九州新幹線の経済効果、2兆4,900億円 各地で期待高まる
新幹線は,その建設に莫大な資金を必要とする。だが、その開業が沿線地域にもたらされる経済効果は大きいとし,1964年の誕生から48年たった今も、新幹線への期待は高まるばかりである。九州新幹線の長崎(福岡・長崎間)ルートも、着々と工事が進んでいる。宮崎など沿線以外の地域への集客・経済効果の波及などの課題はあるものの、まずは順調な滑り出しとの見方が一般的である。 北海道,四国でも期待を込め新幹線が構想,計画が進んでいる。
--新幹線の経済効果に浮かれていて,いいのであろうか。私は,大いなる疑問を持つ。新幹線のプラス面にのみならず,マイナス面にも目を向けての分析に基づく,「経済効果の算定」が必要と考える。
▼「九州新幹線」の経済効果
全線開業から1年、「九州新幹線」の経済的な効果が相次いで発表された。JR九州によると、博多(福岡)・熊本(熊本)間の利用者は、新幹線未開通の前年比37%増の896万人。また熊本・鹿児島中央(鹿児島)間も前年比65%増の514万人となった。その結果、2011年度の交通費を除く九州全7県の観光消費推計額は、九州経済調査協会の調べで2兆4,900億円と、対前年比11%増である。
▼鹿児島県の経済効果
鹿児島銀行系列の鹿児島地域経済研究所は、新幹線開業で鹿児島県内にもたらされた経済効果は463億7,600万円と試算している。
また,斎藤参郎(さぶろう)福岡大学教授(都市計画学)の研究グループは,九州新幹線鹿児島ルートの全線開通で、鹿児島市の繁華街・天文館地区を核とする市中心部への一日当たりの来街者が、開通前と比べ推計で約25%増え、経済効果は約180億3850万円に上るとの見解を示している。
斎藤教授は、新幹線が発着する鹿児島中央駅周辺だけでなく天文館にも新幹線効果が表れたことに「遠方から訪れる観光客ほど、中央駅と天文館の距離は気にならないのではないか」と分析している。
--続く
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