九州・沖縄の上場116社,時価総額8.7%減 10年度末
九州・沖縄の上場企業116社の時価総額は2010年度(10年4月~11年3月),8.7%減少した。期末に起きた東日本大震災の影響で主力のエネルギーや金融関連が大きく下げたが,小売りや外食などの消費関連は業績が回復基調にあったことで震災の影響は小さく株価は上昇。一部の製造業も上がり,相場全体に比べ下落は小幅にとどまった。増加した会社は35社と全体の3割に上った。ただし,株式相場は業績悪化への懸念もあって,株価の先行きは不透明である。
昨年と株価比較が可能な116社の3月末時点の時価総額は合計で4兆67億円で前の期比8.7%減。同時期の日経平均の下落幅が12%だったの比べると落ち込みは小さかった。
押し原因は,時価総額の大きい電力やガスなどのエネルギー関連企業の下落。事業が景気に左右されにくく,安定的な収益を上げるため株価の上下は少ないが,前期末は震災や福島第1原発の事故の余波が大きかった。今後の安全対策への追加投資や燃料コストの上昇などを懸念した売りが出た。九州電力,西部ガス,沖縄電力はともに2割下げた。金融関連も震災後の相場全体の下落に伴う保有株式などの価値の目減りなどで下落した。
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時価総額の大幅下落を食い止めたのが小売り・流通関連の上昇。震災前の消費意欲の回復や経費節減効果で増益となる企業が多かったためだ。
ドラッグストアのコスモス薬品は高水準の新規出店や,既存店売上高が前年を上回って推移していることから業績の上ぶれ期待が高まった。株価は1年で72%上昇した。コカ・コーラウエストは物流の見直しやキューサイ買収による健康食品事業の拡大で営業利益が33%増える見通し。イオン九州もコスト削減で営業利益が前の期の6倍となり課株価が上がった。
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製造業の一部企業も新興国需要による業績の回復が見込まれ堅調だった。安川電機はアジア市場向けのインバーターなどの出荷が好調で,営業損益が黒字に転換することから株価は15%超上昇。TOTOも住宅リフォームの需要が復調し5%増となった。
放射線吸収材を製造する日本タングステンは,話題先行で株価が急伸した。
-----その他有力企業の動向-----
⇒西日本シティ銀,JBICと連携:西日本シティ銀行は国際協力銀行(JBIC)と連携して,地場企業への米ドル建て融資に乗り出す。JBICを通じてドルを調達することで,返済までの期間が3~5年と長期の資金を従来より低い金利で貸し出すことができる。西日本シティ銀は国際業務の強化に力を注いでおり,地場企業の海外展開支援へ向けて,JBICとの連携融資を活用する意向である。
⇒九州電力,販売電力4.9%増 :九州電力発が表した2010年度の販売電力量は前年度比4.9%増の874億7400万キロワット時と3年ぶりに前年を上回った。鉄鋼,化学,自動車など大口電力が6.4%増と伸び,猛暑と厳しい寒さで一般家庭も4.3%増だった。2011年度は微減を見込むが,東日本大震災の影響は織り込めていない。
10年度の販売電力量は07年度の880億8200万キロワット時以来,過去2番目の高水準だった。
⇒九州・沖縄の上場企業,8社が増益・黒字転換: 11年2月期決算によると,沖縄が地盤のスーパー,サンエーは増収増益と好調だった。純利益が前の期比13%増の56億円と過去最高になった。売上高が1435億円と5%増えた。
売り上げの過半を占める食料品が1%増と堅調だったほか,家電販売もエコポイント制度の効果で伸びた。2009年12月に51%出資したローソン沖縄(沖縄県浦添市)のフランチャイズ料の受け取り収入31億円も利益を押し上げた。
ただ,九州・沖縄の上場12社のうち9社は外食や小売り,サービスなど個人消費の影響を受けやすい業種に属す。特に小売業で減収増益が目立った。
ベスト電器は11年2月期中に不採算店舗を49店閉鎖。早期退職制度の導入や新卒採用の抑制で11年2月末時点の従業員数を前の期末に比べて16%削減し,約5千人とした。売上高に占める販管費の比率が19%と前の期より3ポイント改善し,4期ぶりに最終黒字を確保した。
井筒屋も10 年4月に230人超の人員を削減したほか,販促費や広告費の抑制を続けた。売上高は6%減だが営業利益は大幅に増え,最終損益で25億円の黒字を確保した。イオン九州は外部委託だった店舗設備の保守・管理などを内部に取り込むなどしてコストを抑え増益とした。
サービス業でもクリーニング店を展開するきょくとうも売上高は減ったが,不採算店舗の閉鎖で採算が改善した。
増収ながら最終減益だったのがプレナス。持ち帰り弁当店「ほっともっと」の既存店売上高が昨年11月から前年を上回ったことや,積極出店で4%増収だった。だが,08年に出店した店舗の減損処理で6億円の特別損失を計上し,純利益が17%減った。
▼時価総額
時価総額は企業の株価に発行済み株式数をかけたもので,株式市場での価値を表す。
《source:日本経済新聞 2011/4/6 》
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