そこへバーナード入って来て、回りを
見回し誰かを捜しているように。
居ないことが分かると、一寸端へ寄って、
誰かを待っているように立っている。
フランク、バーナードを認めて駆け寄る。
ジュディ、続く。
ダイアナたちは話し込んでいる。
フランク「バーナードさん!!誰か待ってるんですか!?俺・・・?」
バーナード「馬鹿野郎。」
フランク「・・・な訳ないか。飲みに行きましょうよ!!明日は休みだ
し!!折角のフライデー・ナイト!!」
ジュディ「フランク!!(フランクの腕を抓る。)」
フランク「痛っ!!(振り返って。)何すんだよ!!」
バーナード「彼女を待たせちゃ駄目だな、フランク。」
フランク「こいつは単なる・・・」
ジュディ「単なる何!?」
フランク「あ・・・えっと・・・」
バーナード「さぁ、帰った帰った!!俺は今日は野暮用だ!!」
フランク「チェッ、仕方ないな・・・。今度、また飲みに連れて行って
下さいよ!!」
バーナード「分かった分かった。」
フランク「じゃあ、失礼します!」
フランク、ジュディと共に出て行く。
ダイアナたち、バーナードに気付き、
嬉しそうに近寄る。
ダイアナ「バーナードさん!!」
ジャッキー「どなたかと待ち合わせですか?」
バーナード「えっと・・・君たちは・・・?」
ダイアナ「シェイラと同じ課で働いています。」
バーナード「そう。シェイラはもう帰ったかな?」
フィービー「シェイラなら、まだ残って仕事してたと思いますけど・・・
。」
ハッティ「シェイラを待ってるんですか?」
バーナード「ああ。」
ダイアナ「けど!!別れたんじゃ・・・?」
バーナード「別れた?誰がそんなこと、言ったんだい?」
フィービー「誰って・・・うちの課の男子社員が、2人が喧嘩したとこ
ろを見たって騒いでたから・・・」
バーナード「ハハハ・・・あれは単なる痴話喧嘩に過ぎないんだよ。
参ったなぁ・・・」
ハッティ「なぁんだ・・・そうなんですか・・・」
フィービー「面白くないの!」
ジャッキー「フィービー!!」
フィービー「あ・・・」
ジャッキー「さぁ皆!!行きましょう!!じゃあバーナードさん、お
先に失礼します。」
フィービーハッティ其々「さよなら・・・」
バーナード、手を上げてそれに笑顔で答える。
ジャッキー、フィービー、ハッティ出て行く。
ダイアナだけ、少し遅れてバーナードを気に
しながら、不貞腐れた面持ちで出て行く。
バーナード、女子社員が全員出て行くのを
確かめてから、溜め息を吐き腕時計を見る。
そこへ、男子社員に囲まれたシェイラ、帰り
支度で出る。
スティーヴ「ねぇ、シェイラ!明日は休みなんだし、これからどこか
へ食事にでも行かないか?」
ジョー「抜け駆けはなしだぜ!!」
スティーヴ「なんだよ、おまえ!!邪魔なんだよ!!」
ビリー「シェイラ、僕とドライブでもどう?」
スティーヴ、ジョー、ビル「おい、ビリー!!」
シェイラ「(困ったように下を向いて。)あの・・・ごめんなさい・・・私
真っ直ぐ帰りますから・・・」
スティーヴ「どうして!?」
バーナード「(シェイラの前へ進み寄って。)シェイラ・・・」
シェイラ「(顔を上げ、驚く。)・・・バーナード・・・?」
バーナード「・・・話しがあるんだ・・・」
スティーヴ、ビル、ビリー、ジョー声を揃えて「えーっ!!」
バーナード「(4人に向かって。)悪いな。」
4人、ぶつぶつ言いながら、シェイラを
気にして出て行く。
スティーヴ「何だよ、あいつ!!シェイラのこと、振ったんじゃない
のかよ!!」
ビル「しっ!!聞こえるぜ、スティーヴ!!」
シェイラ「あの・・・」
バーナード「この間はごめん・・・行き成り酷いことをして・・・」
シェイラ「(首を振る。)私・・・私ね・・・私・・・鈍感だから、知らない
うちにあなたに酷いことをして、怒らせたんだと思ってた
の・・・。私が謝りたかった・・・ごめんなさい!」
バーナード「(思わず微笑んで、シェイラを抱き締めようと手を伸ば
そうとするが、握り拳を握り、止める。)・・・あの・・・さ
・・・日曜日のカーニバルは、誰かと行く予定かい?」
シェイラ「(首を振りながら。)いいえ・・・」
バーナード「よかった!じゃあ一緒に行こう。君がよければ・・・」
シェイラ「(バーナードを見上げて。)本当・・・?」
バーナード「ああ・・・」
シェイラ「本当に本当!?」
バーナード「勿論!」
シェイラ「嬉しいわ!!(思わず、バーナードに抱きつく。)」
バーナード「(抱き締めたいのを我慢するように。)・・・シェイラ・・・」
シェイラ「(ハッとして、バーナードから離れる。)あ・・・ごめんなさい
・・・すごく嬉しくて・・・」
バーナード「じゃあ日曜日の昼頃、迎えに行くから・・・」
シェイラ「ええ!楽しみにしてるわ!(暫くバーナードを見詰めるが、
不思議そうに。)・・・あの・・・まだ帰らないの・・・?」
バーナード「あ・・・ああ・・・今夜はこれから接待なんだ・・・」
シェイラ「そうなの・・・」
バーナード「送っていけないけど、気をつけてお帰り・・・」
シェイラ「私なら平気よ!バーナードの方こそ、あまり無理しないで
ね!じゃあ!(行きかけるが、途中で振り返り、微笑んで
バーナードに手を振る。)」
バーナード「(思わず手を上げて微笑む。)気をつけろよ!」
シェイラ、微笑んで頷き出て行く。
バーナード、上げた手を見詰めて、
遣り切れない表情でスポットに浮かび
上がる。
切ない思いを歌う。
“何故・・・
俺はここにいる・・・たった一人で・・・
何故・・・
おまえはいない・・・俺の側に・・・
ほんの少し手を差し伸べて
捜せば見つかるかも知れない
一番大切なものが・・・
何もかも夢であったなら・・・
2人が出会ったその時から・・・
もう一度・・・”
暗転。
――――― 第 14 場 ―――――
舞台上、一転して明るく賑やかなカーニバル。
人々、歌い踊り、活気に溢れている。
横で楽し気に見ている人々の中には、
プリンセス・コーポレーションの知った面々の
顔も見える。
音楽段々盛り上がり、高揚した雰囲気の中、
決めのポーズ。
観客、拍手喝采。
カーテン閉まる。
――――― 第 15 場 ―――――
カーテン前。
上手よりダイアナ出る。後ろからジェーン、
追い掛けるように出る。
ジェーン「ダイアナさん?」
ダイアナ「(振り返って、マジマジとジェーンを見る。)あんた、誰?」
ジェーン「アルバート専務の秘書、ジェーンです。」
ダイアナ「専務の秘書が何の用?私、早くカーニバルに行きたい
のに!」
ジェーン「専務から、あなたがこの間、専務に話されたことについ
て、もう少し詳しく聞いて来てくるように言われましたので
・・・」
ダイアナ「この間の話・・・?ああ、バーナードが6日の金曜日の夜
に、残っているのを見たって言うあれ?」
ジェーン「・・・ええ・・・」
ダイアナ「いやよ。私、急ぐんだから!それより専務は、バーナード
には私じゃなく、シェイラが見たんだって、ちゃんと言って
くれたのかしら?」
ジェーン「え・・・?」
ダイアナ「あの2人、一度は喧嘩したようだったから上手くいったと
思って安心してたら、今度はまたカーニバルに一緒に行く
って・・・一体どうなってんのかしら、あの2人!専務、まさ
か私が告げ口したって、バーナードにバラしたんじゃない
わよね!?」
ジェーン「じゃあ矢張り、あなたが2人を別れさせようと思って、専
務に告げ口をしたんですね・・・。しかもシェイラが言った
ことにして、バーナードに伝えさせた・・・」
ダイアナ「何!?あんた知ってたんじゃないの!?」
ジェーン「(ニヤリと笑って。)これでハッキリしました。」
ジェーン、片手を上げると、ボールデン
の部下の男たち数人、駆け付けて
ダイアナを取り囲む。
ダイアナ「何、一体!?」
ジェーン「一緒に来てもらいます、ダイアナ・バリー。」
ジェーン、男たちに目で合図すると、男たち
ダイアナを両側から捕まえるように、連れて
行く。
ダイアナ「いやよ!!放してよ!!何処へ連れて行く気!?誰か
ー!!(叫ぶ。)」
男たちに付いて、ジェーンも出て行く。
ダイアナの叫び声残して、暗転。
――――― 第 16 場 ―――――
カーテン開く。舞台上は港。
夕暮れ時、カーニバルの行われている
街中とは丸で別世界のように、静けさが
漂っている。
時折、船の警笛が響き渡る。
下手より、バーナード、シェイラの手を
引いて出る。
シェイラ「今日はすごく楽しかった・・・」
バーナード「そう・・・(沈んだ声で。)」
シェイラ「・・・バーナード?」
バーナード「(シェイラの方を向いて、手を離す。)シェイラ・・・(辛そ
うにシェイラを見詰め。)どうして・・・俺のことを会社に
告げ口するようなことをしたんだ・・・。もし君があの日、
俺のことに気付いていたとしても、知らないで通してく
れていたら、俺が上手く抑えてみせたんだ・・・。」
シェイラ「・・・バーナード・・・?あの日・・・って・・・?」
バーナード「いつまで知らばっくれるつもりだ・・・」
シェイラ「(訳が分からず。)・・・知らばっくれるって・・・?」
バーナード「(呆れたように。)6日の金曜日のことで、君もアルバ
ート専務に呼ばれただろう?それで、その時に俺を見
たことを奴らに言った・・・」
シェイラ「(首を強く振って。)いいえ・・・私、最近専務に呼ばれたこ
となんてないわ・・・本当よ!以前はよく失敗して、呼びつけ
られて叱られたけど・・・最近は、失敗する程、課長に仕事
を回してもらえなかったし・・・」
バーナード「・・・冗談だろ・・・?」
シェイラ「6日の夜も、社内で誰に会ったかなんて本当に知らない
わ。会った相手は屹度、私のことを礼儀の知らない、呆れ
た奴だと思ってるでしょうね・・・。眼鏡なしじゃ1メートルも
離れると、顔なんて全く分からないんですもの・・・。バーナ
ードはあの日、私のことを見かけたの・・・?」
バーナード「・・・シェイラ・・・」
そこへジェーン、ボールデンの部下に捕まえ
られたダイアナ出る。
ジェーン「バーナードさん、彼女の言ったことは本当ですわ。専務
に告げ口したのはダイアナです。(振り返ってダイアナの
方を見る。)」
バーナード「何だって・・・!?」
ジェーン「ダイアナが専務に頼んで、シェイラが告げ口したと、あ
なたに吹き込ませたのです。」
ダイアナ「それがどうしたのよ!!いい加減、放してよ!!(暴れ
る。)」
バーナード「じゃあ、シェイラは・・・」
ジェーン「彼女はあなたを陥れるようなことをする人ではありませ
んわ。それはあなたが一番よく分かっていたことだと思い
ましたけど・・・」
シェイラ「・・・(涙を浮かべて。)よく・・・分からないけれど・・・あの
日、私が社内に残っていたことで、何かあなたに大変な
迷惑をかけたのね・・・。ごめんなさい・・・」
バーナード「謝るのは俺の方だ!!シェイラ!!何て俺は馬鹿
だったんだ!!」
その時、上手よりボールデン、ジャック、
ボールデンの部下たち出る。
――――― “バーナード”完結編へつづく ―――――
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