黒沢永紀オフィシャルブログ(旧・廃墟徒然草)

産業遺産と建築、廃墟、時空旅行、都市のほころびや不思議な景観、ノスタルジックな街角など、歴史的“感考”地を読み解く

廃線:東京都港湾局専用線 #11

2005-06-30 15:08:47 | ・埠頭散策-晴海線
東京の晴海埠頭を縦断していた貨物専用線は、
晴海埠頭の中程まで進むと、鬱蒼と茂る雑木林の中に最後の遺構が点在しています。
20世紀の終わり頃までは、軌道も沢山残存していましたが、
年々少しずつ撤去され、確認できるのもあと僅かです。



晴海橋からからさらに埠頭の先端方面を目指して進むと、
埋立埠頭のど真ん中とは思えない雑木林が広がり、
その中に当時の施設を撤去したあとが確認できます。







上画像の左には1本だけ軌道が残っていますが、
程良い間隔で並ぶ木立の中の線路の光景は、
埼玉県に残る安比奈線の雑木林の光景とまではいきませんが、
なかなか雰囲気のある空間です。







また
右側には、なぜそれだけ残したのかわかりませんが、
約3m程だけポイント付近の線路が残っていて、
手前には手動式の転轍機が残存しています。

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廃線:東京都港湾局専用線 #10

2005-06-29 13:15:35 | ・埠頭散策-晴海線
かつて東東京の埠頭を連結するように走っていた貨物専用線。
晴海運河にかかる晴海橋を渡ると、鬱蒼と茂る木立の中に、
当時を忍ぶ残存物がいくつも点在しています。



晴海橋から繋がる軌道跡は、草に埋もれながらもしばらく続いていますが、
やがて盛上がる土地の中へと消えていきます。
画像はまだヘッドランプが残存する転轍機のある光景です。
右端に写る照明柱の麓には、いまもカバーをつけたライトが残存しています。







柱に残る鉄製の箱には、
「東京港埠頭公社保線課」(上段)「保線用コンセント」(下段)
と書かれてあります。







あたりには季節柄ドクダミがたくさん繁殖していました。
錆び付いた鉄路と白い花のドクダミもまたいいものですね。

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廃線:東京都港湾局専用線 #09

2005-06-28 04:39:25 | ・埠頭散策-晴海線
東京の下町に残る東京都の貨物専用線。
今日はこの特集の最初の頃に取り上げた、最も形ある遺構として残存する晴海橋です。
この辺で少し歴史的な話など。
昭和28年(1953)に、昨日取り上げた豊洲線の石炭埠頭線が開通、
昭和34年(1959)に、豊洲線の第二路線である物揚場線、そして、
昭和32年(1957)に、この晴海橋がある晴海線、がそれぞれ開通。
かつては埠頭に荷揚げされる様々な貨物を内陸へ運搬する、
最初のスタート地点を担った各路線は、
やがて埠頭工場の移転やモータリゼーションの波に押され、
上から昭和60年(1985)、昭和61年(1986)、平成元年(1989)に
それぞれ廃線になりました。



廃線後15年以上経った今も、殆ど損傷がなく残存する晴海橋。
この運河は水路として主要な役割を果たしているため、
ひっきりなしに土砂運搬船や屋形船が往来しています。







晴海橋を晴海埠頭側の運河岸から眺めたところです。
さすがに海のすぐ近くなので、鉄橋自体はかなり錆び付いていますが、
鉄橋の両側に延びるコンクリの橋梁は、画像のように現在もとても綺麗です。







鉄橋の下から眺めた光景です。
鉄橋上部のデザインがとても綺麗に見えます。





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廃線:東京都港湾局専用線 #08

2005-06-27 13:22:05 | ・埠頭散策-晴海線
かつて東京湾岸の埋立地を繋ぎ合わせるように縦走していた東京都港湾局の貨物専用線は、
豊洲埠頭に入ったところで、豊洲埠頭の先端まで延びる豊洲線と、
晴海埠頭の先端まで延びる晴海線に分岐していました。
昨日アップしたのは豊洲埠頭の北寄りに残る晴海線ですが、
今日はすでに撤去されてしまった豊洲線を少し。



石川島重工の工場に囲まれた空き地に残る軌道跡と信号機です。
ここは晴海通りからも見える場所なので、
サイトでもアップされているのをよく見かけますが、
現在では完全に撤去されて、ショッピングセンターの建設工事が進められています。







晴海通りを横断して豊洲埠頭の先へ延びていた豊洲線の敷地跡。
豊洲埠頭へはそれほど足を運んでいないので現在の様子はわかりませんが、
石川島播磨の石炭ヤードが延々と広がり、やがて東京ガスの工場で行き止まりになります。
豊洲線はおもにこの石炭を運搬する石炭埠頭線と、
埠頭東寄りの一帯に広がる物揚場線の2路線がありました。
画像の奥に黄色く見えるのは、もう2度と開くことのない防潮柵です。

余談になりますが、最近こういった殆どモノが残っていない場所がとても気になります。
例えば線路なら廃線跡ということなんでしょうが、
一般に廃線跡というと総ての施設が撤去され、
歩道なり車道として完全に生まれ変わってしまったものが多いようですが、
それとはちょっと違って、まだ敷地自体は当時の姿で残っているものの、
そこに本来あったモノは殆ど無くなっているといった状態の場所。
そんな場所に魅力を感じますが、
それはまた画像では極めて説得力のない場所でもありますね。

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廃線:東京都港湾局専用線 #07

2005-06-26 03:04:28 | ・埠頭散策-晴海線
まもなく遺構が総て再開発で消滅しようとしている、東京下町の貨物専用線。
今日は少し志向をを変えてモニター画面の画像をアップしてみました。



石川島播磨重工の敷地内を貫通している専用線軌道跡。
金網に分断されながらも、まだ敷地内にしっかりと軌道が残っていた時代の映像画面です。
現在ではこの辺一帯は様変わりし、昨日アップした橋台跡の左岸には、
住宅センターが完成しています。







上画像の背後にもずっと軌道が残っていて、やがて晴海通りへ繋がっていました。
画像はその途中にあった、不法占拠の民家横の専用線跡です。
周囲を工場に囲まれたど真ん中に、まるで取り残されたように
一軒の古い木造住宅があり、
その周りを深々と包み込む常緑樹の中に残存する専用線跡の光景は、
まるで東南アジアの森林鉄道跡のような雰囲気を醸しだし、
とても東京のど真ん中とは思えないものがありましたが、
この一帯も現在では完全に撤去されてしました。

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廃線:東京都港湾局専用線 #06

2005-06-25 18:22:06 | ・埠頭散策-晴海線


東京の下町、深川と晴海埠頭を走っていた東京都港湾局の貨物専用線。
今日は、かつて豊洲運河に架かっていた鉄橋の橋台跡です。
画像に写る運河の両岸近くに写る点滅灯が載る2つの遺構が橋台跡ですが、
この運河は土砂運搬船や屋形船などの往来が激しく、
鉄橋が撤去された今も残る橋台は、夜間注意を促すために点滅灯が設置されています。
本来もう使われることはないと思うので、橋台自体を撤去するのが普通でしょうが、
それよりは点滅灯を設置した方が、コスト的に安上がりだったのでしょう。
再開発が急ピッチで進み、殆どの遺構が撤去される運命にあるこの路線で、
もしかしたら最後まで残る遺構なのかもしれませんね。

ちなみに同じ場所からの昼の光景はこんな感じです。



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廃線:東京都港湾局専用線 #05

2005-05-07 08:13:54 | ・埠頭散策-晴海線


東京の下町に残る、貨物輸送の専用線跡。
今回はほんの数メートルだけ残る軌道跡です。
周囲はマンションや駐車場に囲まれ、ごく普通の光景ですが、
この一角だけ金網に囲まれて、当時の状態で残存しています。
左の奥に見えるのは、豊洲の駅にある豊洲センタービルです。
撮影地点の後ろ側の道路も新しく工事されているので、
ここが無くなるのも時間の問題かと思います。

ちなみに同じ場所からの昼の光景はこんな感じです。
他の地点と違って、あまりかわりませんね。



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廃線:東京都港湾局専用線 #04

2005-05-01 01:20:02 | ・埠頭散策-晴海線


昨日に引き続き、都港湾専用線ですが、今日の画像はとても渋めで、
廃墟というよりは、廃線跡探訪です。
越中島貨物駅を出るとすぐに首都高速深川線(画像中央の高架)を超えて、
線路はゆるやかに蛇行し豊洲運河の方へ続いていました。
画像下方の草むらの中に残るゆるやかなカーブを描いた道がその跡です。
現役時代のものか、後敷きのものかはわかりませんが、
一応この道にはバラスト状の砂利が敷き詰められています。

この付近は、豊洲や晴海の埠頭寄りよりはマンションが多く建ち並び、
ほかの軌道跡は殆どが駐車場などに転用されていますが、
ここだけは少し当時の面影を残しながら、
近隣の住人の犬の散歩道などに使われているようです。

ちなみに同じ場所からの昼の光景はこんな感じです。



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廃線:東京都港湾局専用線 #03

2005-04-30 03:32:33 | ・埠頭散策-晴海線


せっかく晴海線の話を始めたので、順を追って見ていきたいと思います。
画像は専用線の始発付近にあたる、越中島貨物駅の最後部近辺です。
越中島貨物駅は、JR亀戸駅からひたすら南下するJR小名木川貨物線の終着駅で、
現在でもかろうじて使われているものの、
この路線の廃止も時間の問題とささやかれています。

一本だけ残る軌道跡の周囲の敷地は駐車場に転用され、
正確には覚えていませんが、8億前後の金額で売りに出された看板もありました。
ここも消滅するのは時間の問題かもしれません。

この専用線をアップしているサイトはよく見かけますが、
夜の光景をアップしているところはあまり知らないので、
いくつかアップしていこうと思います。
ちなみに同じ場所からの昼の光景はこんな感じです。



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廃線:東京都港湾局専用線 #02

2005-04-29 04:59:17 | ・埠頭散策-晴海線


昨日に引き続き、東京都港湾局専用線の話。
この専用線は、江東区の越中島貨物駅から海の方へ向かって延びていて、
途中で豊洲埠頭へ行く豊洲線と晴海埠頭へ行く晴海線に分岐ていました。
今では豊洲線は殆ど残存せず、かろうじて晴海線の遺構が所々に残っているだけです。

上画像中央に写るのは、晴海線の中でも最も目立つ形で残存している晴海橋です。
普通廃墟は夜になると全く灯りがなくなるので、何らかの照明を用意しないと写りませんが、
この専用線は東京のど真ん中にあるため、夜でも沢山の灯りがあって、
かろうじて写し込むことができます。
ただ実際はここまで明るくはないので、落ちる可能性もありますが・・・
ちなみに同じ場所からの昼の光景はこんな感じです。



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貴重な晴海橋変遷の航空写真


廃線:東京都港湾局専用線 #01

2005-04-28 04:22:29 | ・埠頭散策-晴海線
東京都港湾局専用線は、
東京の下町の越中島から湾岸の晴海・豊洲などの埠頭に延びていた、
石炭や生活物資輸送のための貨物専用線でした。
年々少しずつ解体されて今では殆ど残っていませんが、
それでも有名な晴海橋ほか、幾つかの遺構が残存しています。



画像は数少ない遺構の一つで、ほぼ終点の近くに残るヤード跡です。
金網付の塀に囲まれたほんの数十メートルの区間ですが、
ここだけ取りのこされたように幾本もの軌道が残り、草木が生い茂っています。
中に入ると、すぐ近くを走る晴海通りの喧噪が聞こえなくなって、
とても静かな不思議な空間になっています。(2004.12月現在)

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シリーズ:東京都港湾局専用線 INDEX

2004-01-02 00:00:30 | ・埠頭散策-晴海線
・#01 ヤード跡
・#02 夜の晴海橋
・#03 夜の越中島貨物駅跡
・#04 夜の深川線
・#05 わずかに残る軌道跡
・#06 夜の豊洲運河橋台跡
・#07 住宅敷地を貫通する晴海線跡
・#08 豊洲線
・#09 晴海橋
・#10 転轍機
・#11 雑木林と廃線跡
・#12 眠る機関車
・#13 わずかな痕跡
・#14 倉庫街の廃線跡
・#15 僅かに残る深川線
・#16 草に埋もれる施設
・#17 晴海橋
・#18 晴海橋
・#19 晴海橋
・#20 晴海橋のプレート
・#21 晴海橋の下
・#22 夕闇の晴海橋
・#23 夜の晴海橋
・#24 晴海橋近景
・#25 晴海橋と鳩
・#26 晴海橋西端、草に消える線路
・#27 草に埋没する晴海線
・#28 晴海線のポイント
・#29 草に埋もれる施設
・#30 積み上がる枕木
・#31 林の中の機関庫
・#32 機関庫内
・#33 機関庫内
・#34 眠る機関車
・#35 雑木林と廃線跡
・#36 木の中の信号機
・#37 ヤード跡
・#38 ヤード跡
・#39 アスファルトに埋まる線路
・#40 越中島貨物駅跡
・GW特集 晴海橋