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「 梗 概 」 恋愛小説 白いYシャツと青いTシャツ 第15話

2012-02-07 14:22:46 | 梗概/白いYシャツと青いTシャツ

哲也は、正直な生き方をしてはいなかった。

でも、正直な生き方をしていきたいと心のどこかで思っていた。

都会での生活には、いつも香織の面影を追い求めていた。

それは、自分で作り出してしまった、苦悩の日々である。

哲也は、結婚という形で、少しずつその苦しみから逃れていった。

妻は、哲也の苦しみを知り、その苦しみを少しずつ安らかにしていった。

それは、いつかもしかしたら、

離婚ということになることも考えていたのだろう。

そう考えることで、その思いを、妻自身の不安、苦しみとして、

哲也の思いを背負っていたのかもしれない。

いつも都会の空を見上げる、哲也と妻のかおりがいた。

妻のかおりは日に日に強くなっていく。

哲也にとっても、幸せな生活をおくることになる。

妻は晴れた日には、青い空だねと言っているが、

哲也には都会の空は灰色にしか見えなかった。

確かに、青い空、白い雲がゆっくりと動いていく。

しかし、空と雲は決して混ざりあうことは、

哲也には思えなかった。

時には、

都会を離れ、家族で、空気の澄んだ場所へ旅行する事もあった。

青と白が、はっきりと分かれている空を哲也は見上げると、

香織の事を思い出す。

香織に婚約者ができた頃、

なぜ、哲也と一緒に暮らそうとしたのだろうか。

すれ違う数ヶ月の生活の中で、何を考えていたのだろうか。

哲也は婚約者の彼と二人で会っていた。

彼女は、空を見上げるのが好きで、

雨の日を嫌がり、睡眠薬で、自殺未遂を繰り返していたという。

彼は、香織の全てを受け入れたいと思い、プロポーズをした。

そして、香織の全ての要求を結婚式までに、はたさせたいというのだ。


「香織の心を満たすのは君だったんだ」

彼は哲也に言った。


香織は、満たされぬ日々、

満たされぬ心をたった一人で苦しんでいたのだと思った。

婚約者の彼の職業は、精神科医であった。


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