あの、才媛と言われた妹が壊れた…。
幸い、これと言って病気らしい病気のない妹だから、ベッドに寝てるばかり…というわけにもいかないようだ。
始終、一人で病院中を動き回っているようで、看護師さんを悩ましているようだ。
体が元気なことは嬉しいのだが、それに比例するがごとく、頭のほうが…。
あの頭のいい妹が…と思うと、言葉が出ない。
「早く、マンションに戻りたい!」
「とても住める状態ではないので、片づけてからね!」
「・・・・」
「ゴミだらけだけれど、覚えてる~?」
「えっ! それって、誰かが汚したのよ! 私は、そんなことしてないもの…」
「それに、もう、一人では暮らしていけないでしょう~?
介助のある施設(ホーム)を探さなくては…」
「文京区にしてね!」
「お金はどこにあるの! 都心は高いのよ。 とても入れない…」
「・・・・」
若いころ、贅沢三昧だった妹だけれど、父の遺産もあるし、年金も高いし…、
よもや、無一文で姉に負担をかけるとは…。
それにしても、都心のホームのなんと豪華なことか…。
今の日本、お金さえあれば何でもできる。
なんか、哀しい国になってしまったな…。
明日は我が身。 私も、どうなるだろう…。