カメのゲノム解読=進化解明に期待―理研など国際チーム
時事通信 4月29日(月)2時5分配信
カメの全遺伝情報(ゲノム)の概要を解読したと、理化学研究所や中国、英国などの国際研究チームが28日付の米科学誌ネイチャー・ジェネティクス電子版に発表した。は虫類のゲノム解読はトカゲとワニに続き3例目。甲羅や頭部の骨格など特徴的な進化の過程解明が期待される。
解読したのはスッポンとアオウミガメのDNA。いずれもサイズは約22億塩基対でヒトの3分の2、含まれる遺伝子は約1万9000個でヒトと同程度だった。
また、カメは恐竜や鳥類、ワニと共通の祖先を持つことが分かった。共通祖先は2億7700万年前にトカゲと分かれ、カメは2億5700万年前に鳥類などと分かれて進化したと推定される。
理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の入江直樹研究員は「は虫類では初めて、匂いをかぎ分ける能力を哺乳類と同程度、秘めていることも分かった。解剖学的にも特徴的なカメの研究を進め、脊椎動物の進化の理解につなげたい」と話している。
27億年前も小天体衝突 原始生命、過酷環境に耐えた?
産経新聞 4月29日(月)7時55分配信
月に多数のクレーターを作った小天体の激しい衝突は、27億年前にも起きていたことを東北大や広島大などの研究チームが隕石(いんせき)の分析で突き止めた。すでに生命が誕生していた地球にも衝突したとみられ、原始生命が過酷な環境を生き延びたことがうかがえる。英科学誌ネイチャーコミュニケーションズに発表した。
チームは2006年にモロッコに落ちた月起源の隕石を大型放射光施設「スプリング8」で調べ、合成に40万気圧以上が必要な特殊な物質を検出した。このような超高圧環境は、月面では小天体の衝突以外に起こり得ないという。放射年代測定で生成時期は27億年前と分かった。
月や地球に小天体が集中的に衝突した時期は、41億年前から38億年前ごろとされていた。月ではさらに11億年後にも衝突があったことになり、近くの地球でも、38億年前の生命誕生以降に頻繁に衝突していた可能性がある。
地球の岩石は大気による風化や地殻変動などの影響で変質しているため、こうした研究は難しい。東北大の大谷栄治教授(高圧地球科学)は「米国がアポロ宇宙船で持ち帰った月の石などをさらに調べれば、生命が生き延びた環境の解明につながる」と話している。(草下健夫)