Sho's-Blog/PoemStory/illust

MessagePoem/LoveStory/youngStory/SFfantasyStory/illust

特別版セイネンキゼロ3話

2017-05-12 16:14:45 | 特別版セイネンキゼロ


直也がボクシングを始める前は仲間達と共に『いじめ』には『いじめ』で『暴力』には『暴力』で立ち向かっていた。しかしそんな日々があったが何も解決する事がなく、むしろ悪化の糸をたどっていたように思えた。過去の『いじめ』で自殺には至らなかったが『登校拒否』や『引きこもり』をする生徒が増えていた。教師達と生徒の両親は連携をしながら対応していたが効果は薄いものであった。いじめをされている生徒は、いじめにあっている事を決して家族や教師、友達の誰かに話す事はしないからである。それだけでなく、いじめを見ても告発する生徒はいない。
自分も『いじめ』られる対象になりたくはないのだ。
このままでは『自殺』する生徒が出る可能性があると生徒の中では誰もが思っていた。しかし何も解決策がないままであった。ある時、直也は幼なじみの『=臼井和志(ウスイカズシ)=』と血まみれの喧嘩をした時があった。この事がきっかけとなり、『いじめ』や『暴力』には別の戦い方があるのだろうかと直也は考えていた。由子の言葉から直也は自ら抱く『怒りや憎しみ』そして『いじめや暴力』この2つの難題を解いていく為にボクシングを学び本当の強さを見つけ出そうと動き出していた。由子から勇気を与えられた直也の心の隙間は『目的(達成動機)』を心に抱くというもので埋まっていくのである。直也はボクシングジムへ通うようになると学校では仲間達と一緒にいるが以前の様な直也ではなく何かを秘めたような、もの静かなものだった。授業が終わると直也と由子は、すぐにジムに向かう。
直也のいない放課後は仲間達にとって寂しいものだったが『直也は必ず戻ってくる』と信じて直也とは違う道を歩き『いじめや暴力』に立ち向かっていた。由子の言葉によって直也の心の隙間が『目的』というもので埋められた日から3か月後アマチュアの試合があり直也はその試合に出場する事になった。スパーリングを観ていた会長とコーチは直也の持つ素質を見抜いていたのだ。そして直也と由子の間には無言の約束があった。それは『優勝』という2つの文字であった。優勝する事で何かが変わると直也と由子の2人だけは信じていた。
直也が『優勝』する為には『目的』に向かい揺るがない気持ちと、直也がどれだけ冷静に試合に臨む事ができるか?であった。この2人の思いは直也がボクシングジムでの練習を重ねていくうちに会長やコーチ、訓練生達、そしてプロテスト前の『ヤスシ』にも伝わっていく。本来『ヤスシ』はセコンドにつく事はないが、直也の練習をする姿を見て、直也の思いは『ヤスシ』の心を動かしていた。しかし試合に向けてサンドバックを叩く直也に問題があった。直也は『苦しみ』と『怒り』という感情がコントロールできなかった。サンドバックを叩く姿は冷静さを失くした直也は、まるで『野獣』のようで『追い詰められた虎』のようだと思われる、そんな日々が1週間続いていた。そして錆びていた金具が外れ横たわるサンドバックに馬乗りになり涙を流しながら拳で殴りつけていたのだ。会長とコーチは話し合いをしたが、直也の心の更生に解決策は見つからなかった。そんな時ヤスシは毎日3ラウンドのスパーリングをしたいと申し出た。会長とコーチはプロテスト前のヤスシに怪我をさせたくなった。しばらく悩んだ末、どうしてもと言うヤスシの申し出を毎日1ラウンドのスパーリングという事で承諾した。
ヤスシには怒りに囚われた直也の気持ちが痛いほど理解していたのだ。ヤスシは過去の自分を直也の姿と重ね合わせていた。『行き場のない、もろ刃の心』は、直也なら気づけると信じてヤスシは直也に気づかせたかったのだ。2週目から毎日ヤスシと直也のスパーリングは始まった。由子は毎日ジムのベンチに座り直也を見守っていた。そして直也を思う由子の瞳には涙を見せる時があった。スパーリングが始まって2週間、直也は徐々に冷静な表情になりスパーリングをするようになる。
直也の最初の1週間は、久美子と春樹との永遠の別れや和志の家庭内暴力、虐待、学校での『いじめ』や『暴力』などを考える事によって、直也の心の中で迷走し『怒り』『悲しみ』そして苦しんでいたのだ。直也は仲間達から見れば強さというものを持っていたに違いないが、心の奥に潜む感情に囚われ弱い心であった。ヤスシは直也とスパーリングをする事で眼を閉ざさず相手を見る事を気づかせていた。心を閉ざしてしまっていた直也の心を開かせようとスパーリングをしていたのだ。たった1ラウンドだがヤスシはプロテストのリングで戦う力を出し切り直也とスパーリングをしていた。そして直也は冷静さを取り戻す事ができた。
直也に冷静さが戻るとボクシングジムでは会長やコーチによって試合に臨む直也のトレーニングプランが立てられ調整に入っていた。あと2カ月以内に直也というボクサーを創りあげなければならない為、過酷なトレーニングプランとなっていた。しかし直也は過酷なトレーニングプランを愚痴一つ言わず静かに毎日こなしていく。これが直也の持つ一つの素質だった。目的の為ならどんな事でもやり遂げるのが直也だった。プランが立てられてからの直也は自宅に戻らずジムに泊まり込みトレーニングをしながら学校へ通う。トレーニングが始まってから2週目に入ると直也は会長やコーチに承諾を得る事なく全ての項目のプランを2倍に書き換えトレーニングを始めていた。ヤスシとのスパーリングだけは3ラウンドと3倍とした。学校では仲間達と一緒にいたが直也は静かなもので会話をする事はない。それでも仲間達は直也の周りで笑っていた。学校での直也の変化によって学校内でも変化が起きていた。以前よりも騒がしさはなく静かな学校になっていた。直也は久美子が作ったドリームキャッチャーを毎日握りしめていた。ドリームキャッチャーを握りしめる直也の姿を見つめる由子は直也の久美子への深い思いを感じていた。直也の仲間達のカバンにはドリームキャッチャーが縛り付けられている。由子は直也と仲間達を結びつけている事を強く感じていた。由子にもドリームキャッチャーは渡されていたが常にポケットの中にあった。過酷なトレーニングを更に過酷にした直也は息を荒くしながらも『優勝』の為にトレーニングを続ける毎日であった。由子は直也の衣類をとりに直也の自宅へ行き、ジムでの様子を両親へ話していた。まるで由子は付き人、いや、直也のマネージャーと言ったところだろうか。しかしジムに通う訓練生の学生達から見えば『まるで恋人だ』と感じていたのかもしれない。直也と由子を見る瞳に映し出されるものは変化し訓練生の学生達は2人を見守るようになっていた。
ヤスシとスパーリングをする直也は、ほぼ毎日試合をしている感じであった。直也とヤスシの2人は目と目を合わせながら互いにパンチを打ち込んでいくがヤスシの速さに直也はついて行けるようになっていた。試合まであと2週間、アマチュアボクシングの試合が近づいてくる直也は最終調整に入っていた。なぜ?ボクシングジムの会長やコーチは直也を中学生市町村のトーナメント試合に出場させようと考えたのか?
人はそれぞれ何かしらの徳分や得意分野、素質というものを産まれつき持っている。しかし、それは気づき生きている場合と気づかずに生きている場合がある。素質とは・・・人それぞれにある天命的なものである。直也が持つ素質というものは、まれにみる天命的な素質だったが、ただ漠然と感じるだけだった。会長やコーチは、直也の幼き過去からの生き方や過ごし方を由子や教師達から聞いていた。直也の保育園時期は、とてもやんちゃな子供でもあり繊細さを備えた時期で直也には好きな女の子がいたが卒園前に彼女は親の転勤と共に去って行った。
直也達の2人は両思い、初恋と失恋、別れがどんなに辛いものかを知った時期でもある。直也は皆に好かれた存在、小学校へ入学すると直也の友達の中には、特別学級というクラスへ入るものもいた。特別学級へ入った友を馬鹿にする生徒達、直也とは別の幼稚園や保育園から入学した子供達は『馬鹿なやつら』として差別をし、いじめを始める。直也にとっては、を馬鹿にされる事で、嘩を始める直也だった。
直也にとっては信頼ある友だけに・・・。どうしても直也は『許せなかった』のだ。小学校の教師達は『暴力』として直也の行為を見ていた。このような行為は約2年間続き3年生になると教師達は直也を部活へ入れる事にした。
体操部と水泳部へ直也を入部させ様子を見るが直也の行為は止まる事はない。何度も何度も親への連絡が途絶える事はなかった。直也は教師達に呼ばれ注意はされるが直也は何も話す事も答える事もなかった。直也の素質が見られ始めたのは水泳部の選手になった頃からだ。水泳は『クロール』『平泳ぎ』『背泳ぎ』の三種目。入部したての頃はクロールの選手で、これがまた学年上の選手でも追いつく事はできなかった。本来なら直也はクロールの選手として大会に出場するところだっただろう。しかし水泳部では背泳ぎができる選手がいなかった。
背泳ぎに手を上げたのが直也だった『不安』などはなく『何でもやってやる』という感じだった。


編集ライターブログランキング
応援宜しくお願い致します
にほんブログ村こちらもポチッと


最新の画像もっと見る

コメントを投稿