PTSDに過剰ホルモン関与=トラウマも影響、マウス実験―米大学
時事通信 4月15日(月)20時30分配信
深刻な体験をした後に発症するとされる心的外傷後ストレス障害(PTSD)に、幼少期のトラウマと不安を増強するホルモンの過剰分泌が関与していることを、米ルイジアナ州立大などの研究グループがマウスの実験で突き止めた。PTSDは治療法が確立しておらず、研究に参加した間宮隆吉名城大助教は「新たな治療法の開発が期待できる」と話している。16日付の米科学アカデミー紀要に掲載される。
グループは、遺伝子操作でホルモン「コレシストキニン」に敏感に反応するよう改変したマウスと正常なマウスを飼育。離乳直後の生後4週目と、人間の20~30代に相当する2カ月目に飼育かごから出し、別のかごで5回ずつ電気の刺激を与えた。
2カ月目の実験の翌日、同じかごにマウスを戻し、電気を流さず3分間放置する実験を2時間おきに5回繰り返した。この時、ストレスを感じて動かなくなる「すくみ行動」をどのくらい取るか計測。改変マウスは正常マウスより長く、すくみ行動を示し続けた。グループは、前日の電気刺激でマウスが生後4週目に受けた実験を思い出したとみている。
また、改変マウスに米国でPTSD治療薬として使われている抗うつ剤を投与して再び計測すると、すくみ行動の時間が正常マウスと同程度まで短縮した。ストレスホルモンの血中濃度も抑えられていた。