厚生労働省労働基準局は労働基準法等の見直しについて具体的な検討を行うことを目的とした「労働基準関係法制研究会」を新設し、第2回研究会は今年(2024年)2月21日に開催され、労働時間制度について議論されました。
その議論の中でも「副業・兼業の労働時間通算問題」についても活発に議論されたようです。その議論については第6回研究会(2024年4月23日開催)の資料「労働基準関係法制研究会 これまでの議論の整理」の中にまとめられています。
この資料は今までの研究会で「労働時間法制」「労働基準法の事業」「労働基準法の労働者」「労使コミュニケーション 」といった各論点について各メンバー(構成員)の意見を整理し、リストアップしたものとされていますが、ここでは「労働時間法制」の中の副業・兼業の場合の割増賃金にかかわる箇所のみ抜粋して掲載します。
副業・兼業の場合の割増賃金
【働き方改革関連法の施行後の評価に関する意見】
・働き方改革の結果、副業・兼業を認める企業は増加しているが、労働時間通算の煩雑さ等から、雇用でなく請負で副業・兼業を受け入れているケースが多くなっているという意見があった。
・労働者の保護の観点からも、請負ではなく、雇用での副業・兼業をやりやすくする検討をすべきという意見があった。
【今後の議論の方向性に関する意見】
・副業・兼業を行う労働者の健康確保のための労働時間通算は必要であるという意見があった。健康確保のための労働時間の把握・管理手法については、企業ごとに把握するか、労働者に申告義務を課すか、何らかのシステムを構築するか、雇用に限らず健康確保が必要 であるという観点から、就業者全体の問題として検討すべきという意見があった。
・割増賃金にかかる労働時間の通算を義務とすると、
① 企業が副業・兼業を受け入れづらくなる
② 雇用ではなく業務請負での受け入れが増え、実態との乖離や健康確保の欠如の恐れがある
③ 特に交渉力の低い労働者において、雇用機会を失う恐れがある
④ ③を回避するため、労働者が副業・兼業であることを隠し、結果として健康確保と割増賃金の双方が損なわれる事態になり得るといった弊害が生じることから、各社それぞれの労働時間で割増賃金を計算する方向で検討すべきという意見があった。
・ヨーロッパの主要国でも、割増賃金について労働時間通算を行う例はないことからも、見直しが必要という意見があった。
・なお、グループ企業や取引関係のある企業などとの間で名目上副業・兼業させ、割増賃金を逃れるようなケースを生じないようにする必要があるという意見があった。<以下略>(資料「労働基準関係法制研究会 これまでの議論の整理」より)
資料「労働基準関係法制研究会 これまでの議論の整理」(PDF)
その議論の中でも「副業・兼業の労働時間通算問題」についても活発に議論されたようです。その議論については第6回研究会(2024年4月23日開催)の資料「労働基準関係法制研究会 これまでの議論の整理」の中にまとめられています。
この資料は今までの研究会で「労働時間法制」「労働基準法の事業」「労働基準法の労働者」「労使コミュニケーション 」といった各論点について各メンバー(構成員)の意見を整理し、リストアップしたものとされていますが、ここでは「労働時間法制」の中の副業・兼業の場合の割増賃金にかかわる箇所のみ抜粋して掲載します。
副業・兼業の場合の割増賃金
【働き方改革関連法の施行後の評価に関する意見】
・働き方改革の結果、副業・兼業を認める企業は増加しているが、労働時間通算の煩雑さ等から、雇用でなく請負で副業・兼業を受け入れているケースが多くなっているという意見があった。
・労働者の保護の観点からも、請負ではなく、雇用での副業・兼業をやりやすくする検討をすべきという意見があった。
【今後の議論の方向性に関する意見】
・副業・兼業を行う労働者の健康確保のための労働時間通算は必要であるという意見があった。健康確保のための労働時間の把握・管理手法については、企業ごとに把握するか、労働者に申告義務を課すか、何らかのシステムを構築するか、雇用に限らず健康確保が必要 であるという観点から、就業者全体の問題として検討すべきという意見があった。
・割増賃金にかかる労働時間の通算を義務とすると、
① 企業が副業・兼業を受け入れづらくなる
② 雇用ではなく業務請負での受け入れが増え、実態との乖離や健康確保の欠如の恐れがある
③ 特に交渉力の低い労働者において、雇用機会を失う恐れがある
④ ③を回避するため、労働者が副業・兼業であることを隠し、結果として健康確保と割増賃金の双方が損なわれる事態になり得るといった弊害が生じることから、各社それぞれの労働時間で割増賃金を計算する方向で検討すべきという意見があった。
・ヨーロッパの主要国でも、割増賃金について労働時間通算を行う例はないことからも、見直しが必要という意見があった。
・なお、グループ企業や取引関係のある企業などとの間で名目上副業・兼業させ、割増賃金を逃れるようなケースを生じないようにする必要があるという意見があった。<以下略>(資料「労働基準関係法制研究会 これまでの議論の整理」より)
資料「労働基準関係法制研究会 これまでの議論の整理」(PDF)