りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

モリーウィズフェアリー ―全4場―エンディング

2017年07月09日 13時30分48秒 | 新作(人形劇用)



  


 コッコ「分かったよ・・・ホワイトフェアリー・・・」
 クック「うん・・・」
 コッコ「ねぇ、ホワイトフェアリー・・・最後に僕たちか
     ら、お別れのプレゼントがしたいんだ・・・。」
 ホワイトフェアリー「分かりました・・・。カラスを助け
           ようとして、こんなことになったの
           だから、モリーはいいことをしたの
           ですものね。願いを叶えるかわりに
           、あなた達からモリーに素敵なプレ
           ゼントをしてあげなさいな。」
 コッコ「ありがとう、ホワイトフェアリー・・・(モリー
     の側へ。)モリー・・・お別れだね。」
 クック「(モリーの側へ。)少しの間だったけど・・・」
 コッコ「僕たち、君と出会えてよかった・・・」

    コッコ、クック、スポットに浮かび上がり歌う。

      ゛ありがとう
       僕たちの
       存在信じてくれて
       ありがとう
       だから会えた
       僕たち
       お別れだ”

 コッコ「さようならモリー・・・」
 クック「さようなら・・・」

    コッコ、クック、顔を見合わせ頷く。
    フェード・アウト。

    — 第 4 場 — A

    音楽流れ、フェード・インする。と、校舎内。
    中央ベットにモリー、眠っている。
    そこへ上手よりマーサ登場。

 マーサ「モリー!モリー!起きてモリー!」
 モリー「う・・・ん・・・」
 

   


 マーサ「ねぇ、早く起きてご本読んで!」
 モリー「待ってマーサ・・・今起きるから・・・え・・・
     !?(ガバッと起き上がる。)私・・・マーサ
     ・・・私ずっとここにいた・・・?」
 マーサ「何言ってるの、モリー!(笑う。)ずっと私と
     一緒に寝てたくせに!」

     そこへ上手より子ども達、走り登場。


   


 子ども1「モリー!!」
 子ども2「モリー!!」
 子ども4「早く起きてー!!」
 子ども1「もう、モリーは寝坊だなぁ!(笑う。)」
 モリー「・・・みんな・・・」
 子ども4「今日はモリーがみんなに、妖精のご本を読んで
      くれる約束よ!!」
 モリー「妖精の・・・?」
 子ども4「さぁ、早くご飯食べて、ご本読んでね!!」
 子ども2「みんなで向こうで待ってるよ!」
 子ども1「さぁ、モリーの支度が整うまで、みんなで向こ
      うで待ってようぜ!」
 子ども4「うん!」
 マーサ「早くね!モリー!」

    子ども達、上手へ走り去る。

 モリー「・・・どうしたのかしら・・・なんだか変な感じ
     ・・・」

    紗幕閉まる。

    — 第 4 場 — B

    (紗幕前。)
    下手より、エプロン姿で雑巾を手に持った
    ブラックフェアリー、ほうきを持ったエストラ
    登場。(2人、頭に三角頭巾。)



   


 ブラックフェアリー「エストラ!!さっさと掃き掃除なん
           て済ませて、こっちを手伝っとくれ
           !!」
 エストラ「ブラックさん!ここでは私たちは同等の立場で
      すのよ!あなたに命令される筋合いはございま
      せん!」
 ブラックフェアリー「何て生意気な口をお聞きだい!?」
 エストラ「フン!」

 おばさんの声「ちょいと新人2人!!愚図愚図しないでさ
        っさと済ませな!!まだまだ仕事は残って
        るんだよ!!高い賃金払ってやってんだ!!
        それに見合う働きをしな!!」

 ブラック・エストラ「はーい・・・!!」
 ブラックフェアリー「・・・これって・・・いいこと・・・
           になるのかねぇ・・・」
 エストラ「本当・・・」
 ブラック・エストラ「はぁ・・・」

    2人、掃除しながら下手へ去る。
    入れ代わるように上手より着替えたモリー、
    妖精の本を持って登場。歌う。

    モリー゛何だか不思議な
        夢見たのかしら
        確かに       コーラス゛ここに
        いたわ            側に”
        夢でない”

 モリー「私・・・なんだか大切なことを忘れているような
     ・・・」

    そこへマーサ、下手より登場。

 マーサ「モリー!!どうしたの?」
 モリー「マーサ・・・」
 マーサ「早くコッコとクックのお話し読んで!」
 モリー「・・・コッコと・・・クック・・・?」

    その時、鈴の音と共にコッコ、クック登場。
    モリーの周りを飛び回る。
    (モリー、マーサに絵本を読んでいるように。)



   



 コッコ「モリー・・・!」
 クック「モリー!」
 コッコ「モリー・・・本当に僕たちのこと、忘れちゃった
     んだ・・・」
 クック「コッコ・・・僕、寂しいよ・・・」
 コッコ「僕もだよ、クック・・・」
 モリー「(手に持つ絵本を見る。)・・・いるわ・・・」
 コッコ「え・・・?」
 モリー「妖精はいるのよ!!いつだって私たちの側に!!」
 マーサ「(笑う。)モリーがずっとそう言ってたんじゃな
     い!」
 モリー「そうね!!コッコ・・・クック!!いるんでしょ
     !?」
 コッコ・クック「モリー!!」

    — 第 4 場 — C

    紗幕開く。と、妖精の森。美しい花々が咲き乱れ、
    妖精たちが飛び交う。



   


    モリー゛確かにいるのよ
        大切な人が
        確かに感じる
        暖かい温もり

        ずっと側にいてくれた  コッコ゛僕らは
                        ここだよ”
                    クック゛君を
                        守る為”
        たとえ姿がなくても   コッコ゛ずっと
                      ここにいる”
                    クック゛君を
                      見ているよ”
        私に分かる       コーラス゛いる
        温かい風            ここに”
        私の側 今もいる

    コーラス゛楽しい場所 ここは
         みんな集う 場所さ
         妖精たち いつも
         あなたの側に いるよ
         誰の心にも
         きっと届く筈”

    モリー゛信じる心があればいい
        誰にも見える筈だから
        素敵な思いで
        心の中に
        残る筈だから”

 コッコ・クックの声「僕たちはいつでも君の友達だ!どん
           な時も君の心の中にいる。たとえ見
           えなくても・・・」       
        
    
   


   








        ————— 幕 —————



 








 


モリーウィズフェアリー ―全4場― 4

2017年07月09日 12時20分33秒 | 新作(人形劇用)

 

   

 

    
    上手方スポット、フェード・アウト。
      舞台明るくなる。

 モリー「どうしたらカラスさんは、元の姿に戻れるの?」
 カラス「なぁに、簡単なことですよ・・・」
 モリー「本当に?」
 カラス「はい・・・。たった今、あなたに自由にしてもら
     ったお陰で・・・ほら、この実を食べればたちま
     ち私の願いが叶って、はい、元どおり・・・!」
 モリー「願いが叶って・・・?」
 カラス「はい。」
 モリー「それ・・・願いが叶う実なの?」
 カラス「ええ・・・」
 モリー「どこへ行けば、その実が手に入るの?」
 カラス「(ニヤリと笑う。)・・・お嬢さんも・・・何か
     叶えたい願いがおありで・・・?」
 モリー「私、妖精になりたいのよ!」
 カラス「妖精に・・・?」
 モリー「(頷く。)」
 カラス「じゃあ・・・お嬢さんに、この実を差し上げまし
     ょう。」
 モリー「でも、その実はカラスさんの・・・」
 カラス「私なら大丈夫。自由にしてもらったお陰で、また
     直ぐに取りに行けますからね。」
 モリー「そうなの?」

    (音楽流れる。)

 カラス「さぁ・・・遠慮せずにどうぞ・・・(実を差し出
     す。)私を助けてくれたお礼に・・・特別にこの
     実をあなたに差し上げましょう・・・」
 モリー「(そっと実を受け取る。)・・・ありがとう・・・
     」
 カラス「さぁ、お食べ・・・」
 モリー「(実を食べる。)」
 カラス「その悪い妖精とはこの私さ!!(笑う。)」
 モリー「え・・・?あ・・・(倒れる。)」



   



 コッコの声「モリー!」
 クックの声「どうかしたのかい?モリー・・・」

    そこへ下手より、コッコ、クック登場。

 コッコ「中々こないんだから・・・」
 クック「そうだよ!」
 コッコ「(モリーを認める。)モリー・・・?」
 クック「(モリーを認める。)・・・モリー・・・」

    コッコ、クック、モリーに駆け寄る。

 コッコ「もりー!!」
 クック「どうしたの!モリー!!」
 カラス「おやおや・・・双子の白い羽を持つ妖精じゃああ
     りませんか・・・」
 コッコ「誰だ!!」
 クック「カラス・・・?」
 コッコ「モリーに何かしたの!?」
 クック「何故モリーの意識がないの!?」
 カラス「さぁ・・・私には何がどうしてだか・・・。2人
     で話していると、突然その娘が勝手に倒れたんで
     すよ。」
 コッコ「突然倒れただって・・・?」
 クック「モリー!!」
 コッコ「モリー!!しっかりしてモリー!!」
 カラス「そんなに心配しないで、お2人さん。」
 クック「だって・・・!」
 カラス「それより・・・自分たちの心配をしたらどうだい
     ・・・?(隠し持っていた杖を取り出す。)」

 ホワイトフェアリーの声「お待ちなさい!」

 カラス「何?」

    ホワイトフェアリー上がる。

 ホワイトフェアリー「いい加減にさない、ブラック!!」
 コッコ「ブラック・・・?」
 クック「ブラックフェアリー・・・?」
 カラス「ふん・・・バレちゃあしょうがない!!」

    カラス下がり、入れ代わるようにブラックフェアリー
    上がる。

 コッコ「ブラックフェアリー・・・!!」
 クック「今までいたカラスはブラックフェアリーだったの
     !?」
 ブラックフェアリー「(笑う。)いかにも私はブラック
           フェアリー!!もう少しでこの目障
           りな双子の妖精を、奈落の底へ叩き
           落としてやることが出来たのに!!
           よくも邪魔をしてくれたものだ!!
           ホワイトフェアリー!!」

 
   



 コッコ「ホワイトフェアリー!!」
 クック「ホワイトフェアリー!!モリーが!!」
 ホワイトフェアリー「コッコ、クック、分かっていますよ。
           直ぐに助けてあげますからね。少し
           だけ待って頂戴・・・」
 コッコ「(ホッと溜息を吐く。)よかった・・・」
 クック「よかったねモリー。直ぐに助かるよ・・・」
 ホワイトフェアリー「さぁブラック・・・あなたはただ自分
           の欲望だけで、この正しい心を持つ
           人間と、いたいけなこの2人の妖精
           の命を奪おうとしましたね。」
 ブラックフェアリー「だから何なのさ!!私は、昔に他の
           妖精が私にしたことへの復讐をしよ
           うとしたまでだ!!」
 ホワイトフェアリー「関係のないこの者たちにですか?」
 ブラックフェアリー「関係あろうがなかろうが、私には知っ
           たこっちゃないね!!」
 ホワイトフェアリー「そうですか・・・知らなかったこと
           とは言え、あなたが今まで受けた屈
           辱に対する詫びとして、あなたの羽
           を本来あるべき色へ戻してあげよう
           と思いましたが・・・」
 ブラックフェアリー「余計なことはするな!!」
 ホワイトフェアリー「そう・・・余計なこと・・・のよう
           でしたね。そのかわり、罰を与えま
           しょう。」
 ブラックフェアリー「罰?一体何の・・・」
 ホワイトフェアリー「あなたをこれより100年の間、人
           間界へ修行する為に送り出すことに
           します!」
 ブラックフェアリー「修行!?」
 ホワイトフェアリー「そこで100の良いことをするまで、
           ここへ戻ることは許しません。」
 ブラックフェアリー「馬鹿な・・・!!」
 ホワイトフェアリー「さぁ、下界へお行きなさい!!(杖
           を振り上げる。)」
 ブラックフェアリー「な・・・わ・・・わあーっ!!やめ
           て・・・やめてーっ!!お姉様・・・
           」


   


    ブラックフェアリー、消える。

 ホワイトフェアリー「戻ったら一緒に暮らしましょう・・・
           今度こそ姉妹仲良く・・・」
 コッコ「ホワイトフェアリー・・・」
 ホワイトフェアリー「さぁ、待たせましたねコッコ、クッ
           ク。」

    — 第 3 場 — B

 クック「ホワイトフェアリー、モリーは助かるよね?」
 コッコ「モリーは大丈夫だよね?」
 ホワイトフェアリー「ええ、モリーは大丈夫ですよ。」
 コッコ・クック「よかった!!」
 ホワイトフェアリー「でも・・・」
 コッコ「でも・・・?」
 ホワイトフェアリー「モリーを今直ぐに人間界へ帰すので
           す。」
 コッコ「え?」
 クック「帰す・・・?」
 コッコ「どうして・・・」
 クック「ここで治してよ、ホワイトフェアリー!」
 コッコ「そうだよ!何も人間界へ・・・あんな意地悪な
     仲間のいるところへ戻らなくても、ここで・・・
     !」
 ホワイトフェアリー「(首を振る。)モリーがここにいれ
           ば・・・このまま二度と目覚めるこ
           とはありません・・・。」
 コッコ「目覚めることがない・・・?」
 クック「・・・嘘だ・・・」
 コッコ「嘘だ!!」
 クック「嘘だ!!」
 コッコ「嘘だ!!」
   

   


 ホワイトフェアリー「いいえ・・・本当です。残念ですが
           ・・・」
 コッコ「そんな・・・」
 ホワイトフェアリー「妖精界で受けた傷をなかったことに
           するには、今の彼女にとっての現実
           の世界・・・すなわち人間界に戻す
           ことが、唯一モリーが助かる方法な
           のです。」
 コッコ「ホワイトフェアリー!モリーが人間界へ帰ったら
     元気になるんでしょう?」
 クック「そしたらまたここへ来られる?」
 ホワイトフェアリー「・・・人間界へ戻ったなら・・・
           モリーの記憶からこの世界のことは
           消えてなくなります・・・」
 コッコ「え・・・?」
 ホワイトフェアリー「勿論あなた方と出会ったことも・・・
           あなた方の存在さえも・・・」
 コッコ「そんな・・・」
 ホワイトフェアリー「さぁ、もう時間がないわ。早くモリー
           を人間界へ帰さなければ、二度と目覚
           めることが出来なくなるのですよ。」

    コッコ、クック、一時涙を堪えるように。
    決心したように2人、顔を見合わせる。
    (音楽流れる。) 









   —゛モリーウィズフェアリー”エンディングにつづくー









ー ♪ — ♪ — ♪ — ♪ — ♪ — ♪ — ♪ — ♪ — 

(どら余談^^;)

 突然に文字の大きさが変わってしまい・・・
 多分、私が自分でパソコンのいらぬところを触って
 しまったんだと思いますが・・・^^;
 元に戻すのに、四苦八苦してしまいました・・・💦

   読んで頂いている途中に可笑しな箇所があるかも知れ
 ませんが、申訳ありません<(_ _)>
 気にせず読み進めて頂けると助かります(>_<)
 









 


モリーウィズフェアリー ―全4場― 3

2017年07月09日 09時57分32秒 | 新作(人形劇用)




   



      “待ち望んだ跡継ぎが出来
      幸せ満ち足るこの国さ
      だけど不運じゃないか
      双子だなんて
      しかも見てみろ
      羽の色違う
      まぁ一人は白い羽の純潔
      なんて可愛いの
      だけども嘘だろこの羽
      黒い色だぞなんてこと
      災いくる
      良くないことが起こるぞ”

 村人妖精1「そうだ!こっちの黒い羽を持つフェアリーを、どこか
        よそへやるんだ!」
 村人妖精2「えっ?」
 村人妖精1「この国のどこか隅にでも家を建てて、ひっそりと住ま
        わせときゃあいい!」
 村人妖精2「災いを遠ざけるのか!」
 村人妖精1「(頷く。)そう言うことだ・・・」

    村人妖精たちフェード・アウト。
    入れ代わるように、ブラックフェアリー、ホワイトフェアリー
    明るく。
    ブラックフェアリー、歌う。



   



      “初めて知った
      この私の運命
      衝撃だった
      なぜ私は生まれたの”

    ホワイトフェアリー、歌う。

      “初めて知ったわ
      違えた運命(さだめ)
      そんなことがあったの”

 ブラックフェアリー「白々しい!!」

    ブラック“私達の運命? 
         笑わせないで       ホワイト“決まってたことよ”
         生まれた時から私は一人
         生きてる”

    ホワイトフェアリー、下がる。

    ブラック“呪われた運命さ
         生まれた時に       コーラス“決まってたことよ”
         だから私は誰も信じない
         憎むの”

 ブラックフェアリー「見ておくがいい・・・この私を一人にした妖精た
            ちめ・・・。いずれこの国に災いがもたらされるで
            あろう・・・。この私の手によって・・・(笑う。)」

    そこへ下手より、エストラ登場。



   



 エストラ「ブラックフェアリー・・・」
 ブラックフェアリー「エストラ・・・どうした?」
 エストラ「妖精の国に面白い来客が・・・」
 ブラックフェアリー「来客?」
 エストラ「いいことをして願いを叶えてもらおうとしている人間が
      ・・・」
 ブラックフェアリー「人間・・・」
 エストラ「(頷く。)コッコとクックが、人間界から連れて来たようで
      すわ・・・。」
 ブラックフェアリー「コッコとクックが?」
 エストラ「はい・・・ホワイトフェアリーの両羽から生まれた、2人共
      が白い羽を持つ双子の妖精の・・・」
 ブラックフェアリー「それはいい・・・(手に持っていた杖を折る。)」

    (曲終わり。)
    ブラックフェアリーの笑い声残して、フェード・アウト。

    ――――― 第 3 場 ――――― A

    明るい音楽流れ、背景変わる。と、森の中。
    上手よりコッコ、クック登場。

 コッコ「モリー!」
 クック「モリー!こっちだよー!!」

    コッコ、クック、上手方に手招きすると、モリー、
    キョロキョロと周りを見回しながら登場。



   



 モリー「わぁーっ・・・綺麗なところ!」

    モリー、歌う。

      “素敵だわ
      初めてよ
      こんな場所にくるの
      今までと
      全然違うのよ
      嫌なことなんてないわ
      キラキラと輝いた
      憧れの場所だわ
      こんなとこにいつまでもいたい
      そんな気持ちだわ”

 モリー「でも、いいことって一体何をすれば・・・」
 コッコ「大丈夫!いつものモリーでいれば、直ぐにいいことをする
    機会が訪れるよ!!」
 クック「そうさ!」

    コッコ、クック歌う。

      “僕らがいるよ君の側にずっと
      君の夢は僕の夢”

    モリー、歌う。

      “初めて見つけた私の居場所よ
      なんて素敵なのかしら
      これからもずっといたいわ
      夢の中の友達・・・”

    コッコ、クック、木の枝の小さい隙間をぬうように、
    下手へ去る。

 モリー「あ!、待ってよ二人共!(音楽終わる。)私、まだ人間なの
     よ!!あなた達のように、こんな小さい隙間、通れないわ!
     待って・・・待ってったら!(溜め息を吐く。)早くいいことをし
     て、小さくしてもらわなきゃ。」

    音楽流れる。
    その時、どこからか微かに声が聞こえて来る。

 声「お嬢さん・・・」

 モリー「え・・・?」

 声「・・・お嬢さん・・・お嬢さん・・・そこのお嬢さん・・・」

 モリー「誰?誰かいるの?」

 声「ここです・・・私はここにいます・・・」

 モリー「どこ?」

 声「この木の葉の下に・・・埋もれて動けないのです・・・」

 モリー「木の葉の下・・・?」

 声「優しいお嬢さん・・・助けてくれませんか・・・?」

 モリー「え・・・ええ・・・」

    モリー、木の葉の山を掻き分けると、一羽のカラスが
    現れる。



   



 モリー「カラスさん・・・?」 

    カラス、歌う。

      ゛ご名答 そう カラスです”

 カラス「はぁ・・・助かりましたよ、お嬢さん。」
 モリー「どうしてあんな木の葉の山の中に?」
 カラス「(悲しげに。)はい、私は見ての通りカラスです。
     ですがそれは・・・聞いてくれますか?お嬢さん
     ・・・」
 モリー「ええ・・・」

    カラス、歌う。

      ゛本当の姿は違う”

 モリー「え・・・?」

      ゛この私 何をした
       悪い妖精
       なんの権利があるの”

 モリー「妖精・・・?」

      ゛この姿 すぐ もとどおり”

 モリー「どうやって?」

    下手方、モリー、カラス、時間が止まり、舞台
    薄暗くなる。上手方スポットにブラックフェアリー、
    エストラ、浮かび上がる。

  

      

 

 ブラックフェアリー「エストラ・・・今度は妖精の城から
           眠りの実を一粒・・・この私に調達
           して来ておくれじゃないか?」
 エストラ「眠りの実を・・・?」
 ブラックフェアリー「そう、一口食べれば二度と目を覚ま
           さなくなる眠りの実・・・さ・・・」

    ブラックフェアリー、歌う。

      ゛邪悪の実 ああ 恐ろしい・・・”

 ブラックフェアリー「そうすれば、おまえさんもその存在に
           鬱々としていた人間・・・を・・・
           この私が上手い具合に始末してあげる
           よ・・・。」
 エストラ「本当に・・・?」
 ブラックフェアリー「ああ・・・」
 エストラ「(ニヤリと微笑む。)分かりました・・・。直ぐ
      に手に入れて参ります。お任せを・・・」
 ブラックフェアリー「(声高々と笑う。)」

 

 

 

 

  

    —゛モリーウィズフェアリー” 4へつづく—
















― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ―



     
     あまり“カラス”をじっくり見たことがなくて、なんとなーく
    イメージでくちばしが黄色だったような気がして、黄色いくち
    ばしのカラスさんを作ってしまいました・・・。
 
    ホントは真っ黒・・・なんですよね?黄色の訳ないっか



 


10周年記念公演 “あの空の向こう”―2幕― 2

2017年05月02日 18時24分56秒 | 新作(人形劇用)







    音楽流れる。

 ジェシー「俺には隣町の施設に・・・目の悪い弟がいるんだ・・・」
 ピット「弟・・・?」
 ジェシー「(頷く。)」

    ジェシー、歌う。

    “ずっと 一人
    暗闇の中 泣き言も言わず
    明るい笑顔を見せる
    いつも 二人
    誰にも頼ることが出来ないまま
    片寄せあって生きてきた”

    ピット、歌う。

    “人間の気持ち 私分からない
    なのになぜ胸が苦しい”         コーラス“胸が”

    ジェシー、歌う。

    “一人置いて行く そんな辛いこと
    胸が潰れそう
    今も一人で 何も知らず
    俺のことをただ待つ姿
    思うだけで心が張り裂けそうな
    気持ちだ”

 ジェシー「俺がいなくなったらフレディはどうなるんだ・・・金を貯め
      て目を治してやるって約束したのに・・・それに生活費だ
      って・・・そうだ・・・頼む!!この通帳をフレディのところへ
      届けさせてくれ!!」
 ピット「あら、それは駄目よ。」
 ジェシー「駄目?」
 ピット「ええ。曲がりなりにもあなたはもう死んでるのよ?生きてた
    時のように、人間と接触を持っていい訳ないじゃない。お化け
    としてこれから生きて行くつもり?(笑う。)」
 ジェシー「そんなこと言うなよ!!頼むよ!!この通帳さえ渡せば
      、俺は直ぐにおまえの言うように、天界の裁判所へでもど
      こへでも、一緒に行ってやるよ!!だから・・・」
 ピット「それにフレディのところへ行ったって、フレディにはあなたの
    ことが見えないのよ?あ、これは目が見えないって言う意味
    でなくて、あなたは死んでるから・・・」
 ジェシー「分かってるよ!!何度も何度も言われなくたって!!」
 ピット「そう?」
 ジェシー「畜生・・・じゃあどうすれば・・・あ・・・おまえ・・・」
 ピット「え?」
 ジェシー「おまえは・・・俺と違って人間でもなけりゃ死んでもいない
      ・・・」
 ピット「え・・・?ええ・・・まぁ・・・」
 ジェシー「だったら、人間と関わりを持ってもいいんじゃないのか
      !?」
 ピット「そりゃ・・・」
 ジェシー「おまえは人間の側へ行ってもいいんだよな?」
 ピット「え?」
 ジェシー「頼むよピット!!俺に代わってこの通帳をフレディのとこ
      ろへ届けてくれ!!」
 ピット「えーっ!?・・・だ・・・駄目よ!!そんな・・・」
 ジェシー「どうして!?」
 ピット「元々私は実体がないものなのよ?だから生きてる人間に
    は見えないの。」
 ジェシー「大丈夫だ!フレディは目が見えない分、昔からインスピ
      レーションでその存在を感じ取ることが出来る、不思議な
      能力を持っていたんだ、だから!」
 ピット「本当かしら・・・」
 ジェシー「頼むよ!!このとおり、一生のお願いだから・・・あ・・・
      俺の一生はもう終わってしまったのか・・・いや、そんなこ
      とはどうでもいいんだ!きっとフレディにはおまえのことが
      分かる筈だから!!」
 ピット「どうしてそう言い切れるの?」
 ジェシー「どうしてって・・・俺には感じるんだ・・・だから!!」
 ピット「でも・・・(チラッと時計を見る。ジェシーの握り締めている
    通帳を見て。)」

    音楽流れる。

   ――――― 第 1 場 ――――― B

 ピット「・・・分かった・・・分かったわ!!私、行くわ!!」
 ジェシー「本当に?」

    ピット、歌う。

    “天界の使者は嘘を つかないのどんな時も
    一度約束したら 破らないわ
    自分の意思で決めたの
    あなたの力になるわ
    掟破りとしても 振り返らないわ”

    ジェシー、歌う。

    “不幸中の幸い 出会えたことが奇跡だ
    絶望からの復活 感謝するよ
    天界へ旅立つ時 色んな心残りが
    足かせにならぬよう 取り除いてくれる”

   ピット“今 行くわ どこ かしら”

   ジェシー“直ぐ 頼む あの 向こう” コーラス“心のある場所”

 ジェシー「フレディにこれを!(通帳を渡す。)」

    ピット、歌う。

    “人間の為に何かすることは駄目なのよ  コーラス“今から
     誰にも言わないそう約束してね絶対”      向かおう
                         人間の世界へ
                           踏み込む
                           これから
                         禁断の世界へ
                            危ない 
                            危険だ
                        初めての世界だ
                           落ち着け
                            前見て
                         新しい世界だ” 

 ジェシー「隣町の小さな施設にフレディはいるんだ。」
 ピット「分かったわ!」
 ジェシー「俺はずっとここにいるから・・・!」

    ピット、残して紗幕閉まる。
    (ピット、行進しながら歌う。背景動く。)



                                 



    “大丈夫かしらこんな 掟破りよねこれは
    多分大目玉よね 悪いことね
    だけど困る人を見て ほっとける筈はないわ
    天界の使者だから おまかせあれ
    少しの間だけなら 分からない筈よきっと
    ちょっと行って来るだけ
    直ぐに戻って来る
    出す 勇気 さあ 行こう”  コーラス“嘘 秘密 直ぐ 戻る”

 ピット「本当に大丈夫かしら・・・大丈夫に決まってるわ!・・・でも
    ・・・」

    ピット、歌う。

    “天界の使者は 決められた役割があるの
    道を外れたら 戻れなくなるの 二度と”

   コーラス“危ない 危険だ 初めての世界だ
         後ろを見ないで 新しい世界だ”

    ピット、歌う。

    “振り返らないわ こうすると決めたのは私
    ただ前だけ見て 進め我が道 行くわ”

 ピット「さあ、行くわよ!!」

    ピット、歌う。

    “そこに見えたあの場所ね”

   コーラス“さぁ 着いた ほら 着いた”

    ピット、下手方へ駆け寄る。(紗幕、開き始める。)

    ピット、歌う。

    “大切な仕事の為 来た”

    ピット、下手へ去る。(紗幕、開き終わる。)

   ――――― 第 2 場 ――――― A

    紗幕開く。と、施設の広間。






    シスター達、歌う。

   〝神のみこころ 生きるもの全て
    安らぎ溢れる 平和な世の中
    誰もが願いし明日”

    シスター達、下手へ去る。
    下手方へ行こうとして、一人残ったシスター・アマン、
    去ったシスター達を少し気にするように見ながら、
    その方へ背を向け、携帯電話を取り出し電話を掛ける。

 シスター・アマン「あ、もしもし、ジェシー・ブラウンさん
         ?はい、はいいえ・・・ええ・・・ええ・・・
         そうなんです。それが昨夜からどうも具合
         が悪いようで・・・はい・・・はい・・・、
         急遽、お医者様に来て頂いて診て頂いたの
         ですけれど、風邪をこじらせてしまったよ
         うで・・・しばらくお薬を増やした方がいい
         とのことですわ・・・。ええ・・・はい、
         それで少しお金の方が・・・はい・・・
         はい、フレディのことはご心配なく・・・
         いえ!来て頂かなくても大丈夫ですわ。
         こちらには沢山のシスターがついています
         から・・・ええ、分かりました。それでは
         なるべく早くにお金、お願いしますね。
         では・・・(電話を切る。)フン・・・
         (ニヤリとする。)チョロイもんね。」










    —————〝あの空の向こう”3へつづく—————









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  (どら余談♪)


  1月21日(土)  “不思議の森のリーザ”―全6場―


   



  今日は、毎年呼んで頂いている小学校での公演日でした。
  
  今回は、沢山の欠席メンバーがいて、どうなることやら・・・で
  迎えた当日でしたが、皆が少しずつ予定を変更したりして、
  公演に出来るところまで参加してくれたり、先生方やPTAの
  方に片付けをお手伝い頂いたり・・・沢山の協力があって、
  無事、公演を終えることができました。

  「何ともならない」状況から、「何とかなった」皆さんの力添え
  に感謝の気持ちで一杯です。

  本当にありがとうございました。

  



  5月2日(火)

  世はゴールデンウイーク真っ只中・・・
  皆様には、随分とご無沙汰してしまいました<(_ _)>

  とうとうパソコンがインターネットにつながらない
  状態に陥ってしまい、思い切って新しいパソコンを
  購入し、本日手元に届いたところなのでした(^-^;

  すごく快適な新しいパソコン・・・
  なのですが、微妙に今までの手慣れたキーボードと
  違う為、意外と四苦八苦しながら文字を打つ私です。

  さて、4月より新人さんを1名迎え・・・新作を書く
  為、ただ今〝わたくし”頭をフル回転中であります。
  なかなか出来上がった報告をしない私に、団員たち
  からは「本当にフル回転してるんか~!」
  と怒られそうですが・・・
  
  頑張ります・・・(>_<)


















10周年記念公演 “あの空の向こう”―2幕―

2017年01月11日 11時07分50秒 | 新作(人形劇用)


 2017年1月3日


 皆様、新年明けましておめでとうございます。


 今年も精進してまいりますので“リトルパイン”を

 何卒宜しくお願い致します。




 さて、昨年はあまりブログを更新できないまま、

 新しい年へと変わってしまいましたが、昨年度も

 いつもと変わらぬ活動をこなしつつ、10周年記念公演

 では“J”作品に次ぐ1本立てのちょっと大人な長編作品を

 書き、11月のボランティア公演では、初めて「認知症」を

 テーマにした作品をと依頼を受け、四苦八苦しながら

 仕上げ、つい最近までは今月の小学校公演に持って

 行く作品を、欠席メンバーがいる為に少人数でも動きが

 出来るように考えながら書き上げ・・・

 ちょうど今、少し頭が空の状態になったところであります。

 
 現在、ブログ上ではモリーちゃん作品を公開途中では
 
 ありますが・・・その次に公開予定の作品も控えては

 おりますが・・・少し公開順序が前後してしまうことに

 なりますが新年と言うことで、昨年度、公演しました

 「あの空の向こう」をモリーちゃん作品と平行して

 皆様にお届けしていこうかな・・・と考えております。

 この作品は、“J”作品同様、普段伺うボランティア公演に

 は、まず持って行けない長編作品で、人形劇と言う形で

 皆様にご覧になって頂くことは、二度とないと思いますが、

 紙面上で“私ワールド”を感じて頂けるといいかな・・・と・・・


 思っております。


 最後に、昨年度もイロイロな場所に呼んで頂き、沢山の

 方々との出会いがありました。

 本来ならば、その公演ごとに公演日記を書き、お礼の言葉を

 書かせて頂くところではありますが、少し前より公演日記を

 書くのが追いつかない状態になってしまい、中々個々の

 皆様にご挨拶が出来ていません。

 本当に申し訳ございません。そして、ありがとうございました。

 
  
                ミュージカル人形劇団リトルパイン

                               どら。








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  〈 主な登場人物 〉


  ピット  ・・・  天界の使者。

  ジェシー・ブラウン

  シスター・アマン  ・・・  フレディが暮らす施設長。

  フレディ・ブラウン  ・・・  ジェシーの弟。 目が見えない。

  天界の女神  ・・・  ピットの母。

  シスター・ローラ

  アルセウス  ・・・  天界の門番。

  刑事

  ドナ  ・・・  ジェシーの会社のマドンナ。

  部長 社員

  その他




   
       (左)ジェシー  (中央)シスター・アマン





― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ―





                         ※



     〈 プロローグ 〉

    音楽流れ、幕は開く。と、スモーク流れる雲の上の様子。
    並んだ天界の使者達、歌う。

     “我々 生きてる時には
      会えない 天界の者
      あの世で 迷わない為
      導く天使達

      光 射す道の向こう
      差し出す 手を道しるべとし
      招く天の国へ
      手を取り指し示す
      光の道を
      前には 永遠に続く      コーラス“見える 先に 続く”
      幸せがある”

    ピット、歌う。

     “私 天界の使い
      天と地上の往復
      毎日どんな時も指令所片手に持ち
      人を迎えに行くのが
      私達の仕事なの
      準備は整った後は行くだけ
      いつでも地上へ         コーラス“迎えに行く
      降り立ち 手を差し出すわ        そっと
      いつも 側に                 あなたのことを
                               導く
                               私達に
                               ついてくればいい
      信じて”                    道しるべ”

    天界の女神(母)、天界の使者(子)達へ、それぞれ
    紙を渡す。天界の女神、歌う。

     “子どもよ そろそろ時間よ
      手渡す指令所のとおり
      今日も人間が迷わないお手伝いを”

    天界の使者達、歌う。

     “これが 我々の仕事
      人を 最後の審判
      受ける為
      天界の裁判所へ連れて”    ピット“行くこと”

 ピット「(紙を見て。)ジェシー・ブラウン・・・」


 
                      ※2


    紗幕、閉まる。

   ――――― 第 1 場 ――――― A







    紗幕前。
    音楽流れ、上手よりスーツ姿の一人の青年(ジェシー)、
    息を切らせ、走り登場。
    その時、携帯電話のベルが鳴る。
    ジェシー、慌てて背広やズボンのポケットを探し、
    携帯電話を取り出し出る。

 ジェシー「はい!はい・・・はい、いつも弟がお世話になります。え?
      はい・・・はい、それで弟は?はい・・・そうですか・・・ご迷惑
      をお掛けします。はい・・・分かりました。直ぐに病院代は
      振込みます。だから、弟を・・・フレディのことを宜しくお願い
      します。(携帯電話を切る。“ピッ”)はぁ・・・(腕時計を見る。
      )あっ!!いっけね、もうこんな時間だ!!新しいプロジェ
      クトの準備に追われて、つい時間を忘れてしまってた!!
      折角、今夜は密かにずっと憧れてた社内のマドンナ、ドナ
      との初めてのデートだったってのに・・・!あぁあ、もうこん
      な時間じゃないか・・・。彼女、怒って帰っちまっただろうな
      ぁ・・・ついてないぜ全く・・・」

    ジェシー、歌う。(途中、紗幕開く。と、ベンチのある公演。)

     “毎日 仕事に 明け暮れて
     恋する 暇さえ 今の俺には皆無
     忙し過ぎる 日々が          コーラス“毎日が
     虚しく過ぎてく 今も                乾いた日々”
     時間も 余裕も 何もない
     あるのは疲れた
     心と体だけだ              ジェシー“時間さえ
     ただ生きる日々 今は              無駄に過ぎる”
     一人で静かに眠りたい” 

 ジェシー「あ・・・れ・・・?何だかめまいが・・・(横のベンチへ腰を
      下ろす。)ここんとこ、残業続きで寝不足だったからな・・・
      ふあぁ・・・(あくびをする。)眠・・・い・・・グー・・・(ベンチに
      ゴロンと横になる。)」



                      ※3



    音楽変わり、下手より片手に大きな時計、もう片方の手に
    指令書を持ち、ピット登場。周りをキョロキョロ見回しながら、
    何かを探している様子。




                       


 ピット「あー・・・一体どこにいるのかしら、ジェシー・ブラウン・・・」

 天界の女神の声「いいですか、ピット。あなたは直ぐに自分の仕事
            を忘れて、色々なことに惑わされるところがあり
            ます。十分にそのことを心しておきなさい。」

 ピット「はい、お母様!」

 天界の女神の声「(溜め息を吐いて。)あなたはお返事だけは誰
            よりも素晴らしいのだけれど・・・」

    ピット、歌う。

    “どこに いるの 捜してる人
    多分 ここに いる筈なのに
    見つからない
    早くしないと そろそろ時間
    いたわ そこよ あの人
    捜していた人よ
    そこにいたの
    捜したのよ 心配した        コーラス“早くなさい
                                時間がきた
                                急いで仕事して”
    目を覚まして 行きましょう
    起きなさい時間よ”

    時計のベルが鳴り響く。(ジリリリリリー!)

 ジェシー「わぁ・・・わあーっ!!(飛び起きる。)」
 ピット「時間よ!!」
 ジェシー「え・・・な・・・なんだ!?」
 ピット「さぁ、行くわよジェシー!(ジェシーの手を引っ張る。)」
 ジェシー「・・・え・・・い・・・行くってどこへ!?」
 ピット「何とぼけてるのよ!!天界の裁判所に決まってるでしょ?」
 ジェシー「裁判所・・・?裁判所って・・・おまえ・・・!!それに、お
      まえは一体誰なんだよ!!」
 ピット「私?私はピット!あなたを迎えに来た、天界の使者よ!」
 ジェシー「天界の使者だって・・・?」
 ピット「そうよ!」
 ジェシー「迎えに来た・・・?」
 ピット「ええ!!」
 ジェシー「迎えって何だよ。どこ行くってんだよ!」
 ピット「何言ってるの?あなた死んだから、天国へ行くか地獄へ
    行くか、その裁きを受ける為に天界の大魔王様のところへ
    行くんじゃない。」
 ジェシー「し・・・死んだ!?」

    音楽流れる。

 ピット「そうよ!ほら!(上手方を指差すと、そこに倒れた一人の
    青年、周りには人々、騒いでいる。)」
 ジェシー「え・・・えーっ!!」




    


    ピット、歌う。

    “ほら見て あそこに倒れてるのは
    他の誰でもない
    あなたなのだから”

    ジェシー、歌う。

    “頭で 理解をするのは難しい”

    ピット、歌う。

    “いいえ 大丈夫よ
    見れば分かるでしょう?”

    ジェシー、歌う。

    “今の今までここにいた
    血の通った人間として
    それが突然なぜ・・・”

 ジェシー「ちょ・・・ちょっと待ってくれよ!!俺はまだ死んでなんて
      ・・・」
 ピット「そう?」

    ピット、歌う。

    “行くわよ 時間よ 誰もが行くの
    生まれ変わる為に
    天界の国へ” 

 ジェシー「生まれ変わる!?駄目だ!!ちょ・・・ちょっと待ってくれ
      よ!!俺にはまだまだ遣り残したことがあるんだ。今はま
      だ死ねないんだよ!!」
 ピット「何?その遣り残したことって。」
 ジェシー「新しいプロジェクトの責任者を任されて・・・」
 ピット「あら、新しいプロジェクトの責任者なんて、あなたでなくても
    他に誰かがやってくれるわよ。」
 ジェシー「そんな筈ないだろ!あのプロジェクトは俺が長年考えて
      温めてきた企画で、そうやくそれが皆に認められ、やっと
      大金を・・・」
 ピット「じゃあ見てみる?」
 ジェシー「え・・・?」

    ピット、ポケットから杖を取り出し、一振りする。と、
    上手後方スポットに、ジェシーの勤める社内の様子。
    部長と社員(ジョニー・ブラウニー)浮かび上がる。







 部長「しかし、ブラウン君は残念なことになったものだ。弟の目の
    治療費の為に、随分と頑張っていたのに・・・」
 社員「はい、全く。それに今度彼が企画した新しいプロジェクトが、
    軌道に乗ったところで・・・」
 部長「まあ、だからと言って、この企画を頓挫させる訳にもいくま
    い。それに、こう言ってはなんだが・・・プロジェクトチームの
    責任者は、彼でなくても大丈夫だろう。」
 社員「部長・・・」
 部長「ブラウニー君、ブラウン君に代わってこのプロジェクトの責
    任者を君に任せることにしよう。」
 社員「部長!!」
 部長「頼んだよ。」
 社員「はい!!」

    後方スポット、フェード・アウト。

 ジェシー「・・・部長・・・!!」
 ピット「ねぇ?」
 ジェシー「・・・仕方ないさ・・・俺だって、もし同じ立場になれば・・・
      折角の企画を駄目にしちまうより・・・誰か他に適任者を
      ・・・」
 ピット「そう?」
 ジェシー「・・・ああ・・・」
 ピット「じゃあ、もう心残りはないわね?そろそろ天界の裁判所へ
    行かないと、判決を受ける順番が最後になっちゃうわ!さぁ、
    行きましょう!(ジェシーの手を引っ張る。)」
 ジェシー「まっ・・・待ってくれよ!!」
 ピット「何よ!」
 ジェシー「まだあるんだ、俺には心残りが・・・」
 ピット「まぁ!あなた一体いくつの心残りを持ってるって言うの?」
 ジェシー「そりゃそうだろ!?俺はついさっきまで、普通の生活を
      して普通に人生を謳歌してたんだ!それをいきなり訳も
      分からず、死んだから天界へ行くんだ!なんて言われた
      って・・・」
 ピット「でも普通の人は皆、そんな自分の境遇を疑いもせず、すん
    なりと受け入れて、黄泉の国へ旅立つのよ。」
 ジェシー「俺は違うんだ!」
 ピット「(溜め息を吐く。)それで?何かしら、その2つ目の心残り
    は・・・」
 ジェシー「あ・・・ああ・・・」








     ――――― “あの空の向こう” 2へつづく ―――――



   










  ※ とーっても見えにくいですが・・・スモーク流れています。

  ※2 右端がピットちゃんです。このお人形のドレス、フレアが
     沢山あるうえに、後側がマントのように長くなっている為、
     ものすごーく重たいのです。
     (ビデオからの写真なので、見にくくてすみません。)

  ※3 このベンチ、団員のお父様手製の本物です。
     とっても可愛いベンチです。

  

― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ― ♪ ―