いい加減に生きることを許されない現代、一度だけの人生を自分らしく創ってゆくためには、どうすればよいのか?
![]() |
良い加減に生きる 歌いながら考える深層心理 (講談社現代新書) |
人間や自然のいい加減さのために、私たちは失敗し、真切られ、
|
|
講談社発行 きたやま おさむ,前田 重治著 972円 |
作詞家でもあり、精神科医でもある、きたやまおさむ氏と、 精神分析の世界の重鎮である前田重治氏が、 精神分析というガイドを手に、人生物語を紡ぎ出す、遊びと創造に満ちた交流の旅。
▼
・・・・・・・中途半端に p230~p240-『良い加減に生きる 歌いながら考える深層心理』
きたやま 私の作品は、論文も歌も完成度が低いと思います。おそらく洗練される直前に、磨きをかけるところで置こうとするところがあります。ノリとか弾みとかを大事にしたいのでしょう。そこで、高級文化に対する低級文化やポップスの躍動感を保存したいのでしょう。私の特徴の一つでしょうが、「極めないでやめる」というクセがあり、人から、どうして極めないのかと言われます。細かいところに手を入れるのは目が疲れますし、ひとつ手前でやめてしまうのです。
前田 私、思うのだけど、あなたが中途半端とか、未完成とか言っていること!これはアーティスト、というかクリエイターの感性ともいえるのではないですかね。先日読んでいた横尾忠則(よこおただのり)の日記のなかに出ていました ー 「物事を完結することは、心を閉じることになる」というのです。自分の絵についてのことなのでしょうが。彼は、「白黒はっきりさせない生き方」 とかも言っていて、あなたのことを思い出しましたよ。
芸術や芸能の世界では、表現者は完成したという達成感はもたないようですね。自分で完成したとか、達成したとかいう満足感をもったら、そこで終わりになってしまうという心掛けなのでしょうね。そういう感性から、中途半端とか、未完成という言葉も出てきているように思うのですが。