・・・そんな大切な笛だと知らなくて・・・この島の主へ
      の貢ぎ物に差し出してしまったんだ・・・。」
  アリア「貢ぎ物・・・?」
  ルディ「ごめん・・・ごめんよ!!僕、本当にそれが何なのか知
      らなくて・・・!!キラキラして綺麗だから、お金の代わり
      になるかなって・・・!!本当にごめん!!」
  アリア「ルディ・・・」









     ――――― “アリアの海”2へつづく ―――――










   ※ このお魚たち、見覚えがないでしょうか・・・^^;?
     はい、ピンクのももちゃんと、先生、お友達のお魚たち
     です"^_^"



 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪








  http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
 
         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta











“キャシーの森(原作)” ―全6場― 完結編

2012年10月17日 20時14分37秒 | 脚本



  長老の声「大きな声で呼ばなくても分かっている・・・。(声は幾
        分若々しく聞こえる。)」
  
  クルト「長老?」

         舞台中央、後ろ向きに胡坐をかいて座った
         長老で、フェード・イン。

  クルト「(長老を認め、駆け寄る。)長老!!」

         クルト、長老の様子が今までと少し違うのに
         気付き、立ち止まる。

  キャシー「どうしたの?」
  クルト「長老・・・本当に長老かい・・・?なんか感じが・・・まぁ、い
      いや!それより長老!!キャシーがとうとう最後の大木
      の精に会うだけになったんだよ!!4つの石を集めたん
      だ!!すごいだろ?」
  長老「だが木の精は今までのように、すんなり石を渡さないぞ
     ・・・」
  クルト「どうして?長老!木の精はどこにいるんだい?僕も今ま
      で一度も会ったことがないから、案内係りの役目が果た
      せなくって。(笑う。)長老は勿論、会ったことがあるんだろ
      ?キャシーに教えてやってくれよ!どこに行けば会えるの
      か!!」
  長老「(ゆっくり立ち上がる。呟くように。)ガタガタ煩い小鳥だ・・・
     」

         長老、今までのように曲がった腰ではなく、
         背筋がすっくと伸び、若々しく見える。

  クルト「長老・・・長老じゃない・・・?」
  キャシー「長老じゃないって・・・誰なの?クルト!」
  長老「(声を上げて笑う。)やれやれ・・・とうとう俺が相手をする
     人間がここまで来たか・・・」

         長老、振り返る。と、今までとは全く別人の
         ように、険しい面持ちの若い妖精に変わっ
         ている。(立ち上がる時、今まで着ていた
         マントを脱ぎ捨てると、全身黒尽くめの衣装
         に変わる。)

  長老「今回、他の4人はこんな小娘に、すんなり石を渡し過ぎだ
     ・・・」
  クルト「・・・木の・・・精・・・?」
  長老「(ニヤリと笑って。)そう・・・俺がこの森の真の支配者・・・
     大木の精霊だ!!」           ※
  クルト「・・・長老は?」
  長老「長老か・・・本当の長老なんて、この森には最初から存在
     しないのさ!」
  クルト「そんな・・・」
  長老「長老なんて、おまえたちが勝手に作り上げた幻の年寄り
     に過ぎないってことだ。」
  クルト「嘘だ・・・嘘だ!!冗談言うなよ!!」

         クルト、長老(木の精。)に食って掛かる。

  長老「煩い!!(払い除ける。)」

         クルト、倒れる。

  キャシー「クルト!!(駆け寄る。)」
  クルト「(再び立ち上がって、長老に掴み掛かる。)嘘だ!!長
      老が本当に存在しなかったなんて嘘だ!!」
  長老「いつまでも煩い小鳥だ・・・。その口を黙らせてやる!!」

         長老、クルトに向かって魔法をかけるように
         指を差し出す。と、クルト、苦しそうに跪き
         倒れる。

  クルト「長老・・・」
  キャシー「クルト・・・?クルト!!(クルトを抱き起こす。)クルト、
        どうしちゃったの!?確りして!!(長老を見据えて。
        )あなた、クルトに何をしたの!?」
  長老「(笑って。)後、数分もしないうちに、クルトの命は終わるだ
     ろう・・・。静かになるな・・・。」
  キャシー「(クルトをそっと下へ下ろして立ち上がる。)どうしてそ
        んな酷いことをするの!!」
  長老「煩く俺に口答えするからだ。さぁ、おまえは俺の石が欲し
     いんだろう?だが俺は他の精たちのように、簡単に石はや
     らんぞ。どんな難題に挑戦してもらうとするかな。(笑う。)」

         音楽流れる。       ※2

  キャシー「・・・いらない・・・」
  長老「ん?」
  キャシー「いらないって言ってんのよ!!」
  長老「・・・いらないだと?」
  キャシー「そのかわりクルトを助けて・・・クルトを殺さないで!!
        」
  長老「二度と自分の世界に帰れなくなるんだぞ?」
  キャシー「いいわ・・・それでも私は構わない!!初めて出来た
        本当の友達なのよ!!(泣き叫ぶように。)」

         キャシー、泣きながら歌う。

         “願いのかわりに大切な者
         返してクルトの命 引き換えに
         初めて知った優しい心・・・
         今まで気付かずにいた思いやり
         教えてくれた優しい友・・・
         今の私には願いは一つ・・・
         クルトの命返してくれたら
         他には何もいらない・・・”

         長老歌う。

         “おまえの望みはクルトの命
         漸く気付いた大切な心を
         願いのかわりに助けてと言った
         優しさ初めて知った”

  長老「おまえがいつそう言いだすのか楽しみだったよ・・・。それ
     とも気付かずに終わるのか・・・。もしおまえが優しさを失っ
     たまま、石を集めたところで、願いは叶うことはなかった・・・
     。人として一番大切なことを忘れたままで・・・」
  
         キャシー、何かに気付いて、持っていた
         袋を見ると、袋の中が光り輝いているのが
         分かる。

  キャシー「石が・・・?」

         長老、歌う。

         “返してやろうクルトの命
         叶えてやろうおまえの望み”

  本当「・・・本当・・・?」
  長老「(優しく微笑んで頷く。)」

         キャシー、長老に駆け寄り歌う。

         “今こそ願い叶う
         初めて知る喜び
         立ち向かう強さと
         守りたい友情
         この溢れ返る思いは真実・・・”

         長老歌う。

         “返してやろうクルトの命・・・”

         長老、クルトに近寄り手を差し出す。と、
         クルトゆっくり目覚める。

      コーラス“願いは全て叶う・・・”

  キャシー「(クルトに駆け寄る。)クルト!!」
  クルト「キャシー・・・!!」

         嬉しそうに手を取り、見詰め合うキャシーと
         クルト。その様子を微笑ましく見ている長老。
         フェード・アウト。

    ――――― 第 6 場 ―――――

         音楽流れ、フェード・インする。と、舞台中央に
         キャシーとクルト、微笑み合っている。

  クルト「ありがとう、キャシー・・・」
  キャシー「ううん・・・私の方こそありがとう!あなたのお陰で、全
        ての答えが見つかったわ!」
  クルト「お別れの時が来たね。」
  キャシー「クルト・・・(泣きそうになる。)」
  クルト「泣かないで、キャシー!僕たちは全て君の作り出した想
      像物だ・・・。だから会おうと思えば、いつでも会えるさ!!
      君の心の中でね・・・。」

         遠くで、母の声が聞こえる。

  キャシーの母の声「キャシー・・・」

  キャシー「(回りを見回して。)ママ・・・?」
  クルト「さぁ・・・もう目覚めの時だよ・・・」

         キャシー、微笑んで頷く。

  キャシー「さよなら、クルト・・・(クルトに抱き着く。)」
  クルト「さよなら・・・」

         上手、下手より其々妖精(長老は木の精
         ではなく、長老になっている。)他の出演者出、
         キャシー、クルトの側へ。握手したり微笑み
         合ったり挨拶を交わす。
         全員登場したところで、皆で手をつなぎ、客席
         への挨拶になる。
         音楽盛り上がって、全員の合唱。

         “今 優しい心が溢れ返り
         全ての者が幸せを手に入れた
         君たちの思い出と共に
         二度と忘れはしない・・・
         今ここで過ごした時の流れを・・・
         何時までも・・・”






         ――――― 幕 ―――――







    
     それでは、次回掲載作品の紹介をしておこうと思いま
    すが、次回は最近書き始めた、この時期だから書きたく
    なったお話・・・まだ途中ですので(・・・大きな声で言うと、
    団員達から「こんな忙しい時期に!!先にやること済ませ
    てから書きなさい!!」と、お叱りを受けるので、こっそり
    と・・・^^;)主人公に誰を持ってくるか迷いつつ書き進め
    ている・・・なので、無理矢理タイトルをつけておこうかな
    ・・・と思って考えた“古びた洋館の隠れた住人・・・”を、
    ご覧頂こうと思います(^_^)v

    何せ、公演準備を進めながら、団員達にナイショで・・・
    ここに書いて“ナイショ”も何もないですけど・・・^^;
    私に“書きたい”気持ちは止められない~・・・と言うことで
    ・・・お楽しみに~♪














   ※ 人形劇用の台本では、長老さんが変身(?)したところ
     から、“大木の精”と書き換えていたのですが、舞台用
     ではズーッと最後まで“長老”と書いています^^;
     なので、なんだか読んでいると、エラク偉そうな長老さん
     に感じますね~"^_^"

   ※2、この場面に流れる音楽は、決まったものがあるようで、
     曲名が書かれていました^_^;
     続く歌詞も、その音楽に合わせて書いている筈なので、
     きっと読まれて「???」な感じに受け取れるような所
     もあるかも知れないですね^^;
     私も今度、CDでも借りて、合わせて聞いてみようと思い
     ます(^。^)




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


     (おまけフォト^^;)

     記念撮影で~す♪

     

    まもなく公演する作品の、お人形や道具類を、
   クローゼットから引っ張り出して、準備を進めようと
   していたところ、お人形のあまりの多さに、ちょっと
   記念撮影でもしてみようかな・・・と思い立った次第
   であります(^.^)

    上写真のお人形は、ほんの一部で、部屋の中には
   この3、4倍ほどのお人形たちが、ところ狭しと転がっ
   ている・・・公演終了までの、ただ今の我が家の状態
   であります^^;

   どの子が誰か・・・分かりますか~?^_^;










  http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
 
         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta




  


“キャシーの森(原作)” ―全6場― 3

2012年10月12日 20時19分18秒 | 脚本


  長老「なんじゃ・・・まだ普通の石を集めとるのか?」
  キャシー「え・・・?」
  長老「花の妖精に貰った石は、まだそのままかな?」
  キャシー「そのまま・・・って・・・(ポケットから石を出し、触ったり
        翳したりして見る。)・・・そう言えば・・・貰った時に比べ
        ると、なんだかほんの少しだけキラキラして見える・・・
        。」
  長老「それは持つ者によって、どうにでも変わる魔法の石じゃ。」
  キャシー「魔法の石・・・?じゃあ私がその辺に転がってる石を、
        5つ集めたって同じことじゃない。」
  長老「(首を振る。)いいや・・・、この石は5人の妖精の手を通し
     て、おまえが貰い受けなければ、本当に意味のないただの
     石ころじゃ。」
  キャシー「どうして変わるの!?時間が経てば輝いてくるの!?
        」
  クルト「花の妖精が言ってたじゃないか。キャシーが冷たい心な
      ら、いつまでたっても冷たい石だって・・・!!」
  キャシー「いつまでも冷たい心なら・・・冷たい石・・・」
  長老「(声を出して笑う。)さぁ、年寄りは家へ帰って、一眠りしよ
     うかのぉ・・・」
  キャシー「待ってよ!!私がどう変われば、この石は本当に願
        いの叶う魔法の石に変わるの!?」
  長老「さあのぉ・・・しかし現に花の妖精に貰った石は、ほんの少
     しでも輝いてきたんじゃろう?それはおまえさんの中で、少
     しだけ何かが変わったってことじゃよ・・・。自分で考えてご
     らん・・・。」
  キャシー「私の中で・・・。一体何が変わったって言うの!?」

         長老、ゆっくり上手へ去る。

  キャシー「待って!!待ってよ!!もう・・・これじゃあ、たとえ5
        つの石が集まったって、私が変わらなければ願いは叶
        わないってことじゃない・・・」
  クルト「屹度、5つ集まれば答えが見つかるようになっているん
      だよ!一つ一つ・・・花の妖精に貰った石のようにさ!」
  キャシー「(石を見て。)そうかしら・・・」
  クルト「行こう!キャシー!」

         クルト、明るく歌う。途中、キャシーも
         加わり、元気よく歌う。
         2人、スポット。

         “行こう!
         分からない答え知る為に
         行こう!
         分からない答え聞く為に
         屹度 見つかる
         5つの石が答えを知ってる
         願いを叶える
         5つの石が何でも分かる筈
         だから行こう!行こう!
         次の妖精が待つ森のどこかへ”

         2人、手をつないで下手へ走り去る。
         フェード・アウト。

    ――――― 第 4 場 ―――――

         水の滴が垂れる音。美しい音楽が流れる。
         フェード・インする。と、洞窟の泉。
         中央、座った美しい泉の精、長い髪を
         梳かしながらゆったりと歌う。

         “水の流れがささめいて
         水の滴が肌を滑る
         美しい光 揺らめいて
         私を照らすのいつまでも・・・
         泉が溢れ
         私を称えるいつまでも・・・”

         下手客席よりクルト、続いて周りをキョロ
         キョロ見回しながら、キャシー登場。

  クルト「さぁ、ここが泉の精の住む洞窟だよ。」
  キャシー「それで何処にいるの?泉の精って・・・」
  クルト「(周りを見回して。)えっと・・・泉の精!!泉の精!!」
  泉の精「・・・誰?私の優雅な午後の一時を邪魔するのは・・・」
  クルト「(舞台上の泉の精を認め。)泉の精!!」

         クルト、キャシー、上手より舞台上へ。

  泉の精「クルト・・・また欲深い人間のご案内?さぁ今度はどんな
       くだらない願い事を叶える為に、私は心穏やかな時を妨
       げられたのかしら・・・?(ゆっくり立ち上がる。)」
  キャシー「偉そうね!くだらない願い事を叶える為に態々来たん
        じゃないわ!」
  クルト「キャシー!」
  泉の精「(呆れたように。)まぁ・・・人間の望みなんて、皆、所詮
       くだらない望みに決まってるわ・・・。車が欲しいとか・・・
       家が欲しいとか・・・そうそう、お金が欲しい・・・なんて言
       うのもいたわね・・・。人間の頭の中は、物欲のことで一
       杯・・・。」

         泉の精、歌う。

         “他に考えることがないのかしら・・・?
         あれが欲しいこれが欲しい
         その前にもっと他に望みはないの・・・?
         願いはないの・・・?
         心に余裕をもたないの・・・?
         あくせく働くのは何の為?”

         キャシー、呼応するように歌う。

         “それだけじゃないわ
         美しいものを見て感動することもあるわ
         美しい絵に綺麗な音楽
         心動かされる時だってある”

         クルト、歌う2人の間をウロウロしている。

  泉の精「けれどここに来た人間は、少なくともあなたの言うよう
       な心ある人間だと、私には思えないけど・・・。あなただ
       ってそう・・・今までのあなたから、そんな言葉が出るの
       が不思議・・・。(笑う。)」
  キャシー「そりゃ!!・・・確かに私は絵も音楽も好きじゃないわ
        ・・・。だけど、他の人は!!」
  泉の精「他の人はどうだと言うの・・・?そうね・・・あなたが今ま
       でに、一番感動したことを聞かせて頂戴・・・。そうすれ
       ば、私の石をあなたに差し上げるわ・・・。それとも感動
       したことなんてないのかしら?(微笑む。)」
  キャシー「あるわ!!あるわよ・・・感動したことくらい・・・。えっと
        ・・・テストで100点とった時!!それから・・・去年の
        クリスマスケーキが一昨年のより大きかった時・・・!!
        それから・・・それから・・・」        ※
  泉の精「(笑って。)精々あなたの感動ってそんなもの・・・。」
  キャシー「違うわよ!!もっとあるわ!!えっと・・・(考える。)動
        物園で初めて白熊を見た時・・・朝、目覚ましなしで起
        きれた時・・・髪型が1度で決まった時!ハンバーガー
        のピクルスが1枚余分に入ってた時・・・。さぁ、もういい
        でしょ!!一体、いくつの感動を私に言わせるつもり!
        ?早く、石を頂戴!!」
  泉の精「どうしようかしら・・・」
  キャシー「感動したことを話せば石をくれるって約束したわ!!」
  泉の精「だって・・・今まで私に聞かせてくれた話しは“感動”とは
       言わないわ・・・。あなたは私の質問にちゃんと答えてな
       いもの・・・。石はあげられないわ・・・。」
  キャシー「酷いわ!!私が何故、願いを叶える石を欲しいか知
        りもしないくせに、唯一私が元の世界へ戻れるかも知
        れない、願いの石をあなたは私にくれないなんて!!
        」
  泉の精「じゃあ、ちゃんと答えて。感動したことを・・・。何故そん
       なに元の世界へ帰りたいの・・・?ここにいればパパや
       ママに叱られることもない・・・妹たちの面倒を見なくて
       もいい・・・勿論、学校や宿題もないわ・・・。ここにいれば
       石なんて必要ないのよ・・・。」      
  キャシー「パパやママが叱るのは、私がいけないことをしたから
        !妹たちの面倒を見るのは、私が頼りにされてるから
        !勉強するのは自分の為だわ!!」     ※2
  泉の精「まぁ・・・それならあなたの感動を聞かせてもらわないと
       ・・・。」
  
         優しい音楽流れる。

  キャシー「感動したこと・・・」
  泉の精「どんなに考えたって、あなたは今まで心動かされるよう
       な出来事に、出会ったことがないのよ・・・。」
  キャシー「そんなことないわ!!(目を閉じる。)感動したこと・・・
        そうだわ・・・この間のお誕生日に家族で行った、高原
        旅行・・・。その時に見た星空・・・。今まであんな美しい
        星空を見たことがあったかしら・・・。横にはパパとママ
        ・・・妹たちもいて・・・とても幸せな気持ちだった・・・。
        溢れ返るような感情じゃなかったかも知れないわ・・・。
        けど、あれは確かに美しい星空に感動したのよ・・・。
        家族、皆で一緒にいられる幸せを実感したわ・・・。(目
        を開ける。)口には出さなかったけど・・・。(思い出すよ
        うに。)帰りたい・・・帰りたいの!!パパやママ、妹た
        ちのいる世界に!!だから私は石が欲しいの!!」

         キャシー、歌う。

         “側にいる時には分からなかった・・・
         何が幸せか・・・
         いつでも会える時にはそれが当たり前・・・
         いつも心が氷みたいにカチンカチン・・・
         離れて初めて
         会えなくなって初めて
         分かることもあるわ・・・
         そんな気持ちに戸惑って
         この胸の痛みは一体何・・・?”

  キャシー「私はここの人間じゃない・・・。帰らなけりゃいけないの
        よ・・・。パパやママが心配してるわ・・・。屹度、私のこ
        とを捜し回ってる・・・。早く元気な顔を見せてあげなき
        ゃ!!」
  泉の精「・・・そうね・・・(キャシーの手を取って、自分が持ってい
       た石を渡す。)・・・約束の石・・・。少し分かったわ・・・人
       間の感動がどう言うものか・・・。さっき色々、あなたが言
       ったことも・・・私にはつまらないことでも、あなたには本
       当に一つ一つ感動するような出来事だったのかもね・・・
       。感動の大きさは其々違っても・・・。」
  キャシー「(嬉しそうに微笑んで石を見る。)ありがとう!!」
  クルト「キャシー・・・」
  泉の精「・・・早く5つの石が集まるといいわね・・・。(微笑む。)さ
       ようなら・・・」

         泉の精、手を振りながら、優雅に上手へ
         去る。

  キャシー「ありがとう!!(泉の精の後姿に、大きく手を振る。)」

         キャシー、クルト残してフェード・アウト。

    ――――― 第 5 場 ―――――

  クルト「(嬉しそうに。)よかったね、キャシー!!」
  キャシー「うん!!(不思議そうに、クルトの顔を見詰める。)何
        故そんな嬉しそうな顔をするの・・・?」
  クルト「どうして?君は嬉しくないのかい?」
  キャシー「嬉しいわ!!だって私が自分の為に集めてる石の4
        つ目が手に入って、嬉しくない訳がないじゃない!!
        けど、関係のないあなたは、何故そんな嬉しそうな顔
        をするの・・・?」
  クルト「友達の願いが、もう直ぐ叶うからに決まってるだろ?」
  キャシー「・・・友達・・・?」
  クルト「うん!僕たち、もう友達じゃないか!!」
  キャシー「(呆然とクルトを見詰める。)・・・クルト・・・」
  クルト「やっと、ちゃんと名前を呼んでくれた!」

         キャシー、仕舞ったと言った顔をする。

  クルトキャシー、変なこと聞くんだな。(笑う。)」
  キャシー「だって・・・友達なんて・・・友達なんて皆口ばっかり!
        !・・・クルト・・・本当に嬉しそうに笑うんだもの・・・」
  クルト「(微笑む。)さぁ、キャシー!残るはいよいよ最後の一つ
      だ!!」
  キャシー「(頷く。ポケットから出した袋に、石を入れながら。)も
        う直ぐ帰れるのね、私!!さぁ一体、木の精はどこに
        いるの!?」
  クルト「(ニコニコしてキャシーを見詰めたまま。)・・・えっと・・・ど
      こにいるって・・・?」
  キャシー「ええ!!こんなに木が沢山ある森の中だもの、直ぐ
        に会えそうだけど!!(笑う。)」
  クルト「・・・それが・・・」
  キャシー「それが?」
  クルト「僕も、木の精にだけは未だ嘗て、お目にかかったことが
      ないんだ・・・」
  キャシー「えーっ!!会ったことがないって、どう言うこと!?あ
        なた、ここにずっと住んでるんでしょ!?5人の妖精は
        この森の守り神だって、あなたが言ったんじゃない!!
        」
  クルト「そうだけど・・・木の精だけは、いつも姿を見せないから
      ・・・」
  キャシー「本当に木の精なんているの!?」
  クルト「勿論さ!!森の一番奥深くの、樹齢何百年もの大木に
      宿る精霊だって、聞いたことがあるけど・・・」
  キャシー「長老が一番長生きしてるんじゃないの?」
  クルト「そうだ、長老に聞いてみよう!!長老!!長老!!」

         クルト、長老を呼びながら捜し回るように
         キョロキョロする。
  
  
        






  ――――― “キャシーの森(原作)”4へつづく ―――――











    ※ この“感動したこと”、人形劇脚本とは内容が若干
      変わっていると思います^^;・・・こちらの方が勿論、
      先に書いているので、人形劇の方が変わったのです
      が、キャシーさん、何に一体感動したと言っていたか、
      ピクルス云々くらいしか記憶ありませんでした~^_^;

    ※2、舞台のキャシーさんは妹たちのいるお姉さん、人形
      劇のキャシーさんは弟たちのいるお姉さんでしたね^^;




 ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪


    (どら余談・・・(T_T))

    以前、皆さんにも写真をご覧頂いた、3年近く我が家の家族
    として同居していたロボロフスキーハムスターのロボちゃん
    が亡くなってしまいました・・・;_;
    ついこの間まで元気に走り回っていたのに・・・とっても・・・
    淋しいです・・・(;_;)
   












  http://milky.geocities.jp/little_pine2012/index.html
 
         http://ritorupain.blogspot.com/

     http://blogs.yahoo.co.jp/dorapontaaponta