りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

゛アレクサンダーの秘密”—全5場―5

2018年12月02日 17時55分08秒 | 新作(人形劇用)


  



 老婆の声「止めるのじゃ、メリッサ!!」

 北の国の魔女「・・・誰?私をその天の国の名で呼ぶのは
        ・・・!!」

    下手より老婆登場。

 北の国の魔女「・・・アリッサ・・・」
 アレクサンダー「おばあさん!!」
 北の国の魔女「・・・おばあさん?」
 老婆「アレクサンダー、大丈夫かの?」
 アレクサンダー「うん!!僕は大丈夫だよ。」
 北の国の魔女「見た目は随分と変わられたけれど・・・(
        小声で。)やっと現れたわね!!私がどれ程
        、今まであなたが来るのを待ちわびていたか
        !!」
 老婆「知っておる・・・」
 北の国の魔女「じゃあ何故さっさとやってこなかったの!?
        私がこれ程まで首を長くして待っていたと言
        うのに。」
 老婆「おまえはわしをどうしようと言うのじゃ?」
 北の国の魔女「そんなこと決まっているでしょ!!目障りな
        の、あなたの存在が!!」
 老婆「だからじゃ。今はまだわしは命をおまえに差し出す
    訳にはいかんのじゃ。」
 北の国の魔女「そんなことは私の知ったことではないわ!!
        生まれてから今日まで、物心付くより以前
        に私は国を放り出され、たった一人で生きて
        いかなければならなかった私の気持ちを、
        あなたが分かるなんてこれっぽっちも思って
        ないの!!天の国の魔法使いとして守られた
        地位にぬくぬくとあぐらをかいて生きて来た
        あなたなんかにね!!」
 老婆「そうか・・・そうじゃな・・・そんなにも憎まれて
    おったのじゃ、命までも取る覚悟でわしのことを待ち
    続けておったとしても、なんの不思議でもあるまい
    な。じゃが、頼むメリッサ、もう少し、もう少しだけ
    時間をくれ。このやんちゃくれ王子が、せめて王子
    たるに相応しい風格を身に付け、王やお后が安心して
    王子に王位を任すことが出来るようになるまで・・・
    !!」
 アレクサンダー「おばあさん・・・」
 北の国の魔女「・・・そうねぇ・・・駄目よ!!今直ぐに
        ここで私の前に跪き、その首を差し出すが
        いい!!」
 アレクサンダー「おばあさん!!」
 北の国の魔女「・・・そうなのよねぇ・・・おばあさん・・・
        おばあさんなのよ、お姉様・・・。何故!?
        魔法界の住人は年をとらない・・・そうで
        なくて?」
 老婆「わしは魔法の国などと言うものとは全て縁を切り、
    そうしてこの人間界へとやって来たのじゃ。人間と
    なった者が、年をとるのは当たり前のことであろう
    。」
 北の国の魔女「魔法の国と縁を切った・・・?」
 老婆「ああ・・・」
 北の国の魔女「どうして・・・でも・・・何故お姉様まで
        天の国を出てしまわれたの!?あなたが天
        の国を出て行く意味が分からないわ!!」
 老婆「わしは・・・そなたの姉じゃ・・・。双子として生
    を受けたからには、二人共に天の国を引き継ぐのが
    道理じゃと思っとった・・・。」
 北の国の魔女「・・・お姉様・・・」
 老婆「のうメリッサ・・・そろそろ天の国へ戻ってみんか
    ?」
 北の国の魔女「え・・・?」
 老婆「二人共が天の国を捨て、跡取りがいなくなった訳じゃ
    ・・・。わしはまだこのイタズラなやんちゃ坊主が
    立派な王となる日まで、面倒を見て行かねばならん
    のじゃ・・・。だからそなたが天の国へ戻り、跡取り
    がいなくて先行きを不安視しておる天の国の人々を
    安心させてやってはくれんか?」
 北の国の魔女「お姉様・・・ふざけないで頂戴!!私はあの
        国から追い払われたのよ!!私から捨てた訳
        ではないわ!!そんな冷たい仕打ちをしてき
        た人々など、どうして私が安心なんて・・・
        !!」
 老婆「それは違うぞ、メリッサ・・・。天の国の人々は二人
    別々にしたことをとても悔いておったのじゃ。何も
    天の国の魔法使いが一人である必要はないと、おまえ
    を北の国の魔女に望まれるまま、北の国へやってから
    気付いたんじゃ・・・。」
 北の国の魔女「北の国の魔女に望まれるまま・・・?」
 老婆「そうじゃ・・・。跡取りのおらんかった北の国の魔女
    の口車に、まんまと乗せられ、おまえを手放したこと
    を天の国の魔法使い・・・我々の母は悔いておったぞ
    。」

    音楽流れ、老婆歌う。

    ゛辛い思いさせ 今まできたけど
     これから二人は第二の人生”   コーラス゛今”

    北の魔女、歌う。

    ゛私の思いは私だけのもの
     けれども分かってくれてた
     あなたを知らずに来たけど
     いつでもいたのね”

    老婆、歌う。

    ゛共にこの世に生まれ出て
     歩んだ道は違うけど
     今こうして再び会え
     あらたな未来始まる”

    北の国の魔女、歌う。

    ゛一人ぼっちだと思っていたけど
     ありがとう 私を包んでくれてた”

 北の国の魔女「お姉様ありがとう・・・私は先に、天の国へ
        帰ります・・・。」

    北の国の魔女、消える。

    — 第 5 場 —

    音楽流れ、日が差し込む。
    (城内、グレーから色彩鮮やかな様子へと変わる。)

 アレクサンダー「あ・・・!!石造が・・・!!」
 老婆「魔法が解けるぞ・・・」

    全ての石造が人へと変わる。
    (グリエルモ、老婆の側へ。)

 グリエルモ「チュー!チュー!」
 老婆「グリエルモ、偉かったの。」
 グリエルモ「チュー!」
 后「(大きく息を吐く。)・・・あなた・・・」
 王「(息を吐いて。)・・・后・・・」
 アレクサンダー「(ゆっくり王と后の側へ。)・・・父上
         ・・・母上・・・」
 后「・・・え?」
 王「(振り返り、アレクサンダーを認める。)・・・そなた
   は・・・」
 后「・・・アレクサンダー・・・」
 王「・・・はい・・・」
 后「まぁ、アレクサンダー!!何て立派に・・・!!(涙
   ぐむ。)」
 王「なんと・・・!!」
 老婆「王様・・・」
 王「(老婆を認め。)婆様!良くぞアレクサンダーをここ
   まで立派に・・・守ってくれたこと、礼を言うぞ・・・
   (涙声で。)」
 老婆「(首を振る。)」

    王、歌う。

    ゛大切な者を守ってくれた
     どれ程 感謝に溢れ
     巡り合えたろう”

 アレクサンダー「父上!!母上!!(駆け寄る。)」
 王、后「アレクサンダー!!」

    3人、抱き合う。
    老婆、グリエルモに魔法を掛けると、グリエルモ
    人間の姿へと変わる。
    曲変わる。

 王「さぁ、皆の者達!!王子と共に新しい国造りを始める
   ぞ!!」
 人々「はっ!!」
 アレクサンダー「父上!!」

    グリエルモ、アレクサンダーに駆け寄る。

 グリエルモ「アレクサンダー!!」
 アレクサンダー「グリエルモ?(老婆を見る。)」
 老婆「褒美じゃよ。」

    アレクサンダー、グリエルモ、嬉しそうに話し
    ながら一寸端へ。

 家臣3「王様、王子が立派に成長され、我が国はこの先、
     安泰ですな。」
 王「うむ。」

    アレクサンダー、老婆の背後からコソッとイタズラ
    をする。

 老婆「痛っ!!これっ!!何をするんじゃ、アレクサンダー
    !!」
 アレクサンダー「(笑う。)」
 老婆「やれやれ・・・体は立派に成長したが、中身は子ネ
    ズミのままじゃわ・・・。」
 后「アレクサンダーったら・・・」
 王「すまないな、婆様。」
 老婆「いえ、わしの育て方が悪かったんじゃ・・・。」
 アレクサンダー「おばあさんのお陰で今の僕がいるんだよ
         !!」
 老婆「王子・・・」
 アレクサンダー「ありがとう!!」

    アレクサンダー、歌う。

    ゛この大空の彼方に広がる
     夢と希望の未知なる世界
     どこまでも行く大切な者を
     守り育む未来”

 アレクサンダー「さよーならー!!」

    音楽、盛り上がり





      ————— 幕 —————
     








  次回からは11回公演の作品「シャーロットの翼」を
  ご覧頂こうと思います。
  お楽しみに(^^)v


  


































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