第13回 労働基準関係法制研究会(厚生労働省)議事録
第14回「労働基準関係法制研究会」(厚生労働省労働局の有識者会議)が労働基準関係法制研究会が(2024年)11月12日に厚生労働省会議室で開催されるとの開催案内が厚生労働省のサイトに昨日(11月5日)からありますが、昨日は前回(第13回)と前々回(第12回)労働基準関係法制研究会の議事録も厚生労働省サイトに公開されました。
つながらない権利について労働基準関係法制研究会メンバー意見
第13回 労働基準関係法制研究会(厚生労働省)議事録から「つながらない権利」について労働基準関係法制研究会メンバー(構成員)意見を抜粋すると次のような見解が述べられていましたが、つながらない権利について最後に発言された首藤若菜・立教大学経済学部教授の意見が最も重要だと思います。
安藤至大・日本大学経済学部教授
(資料)7ページ目の下にあるつながらない権利について1つ発言します。つながらない権利と言ったときに、何をもってつながっていると考えるのかということについて、誤解があると非常にもったいないかなと思ってのお話です。
例えば上司から部下に電話をかける。電話をするというのは、受けて、会話をしたら当然その分時間を取られるわけで、これはつながっていると思うわけですね。ただ、例えば休日に上司が部下に対して、次の勤務日にこれをやってねというような指示をメールで送る。電子メールというのは必ずしも送ったときと受けて開いて読むときのタイミングはずれていても問題がないといったとき。ただし、来たメールはほかのメールと混ざっているので、どんなメールかといって見てしまう。来たメールを見てしまうのは、これは電話と違って、時間的に即座に拘束されているわけではないのですが、しかし、仕事に関連する情報が目を通じて脳に入ってきてしまう。これをつながっていると考えるのかといったときに悩ましいかなと感じておりました。これは私個人としてはつながっているとカウントしないほうが明確なのではないかと。
私も、仕事面で、一緒に研究活動している仲間などに連絡する際には、どうしても急ぎのやつはビジネスチャットを使って、オンラインでいつも、誰がオンラインになっているか、お互い見えているような状況で、オンラインになっている人にメッセージを送って、「これ、今すぐできる?」というのを聞いたりします。これに対して、電子メールは1日1回見れば十分ぐらいの時間感覚で、かつ、何かお願いするときには、いつまでとか、急ぎじゃないよといったメッセージをつけたりするわけです。
こういうことは多分、仕事の現場でも、急ぎのものと、そうではなく、ただし、今思いついてしまったので、相手に連絡だけしておきたいといったもの、いろいろ含まれていると思われる中、このつながらない権利というものを明示的に設定するかどうかは別として、様々なベストプラクティスみたいな形で、急ぎのものとそうでないものをどうやって指揮命令が区別できるのか、こういうやり方をやると働き手としては混乱がないよといって、急ぎじゃないものは急ぎじゃないとちゃんと伝わるように、例えば通知するチャネルを分けるであるとかいうことも重要かと思いますので、この辺り、オンとオフのうち、オフの時間にやっていいことって何なのということは少し考えておく必要があると感じました。
水町勇一郎・早稲田大学法学学術院教授
以前も申し上げたことですけれども、つながらない権利を労働者の権利として構成することには違和感がありますし、労働からの解放の規制という整理の中で、労働時間規制と関連づける形で議論することには何か引っかかるものがありました。もちろん、こうしたつながらない状況を守ることが重要であることを否定するものではありません。
先ほど安藤先生がいろんな場面をお話しいただきましたけれども、そのようなことも考え合わせますと、つながらない権利はパワーハラスメントの問題として整理できるのではないでしょうか。パワーハラスメントには6類型がありますが、そのうち、個の侵害に当たりうると思います。上司が労働者に連絡を取ったからといってそれが直ちにパワハラに当たるものではないけれども、度々連絡したり、急ぎでもない連絡をしたりすることは、労働者の私生活を侵害する、よろしくないものと考えます。常識的な範囲の連絡であれば特に問題はないですが、それが私生活の侵害に当たるようなものであれば、ハラスメントの問題として、このような行為が不適切である、あるいは違法であるという判断ができるのではないかと考えます。
石﨑由希子・横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授
今、議論になっているつながらない権利関連で1点と、インターバル関連で1~2点意見を述べさせていただければと思います。
まず、つながらない権利関係で、今、安藤先生から様々なケースを御紹介いただいて、メールにしても、例えば、ただ送るのか、それとも即返信を求めるのか、あるいはLINEだったらどうなのかとか、いろんなケースによって、またその職場の風土ですとか、個々の労働者のいろんな考え方によって、それを受け入れるのか受け入れないのかというのは大分違う部分があるのかなと私も思うところであります。
そうした意味で、何らか国によって一律な規制を設けるというよりは、各企業、あるいは各職場のレベルで、どうすれば気持ちよく働けるのかみたいな、先ほど水島先生からパワハラの枠の中でという話がありましたけれども、ある種の職場環境配慮的な枠組みの中で、そうしたことの議論を促していくという方向が望ましいのではないかと私も思っているところではあります。
ただ、ここの仕組み方の中で1つ考え得る選択肢としては、このつながらない権利の問題というのは、ある種、時間の長さではなくて、その時間の質というのか、時間帯に着目したような話なのではないかという気もしておりまして、その問題を、場合によっては労働時間設定改善委員会とか、そうしたところで取り上げていくこと、それ自体は促していってもいいのではないかという気がしております。
労働時間等設定改善法、もともとは時短というところを目的として設定されて発展してきたという経緯があるかとは思いますが、そこに1つ時間帯という視点を入れていくということ、もしかして法律レベルでは難しいということであれば、まずは指針とかガイドラインの中でという話になるのかもしれませんが、そうした方向性というのは1つ検討してみてもよいのかなと思った次第であります。(略)
水町勇一郎・早稲田大学法学学術院教授
つながらない権利のところなのですが、背景に考えなければいけないことは大きく2つあって、1つは、デジタル化とかアルゴリズムの中で、外国で何でこういうことがいっぱい議論されて法制化されているのか。もう時間、場所を問わない働き方になって、働き方自体が、仕事とプライベートの区別がつかなくなっている。家でも仕事しなければいけないし、別に職場でも家庭との間でLINEを送ったりしているということもあるので、その区別がつかなくなっていく中で、仕事とプライベート、私生活の線引きをどうするかというので、ちゃんとルールをつくらないと、現場で力関係が強い弱いというので勝手にルールをつくったら、私生活が損なわれてしまうのではないかという時代の流れの中でどう線引きするかという問題。
もう一つは、働き方、働かせ方も非常に多様になっていて、要はここで何が問題か。所定労働時間以外に何をさせることができるのか、してはいけないかという問題で、例えば土日が休みの人で所定労働時間になっていないとした場合に、例えばあのファイルどこにあったのとLINEを送って、それでも、所定労働時間外だから全くリアクションしなくていいのかということから、例えば日曜日に大きな事故、事件が起こって、休日出勤をしてこれに対して対応してくれと。でも、土日はつながらない権利があるから、それに対して全くリアクションをしちゃいけないのかというので、いろんな対応があり得る中で、要は、法律で、これはやっていい、これはやっちゃだめというのはできないので、やはり職場できちんと実態に合わせて話し合ってくださいということが大切なのですが、話し合ってくださいと言っても、話し合うところは大体ちゃんとしたところで話し合って、全然ちゃんとしてないところは話し合わないということになるので、基本的には、諸外国でやられている一つの方法としてはデフォルト。基本的には、所定労働時間外は連絡を取っちゃだめよと。リアクションがなくても何も処分とかサンクションしちゃだめよということをデフォルトにしながら、それ以外に、連絡に対するリアクションとか、実際、休日労働命令を出した場合には休日労働しなければいけないとか、どこをどういう人に何ができるかをちゃんとルール化してくださいねと。何もしないとデフォルトになってしまうので、そうでないルールをどう話し合うか。
その措置を取っていないときに法的にどうするかというので、場合によってはそういう措置を具体的に話し合って、取っていなければ罰則をつけるという国も出始めているし、これって、現場で話し合うことが大切だから、日本でいうと労働時間等設定改善法の中で話し合って、まずルール化を進めていってくださいということになるか、あとは労働契約法の中で、ゼロ時間契約との関係とかもあるのですが、所定労働時間でない時間に対して何までできるかを、所定労働時間でないけれども、どこまで連絡を取ったり義務づけることができるかというルールを、労働契約法やそれに関するルールとして明確にしていく。政策的にはいろいろあると思いますが、労働時間等設定改善法だとコンプライアンスをしっかりしている大企業でやるだけで、実際は本当に私生活をちゃんとしてくれというところにそれが波及するかどうかという懸念もあるので、場合によっては、労働契約法上こういうルールをつくるということが大切なのだという意識をみんなに持ってもらいながら、諸外国の動きを見てルール化していくということも政策的に大切かなと思いました。
黒田玲子・東京大学環境安全本部准教授
(略)あと、水島先生のお話を伺いながら、確かにハラスメントの文脈で語るというのもありかなとは思った一方で、オフの時間に何らかの連絡がある、ごくまれだったらいいのでしょうけれども、割とフランクな連絡が頻繁にあるというと、そのこと自体の有害性とか精神負担ということも考えるべきで、必ずしもハラスメントの文脈だけで言えるわけでない。本人がそう感じていないし、相手も感じていないし、けれども、そのことに関する有害性ということは考えるべきで、ハラスメントの文脈だけで語れるかというとちょっと疑問に感じましたので、コメントさせていただきました。
首藤若菜・立教大学経済学部教授
(略)つながらない権利については、法令で定めることは多々困難があるということは、先生方の御指摘を聞いていて、なるほどと思いました。ただ、先ほどの在宅のテレワークのみなし労働時間制の適用とも関わると思います。在宅テレワークで「みなし労働時間」を適用していったときに、この「つながらない権利」がないような状態のままで、長時間労働が本当に抑制できるのだろうかというところは非常に強い懸念を抱いています。
私は水町先生と比較的考えが近くて、在宅テレワークでの「みなし労働時間」の適用に慎重な考えを持っていますけれども、やはりこういったもの(つながらない権利)もセットで議論していただきたいと思っております。(略)(第13回「労働基準関係法制研究会」議事録より)
第13回「労働基準関係法制研究会」議事録(厚生労働省サイト)
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つながらない権利について労働基準関係法制研究会メンバー意見
第13回 労働基準関係法制研究会(厚生労働省)議事録から「つながらない権利」について労働基準関係法制研究会メンバー(構成員)意見を抜粋すると次のような見解が述べられていましたが、つながらない権利について最後に発言された首藤若菜・立教大学経済学部教授の意見が最も重要だと思います。
安藤至大・日本大学経済学部教授
(資料)7ページ目の下にあるつながらない権利について1つ発言します。つながらない権利と言ったときに、何をもってつながっていると考えるのかということについて、誤解があると非常にもったいないかなと思ってのお話です。
例えば上司から部下に電話をかける。電話をするというのは、受けて、会話をしたら当然その分時間を取られるわけで、これはつながっていると思うわけですね。ただ、例えば休日に上司が部下に対して、次の勤務日にこれをやってねというような指示をメールで送る。電子メールというのは必ずしも送ったときと受けて開いて読むときのタイミングはずれていても問題がないといったとき。ただし、来たメールはほかのメールと混ざっているので、どんなメールかといって見てしまう。来たメールを見てしまうのは、これは電話と違って、時間的に即座に拘束されているわけではないのですが、しかし、仕事に関連する情報が目を通じて脳に入ってきてしまう。これをつながっていると考えるのかといったときに悩ましいかなと感じておりました。これは私個人としてはつながっているとカウントしないほうが明確なのではないかと。
私も、仕事面で、一緒に研究活動している仲間などに連絡する際には、どうしても急ぎのやつはビジネスチャットを使って、オンラインでいつも、誰がオンラインになっているか、お互い見えているような状況で、オンラインになっている人にメッセージを送って、「これ、今すぐできる?」というのを聞いたりします。これに対して、電子メールは1日1回見れば十分ぐらいの時間感覚で、かつ、何かお願いするときには、いつまでとか、急ぎじゃないよといったメッセージをつけたりするわけです。
こういうことは多分、仕事の現場でも、急ぎのものと、そうではなく、ただし、今思いついてしまったので、相手に連絡だけしておきたいといったもの、いろいろ含まれていると思われる中、このつながらない権利というものを明示的に設定するかどうかは別として、様々なベストプラクティスみたいな形で、急ぎのものとそうでないものをどうやって指揮命令が区別できるのか、こういうやり方をやると働き手としては混乱がないよといって、急ぎじゃないものは急ぎじゃないとちゃんと伝わるように、例えば通知するチャネルを分けるであるとかいうことも重要かと思いますので、この辺り、オンとオフのうち、オフの時間にやっていいことって何なのということは少し考えておく必要があると感じました。
水町勇一郎・早稲田大学法学学術院教授
以前も申し上げたことですけれども、つながらない権利を労働者の権利として構成することには違和感がありますし、労働からの解放の規制という整理の中で、労働時間規制と関連づける形で議論することには何か引っかかるものがありました。もちろん、こうしたつながらない状況を守ることが重要であることを否定するものではありません。
先ほど安藤先生がいろんな場面をお話しいただきましたけれども、そのようなことも考え合わせますと、つながらない権利はパワーハラスメントの問題として整理できるのではないでしょうか。パワーハラスメントには6類型がありますが、そのうち、個の侵害に当たりうると思います。上司が労働者に連絡を取ったからといってそれが直ちにパワハラに当たるものではないけれども、度々連絡したり、急ぎでもない連絡をしたりすることは、労働者の私生活を侵害する、よろしくないものと考えます。常識的な範囲の連絡であれば特に問題はないですが、それが私生活の侵害に当たるようなものであれば、ハラスメントの問題として、このような行為が不適切である、あるいは違法であるという判断ができるのではないかと考えます。
石﨑由希子・横浜国立大学大学院国際社会科学研究院教授
今、議論になっているつながらない権利関連で1点と、インターバル関連で1~2点意見を述べさせていただければと思います。
まず、つながらない権利関係で、今、安藤先生から様々なケースを御紹介いただいて、メールにしても、例えば、ただ送るのか、それとも即返信を求めるのか、あるいはLINEだったらどうなのかとか、いろんなケースによって、またその職場の風土ですとか、個々の労働者のいろんな考え方によって、それを受け入れるのか受け入れないのかというのは大分違う部分があるのかなと私も思うところであります。
そうした意味で、何らか国によって一律な規制を設けるというよりは、各企業、あるいは各職場のレベルで、どうすれば気持ちよく働けるのかみたいな、先ほど水島先生からパワハラの枠の中でという話がありましたけれども、ある種の職場環境配慮的な枠組みの中で、そうしたことの議論を促していくという方向が望ましいのではないかと私も思っているところではあります。
ただ、ここの仕組み方の中で1つ考え得る選択肢としては、このつながらない権利の問題というのは、ある種、時間の長さではなくて、その時間の質というのか、時間帯に着目したような話なのではないかという気もしておりまして、その問題を、場合によっては労働時間設定改善委員会とか、そうしたところで取り上げていくこと、それ自体は促していってもいいのではないかという気がしております。
労働時間等設定改善法、もともとは時短というところを目的として設定されて発展してきたという経緯があるかとは思いますが、そこに1つ時間帯という視点を入れていくということ、もしかして法律レベルでは難しいということであれば、まずは指針とかガイドラインの中でという話になるのかもしれませんが、そうした方向性というのは1つ検討してみてもよいのかなと思った次第であります。(略)
水町勇一郎・早稲田大学法学学術院教授
つながらない権利のところなのですが、背景に考えなければいけないことは大きく2つあって、1つは、デジタル化とかアルゴリズムの中で、外国で何でこういうことがいっぱい議論されて法制化されているのか。もう時間、場所を問わない働き方になって、働き方自体が、仕事とプライベートの区別がつかなくなっている。家でも仕事しなければいけないし、別に職場でも家庭との間でLINEを送ったりしているということもあるので、その区別がつかなくなっていく中で、仕事とプライベート、私生活の線引きをどうするかというので、ちゃんとルールをつくらないと、現場で力関係が強い弱いというので勝手にルールをつくったら、私生活が損なわれてしまうのではないかという時代の流れの中でどう線引きするかという問題。
もう一つは、働き方、働かせ方も非常に多様になっていて、要はここで何が問題か。所定労働時間以外に何をさせることができるのか、してはいけないかという問題で、例えば土日が休みの人で所定労働時間になっていないとした場合に、例えばあのファイルどこにあったのとLINEを送って、それでも、所定労働時間外だから全くリアクションしなくていいのかということから、例えば日曜日に大きな事故、事件が起こって、休日出勤をしてこれに対して対応してくれと。でも、土日はつながらない権利があるから、それに対して全くリアクションをしちゃいけないのかというので、いろんな対応があり得る中で、要は、法律で、これはやっていい、これはやっちゃだめというのはできないので、やはり職場できちんと実態に合わせて話し合ってくださいということが大切なのですが、話し合ってくださいと言っても、話し合うところは大体ちゃんとしたところで話し合って、全然ちゃんとしてないところは話し合わないということになるので、基本的には、諸外国でやられている一つの方法としてはデフォルト。基本的には、所定労働時間外は連絡を取っちゃだめよと。リアクションがなくても何も処分とかサンクションしちゃだめよということをデフォルトにしながら、それ以外に、連絡に対するリアクションとか、実際、休日労働命令を出した場合には休日労働しなければいけないとか、どこをどういう人に何ができるかをちゃんとルール化してくださいねと。何もしないとデフォルトになってしまうので、そうでないルールをどう話し合うか。
その措置を取っていないときに法的にどうするかというので、場合によってはそういう措置を具体的に話し合って、取っていなければ罰則をつけるという国も出始めているし、これって、現場で話し合うことが大切だから、日本でいうと労働時間等設定改善法の中で話し合って、まずルール化を進めていってくださいということになるか、あとは労働契約法の中で、ゼロ時間契約との関係とかもあるのですが、所定労働時間でない時間に対して何までできるかを、所定労働時間でないけれども、どこまで連絡を取ったり義務づけることができるかというルールを、労働契約法やそれに関するルールとして明確にしていく。政策的にはいろいろあると思いますが、労働時間等設定改善法だとコンプライアンスをしっかりしている大企業でやるだけで、実際は本当に私生活をちゃんとしてくれというところにそれが波及するかどうかという懸念もあるので、場合によっては、労働契約法上こういうルールをつくるということが大切なのだという意識をみんなに持ってもらいながら、諸外国の動きを見てルール化していくということも政策的に大切かなと思いました。
黒田玲子・東京大学環境安全本部准教授
(略)あと、水島先生のお話を伺いながら、確かにハラスメントの文脈で語るというのもありかなとは思った一方で、オフの時間に何らかの連絡がある、ごくまれだったらいいのでしょうけれども、割とフランクな連絡が頻繁にあるというと、そのこと自体の有害性とか精神負担ということも考えるべきで、必ずしもハラスメントの文脈だけで言えるわけでない。本人がそう感じていないし、相手も感じていないし、けれども、そのことに関する有害性ということは考えるべきで、ハラスメントの文脈だけで語れるかというとちょっと疑問に感じましたので、コメントさせていただきました。
首藤若菜・立教大学経済学部教授
(略)つながらない権利については、法令で定めることは多々困難があるということは、先生方の御指摘を聞いていて、なるほどと思いました。ただ、先ほどの在宅のテレワークのみなし労働時間制の適用とも関わると思います。在宅テレワークで「みなし労働時間」を適用していったときに、この「つながらない権利」がないような状態のままで、長時間労働が本当に抑制できるのだろうかというところは非常に強い懸念を抱いています。
私は水町先生と比較的考えが近くて、在宅テレワークでの「みなし労働時間」の適用に慎重な考えを持っていますけれども、やはりこういったもの(つながらない権利)もセットで議論していただきたいと思っております。(略)(第13回「労働基準関係法制研究会」議事録より)
第13回「労働基準関係法制研究会」議事録(厚生労働省サイト)
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