経済産業省の「商業統計」によると,鹿児島県の小売業事業所数は82年の3.1万をピークに,04(平成16) 年には2.1万と約30%減。この間の減少率は全都道府県中9番目の高い水準にあります。
04 (平成16) 年商業販売統計(確報)によると,鹿児島県の卸売業及び小売業の事業所数は,26,158事業所(前回比▲2.6%),従業者数は,146,249人(同▲2.2%),年間商品販売額は,4兆2338億円(同▲2.3%)です。
こうした商業環境に加え,人口減少と高齢化が進む鹿児島県にあって,売上高が開業時1997年の売上高62億円から,08年170億円,09年の予想売上高280億円と,増収を続けるスーパー「AZ」に関心が集まっています。
いま,「AZ」の売り方が賞賛されていますが,同社の「取引先もお客様,地域とどう共存するか」の仕入れ姿勢は,学ぶべき点多であり,高く評価されるべきです。
▼「鹿児島の流通は10年遅れていた」
私は,食品業界のリーデング企業A社の社員から,「鹿児島のスーパーとは取引したくない。生協を応援したくらいだ」とのぼやきを聞いたことがあります。その理由は,「無理難題のおしつけ」にありました。過去,県内の有力小売業2社は,公正取引委員会からその取引姿勢に警告,改善を求められています。こうしたことから,流通業界では,「鹿児島の流通は10年遅れている」ともいわれていました。
◆関連記事
→ 株式会社ニシムタに対する排除措置命令について(公正取引委員会)
→ 平成10年度の九州管内における独占禁止法の運用状況等について
株式会社タイヨーに対する件(平成10年11月27日警告)
▼「WIN」&「WIN」の発想
創業以来,「AZ」の牧尾社長は「利は元にあり」とし,①取引先を大事にしなければならないと,②無理な値引きは要求しない,③バックマージンも報奨金も拒否といった取引指針を打ち出しています。
こうした姿勢は,当たり前といえばそれまでですが,流通後進性の鹿児島で「AZ」が仕入れ先との「WIN」&「WIN」の関係を打ち出した点は,まさに革新的です。
出典:オーナー牧尾英二氏の著書,利益第二主義―過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学
の「p167~p180」
▼地域の共存
「AZ」の地域との共存の姿勢は鹿児島市,霧島市との「地域貢献活動協定の締結」にも顕れています。
【この項続く-次回26日(木)書き込み予定】
◆関連ブログ
鹿児島 スーパー「A-Z」社の分析を通じての問題提起4 住みやすく暮らしやすい鹿児島づくり
鹿児島のスーパー「A-Z」社 3 ー 県経済界への貢献・功績 大
鹿児島県のスーパー「A-Z」社の事例分析を通じての問題提起 2
鹿児島県のスーパー「A-Z」社の事例分析を通じての問題提起1
鹿児島のスーパー「A-Z」社を通じての問題提起
◆関連HP
「マーケティング&マニュアル ゼミ」 http://www2s.biglobe.ne.jp/~kobayasi/
利益第二主義―過疎地の巨大スーパー「A-Z」の成功哲学牧尾 英二ダイヤモンド社このアイテムの詳細を見る |
基本 エリアマーケティング―地域対応の「売れるしくみ」づくり小林 隆一評言社このアイテムの詳細を見る |
ビジュアル 流通の基本 (日経文庫)小林 隆一日本経済新聞出版社このアイテムの詳細を見る |