りとるぱいんわーるど

ミュージカル人形劇団“リトルパイン”の脚本の数々です。

“エドワード” ―全12場― 3

2013年02月21日 19時49分17秒 | 未発表脚本



  エドワード「(ナナに気付き。)ナナ?どうしたんだ、こんなとこに
         ・・・」
  ナナ「私・・・私を助けようとして亡くなった、お姉ちゃんにこのお
     花を渡したくて・・・」
  エドワード「そうか・・・でもナナ!!ビックニュースだ!!彼女な
         ら、ほら・・・!!(ローラを指差す。)」
  ナナ「・・・お姉ちゃん・・・!?お姉ちゃん、生きてたの!?」
  エドワード「そうなんだ!!」
  ナナ「でもあの時、沢山血が出て・・・」
  マーク「(思わず強い口調で。)兎に角、生きてるんだ!!」
  エドワード「・・・マーク・・・?」
  マーク「・・・あ・・・すまない・・・」
  ナナ「でもよかった!!私・・・お姉ちゃんが私の為に死んだな
     んて悲しくて、眠れなかったの・・・!!・・・あ・・・でも折角
     持って来たお花が・・・(ローラの前へ。)お姉ちゃんにあげ
     る!!私を助けてくれたお礼に!!(花を差し出す。)」
  ローラ「(花を受け取る。)・・・ありがとう・・・(受け取った花束を
      下に放し、足で踏み付ける。)」
  ナナ「・・・お姉ちゃん・・・?」
  エドワード「・・・ローラ!?」
  ローラ「私、花は嫌い・・・」
  ナナ「酷いわ!(泣き出す。)」

         ローラ、ナナの様子を見て、一瞬ニヤリと
         微笑む。

  エドワード「ローラ!!なんてことをするんだ!!」
  ローラ「(ハッとしたように。)あ・・・ご・・・ごめんなさい!!(慌て
      て花束を拾う。)ごめんね、ナナ!!折角、私の為に持っ
      て来てくれた花束・・・」
  エドワード「・・・どうしたんだ、ローラ・・・?」
  ローラ「・・・分からないの・・・なんだか急に・・・頭がボーッとして
      ・・・」
  マーク「・・・ローラ・・・」

         音楽流れローラ、スポットに浮かび上がる。 

  ローラ「・・・どうしたのかしら・・・私・・・丸で自分の中に、全く違う
      もう一人の自分がいるようで・・・自分の思いとは裏腹に
      ・・・何もかも目茶苦茶にしたくなるような・・・。泣いている
      ナナを見て、嬉しくなるなんて・・・。何だか自分自身が怖
      い・・・」

         上手スポットに、ローラの話しを聞いて
         いたようにデビル、浮かび上がる。
         ローラ、歌う。
         デビル、呼応するように歌う。

      ローラ“何かが変わり始めた・・・”

      デビル“何も変わりはないさ・・・”

      ローラ“昨日と今日では全く違う
          私に思える・・・
          何が変わったのかしら・・・”

      デビル“何もかも同じさ・・・”

      ローラ“分からないわ・・・
          同じものを見て感じる心が
          ただ・・・違う・・・”

      デビル“同じさ・・・
          昨日も今日も変わらない・・・”

      ローラ“自分の心が・・・怖いの・・・”

  デビル「・・・違うのはただ一つ・・・おまえは死んだ人間だと言う
      ことだけさ・・・(笑う。)」

         ローラ、冷たい瞳で遠くを見遣り、
         フェード・アウト。    

    ――――― 第 8 場 ――――― A

         カーテン前。
         上手よりマーク登場。深刻な面持ちで
         立ち尽くす。一時置いて、下手より
         エドワード登場。マークを認め、近寄る。

  エドワード「マーク!話しってなんだよ・・・。また何か説教か?(
         笑う。)」
  マーク「・・・エドワード・・・」
  エドワード「ん?」
  マーク「・・・僕の話しを真面目に聞くか・・・?」
  エドワード「聞くか・・・って、おまえ普通こう言う場合、“聞いてく
         れるか”って言わないか?・・・まぁいいけど・・・おまえ
         の話しはいつも“真面目な話し”だから、改まって真
         面目に聞けと言われなくても、真面目な話ししか出
         来ないだろ?(笑う。)・・・何だよ・・・?」
  マーク「・・・昨日のローラの様子・・・」
  エドワード「・・・ローラの様子?」
  マーク「・・・花束を踏み付けた・・・」
  エドワード「ああ・・・頭がボーッとしたとかって・・・どうしたんだろ
         うな・・・。いつものあいつなら、喜んで受け取っただ
         ろうに・・・。病院でもう1回、調べてもらった方が・・・」
  マーク「いや・・・!」
  エドワード「・・・え?」
  マーク「それだけじゃない・・・あの後の彼女・・・今までの彼女じ
      ゃないんだ・・・いや・・・見た目は今までの彼女だが・・・や
      ることとか・・・言うことが・・・だから・・・」
  エドワード「何言ってんだよ・・・。ローラはローラさ!そりゃ、あの
         事件があったばかりで、少しショックが残っているよう
         ななところもあるけど・・・」
  マーク「違うんだ!!」
  エドワード「・・・違うって・・・何がだよ・・・」
  マーク「・・・僕は・・・とんでもないことをしてしまったかも知れな
      い・・・」
  エドワード「・・・とんでもないこと・・・?いつも冷静沈着で、俺と
         違って道を違えたことなど一度もないおまえがか・・・
         ?」
  マーク「・・・そうだ・・・」
  エドワード「(笑う。)・・・まさか・・・」
  マーク「・・・(神妙な面持ちで、一点を見詰めている。)」
  エドワード「(溜め息を吐いて。)・・・それで何やらかしたんだよ
         ・・・。その顔は、余程不味いことを仕出かしたんだな
         ?聞いてやるから話せよ。解決出来るかどうかは・・・
         安請け合いはやめとく・・・。(マークの思い詰めた表
         情を見て。)冗談だよ!(小声で。)全く・・・一体何や
         らかしたんだか・・・」
  マーク「・・・表通りの抜け道で・・・占いの老婆に出会ったんだ・・・
      」
  エドワード「・・・占い・・・?」
  マーク「・・・ああ・・・」
  エドワード「おまえ、占いなんかに興味あったのか?」
  マーク「僕だって興味なんてないさ!!だけど、僕の苦しみを・・・
      ローラがいなくなった悲しみから救い出してやると言われ
      てつい・・・その老婆の言葉に・・・耳を貸してしまったんだ
      ・・・」
  エドワード「・・・ローラがいなくなった悲しみ・・・?確かに事件の
         直ぐ後は、皆が悲しみに暮れていた・・・だけど、翌朝
         にはその悲しみは間違いだったと分かったじゃない
         か・・・!!」
  マーク「違うんだ・・・!!」
  エドワード「・・・違う・・・?」
  マーク「違うんだ・・・」
  エドワード「だから何が・・・?」
  マーク「あのローラは・・・僕らの知ってるローラじゃない・・・」
  エドワード「・・・え・・・?何、変なこと言って・・・ローラじゃないっ
         て・・・」
  マーク「ローラはあの事件の時・・・本当に死んだんだ・・・」
  エドワード「・・・死んだ・・・?でも・・・翌朝確かにローラは今まで
         と変わりなく元気に・・・」
  マーク「・・・だから!!その日、僕らが見たローラは命の花で生
      き返った、ただのローラの抜け殻だ!!」
  エドワード「・・・抜け殻・・・?」
  マーク「・・・そうだ・・・」
  エドワード「・・・冗談だろ・・・?」
  マーク「・・・こんなこと・・・冗談で話せるもんか・・・」
  エドワード「・・・まさか・・・そんな・・・」
  マーク「・・・本当の・・・話しだ・・・」
  エドワード「嘘だ・・・そんな・・・マーク!!何そんな馬鹿な話し
         ・・・一体誰が信じるもんか・・・(マークの真剣な顔を
         見て。)・・・本当・・・なのか・・・?」
  マーク「(ゆっくり頷く。)」
  エドワード「ばか・・・やろう・・・おまえは何てことをしたんだ!!
         (マークの服の胸元を掴む。)おまえのしたことは、神
         への冒涜だ!!ローラへの愛情でもなんでもない!
         !ただの・・・自分勝手な・・・独りよがりで自己満足な
         行いだ!!」
  マーク「・・・分かってる・・・」
  エドワード「何故ローラを・・・何故静かに眠らせてやらなかった
         んだ・・・何故・・・おまえは・・・」
  マーク「・・・すまない・・・」
  エドワード「俺に謝ったって・・・畜生・・・それで・・・ローラは・・・
         彼女はこのまま生き続けることが出来る・・・筈はない
         ようだな・・・」
  マーク「・・・え・・・?」
  エドワード「そのおまえの様子だと・・・ローラがその花のお陰で
         ・・・以前同様・・・あの事件は夢だったと思い生きて
         いけるなら・・・おまえは俺に、そのことを態々打ち明
         けたりしなかった筈だ・・・」
  マーク「・・・エド・・・」
  エドワード「・・・ローラの命の代償は何だ・・・」
  マーク「・・・それは・・・他の者の・・・命・・・」
  エドワード「・・・他の者の・・・命だと・・・?」
  マーク「老婆が言ったんだ!!世の中、突然いなくなっても困ら
      ない人間が大勢いる!!だからそいつらとローラの命を
      交換して・・・」
  エドワード「馬鹿野郎!!(思わずマークを殴る。)」
  マーク「あっ・・・!!(殴られた弾みで尻餅をつく。頬を押さえ。)
      」
  エドワード「おまえは・・・おまえは心底大馬鹿野郎だ!!そんな
         ・・・そんな・・・ローラが誰かの変わりに生き返ること
         が出来たとして・・・そんなことで本当に彼女が喜ぶ
         と思っているのか!!そんな風にたとえ命が助かっ
         たとして・・・誰かの為に犠牲になることを厭わない・・・
         あの時だって、ナナの変わりに自分の命を何の躊躇
         いもなく差し出すようなことを、平気でやって退けた
         彼女が・・・喜ぶと・・・喜ぶとおまえは本気で考えた
         のか!!」
  マーク「エド・・・すまない・・・(項垂れる。)」

         その時、ローラの声が聞こえる。

  ローラの声「嬉しいわ・・・」

  エドワード「・・・え・・・?(回りを見回す。)」
  マーク「・・・ローラ・・・?(顔を上げる。)」

    ――――― 第 8 場 ――――― B

         (カーテン開く。)
         夜の公演。
         中央に不敵な笑みを湛えたローラ立つ。

  エドワード「ローラ・・・」
  ローラ「・・・勿論嬉しいに決まってるじゃない・・・。それでどっち
      が死んでくれるのかしら・・・?」
  マーク「・・・え・・・?」
  ローラ「どちらかが私の為に、自分の命を犠牲にしてくれるんで
      しょう・・・?(微笑む。)」
  エドワード「・・・ローラ・・・」
  ローラ「花を咲かせ・・・私を生き返らせてくれたマークかしら・・・
      ?それとも身寄りがなく、いなくなっても誰も悲しむ者がい
      ないエド・・・?どとらでもいいのよ、私は・・・」
  エドワード「ローラ・・・君は・・・君は・・・」
  マーク「・・・ローラ・・・」
  ローラ「・・・エド・・・?(夢から覚めたように。)マークも・・・2人共
      どうしたの?こんなところで・・・(2人の様子を見て不思議
      そうに。)なぁに?2人揃って深刻な顔しちゃって・・・。喧嘩
      でもしたの?」
  マーク「・・・ローラ・・・君は・・・」
  ローラ「ええ・・・」
  エドワード「何ともないのか・・・?」
  ローラ「なによ!変な言い方。(笑う。)何ともないに決まってるじ
      ゃない!やっと仕事が終わって・・・あら・・・私・・・一体今
      まで・・・確か家へ帰ろうとして、署を出たところまでは覚え
      てるんだけど・・・なんだか最近変ね・・・私・・・時々、頭が
      ボーッとして・・・何だか自分が自分でないようで・・・」
  エドワード「ローラ・・・」
  マーク「・・・僕が家まで送るよ・・・もう暗くなってきたし・・・」
  ローラ「ありがとう・・・でも大丈夫よ!」
  エドワード「ローラ・・・今日はマークに送ってもらった方がいい・・・
         」
  ローラ「エド・・・そうね・・・じゃあそうする・・・」
  マーク「・・・行こうか・・・」
  ローラ「ええ・・・おやすみなさい、エド!」
  エドワード「・・・おやすみ・・・ローラ・・・」  
                  
         マーク、ローラをエスコートするように、
         2人下手へ去る。
         エドワード、暫く2人が出て行った方を
         見詰めている。
         音楽ながれ、エドワード歌う。

         “たとえば・・・命よりも大切な
         者を守る為だとしても・・・
         人の道に・・・背いていい筈は
         ないと思って生きて来た・・・
         だけど・・・
         愛しいその微笑みを前にすると・・・
         たとえ神への冒涜だとしても・・・
         犯した罪の重さに
         心が押し潰されそうになっても・・・
         おまえのとった行動が・・・
         今は理解できる・・・”

  エドワード「マーク・・・おまえがどんな思いでその花を手にした
         か・・・俺には分かる気がする・・・。けど・・・それを認
         めることは出来ないんだ・・・絶対に・・・。たとえ天地
         が引っ繰り返ろうと・・・人の生死を人の手で左右す
         ることなど・・・あってはならないんだ・・・決して・・・」

         エドワード、上手へ行こうとする。と、上手より
         一人の杖をついた老婆、頭の上からすっぽり
         頭巾を被り、曲がった腰に手をやりながら、
         ゆっくり登場。
         上手方より来たエドワードとぶつかり、蹌踉めく。

  老婆「おっとっと・・・」
  エドワード「あ!すみません、お婆さん!」
  老婆「いいや、何・・・わしの方こそ、前をちゃんと見とらんかった
     もんで、すまんの、青年・・・」
  エドワード「いえ・・・」
  老婆「・・・それじゃ・・・」
  エドワード「気をつけて・・・」

         老婆、ヨロヨロとゆっくり歩を進める。
         エドワード、老婆のことが気になる様子で
         立ち止まり、振り返り見詰める。

  エドワード「あの・・・お婆さん!(老婆へ駆け寄る。)」
  老婆「(立ち止まり。)なんじゃ・・・?」
  エドワード「あの・・・もしかしてあなたは・・・表通りの抜け道で、
         占いをしていたりしませんか・・・?」
  老婆「いかにも・・・わしは占い師じゃが・・・」
  エドワード「矢っ張り・・・」








     ――――― “エドワード”4へつづく ―――――










   

    2月18日(月)

    今日はこれから、新作の歌レッスンです(^O^)
    台詞練習はあっても、歌は毎回、メンバー其々の
    独学だった為、ある程度不味いところは目を瞑って
    きた部分があったのですが、今回は初めてレッスン
    して頂ける・・・と、言うことで、今までの不味い部分
    を克服するべく、頑張って参ります(^_^;)

    今日は、帰りが遅くなると思って、先に更新しに
    やって来ました(^-^)V

    それでは「いってきま~す♪」



                             どら。








   


















































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