りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“ライアン” ―全8場― 3

2012年08月26日 19時40分34秒 | 未発表脚本

   警官1、ブローチを受け取り、隣にいた

          警官2へ手渡す。と、警官2、そのブローチ

          を見て警官1に向かって頷く。

 

  警官1「矢張りそうか・・・」

  ジェシカ「一体何ですの?」

  警官1「あなたを昨夜の宝石店強盗の容疑者として、署へ連行します

      。」

  ジェシカ「え?」

  ライアン「連行!?」

  ジェシカ「ま・・・待って下さい!!如何して私が・・」

  警官2「このブローチは、宝石店で昨夜盗まれたものと同じ・・・。」

  ジェシカ「まさか・・・」

  警官1「ここ数カ月、同一犯と思われる強盗事件の犯人の足取りを

      追っていたところ、その盗まれたものが一部・・・毎回少量で

      はあるのですが、同じ所へ流れていることが分かったのです

      。」

  ジェシカ「・・・同じ所・・・?」

  警官1「そう、ここあなたの所へね!!」

  ジェシカ「・・・嘘・・・」

  警官1「警察までご同行願います。」

  ジェシカ「待って下さい!!」

 

          警官2人、ジェシカの腕を掴み、下手方へ

          無理矢理連れて行こうとする。

 

  ライアン「お巡りさん!!ばあちゃんは犯人なんかじゃない!!」

  ジェシカ「(一瞬、怪訝な表情でライアンを見るが、何か少し感ずいた

       ように。)ライアン!!ジャックのことをお願い!!私が戻る

       までその子を・・・!!」

  ライアン「え・・・え・・・!?僕・・・!!でも・・・!!」

  ジェシカ「ジャック・・・!!ジャックーッ!!」

 

          ジェシカ、警官に引っ張られるように、下手へ

          去る。

 

  ライアン「ばあちゃーん!!」

  ジャック「うぇーん・・・!!(泣く。)」

  ライアン「あ・・・え・・・!?よしよし・・・(あやす。)おい、泣くなよ・・・!!

       嘘だろ・・・!!ばあちゃーん!!早く帰って来てくれよーっ!!

       よしよし・・・高い高ーい!!(泣いていたジャック、笑い出す。)

       高い高-い!!ばあちゃーん!!」

 

          ライアンの叫び声残して、紗幕閉まる。

 

     ――――― 第 4 場 ――――― 

 

          紗幕前。音楽流れ、下手より泥棒達登場。歌う。

 

          “俺たちゃ泥棒

          この町のお宝全て

          頂戴するぜ

          俺たちゃ泥棒

          目を付けた金品財宝

          必ず手に入れてやる”

 

  男1「今度は町の大富豪に目を付けてあるんだ!」

  男2「へえ・・・」

  マイク「・・・俺・・・」

  男1「ん?」

  マイク「そろそろ、この泥棒稼業も潮時なんじゃないか・・・?」

  男1「何言ってんだ!!」

  男2「マイクは、この間のヘマで、少しばかし怖気付いてんのさ。」

  マイク「俺は・・・」

  男1「マイク!今度はドジ踏むなよ!この間みたいに警官に見つかっ

     て、怪我を・・・あ?おまえ、そう言や、怪我如何したんだよ・・・。

     腕を撃たれたんだよな?確か・・・」

  マイク「え・・・あ・・・ああ・・・それが・・・か・・・勘違いしてたんだ!!」

  男3「勘違い・・・?」

  マイク「腕を撃たれたと思って、大騒ぎしたけど、掠っただけだったん

      だ。」

  男2「掠っただけ・・・?」

  男3「なあんだ、そうだったのか。」

  マイク「ああ、悪い・・・!大騒ぎして・・・。」

  男1「ふうん・・・。まあいいや、今度はあんな大騒ぎするなよ。」

  マイク「あ・・・ああ。」

 

          マイク残して泥棒達、上手へ去る。

     ――――― 第 5 場 ――――― 

 

          紗幕開く。と、前場の風景。(マイク、ジェシカの

          家の前。)

          マイク、佇む。一瞬大風が吹き抜ける。(“ビューン”)

 

  マイク「何だか風が強くなってきたな・・・」

 

          そこへ家の中からライアン、慌てた様子で登場。

 

  ライアン「じいちゃん!!」

  マイク「え・・・おまえ・・・何で、俺ン家に・・・?」

  ライアン「馬鹿野郎!!じいちゃん、今まで何やってんだよ!!」

  マイク「誰がおまえのじいちゃんなんだ、馬鹿!」

  ライアン「ばあちゃんが、警察に連れて行かれたんだ!!」

  マイク「え・・・?ばあちゃん・・・?」

  ライアン「じいちゃんの奥さんのジェシカだよ!!」

  マイク「おまえの話し、よく分かんねぇよ。それより人ン家でおまえは

      何やってんだよ!ジェシカは?」

  ライアン「あーっ!!もう!!だから!!ハリケーンの向かう先に、

       兄ちゃんの奥さんのジェシカが、警察に泥棒の容疑を掛け

       られて、連れて行かれたんだよ!!」

  マイク「泥棒の容疑って・・・」

  ライアン「兄ちゃんが昨夜、宝石店から盗んだブローチを付けてたか

       ら、犯人扱いされて連れて行かれたんだ!!」

  マイク「まさか・・・」

  ライアン「本当だよ!!ハリケーンが今にも町の中心へ向かおうとし

       ている時に、何でそんな危ない場所に、ばあちゃん連れて行

       かせるんだ!!」

  マイク「そんなこと言ったって・・・」

  ライアン「早く、ばあちゃん助けに行くぞ!!」

  マイク「あ・・・ああ・・・!!そうだ、ジャック・・・」

  ライアン「大丈夫!!ひいじいちゃんなら、隣のおばさんに頼んだよ

       !!」

  マイク「え?ひいじいちゃんって・・・おまえ誰なんだよーっ!!」

 

          ライアン、マイクの手を取り、下手へ走り去る。

          紗幕閉まる。

 

     ――――― 第 6 場 ――――― A

 

          紗幕前。

          ハリケーンの大風が吹き荒れ、人々が逃げ惑う。

 

  人々「キャーッ!!」

     「わあーっ!!」

     「早く逃げろーっ!!」

     「ハリケーンが家屋を巻き上げながら、町の中心部へ向かって

     行くぞーっ!!」

     「わあーっ!!助けてーっ!!」

 

          (“ゴオーッ!!”)

          暫くの喧騒の後、静寂が辺りを包む。

 

     ――――― 第 6 場 ――――― B

 

          紗幕開く。と、嵐の過ぎ去った後の町の様子。

          その時、ジェシカの名前を呼ぶ声が聞こえる。

          

  声「ジェシカー!!」

  声「ばあちゃーん!!」

 

          そこへ、下手よりマイクとライアン、慌てて走り

          登場。回りを見回し、ジェシカを捜すように。

 

  マイク「ジェシカー!!」

  ライアン「ばあちゃーん!!」

  マイク「ジェシカー!!何処なんだーっ!!ジェシカーッ!!」

  ライアン「ばあちゃーん!!ばあちゃーん!!」

  マイク「・・・おい・・・おまえ、その“ばあちゃん”って何なんだよ、さっき

      から・・・。」

  ライアン「いいじゃない、そんなこと如何だって。」

  マイク「いいじゃないって・・・」

  ライアン「あ!!あそこを見て!!(後方、倒壊した家屋の方を指差

       して。)」

  マイク「え?」

  ライアン「ばあちゃん!!」

  マイク「ジェシカ!!」

 

          2人、その方へ駆け寄り、マイク家屋の後ろから

          ジェシカを抱き抱え、ゆっくり前へ。下へ下ろす。

 

  マイク「ジェシカ!!ジェシカ・・・!!」

  ライアン「ばあちゃん・・・間に合わなかったんだ・・・」

  マイク「ジェシカ・・・(ジェシカに伏せ、泣く。何かに気付いたように。)

      ・・・ジェシカ・・・?ジェシカ!!まだ生きてる・・・!!」

  ライアン「え・・・?」

  マイク「まだ息をしているぞ!!直ぐに病院へ連れて・・・」

  ライアン「待って!!」

  マイク「え?」

  ライアン「待って、じいちゃん!!ばあちゃんを僕に見せて!!」

  マイク「おまえ何言って・・・」

  ライアン「忘れたの!?僕、じいちゃんの怪我を治してあげたでしょ

       !!」

  マイク「あ・・・ああ・・・!!そうか・・・」

  ライアン「(ジェシカを見て。)・・・大丈夫だ!!まだ死んでない!!

       (ジェシカの体に触れ、暫く祈るように。)」

 

          その時、ジェシカ、ゆっくり目覚める。

 

  マイク「ジェシカ・・・」

  ジェシカ「マイク・・・?」

  マイク「ジェシカーッ!!(抱き締める。)」

 

          マイクとジェシカを微笑んで見詰めるライアン。

          暗転。

 

     ――――― 第 7 場 ―――――

 

          (紗幕前。)

          上手スポットにライアン、下手スポットにマイク

          浮かび上がる。

 

  マイク「おまえのお陰なんだろ・・・?ジェシカの命を救ってくれた・・・。」

  ライアン「僕はその為にここに来たんだ、だから・・・」

  マイク「その為・・・?」

  ライアン「うん。僕は未来のあなたの玄孫・・・。あなたは未来の僕の

       ひいひいお祖父さんにあたる人だよ・・・。」

  マイク「まさか・・・って驚いても、現実にあんな魔法使いみたいなこと

      を目の前で見せられちゃ・・・信じるなって言われても、信じるしか

      ないよな・・・。そうか・・・未来の俺の・・・。え・・・?でもどうやっ

      てここに・・・?」

  ライアン「100年以上先の未来には、タイムマシンだってあるんだ。」

  マイク「へえ・・・」

  ライアン「人間の寿命も、この世界とは比べ物にならないくらい長い

       んだ。だから僕の家には、150歳の元気なひいひいお祖父さ

       ん・・・あなたがいるんだよ。」

  マイク「150歳の・・・俺が?そうか・・・。長生きなんだな、俺・・・(笑う。

      )ジェシカは・・?」

  ライアン「お祖母さんのことは・・・僕は知らない・・・。」

  マイク「・・・知らない・・・?」

  ライアン「僕が生まれるずっと以前にもう・・・」

  マイク「ジェシカが・・・」

  ライアン「このハリケーンで本当は・・・おばあさんは亡くなる筈だった

       んだ・・・。」

  マイク「え・・・じゃあ・・・」

  ライアン「うん。だから僕はおじいさんに頼まれて、おばあさんを助け

       る為に未来から来たんだよ。」

 

          音楽流れ、ライアン歌う。

 

          “僕はあなたの命を受け

          遥か彼方からやって来た・・・

          大切な人 助ける為に

          まだ見たことのないその人が

          僕にとっても大切な

          未来につながる人だから・・・”

  

          マイク歌う。

 

          “何て言うこと・・・

          そんなことが

          未来には当たり前に起こるのか

          俺には全く考え及ばない

          ただ普通に生きてるだけで

          未来はどんどん変わって行くのか・・・”

 

  ライアン「うん!!」

  マイク「未来では、魔法まで使えるみたいだな・・・」

  ライアン「え?」

  マイク「おまえは・・・俺の傷を治し、そしてジェシカの命まで救ってく

      れた・・・。あんなことは、普通の人間じゃ、出来ないぞ。」

  ライアン「そうだね。」

  マイク「じゃあ・・・」

  ライアン「だって、僕のママは宇宙人だから。」

  マイク「う・・・宇宙人!?」

  ライアン「何、そんなに驚いてるの?そんなの、僕らの時代では当た

       り前だよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

      ――――― “ライアン”完結編へつづく ―――――

 

 

 

 

 

 

 

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