【内密出産】国内初…匿名で出産した女性「育てられない」 熊本
赤ちゃんを産んだことを知られたくない…慈恵病院,「内密出産」に踏み切る
熊本市の慈恵病院は2月4日,「内密出産」を希望して同院で出産した女性の赤ちゃんが熊本市児童相談所に一時保護されたことを発表した。日本ではまだ法整備が進んでおらず,出生届や戸籍などの手続きはこれからだという。
慈恵病院で昨年末,西日本に住む10代の女性が周囲に身元を明かさないまま「内密出産」した。女性は名前などを病院の相談室長にだけ伝えて赤ちゃんを産み、わが子に宛てた手紙や自身の健康保険証と高校の学生証の写しを入れた封筒を病院に託して去った。
「ここで産めなかったら1人で産んで、捨てていたかもしれない」と女性は話したという。
▼ 法整備は進んでいない
だが一件落着とはいかない。内密出産の適法性は確定しておらず,法整備も進んでいない。
今後は母親の欄を空欄にした出生届の扱いと、赤ちゃんの戸籍をどのような法解釈で実施するかが当面する課題である。熊本市は慈恵病院が母親の欄を空欄で提出することを「公正証書原本不実記載罪(刑法157条)」に抵触するとの見解を示している。
父母の名前のない戸籍作成を法務省は「一般的には可能」としながらも,「証拠に基づき個別に判断されるべき」とするにとどる。
松野博一官房長官は4日の記者会見で「子供の『出自を知る権利』や、未成年の支援のあり方などの課題がある」と内密出産の制度化には否定的な考えを示した。そして,「妊娠に悩む女性が安心して相談できる窓口の整備や,特別養子縁組等の制度の周知など,支援の充実に努める」と付け加えた。
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┗■ 慈恵病院の(赤ちゃんポスト)
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慈恵病院は「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を2007年に開設し,事情があって子どもを育てられない親の「駆け込み寺」の役割を果たしてきた。受け入れた赤ちゃんは2021年3月までに159人である。
<「赤ちゃんポストブログ」のバックナンバー> --------------------
●日本初の「内密出産」 熊本市 赤ちゃんポストの慈恵病院 2022-02-04
●乳児遺棄事件が絶えない-自己負担なく出産できる支援体制を- 2020年11月29日
母親の乳児遺棄事件が絶えない。これに関連して,熊本で赤ちゃんポストを運営する慈恵病院の蓮田健院長は,「経済的な困窮と望まない妊娠は切り離せない。」と語っている。
こうした状況を鑑み,東京都港区は自己負担なく出産できるように出産助成金の限度額の引き上げを図る。
●赤ちゃんポスト,19年度は11人保護 -熊本市慈恵病院 2020-08-19
https://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/e0f028e7a4cee73419bf770e5c6bbe3c
●熊本・赤ちゃん「ゆりかご」に昨年度7人 2019-05-27
● 「赤ちゃんポスト」の熊本・慈恵病院,特別養子縁組あっせんも担う-- 2018年12月27日
https://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/3702970035faf6e2c23ad70d4e366a45
● 赤ちゃんポスト>赤ちゃんポスト,2016年度は5人 2017年05月27日
http://blog.goo.ne.jp/rk_kobayashi/e/780b41b80884734ee7c338a1eba651da
● 赤ちゃんポスト-昨年度13人が預けられた 2016年8月18日
●「赤ちゃんポスト」の社会的意義・1 2016年07月17日
●・大阪・NPO運営の赤ちゃんポストは,熊本・慈恵病院とは無関係 2015/11/13
● 熊本 ゆりかご死体遺棄事件で,有罪判決 2014-12-18
● 熊本・慈恵病院赤ちゃんポスト開設7年 受け入れの1割が障害児 2014-12-08
● 赤ちゃんポストに男児の遺体遺棄容疑で,母逮捕さる 2014-10-05
● 赤ちゃんポストに男児の遺体置かれる 2014-10-04
● 赤ちゃんポスト-匿名or実名論争 2014-09-28
● 熊本の赤ちゃんポスト-2013年度は9人が預けられた。 2014-07-25
● 明日ママ論争が終わって・ 2 慈恵病院 赤ちゃんポスト開設7年 2014-05-30
● 赤ちゃんポスト」の熊本・慈恵病院 「明日、ママがいない」は不適切と抗議 2014-01-18
● 慈恵病院(熊本市)の「赤ちゃんポスト」 昨年度は2番目に少ない9人 2013-05-31