脚本家の橋田壽賀子さんは,9月18日に放送されるTBS系『橋田壽賀子ドラマ 渡る世間は鬼ばかり』3時間スペシャルの放送を前に,石井ふく子プロデューサーと会見を行いました。そこで,今春から放送され話題を呼んだ倉本聰脚本の『やすらぎの郷』(テレビ朝日)について「悔しいからみません! 私もああいうことやりたいのに、到底通りそうもないのに,倉本さんは通して,悔しいからみません」と嫉妬心をあらわにしました。
▼プロフェッショナル 2017年2月6日 170206 仕事の流儀 動画 倉本聰
テレビドラマ「やすらぎの郷」は,82歳の脚本家,倉本聴氏が,テレビ業界への叱咤と激励,愛を詰め込んだ作品ということです。
昼の12時半スタートにもかかわらず,視聴率が8%を超え,テレビ界の常識破りのまさかのヒットとなりました。団塊の世代を取り込んだことがヒットの要因でした。
石坂浩二を中心に浅丘ルリ子,加賀まりこと元妻,元カノの共演。3人はすでに70代になるが,80代の八千草薫、有馬稲子ら錚々たる女優も出演した。
このように,浅丘を筆頭に個性豊かな女優陣が揃ったのも倉本聰氏の人脈でありましょう。倉本氏は「出たい」と思う脚本家の代表格ということです。
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┗■ やすらぎの郷
やすらぎの郷--老人ホーム「やすらぎの郷」に入居した往年の大スターたちの「老い」の悲喜をあくまでもユーモラスに描いたテレビドラマ。
倉本聰氏が描く味わい深いストーリーと,86歳の八千草薫を筆頭に、85歳の有馬稲子、81歳の野際陽子、78歳のミッキー・カーチス、76歳の浅丘ルリ子・山本圭、75歳の石坂浩二と,ベテラン俳優たちのいぶし銀のような演技が心に染みるドラマとして人気を呼びました。
●やすらぎの郷キャスト・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
菊村栄:石坂浩二
白川冴子:浅丘ルリ子
及川しのぶ:有馬稲子
水谷マヤ:加賀まりこ
三井路子:五月みどり
井深凉子:野際陽子
高井秀次:藤竜也
真野六郎:ミッキー・カーチス
九条節子:八千草薫
岩倉正臣:山本圭
松岡伸子:常盤貴子
財前ゆかり:松岡茉優
名倉みどり:草刈民代
菊村律子:風吹ジュン
名倉修平:名高達男
>>>タブー無視のキャスティング役
「八千草薫と加賀は川端康成の寵愛をめぐってライバル関係にあったということです。そんな八千草の宝塚の後輩である有馬稲子は市川崑と思しき映画監督との不倫を日経新聞の『私の履歴書』で告白しています。一方,石坂と浅丘は市川チルドレン……昔だったら共演NGな組み合わせばかりだが,時がすべてを水に流したということでしょう。
>>>タブー無視の脚本
。老人ホームを舞台にしたドラマは芸能界の側面を見るようなセリフもあり,売れる女性誌の鉄則「おや? まあ~ へえー!」が随所にちりばめられていました。加齢をネタにしたブラックジョークやテレビ業界批判など,大御所である倉本だからこそ書ける,際どいセリフ回しが随所にありました。
【「テレビを今のようなくだらないものにしたのは,テレビ局そのものだからさ」】(第2話より)
【「一時週刊誌に死亡説が流れたりして。あっ……いや,一部の,最低の週刊誌で」】(第28話)
菊村は藤竜也(75)演じる高井秀次にこう語りかけています。もちろん死亡説が流れたことのある高倉健さんがモデル。倉本氏は健さんとも親交があったということです。
【「我々の著作物は,昭和48,9年以前のものは,まったくないんです! もう捨てられてしまったんです。これは大きな犯罪です! まったく許せないテレビ業界の所業です」】(第40話より)
【「先生ぇ,紫綬褒章までお取りになってんのに,それくらいの想像力が湧かないの?」】(第7話より)
菊村が処女を失った女の気持ちを問われ,わからないと答えると,五月みどり(77)演じるベテラン女優がピシャリ。倉本氏は紫綬褒章の受章者。演じる石坂を揶揄する場面もあります。
【「だって,テレビでなんとか鑑定教室でゲストに出てらしたでしょ」「いや,あれは知ったかぶりしてただけですから」】(第10話より)
◆舞台となる「やすらぎの郷La Stradaaa」のロケ地は,川奈ホテル
川奈ホテルは,1936年に開業して以来の老舗ホテルで格式あるホテルです。かつて,マリリンモンローやジョー・ディマジオが新婚旅行で訪れています。
川奈ホテル
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やすらぎの郷 中 第46話〜第90話 [ 倉本 聰 ] |
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