「ねえ、名前なんて言うの?年いくつ?」
「私の名前は香織、年は秘密」
「僕は、哲也、19才だけど」
「それじゃぁ、私の一つ下だね」と微笑んだ。
「あっ年、わかっちゃったじゃん」
彼女は、子供みたいに、くすくす笑った。
「ところで、本当に僕のデザインでいいの、補償は出来ないけど」
哲也は確認をした。
「哲也のだったらいいよ、
気に入ったのできそうな気がするからさ手抜きしなそうだし」
正直この時「哲也」と、再会したばかりなのに、
すぐに、名前を呼び捨てに言われた事が嫌な気がした。
なれなれしい人なんだなって思っていた。
しかし、たいしたもんだバイトに顧客がついた。
哲也は、学校の授業中でも、家にいても、
バイトしていても、香織へのデザインしか頭になかった。
彼女をイメージしながら数日を過ごした。
何も浮かばない、どうでもいいから何十枚もデザインを描いた。
哲也は、香織の事は何にも知らなかった。
「香織って、ホステス?モデルだけ?何も知らないよな」
哲也は香織の事が、もっと知りたくなっていた。
ある雨の日、授業中に教室から外を眺めると、
そこには、白い傘をさした女性の姿があった。
哲也は、白い傘と香織の白いYシャツを重ね合わせていた。
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