ハエの脳構造解明=幹細胞で回路、組み合わせ―東大
時事通信 4月1日(月)20時18分配信
東京大の研究チームは、ショウジョウバエの神経幹細胞(神経細胞のもと)が神経回路を形成する様子を追跡し、一つの幹細胞ごとに作られる回路がブロックのように組み合わされて脳の全体構造を作っていることを解明した。論文は1日までに米科学誌カレント・バイオロジー電子版に掲載された。
東大分子細胞生物学研究所の伊藤啓准教授と大学院生伊藤正芳さんらの研究チームは、ショウジョウバエの脳の中心部が106個の神経幹細胞から作られていることに着目。その一つずつが分裂してどのような神経回路を形成するかを調べ、うち96個の追跡に成功した。
その結果、ショウジョウバエの脳は、一つの幹細胞からできた「クローナルユニット」と呼ばれる神経細胞のグループが多数組み合わされて形成されていることが分かった。脳の部位によって、ユニットが少ない場所と多い場所があった。
ユニット同士がつながることによって、ネットワークが効率的に形成されていることも分かった。
伊藤准教授は「一つの幹細胞からどのような幹細胞が作られるかを、脳全体で明らかにできた。複雑な神経回路を研究する上で基盤になる情報だ」と話している。